『ヒトラー暗殺、13分の誤算』とは、2015年に公開されたドイツの映画。第二次世界大戦前夜のドイツを舞台に、ナチス政権に対して単独で反抗し、アドルフ・ヒトラーの暗殺を企てた実在の人物、ゲオルク・エルザーの生涯とその動機を描いた伝記映画である。1939年、ミュンヘンで発生したヒトラー暗殺を狙った爆破事件は、ヒトラーが13分早く退出したため失敗に終わる。本作はこの誤差が生んだ歴史の分岐点を軸に、犯人であるエルザーの信念と孤独な闘い、逮捕後の尋問を通じて見えた過去の出来事を描く。
『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)の概要
『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(ヒトラーあんさつ、13ぷんのごさん)とは、2015年に公開されたドイツの映画。
第二次世界大戦前夜のドイツを舞台に、ナチス政権に対して単独で反抗し、アドルフ・ヒトラーの暗殺を企てた実在の人物、ゲオルク・エルザーの生涯とその動機を描いた伝記映画である。
1939年11月、ミュンヘンのビアホールで、演説中のヒトラーを狙った爆破事件が発生。しかしヒトラーは予定より13分早く会場を後にしており、このわずか13分の差で暗殺は失敗に終わる。
本作は、この「13分の誤差」が生んだ歴史の分岐点を軸に、エルザーの信念や孤独な闘い、そして逮捕後の尋問を通じて明らかになっていく過去を交錯させたストーリーとなっている。
「ナチス体制下における個人の抵抗」という、極めて重いテーマを扱いながらも、政治的英雄譚ではなく、市井に生きる一人の人間の視点から歴史を見つめ直す構成が特徴とされる。
『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)のあらすじ・ストーリー
ヒトラー暗殺未遂事件の発生
1939年11月8日。この日、ヒトラーによる演説が行われていたミュンヘンのビュルガー・ブロイケラーというビアホールで、彼を狙った爆破事件が発生。ヒトラーはこの演説を予定より13分早く終えていたため、その後に起きた爆発に巻き込まれず助かったものの、8名が命を落とすことになった。
この暗殺未遂事件の首謀者として逮捕されたのは、大工と時計職人で生計を立てるゲオルク・エルザーという平凡な男だった。
容疑者のゲオルクを取り調べたのは、刑事警察局長のアントゥール・ネーベ。ゲオルクは、厳しい尋問に対しても頑なに黙秘を貫いた。ネーベはゲオルクを何度も拷問し、さらに、彼の元婚約者であるエルザを呼ぶと脅し、精神的な圧力を掛ける。
度重なる脅しに対し、ゲオルクはとうとう、爆破事件は自身ひとりによる犯行だと自供した。しかし、ゲオルク一人でこの犯行を実行できると思えなかったネーベは彼を疑い、更に厳しく追及するのだった。
ゲオルクとエルザの出会い
犯行より7年前の1932年。ボーデン湖畔、コンスタンス。ゲオルクは、アコーディオンを弾きながら歌を歌っていた。ゲオルクは仕事の合間に湖畔を訪れ、短い自由時間を趣味に費やして楽しんでいた。
当時のゲオルクは、時計工房で働いていた。しかしある日、実家の母から「帰ってきてほしい」と懇願する電報を受け取る。ゲオルクの父は重度のアルコール中毒で、仕事に就くことができなくなってしまったのだという。ゲオルクはやむなく退職し、実家のあるヴェルテンブルク地方のケーニヒスブロンに戻ることを決める。
ケーニヒスブロンにおいてもナチスの勢いは強く、ゲオルクの行きつけの酒場でも、ナチス党員とそうでない者たちとの間での乱闘は日常茶飯事だった。しかしゲオルク自身は酒場でもアコーディオンを弾きながら過ごしており、ナチス党員たちと力でやり合うことはしなかった。
そんなある日、ゲオルクは酒場で偶然エルザという女性と出会い、恋に落ちてしまう。しかしエルザは既婚者で、彼女には、酔って暴力を振るう夫と、昔の恋人との間にできた娘がいた。
家具職人として関わるなかで、ゲオルクとエルザはより仲を深めていく。しかし、2人がキスを交わしているところを彼女の夫に見つかってしまい、ゲオルクとの子どもを妊娠していたエルザが激しく殴られてしまう。子どもは何とか生まれたものの、すぐに亡くなってしまった。
そして時を同じくして、エルザを養うために工場で働き出していたゲオルクは、自身の職場で戦車が作られているのを目撃してしまう。戦争が迫っていることを察した彼は、ヒトラーを暗殺することを企てるのであった。
ゲオルクの最期
必死に単独犯だと主張するゲオルクだが、ネーベは疑惑の目を緩めることをしなかった。そこでゲオルクは、計画について詳細な絵を描き、爆破装置については模型で説明することにした。的を得た説明を直接耳にしたネーベは、徐々にゲオルクの単独犯でしかありえないと確信を持つようになる。
しかし、この件についての報告書を読んだヒトラーは、イギリスのスパイが黒幕ではないかと疑いを持った様子で、ゲオルクの仲間について証言を取れないネーベに苛立つ。
そこでネーベは、ナチスの親衛隊の中将を務めていたハインリヒ・ミュラーにも協力を仰ぎ、再びゲオルクを尋問する。それでもゲオルクの単独犯であるという主張を覆すことができなかった彼らを、ヒトラーは厳しく叱責するのであった。
その後、報告書に署名をさせられ、ゲオルクはダッハウ強制収容所へ送られた。そして、反ナチ主義からナチスへの忠誠を誓うと宣言したうえで、処刑までの数年を独房で過ごすことになった。
1945年の春。ゲオルクは看守のフランツから、ネーベが死んだことを聞かされる。
ネーベは、ナチス党員から反ナチへ転向。「ワルキューレ作戦」に関与していた罪で、ピアノ線による絞首刑を執行されたという。
彼の死に、自らの死も近いことを悟るゲオルク。
1945年4月29日。ゲオルクは銃殺刑に処された。そして、大戦が終わるころには、ヒトラーにより、5500万人以上の人命が失われた。
エルザはゲオルクの逮捕後に2度の結婚をしたが、生涯、ゲオルクを愛し続けたという。そして、愛する彼の後を追うかのごとく、処刑と同年の1945年10月にその生涯を閉じた。
『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)の登場人物・キャラクター
主要人物
ゲオルク・エルザー
演:クリスティアン・フリーデル
日本語吹き替え:内田夕夜
本作の主人公で、実在した反ナチス運動家。1939年にミュンヘンで発生したヒトラー暗殺未遂事件の犯人。元は大工や家具職人として働いており、恋人のエルザを養うために就職した工場でヒトラーが戦車を製造し、戦争に備えていることを知って暗殺を企てる。
ヒトラーは背景にイギリスが絡んでいると踏んで厳しい尋問や拷問を課したが、頑なに単独犯を主張。事件から6年後の1945年、銃殺刑に処されている。
エルザ
赤い服の女性がエルザ
演:カタリーナ・シュトラー
日本語吹き替え:園崎未恵
ゲオルク・エルザーの恋人。彼と出会った当初はエーリヒという夫がいたが、ひどい暴力に悩まされていた。後にゲオルクと恋仲になり、子どもを身ごもるが、その子供を生まれて間もなく喪ってしまう。
ゲオルクが逮捕されてから2度の結婚を経験したが、生涯彼を愛し続け、ゲオルクの処刑執行と同年の1945年、後を追うように亡くなっている。
ナチス・ドイツ関係者
アドルフ・ヒトラー
演:ウド・シェンク
日本語吹き替え:田原正治
史実上実在したドイツの総統で、ゲオルクが起こした暗殺未遂事件の標的。ゲオルクがイギリスと繋がりを持っているのではないかと疑い、ネーベやミュラーに厳しい取り調べをするよう命じた。
アルトゥール・ネーベ
画像左端の男性がネーベ
演:ブルクハルト・クラウスナー
日本語吹き替え:玉野井直樹
ドイツの警察長官で、SS隊(ナチス親衛隊)の一員でもある人物。逮捕されたゲオルクの尋問を担当した。頑なに単独犯を主張するゲオルクを疑い、厳しい尋問や苛烈な拷問を加える。反ナチスを取り締まる立場でありながら、のちにヒトラーの暗殺計画に関与。ゲオルクより少し前に処刑された。
目次 - Contents
- 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)の概要
- 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)のあらすじ・ストーリー
- ヒトラー暗殺未遂事件の発生
- ゲオルクとエルザの出会い
- ゲオルクの最期
- 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ゲオルク・エルザー
- エルザ
- ナチス・ドイツ関係者
- アドルフ・ヒトラー
- アルトゥール・ネーベ
- ハインリヒ・ミュラー
- その他
- エーリヒ
- マリア・エルザー
- ルートヴィヒ・エルザー
- フランツ・クサーヴァー・レヒナー
- 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)の用語
- ヒトラー暗殺未遂事件
- ドイツ共産党
- ナチス
- ゲシュタポ
- 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 胸に来る拷問シーンや迫りくるナチスの魔の手の描写
- 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(映画)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 本作と史実との相違点
- ゲオルクを尋問した人物の違い
- 自白の影にあった家族の強制連行
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