少女革命ウテナ(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『少女革命ウテナ』とは幾原邦彦率いるビーパパスが、漫画家さいとうちほと組んで制作した1990年代を代表するアニメ作品。1997年4月2日から12月24日まで全39話が放送された。1999年には完全新作の長編アニメーション映画が公開されている。
幼少期に王子様に助けられ、自身も王子様になりたいと思った天上ウテナは入学した鳳学園で「薔薇の花嫁」と呼ばれる少女・姫宮アンシーに出会い、彼女をかけた決闘ゲームに巻き込まれていく。

世界の果てから選ばれたものが送られる指輪。
かつて永遠の研究を行っていた100人の生徒と根室教授は世界の果てと契約してこの指輪を手にしていた。
この指輪を持つ者のみが決闘広場に入り、決闘に参加することができる。
御影は永遠を研究していた少年100人が持っていた指輪を使って黒薔薇のデュエリストを生み出す。
ウテナは幼少期に自分を助けてくれた王子様からこの指輪を受け取っている。

薔薇物語

アニメ34話にて「劇団影絵カシラ」が演じる劇によって語られた物語。「まだ世界中の女の子がお姫さまだった頃のお話」という前触れから始まる。
お姫さまたちの危機に必ず駆けつけていた王子様は、魔女から世界の光を守るために空に浮かぶ城へ向かう。しかしそれは世界の光そのものである王子様を捉えるための罠であった。城にいる魔女は、王子様にとってのお姫さまになることができない王子様の妹だった。魔女は王子様を幽閉し、世界からは光が奪われてしまった。
劇中、妹であり魔女が語られる場面ではアンシー、王子様について語られる場面では暁生がスポットライトに照らされる演出がされている。

ディオスの剣

エンゲージしたデュエリストが、薔薇の花嫁の胸元から引き抜く剣がディオスの剣だ。

失われてしまったディオスの理想が剣の形となったもの。持ち手に薔薇の装飾がなされたサーベルで、薔薇の花嫁とエンゲージしたデュエリストが扱うことができる。
生徒会編、黒薔薇編ではアンシーの胸元から現れていたものをウテナが引き抜いていたが、25話の西園寺との決闘で剣は焼失してしまう。それ以降はウテナの胸元からアンシーが剣を取り出すようになった。強い力を秘めており、薔薇の花嫁から力を得ることでより協力な武器になる。

鳳学園

物語の舞台となる、登場人物が所属する学園。幼等部から高等部までの一貫校で、学生寮を有する。男子は詰襟の学生服、女子は提灯袖のセーラー服。暁生の婚約者である鳳香苗は現理事長の娘。暁生は代理理事長を勤めている。
黒薔薇編にて、御影や暁生と同年輩である時子が再び学園を訪れた際、時子は御影と暁生よりも年齢が上がっている。このことから、鳳学園は現実の時間の流れとは違う隔離された場所であることが伺える。

『少女革命ウテナ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

OP(オープニング)映像

ウテナとアンシーが薔薇の模様の上で回転する画が印象的なオープニング映像。背景には抽象化された生徒たちが描かれており、それは幾原邦彦監督が『少女革命ウテナ』の後に手がける『輪るピングドラム』での演出を連想させるものとなっている。
生徒会メンバーとの決闘やウテナとアンシーが離れ離れになる映像、「王子様」が目覚めて決闘広場が崩れる場面など、アニメ35話で描かれる展開とリンクする作りとなっている。

影絵少女

鳳学園のどこかにある薔薇模様の壁に、影絵少女が現れる。

影絵の少女たちは決闘が行われる直前のシーンに登場する。「かしらかしら、ご存知かしら?」と噂話に興じるA子とB子。「号外〜号外〜」と掛け声をするC子。劇場版ではさらにE子とF子が存在する。姫と騎士、海賊、ナースに宇宙人などいろいろなものに扮して小芝居を行う。アニメ本編を連想するやりとりは、皮肉や暗喩が込められているようだ。影絵少女たちの特徴的な演出は『少女革命ウテナ』の象徴的なものでもある。本編通して素顔が描かれることはないが、アニメ34話ではA子とB子と思われる女生徒の後ろ姿が登場している。アニメ38話では、影絵少女たちが最終話の次回予告を行なった。

決闘広場の演出

物語の見所である決闘シーンは、J.A.シーザーの手がける音楽と決闘広場の独特な造りや演出が合わさることでとても印象的なものとなっている。
生徒会編、黒薔薇編、世界の果て編では決闘広場の演出に違いが見られる。黒薔薇編では、決闘広場にはまるで教室のように無数の机が並び、その上にはデュエリストの心をあらわすアイテム、床には赤い人影のシルエットが描かれる。世界の果て編では何台ものスポーツカーが立ち並び、決闘中に走り回るなど現実離れしたシーンとなっている。シュールな描写もされるが、デュエリストたちの心の内側を垣間見ることができる。

『少女革命ウテナ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『少女革命ウテナ』に携わった若手の活躍

『少女革命ウテナ』には当時の若手アニメーター、演出家を積極的に起用していた。その中には後に活躍する人物も多い。
『時をかける少女』『サマーウォーズ』の作品監督である細田守が橋本カツヨ名義で、『おジャ魔女どれみ』シリーズのシリーズディレクターである五十嵐卓哉が風山十五名義で、『蟲師』の監督を務めた長濱博史、『天使になるもんっ!』の監督である錦織博、『美少女戦士セーラームーンシリーズ』の作画監督の香川久などが制作に携わっている。

劇場版『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』

『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』
完全新作の長編映画として1999年に公開された。
設定や人物関係なども一新されており、TV版とは違う世界(パラレルワールド)として描かれている。
TV版のラストではアンシーがウテナを求め外の世界にいったが、劇場版ではウテナとアンシーが二人一緒に学園を出るというハッピーエンドになっている。

『少女革命ウテナ』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):奥井雅美『輪舞-revolution』

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