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マイノリティーの人達への差別や偏見
本作の舞台は1970年代。ゲイのカップルが、母親に育児放棄されたダウン症の少年を引き取り、共に過ごしていこうとするヒューマンドラマだ。
今でこそLGBTQ等への理解は広まってきて、個人の尊重がかなり重要視されている社会になってきたが、当時は同性愛に対して差別や偏見がかなり根付いていたようだ。血縁関係の無い3人が、家族として愛のある生活を過ごそうとしているだけ。そこに人の為にあるはずの「司法」によって、「同性愛者には育児は出来ない」「教育に悪い」と言われ3人はバラバラになり、本当の母親の元に戻る少年。だがその先には、少年にとっての幸せは無い。
同性愛への差別や偏見、知的障害、家庭内での育児放棄等、司法の在り方等、様々な社会の面も描きながら、純粋な人と人の間に生まれる愛や絆の美しさが真っ直ぐに刺さってくる映画だ。この映画の公開から数十年経った今の社会でも、変わってない部分は多々あるであろう。
家族、本当の愛とは何なのか、無意識に何かへ偏見や差別の心を持っていないだろうか、個人のプライバシーや自由が守られる社会になっているだろうか。自分自身や、今暮らしている社会を見つめ直すきっかけになる映画だと感じた。