『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』とは、2012年に公開されたイギリス・カナダ合作のゴシックホラー映画。スーザン・ヒルの小説を原作としており、『ハリー・ポッター』シリーズで世界的人気を獲得したダニエル・ラドクリフが、同シリーズ終了後に初の主演を務めたことでも話題を集めた。ジャンプスケアやスプラッタ描写に頼らず、観客の心理的恐怖を掻き立てるような静かなホラー描写が特徴。重厚な映像美と共に、喪失・執着、そして親子愛なども絡めた物語性の高い恐怖を楽しむことができる。
『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』の概要
『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(ウーマン・イン・ブラック ぼうれいのやかた)とは、2012年に公開されたイギリス・カナダ合作のゴシックホラー映画。スーザン・ヒルの小説『黒衣の女 ある亡霊の物語』を原作とし、『ハリー・ポッター』シリーズで知られるダニエル・ラドクリフが主演を務めたことで話題となった。ラドクリフにとっては『ハリー・ポッター』シリーズ終了後初の主演映画となった作品でもあり、魔法使いのイメージから一転、若きシングルファザー弁護士を体当たりで演じ、本格的なホラー作品に挑戦したことでも注目を集めた。
物語の舞台は、19世紀末のイギリス。妻を亡くした若き弁護士アーサー・キップスは、ある資産家の遺言整理のため、田舎町の沼地に建つ古い屋敷「イール・マーシュ・ハウス」を訪れるところから始まる。村人たちは屋敷について何かを恐れるように口を閉ざし、アーサーが屋敷で調査を進めるなか、黒い喪服をまとった謎の女を目撃する。やがて屋敷周辺では不可解な現象が相次ぎ、アーサーは「黒衣の女」の存在と、村で繰り返されてきた悲劇との関係に気づいていく。
本作では、派手な怪物や流血描写を前面に押し出すのではなく、霧に包まれた沼地、朽ち果てた屋敷、古い玩具や人形、不気味な物音などを効果的に用いたゴシックホラーならではの静かな恐怖が描かれている。特に、誰もいないはずの屋敷で何かの気配を感じさせる演出や、遠くに佇む「黒衣の女」の姿を印象的に映し出すことで、観客の想像力を刺激する心理的な恐怖を搔き立てる手法が特徴となっている。
また、物語の中心となる「黒衣の女」が不条理な怪異ではなく、村人たちが長年隠してきた過去や、母子をめぐる悲劇と深く結びついている点も重要な要素。アーサーは屋敷に秘められた真相を追ううちに、亡き妻への罪悪感や幼い息子への思いとも向き合うことになるという、ヒューマンドラマの要素が盛り込まれているのも特徴。古典的な幽霊屋敷ものの雰囲気を持ちながら、喪失と執着、親子の愛情を物語の核に据えた作品となっている。
『ディセント2』などで知られる脚本家・監督であるジェームズ・ワトキンズが本作の監督を務めた。本作ではワトキンズが得意とする重厚な映像美と静かな恐怖を組み合わせ、ヴィクトリア朝イギリスを思わせる陰鬱な世界観を構築している。ダニエル・ラドクリフは、妻を失いながら幼い息子のために前を向こうとするアーサーを演じ、シリーズを代表する役柄だったハリー・ポッターとは大きく異なる一面を披露している。
古びた屋敷と霧深い沼地、黒衣の女という王道のモチーフを用いながら、じわじわと恐怖を積み重ねていく本作は、英国ゴシックホラーの雰囲気を色濃く残した幽霊屋敷映画の一作。『ハリー・ポッター』終了後のラドクリフが新たな俳優像を模索する転機となった作品としても知られている。
2015年には続編として『ウーマン・イン・ブラック2 死の天使』が公開。戦時下を舞台とし、疎開してきた教師や生徒たちを恐怖に陥れるストーリーが展開された。
ウーマン・イン・ブラック2 死の天使(映画)のネタバレ解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]
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『ウーマン・イン・ブラック2 死の天使』とは、2015年に公開されたイギリス・カナダ合作のゴシックホラー映画。スーザン・ヒルの小説を原作とした『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』の続編にあたり、前作で描かれた「黒衣の女」の恐怖と確立された世界観を受け継ぎつつも新たな設定を加えた、別の物語として構成されている。前作から引き継がれたゴシックホラーの世界観を楽しめる一方、主人公や時代設定を一新したことで、独立した幽霊屋敷ホラーとしても楽しめる作品となっている。
『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』のあらすじ・ストーリー
シングルファザー弁護士の悩み
19世紀・ロンドンで弁護士として働くアーサー・キップスは、最愛の妻を息子出産と同時に亡くしていた。シングルファーザーになった彼は、我が子のために仕事を頑張りたいのだが中々うまくいかず、貧乏弁護士として爪に火をともすような暮らしをしていた。そんなある日、アーサーは上司からクライシン・ギフォードという田舎町での仕事を任されることになった。この仕事を受けるアーサーだが、上司から「今後も雇う価値があるのかどうか判断するため、この仕事を上手くやらないとクビにする」と宣告されてしまう。
息子をロンドンに残し、汽車で単身クライシン・ギフォードへ向かうと、その町はいかにも田舎と言う感じで、よそ者を毛嫌いする排他的な雰囲気に満ちていた。
さらに、この町では子供の変死が立て続けに起こっており、住民たちは神経を尖らせている様子だった。
アーサーは誰にも歓迎してもらえないまま、依頼の仕事をこなすために現場へ向かう。
黒衣の女性との出会い
今回の依頼でアーサーはイールマーシュという海近くの土地にある屋敷に入り、最近亡くなった屋敷の夫人、アリス・ドラブロウの遺言書を探し出す予定だった。アーサーは、地元の名士であるサムの協力を得ながら、屋敷の古手紙や書類の整理に取り掛かっていく。
しかしこの館は怪奇現象が頻発するなど不穏な空気に包まれており、さらに、町全体で子供が次々と亡くなるという奇怪な事件も起こっていた。アーサーは依頼をこなすうち、黒衣の女性の亡霊を目撃するようになる。
宿の主人に亡霊の正体を聞いてみたアーサーは追い出されてしまった。宿の主人が言うには、「未亡人が自身の息子であるナサニエルを失った悲しみで自死し、住民の子供たちを呪い殺し続けている」とのことだった。そのため、亡霊についての話題はタブーとされているのである。
亡霊の正体
アーサーは屋敷での恐怖体験を経てその後も調べを進めていった。その結果、屋敷に出現する黒衣の亡霊は、アリス夫人の実妹であるジェネット・ハンフリーという女性であることがわかった。
さらに、ジェネットはアリス夫人にナサニエルを奪われた上に溺死させられており、絶望して自ら命を絶ったこと、その恨みから怨霊となり、町の子供を狙い呪い殺しているということが明らかになっていく。
自らも子供がいるアーサーは、ジェネットに深く同情した。そして、沼地に沈んだままのナサニエルを探し出して一緒に埋葬し、せめて彼女の魂を鎮めてやろうと試みる。
何とか沼地から息子を探し出し葬ってやったアーサーだが、黒衣の女性は絶叫して消えてしまった。
仕事を終え、ロンドンへの帰路に着いたアーサーは息子と久しぶりの再会をする。
その時、アーサーの前に再び黒衣の女性の亡霊が現れ、息子の姿が見えなくなった。
急いで息子を探すアーサーだが、息子は線路の真ん中に立っている。アーサーは息子を助け出そうと飛び込むが間に合わず、迎えにきた亡き妻と再会を果たすことになるのであった。
『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』の登場人物・キャラクター
主要人物
アーサー・キップス(演:ダニエル・ラドクリフ)
本作の主人公。息子の出産と同時に妻を失い、失意のどん底にいるシングルファザー。業績は鳴かず飛ばずの貧乏弁護士。自身の進退を賭けた依頼で、単身ロンドンからクライシン・ギフォードへとやってきた。
イールマーシュの館で様々な怪奇現象を経験するうちに黒衣の女に出会う。それを契機として屋敷の女主人であるアリス・ドラブロウの秘密に触れ、自身も恐ろしい呪いの連鎖に巻き込まれることになる。
クライシン・ギフォードの人々
サム・デイリー(演:キアラン・ハインズ)
画像右がサム
クライシン・ギフォードの名士で、イールマーシュの館付近の住人。アーサーに協力的な態度で接してくれる。ジェネットの呪いの影響で息子を失っている。
エリザベート・デイリー(演:ジャネット・マクティア)
サムの妻。ジェネットの呪いの影響で息子を失って以降精神の均衡を失っており、「双子」と称した2匹の犬を溺愛している。
アリス・ドラブロウ
イールマーシュの館に住んでいた女性。自身に子供がいなかったためにジェネットから息子のナサニエルを奪ったうえに、沼地で溺れているところを見殺しにした。クライシン・ギフォードに蔓延る呪いの起点となった人物。
目次 - Contents
- 『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』の概要
- 『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』のあらすじ・ストーリー
- シングルファザー弁護士の悩み
- 黒衣の女性との出会い
- 亡霊の正体
- 『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- アーサー・キップス(演:ダニエル・ラドクリフ)
- クライシン・ギフォードの人々
- サム・デイリー(演:キアラン・ハインズ)
- エリザベート・デイリー(演:ジャネット・マクティア)
- アリス・ドラブロウ
- その他
- 黒衣の女/ジェネット・ハンフリー(演:リズ・ホワイト)
- ナサニエル
- ステラ・キップス(演:ソフィー・スタッキー)
- 『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』の用語
- 舞台・地名
- イールマーシュの館
- クライシン・ギフォード
- その他
- 黒衣の亡霊
- 『ウーマン・イン・ブラック2 死の天使』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 『ハリー・ポッター』のイメージを脱却したダニエル・ラドクリフの名演技
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