ゴシックホラーの傑作。映画「ウーマン・イン・ブラック1・2」をご紹介
スーザン・ヒルの小説を実写化したゴシックホラー作品。とある館を舞台にした、正統派な作りが特徴で、奇をてらった演出などはないものの、怪奇的な雰囲気を味わうことができます。映画「ウーマン・イン・ブラック1・2」をご紹介致します。
あらすじ・ストーリー(ウーマン・イン・ブラック1)
19世紀末のイギリス。ロンドンで弁護士として働くアーサー・キップス(ダニエル・ラドクリフ)は、4年前の妻の死を引きずっていた。そんな彼に、弁護士事務所の上司は田舎町クライシン・ギフォードへの出張を命じる。課せられた仕事の内容は、同地に建つイールマーシュの館へ赴き、亡くなった家主であるアリス・ドラブロウ夫人の遺書を見つけ出すというものだった。やがて、アーサーは黒衣をまとった女が周囲の森や窓辺に出現するのを目にするようになり、館の恐ろしい歴史と町の子どもたちが次々と怪死している事実を知る。
あらすじ・ストーリー(ウーマン・イン・ブラック2)
第2次世界大戦下、ロンドンのある学校の生徒と教師たちは戦火を逃れイギリスの田舎町に疎開する。一行がたどり着いたのは、かつて数々の惨劇があったいまわしい過去を持つ、陰鬱(うつ)な雰囲気に覆われた「イールマーシュの館」。彼らが館に潜む邪悪な魂を呼び覚ましてしまったことから、黒衣の女が引き起こす惨劇に巻き込まれ……。
どちらかというと1の方がゴシックホラーの色合いが強く、2は単なるビックリ系ホラー
ナンバリングはされているものの、2つの作品は別物だと考えた方が良いかもしれません。そもそも監督が違いますので、それによって前面に出そうとした雰囲気の違いが如実に表れてしまっています。個人的には叙情的な雰囲気が美しい第一作目の方が好みです。特別ホラーを感じられるようなシーンは少なかったものの、その分作中の空気感がしっかりと作られていました。2は大きな音や不意の画面パンなどで恐怖を演出することが多く、今時のホラーだなという感じがしました。
1の主役を演じるダニエル・ラドクリフも良い味を出しています。ハリーポッターを演じていた子が、いつの間にか子供を持つ役を演じるようになったのかと考えると少々感慨深くもありました。ゴシックホラーの雰囲気にしっかりと合っていて、また妻を失くしているという役柄にもピッタリでした。そう考えると2は配役にも難があったような気がします。どこか安っぽい感じがしました。
ラストの描き方もかなり対照的でした
原作小説を読んでいないので詳しくは分かりませんが、ラストでは両方とも作品の色を出していました。1の方は悲劇的でありながらもどこか清らかな雰囲気さえ感じられるエンド。一方の2は、平和な日常に戻ったと見せかけて、実は解決していなかったことを匂わせる、いわゆる引きの強いエンド。どちらが良いかは個々人の好みにもよりますが、余韻が深いのは1の方でしょう。2の方は、やはり良くも悪くも今時のホラーといった感じで、インパクトを重視した作りになっています。
まとめ
1と2とで、違った味わいを楽しめる作品です。続編という見方をしなければ、2もそれなりに良かったかな。話が直接繋がっているわけではないのでどちらから観ても良いとは思いますが、舞台自体は共通しているので、きっちりと楽しみたい方は1から観ることをオススメします。興味のある方はぜひご観賞ください。