『シュレック』「常識」や「お約束」をぶち壊す爽快感
「ドリームワークス」制作のアニメ、『シュレック』。元々は絵本なんですが、内容を膨らませ、しかも皮肉をてんこ盛りにして主役のシュレックに関西弁を喋らせるなど、「突き抜けた」感があります。爽快さを覚えるほどに「絵本」や「物語」のお約束、常識をぶち破ってくれたり、パロディしてくれたり。もうどこまでも行っちゃって!といった感じです。
タレント声優・浜田雅功
賛否両論ある、タレント声優。主人公シュレックの吹き替えを担当したのはあの「ダウンタウン」浜田雅功さん。そして、関西弁。個人的にはそうひどくもないし、いいと思います。浜ちゃんシュレック。「黙らせるの大変や!」「姫さんはあそこにいてるもんや」…シュレックは「緑の怪物」として皆から恐れられているわけですが、一応主人公なんで見ている側に親しみを持たせるのは正解かと。ぎこちない話し方がシュレックの不器用さを表しているようにも感じました。
某遊園地への皮肉
世界的に有名な遊園地に対する皮肉もありました。やたらジグザグしたロープとか、「ごみ落とすな、お土産忘れるな」というモットーを文字通り歌い上げる国とか。
「お姫様」への幻想を打ち砕く
一作目では「煮えたぎるマグマと火を吐くドラゴンに守られた城(場内に入るには、ボロボロのつり橋を渡るしかない)に閉じ込められたお姫様」を助けに行くわけですが、「お姫様は可憐でお淑やか」という幻想をまず打ち破ってくれます。お約束の場所で、お約束のように待っていた、お約束のように美しいフィオナ姫ですが、意外に武闘派です。大の男数名しばき倒せます。そして高音を出しすぎて鳥を破裂させもしました。その鳥が温めていた卵で目玉焼き作るブラックジョーク的な部分も。シュレックと惹かれ合うのは「お約束」に見えますが、姫にはある秘密が…。
「騎士道」はドラゴンには通用しない
フィオナ姫を救出(して妻にする)べく、たくさんの騎士たちが城にやってきましたが、皆失敗。理由はドラゴンに対し、正々堂々剣を振り上げて名乗りを上げたため。…ドラゴンからしたら「知るかボケ」ですよね…皆さん壁の焦げ跡や足だけのオブジェとしてお城を彩ってました。悲惨な光景のはずなのに悲壮感がないってどういうことでしょうか。
女子力の高いドラゴン
ドラゴンの性別なんて普通気にしないというか念頭に浮かびませんよね。劇中のドラゴンは「女の子(メス)」なんです。しかもまつ毛長いわ、恋に落ちるわ、三作目ではガールズトークに参加するなど女子力が高い高い。
大概ドラゴンは「倒される存在」として登場しますが、彼女は倒されないどころか彼氏GET、そのまま味方にまでなるんです。「彼氏」の甲斐性ゆえか、ドラゴンの女子力の高さのなせるわざか…。
おとぎ話の住民たちが…
ピノキオ、三匹の子ブタ、その他諸々皆さんも幼少のころに聞いた、もしくは読んだであろう「おとぎ話」の住民も登場します。で、キャラがいじられまくってました。ピノキオの趣味とか、『赤ずきんちゃん』のオオカミの「何!」とか、戦闘モードの白雪姫なんかは抱腹絶倒ほぼ間違いなしかと。
王位を欲しがらないシュレック
1作目で姫と結婚。2作目で「婿殿」として迎えられたシュレック。3作目では病床についた王様(カエル)に代わってその職務に当たるんですが、元々自由を愛するシュレックのこと。王様業なんて堅苦しいし、責任は重いしで渋々行っていました。結局王様は崩御。「婿殿」であるシュレックに王位継承の意思を告げるんですが、代理ならまだしも本格的に王位に就くのは嫌だと、フィオナ姫のいとこを迎えに行くのでした。王様業を「押し付ける」ために。
既成概念を「ぶち壊す」象徴、ドンキー
喋るロバのドンキーは、皆から嫌われているシュレックを「助けてくれた」と気に入り後をついてきます。ある事情で旅に出ることになったシュレックに同行を願い出もしました。姫の悩みを聞き、ドラゴンを言葉攻めで陥落させる彼は、「既成概念をぶち壊す」という意味合いでこの作品の象徴に思えました。
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