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人の心の光と闇と葛藤とが入り混じっている。そして最高。
世界中で絶えず行われている、性差別、人種差別、障害者差別、同性愛差別、宗教差別などの闇の部分を包み隠さず、率直に生生しく表現されている作品。
その差別の中でもこの映画では、同性愛差別と障害者差別について描かれています。
このどちらにも対象として当てはまらない人の方がもちろん多いと思います。
そしてだからこそ彼らの置かれている状況が理解、把握できていない人が沢山いる。
この映画では自分はそのことに対して知ろうともしていなかったんだと気付かされました。自分が同性愛者だということをカミングアウトすることがどれほど辛くて、怖いことか。
自分が障害者で自分の頭の中では理解できているのに、うまく人とコミュニケーションが取れないことがどれほど辛いことか。
ハッピーエンドでないからこそ、この作品の中の世界が「夢の話」ではなく、現実で起こっている、全ての人間が誰にでも平等に接しているわけでもなく、それどころか世の中は差別で溢れているんだということを改めて気付かされる作品です。
たとえ自分自身が差別される対象に当てはまらなくても、どちらの立場から観てもどこかで必ず共感・感動し何か心に残してくれる作品です。
ちなみに、主演のアラン・カミングの歌唱力は言うまでもなく、最高です。