チョコレートドーナツ / Any Day Now

チョコレートドーナツ / Any Day Now

実話から生まれた物語を2012年にトラヴィス・ファイン監督が映画化。数々の観客賞を受賞し、日本でも異例のロングランを記録した感動のヒューマンドラマ。
歌手を夢見るゲイのルディはダウン症のマルコと出会い、麻薬所持で逮捕された母親の代わりにマルコを育ることを決意する。しかし恋人のポールとともに家族になった三人の幸せな時間は、同性愛を犯罪とする当時の社会によって引き裂かれていく。

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チョコレートドーナツ / Any Day Nowのレビュー・評価・感想

New Review
チョコレートドーナツ / Any Day Now
10

マイノリティーの人達への差別や偏見

本作の舞台は1970年代。ゲイのカップルが、母親に育児放棄されたダウン症の少年を引き取り、共に過ごしていこうとするヒューマンドラマだ。
今でこそLGBTQ等への理解は広まってきて、個人の尊重がかなり重要視されている社会になってきたが、当時は同性愛に対して差別や偏見がかなり根付いていたようだ。血縁関係の無い3人が、家族として愛のある生活を過ごそうとしているだけ。そこに人の為にあるはずの「司法」によって、「同性愛者には育児は出来ない」「教育に悪い」と言われ3人はバラバラになり、本当の母親の元に戻る少年。だがその先には、少年にとっての幸せは無い。

同性愛への差別や偏見、知的障害、家庭内での育児放棄等、司法の在り方等、様々な社会の面も描きながら、純粋な人と人の間に生まれる愛や絆の美しさが真っ直ぐに刺さってくる映画だ。この映画の公開から数十年経った今の社会でも、変わってない部分は多々あるであろう。
家族、本当の愛とは何なのか、無意識に何かへ偏見や差別の心を持っていないだろうか、個人のプライバシーや自由が守られる社会になっているだろうか。自分自身や、今暮らしている社会を見つめ直すきっかけになる映画だと感じた。

チョコレートドーナツ / Any Day Now
9

永遠に忘れない三人の笑顔

ゲイカップルが、育児放棄を受けているダウン症の男の子を保護することで物語は始まります。こんな理不尽なことが許されるのか、そして血の繋がりが果たして本当に正義なのか。家族の在り方を考え直すきっかけになります。

三人は強い絆で結ばれており、幸せな家庭を築いて楽しく生活を送っているけれど、「差別」「偏見」によって破壊されることに…。虐待をしていた母親が男の子を奪い返しに来たわけです。裁判沙汰になるまで事は深刻になっていくのですが、正直、裁判をしなくてもどちらの親が愛情深いかわかります。

では、なぜ裁判が始まるのかというと、「男の子の親権」はあくまで建前で、同性愛者の二人を攻撃するのが目的だからです。
結果、「同性愛は悪影響」という理由で彼らは負けます。父親を奪われた男の子は、必死に一人で家族の元へ向かおうとするけど、その最中で亡くなりました。

法律ってなんのために存在しているのでしょうか。
「愛」「家族」は性別や、一緒に過ごした年月では図ることのできないくらい偉大なものです。これは子供の表情を見ればわかります。
見終えた後は、心に穴が空いた感覚。それはまるでドーナツの穴のよう。
甘いタイトルとは裏腹に苦い、苦しい映画になっています。

チョコレートドーナツ / Any Day Now
10

考えさせられます。

・あらすじ
1979年。舞台はカルフォルニア州。
シンガーを夢見てゲイバーのショウダンサー、ドラッグクイーンとして働き、家賃を払えないほど経済的に厳しい生活を送るルディ。
正義を信じ弁護士になり、ゲイを隠しながら結婚生活を送っていたが、離婚したばかりのポール。
2人はルディが働くゲイバーで知り合い深い仲となる。
ルディと同じアパートの同じ階に住むダウン症のマルコは母親から虐待を受けており、ルディとポールと生活を始めるが…。
1970年代のアメリカ、ブルックリンであった実話を元にした作品です。

・感想
まだまだ、同性愛に偏見がある時代にダウン症の子どもに愛を注ぎ生活を共にする。
これには想像を絶する道だったと思いました。
母親から虐待を受け、心は傷つき、そして自分が安心して楽しく生活できる場所がゲイカップルのところ。
偏見を受けようとも3人の関係は強い絆で深まり進んでいたのにマルコと離れて暮らすことになるなんて。
マルコのために懸命に闘うルディとポールの行動に感動しました。
虐待をしていた母親の元に戻すのは子どもにとってどうなのか。
幸せとはなんなのか。社会の考え方や法律のあり方などを観ていると、何だか切なく悲しく難しいなと、すごく感じました。
感想と共にとても考えさせられる作品でした。

チョコレートドーナツ / Any Day Now
9

人の心の光と闇と葛藤とが入り混じっている。そして最高。

世界中で絶えず行われている、性差別、人種差別、障害者差別、同性愛差別、宗教差別などの闇の部分を包み隠さず、率直に生生しく表現されている作品。
その差別の中でもこの映画では、同性愛差別と障害者差別について描かれています。
このどちらにも対象として当てはまらない人の方がもちろん多いと思います。
そしてだからこそ彼らの置かれている状況が理解、把握できていない人が沢山いる。
この映画では自分はそのことに対して知ろうともしていなかったんだと気付かされました。自分が同性愛者だということをカミングアウトすることがどれほど辛くて、怖いことか。
自分が障害者で自分の頭の中では理解できているのに、うまく人とコミュニケーションが取れないことがどれほど辛いことか。
ハッピーエンドでないからこそ、この作品の中の世界が「夢の話」ではなく、現実で起こっている、全ての人間が誰にでも平等に接しているわけでもなく、それどころか世の中は差別で溢れているんだということを改めて気付かされる作品です。
たとえ自分自身が差別される対象に当てはまらなくても、どちらの立場から観てもどこかで必ず共感・感動し何か心に残してくれる作品です。
ちなみに、主演のアラン・カミングの歌唱力は言うまでもなく、最高です。

チョコレートドーナツ / Any Day Now
9

最後の歌がすごい。

とても悲しい話でした。
ゲイに対する偏見やらなんやらのせいで一人の子どもがないがしろにされてかわいそうです。
でも誰にでも預けられるものでもないし、裁判官は悪くはないと思います。
そりゃあ愛してるというだけで、渡せないですよね。
だから、最後に記事を送るのは、あの母親を連れてきた弁護士だけでいいと思いました。
彼らが控訴しなければ、少なくとも生きていたかもしれないし、そのことで後悔も、腹ただしさもいろいろ感じたのでしょう。
彼の最後の歌は、魂がこもっていました。
ダウン症の少年など養子に欲しがる人は居ないというのは悲しい台詞だけど、真実で、だからこそ悲しかったです。
二人で暮らすだけでも大変な時代なのに、子どもと育ててすごい覚悟があったはずの二人が報われず、いろいろと考えさせられる映画でした。
それでも、3人で暮らしているところは楽しげで、また、最後も変に感傷的にしておらず、見やすい映画だったと思います。
子どもがチョコレートドーナツが好きだからの題名ですが、チョコレートドーナツはダメでピーナッツバターサンドはいいなんて、日本人にはわからない感性ですね。
どっちもおやつな気もします。でも、どっちも美味しそうです。

チョコレートドーナツ / Any Day Now
9

一生に一度は観るべき映画

多様性の時代とは言うが、人々は無意識に自分とは違う価値観の人を普通じゃないと思ってしまう節がある。悲しいことに、認めるという行為は簡単なことではない。だが、本当は誰かを愛す、愛される喜びさえあればそんなことはどうでもいいはずだ。
ゲイのカップルとダウン症の子ども。不思議な家族の形かもしれないが、彼らは確かに家族だった。血が通っていなくても、世間から白い目で見られても、3人で過ごしたひと時を一生忘れることはないだろう。愛する人と過ごした時間は何にも代えられない宝物だ。その権利は誰にでもあることを再確認した。
現代は価値観も大きく変わってきたが、まだすべての人が自分らしくいられる世界が実現されていないことを忘れてはいけない。だけど簡単な話だ。3人からしたら別に理解されなくたっていい。ただ受け入れてくれればいい話なのだ。
ただ3人で幸せになりたいだけなのに、どうして認めてくれないのだろうか。登場人物に感情移入して思わず涙してしまうシーンも多い。特に裁判のシーンは印象に残った。ルディの「一人の人生の話だぞ!あんたらが気にも留めない人生だ」というセリフは心に突き刺さる。もどかしく、切なく、苦しい。だけど大切なことに気づかせてくれる。本当に観て良かったと思わせてくれる映画だ。

チョコレートドーナツ / Any Day Now
7

家族のカタチ

ゲイカップルが、他人のダウン症の子供をわが子のように愛情込めて育てようとするが、世間の偏見の目は冷たかった。ゲイバーのダンサーであるルディーの言動や雰囲気は、まさに自己肯定感の強い女性のそれであったし、またとてもかわいらしく思えた。対照的に、検事という立場があり、自身がゲイであることをカミングアウトできないでいたポールは、非常に現実主義者に思えた。
ルディ―が無償の愛を注ぐマルコは、薬物依存の母親を持つダウン症の子供だった。「マルコが自ら望んでこうなったわけではないのに、なぜこれ以上苦しまなきゃならないの」というルディーのセルフからもわかるように、差別的扱いを受ける立場になってしまったマルコを、自らのゲイというマイノリティーに重ね合わせていたのかもしれないと思った。
また、この作品を通して一番に感じたことは、もっと一般的にこういう家族がいてもいいのではないだろうか、ということだ。
家族のカタチは、必ずしも男と女から始まるものとは限らない。両親が男同士でも、互いが幸せであるならそれがいいのだと思った。
また、マルコはダウン症であったが、チョコレートドーナツが好きで、感情を素直に表現する、普通の男の子であった。それが生まれつき環境や状況が悪かったことで不幸になっていいわけがないとも思った。
世間の偏見や差別の醜さや、家族の在り方について考えさせられる映画だった。

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