佐藤明(ザ・ファブル)の徹底解説・考察まとめ
佐藤明とは、南勝久による漫画『ザ・ファブル』の主人公で、殺さない殺し屋である。殺しの実力は「どんな敵でも6秒以内に殺せ」る程の凄腕。連載開始時点で現場に出て6年、合計71人を殺害している。その伝説的な強さのため、裏社会の人間から「寓話」という意味を持つ「ファブル」と名付けられた。『ザ・ファブル』本編ではボスの命令で殺し屋を休業中で、普通の生活に溶け込む訓練をしている。
実写映画版『ザ・ファブル』ではV6の元メンバー、岡田准一(おかだ じゅんいち)が明を演じている。
自らが殺しのプロである自覚は強く、何かをする際には「プロとして」と自分に言い聞かせるように呟くことがある。一方で「プロ」という言葉自体に弱いのか「プロとして」と付け加えて頼まれると「プロか」と呟き行動してしまうことが多い。大阪に来てからは普通の生活をしていることから「普通」という言葉にも反応する。
武装
「NIGHTHAWK CUSTOM(ナイトホークカスタム)」を愛用している。好みに合わせてグリップからサイトピクチャーまで細部にわたるカスタマイズが可能である。明が使用するナイトホークは、フィリピンの闇の改造職人が作ったという裏設定もあり、銃身長はラインナップには存在しない4インチ。劇場版ではグリップはダイヤモンドバック仕様、銃口にはDCI製サプレッサーアダプターを装着している。過去、回想シーンではナイトホークを用いて暗殺を行った際には、使用後銃身を廃棄して新品に交換していた。一般人生活のため、銃は破棄したのだが、銃身を外したナイトホークとナイフだけは持参した。ミサキ救出の際には、戦いに備えて市販の素材(モデルガンの薬莢や鋼材、花火など)を使って手製の銃身と弾薬を洋子とともに自作した。
銃以外では度々サバイバルナイフも登場しており、幼少時の回想サバイバルシーンでは、芋虫を食べる時に「ベンチメイド 141SBK ニムラバス」を使っている。クロと山にこもる際には、かつて愛用していた「ブラックホーク CQD マークI」というサバイバルナイフを購入し、(初代は山で遭遇したクマと戦う際に失った)下山する時にクロにあげている。
佐藤明の関連人物・キャラクター
佐藤洋子(さとう ようこ)
明と同じ組織に所属している、明の殺しのパートナーで運転手。他に殺しの後方支援をしている。年齢不詳だが明の妹として大阪に潜伏しているところから、おそらく20代前半である。
休業期間中に恋をすることを目標にしているが、暇を持て余し、下心ミエミエの薄っぺらいイケメンを捕まえては酒場に誘い酔いつぶれた姿を見て楽しんでいる。
天才的な瞬間記憶力の持ち主で、10歳の時に火災で家と両親を失った後、組織に保護されて殺しの訓練を受けている。格闘の腕前は同業の鈴木を6秒で倒せるほどであり、銃器の扱いも慣れている。しかしながら実戦経験が無い。
両親の死に山岡が関係していると気づき、自ら親の仇を討つため特訓したり武器を入手したりしたが、全て山岡の手の平の上で踊らされていたことを知り、自身が人を殺すことに向いていないと悟った。その後は全てを明の判断に任た。
明が組織を抜けオクトパスを退社し旅に出ることを決めたときには、何も言わず行動を共にすることにした。明に対する恋愛感情はない。ユーカリのことは弟のように思っていたが、ユーカリからは妹のように思われていた。
自宅で料理をする際、片足立ちになる事がある。明の携帯電話に登録されている名前は「他人」である。
ミサキ/清水岬(しみず みさき)
いくつもバイトを掛け持ちしている22歳。影のある美人。
連載当初、明が金髪のチンピラとキックボクサーに襲われた(明は正体を隠すためわざと殴られ鼻血を出し、泣いて謝っている)時に通りがかり「ハンカチ使う?」と聞いたのが初対面。(後に明の姿を見て「情けなあ~」と思ったと話している。)その後偶然にも、アルバイトの面接先の花屋を探していた明と出会い、明にオクトパスを紹介した。
明の住む一軒家の近くにあるアパートで一人暮らしをしている。病気の母親の治療費と父親の借金返済のため複数のアルバイトを掛け持ちしている。借金返済後に自分で店を開く夢を持っている。過去に報酬目当てでグラビアアイドルをしていた。真黒組の海老原は苦労人の彼女を密かに見守っており、彼女が小島のデリヘル開業計画に引き込まれた時には、海老原の依頼を受けた明が救出に向かった。佐藤兄妹にとって初めて関わりを持った一般人であり、特別な存在である。
山岡の一件で佐藤兄妹の正体を知るまで、ずっとその正体に気付かずに守られていた。
第一部ラストに明から結婚を申し込まれ快諾した。諸々の事情を全て知ったうえで内縁の関係となることも何も問題にしておらず、幸せな様子である。明が旅に出たあとも定期的に連絡を取り合っている。
ボス
本名不詳。年齢不詳。経歴負傷。明や洋子が所属する組織のボス。佐藤明を殺し屋に育てあげた親のような存在。その場にいないのにすべて把握しているため、携帯に何か仕込まれているのではと考えられていたが、組織の人間の体にチップを埋め込んでおり、すべて管理把握していたことが第一部終盤で明かされた。
組織の実態は謎に包まれているが、ボスは時代の移ろいと共に組織の方針を変え、暗殺業を辞めることを考えていた。その一環として、明と洋子を一般人として生活させていたのだった。
埼玉県の某所で整体院を経営している。若い頃は自らも殺し屋を行っていて、いとも簡単に人を殺す。
オクトパス社長/田高田社長
田高田社長(たこうだしゃちょう)。ミサキが勤務するデザイン事務所オクトパスの社長。苗字の「たこうだ」から事務所の名前はオクトパス。洋子からは「タコちゃん」と呼ばれている。
離婚歴があるが子供はいない。デザイン経験のない明の猫舌っぷりを見てすぐさま配達係として採用を決めた。明のことは真摯な仕事ぶりや、味のあるイラストを見て大変気に入っており、いつも気にかけている。実際に、ミサキや明、洋子からも、とても慕われている。明とミサキを観察しており、ミサキの気持ちを汲み取って、2人をくっつけようと画策している。
小島のデリヘル開業計画では、ミサキのアルバイト先への嫌がらせ工作に巻き込まれ、小島が雇ったチンピラに襲われて大怪我を負い入院している。同僚の貝沼が事務所でミサキを襲った際、明がとっさに場を制圧するのを目撃したにも関わらず、その正体に気付かなかった。さらには、明が優しい性格のために格闘技の実力を封印していると推察するほどのお人好しである。貝沼のことも気にかけており、人の良い面だけをみることのできる人物である。
貝沼悦司(かいぬま えつじ)
ミサキの働くデザイン事務所オクトパスの同僚で23歳。陰気な雰囲気を持つストーカー気質の青年。母子家庭で過保護に育てられ、小さい時より習い事も続かない根気のない性格だが、オクトパスの社長からは仕事が早いと評価されている。
ミサキに想いを寄せているが正面からアプローチすることができず徐々に暴走。明の歓迎会で、テーブルの下からミサキのスカートの中を盗撮しようとしたり、オクトパスの事務所内にも隠しカメラを設置していたが、ことごとく明に見つかり阻止されている。飲み会の帰りに酔ったミサキを送り、ミサキのバッグから自宅の鍵を盗んで合鍵を作り、部屋へ不法侵入して隠しカメラを設置している。
父親の遺産と母親の過保護、本人の自信のない性格に漬け込まれ、宇津帆の「ニワトリビジネス」に狙われた。ミサキの部屋に設置した隠しカメラの証拠を宇津帆たちに掴まれ、ゆすられ、母親が和解金の名目で6000万円を払わされる。そのことからミサキへの想いが他責を通り越して殺意へと変わり、オクトパスで就業中に包丁を手にミサキに襲いかかったところを明に制圧された。その現場をオクトパス社長に目撃され、オクトパスから逃走するも、宇津帆たちに拉致されてしまう。宇津帆の計画では、貝沼は失踪を装って殺害、母親からさらに金を搾り取って、山中に埋められる予定だったが、隙をみて逃走し、崖から落下して死亡。遺体は増水した川に流され、後日発見された。
海老原剛士(えびはら たけし)
真黒組若頭で38歳。浜田組長の死後は、組長に就任した。
ヤクザだが「法がカバー出来ない部分で自分なりに街を守っている」と自負しており、明たちが所属する組織と自分たちに明確な線引きをしている。佐藤兄妹が組織の人間であるため、当初は嫌悪し排除も企てていた。明が太平市に暮らすにふさわしいか見極めるために、明を倉庫に連れていき、犯罪者を殺すように仕向け、明の殺しの実力と人物像をテストした。明の実力が海老原の基準を上回ったため、テスト後は「太平市で暮らすなら自分に恩を売っておいて損はない」と宣言し明の協力者となった。帰りの車の中からミサキを見かけた際、明に一般人の子に近づくなと忠告したが、明はミサキに紹介してもらい、同じ職場で働くことになった。心筋梗塞で倒れたが、詫びを入れに海老原宅を訪れた明に発見され一命をとりとめた。
弟分である小島の不祥事の件では、拉致された小島とミサキの救出を明に依頼した。その見返りとして自らの愛車「ハコスカGT改」を誠意の証として差し出した。後にハコスカは宇津保の件で事故車になり、クロの早合点によってスクラップにされた。
浜田組長が暗殺され海老原の身を心配した明が自ら協力を申し出た際も、一般人として生活しようとしている当初の明の意向を尊重し穏便に断るなど明のことを信用しており、人をまだ殺した経験が無い洋子にも、手を汚さず生きてもらいたいと気にかけている。
親殺しのケジメとして山岡を殺害している。旅立つ佐藤兄妹に対し、先代の浜田組長が二人が一般人として太平市で普通に生活している初夢をみていたことを伝え、見送った。
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目次 - Contents
- 佐藤明のプロフィール・人物像
- 佐藤明の来歴・活躍
- プロローグ
- 小島編
- 宇津帆編
- 山岡編
- 佐藤明の能力
- モードを独特のスイッチで切替え
- 鋭い感覚
- 趣味:ジャッカル富岡
- 殺し屋のキラーワード
- 武装
- 佐藤明の関連人物・キャラクター
- 佐藤洋子(さとう ようこ)
- ミサキ/清水岬(しみず みさき)
- ボス
- オクトパス社長/田高田社長
- 貝沼悦司(かいぬま えつじ)
- 海老原剛士(えびはら たけし)
- 小島(こじま)
- クロ/黒塩(くろしお)
- 山岡(やまおか)
- アザミ
- ユーカリ
- 佐藤明の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「俺は ただ殺すだけの――プロだ!」
- 「名前を残したいとか――生きた証とか―― そういう痕跡すら全く残さない―― 存在を知られない―― それがこの世界のプロや!」
- 「平らな所でしか闘えないのか?」
- 佐藤明の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 個性的なキャラクターのルーツは前作『なにわ友あれ』
- 佐藤明のルーツは前作の登場人物「ゼンちゃん」
- 佐藤洋子のルーツは女性主人公の構想