ゆるくて、重くて、愛おしい『宇宙家族カールビンソン』

SF映画のタイトルをもじった題名に、「昭和」を感じさせるパロディ。笑えるのに重さもある漫画、『宇宙家族カールビンソン』という物語について語ります。基本ギャグなんですけどね。『キャプテン版』『アフタヌーン版』とで微妙に違います。

見ようによっては昆虫から進化したような印象。自称風来坊。ギターを引くなどスナフキン的なイメージですが、クールというよりギャグキャラ的な部分もあります。飛行能力あり。ベルカの入浴を覗く、暇つぶしにエッチな本を見るなど、色々な意味で成人男性ぶりを披露。ミドリ先生から「浮浪者」呼ばわりされた上、小学生たちから「何の役に立ってるんだ」「社会的役割はどうしてるんだ」などと言われたことも。おとうさんに瀬異常な味覚を教え込もうとした回もありましたが、徒労に終わりました。

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ジョン

犬のような知的生物。実は頭部だけで移動可能、内臓がはみ出ても平気などスプラッターな生物。町の映画屋を経営しており、自身も映画をとるものの、作品には恵まれないご様子。モデルは映画監督、ジョン・カーペンター。

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デン助

アニカ上空を守る宇宙船の猫コンピュータのひとり。宇宙船を操る腕はいいらしいのですが、勝手に冷蔵庫を漁るなど図々しく、その気になれば上司が死ぬかもしれないのを承知で飛び降りさせる無茶な一面の主。猫が欲しいというコロナの要望で、一家のペットをしています。

サンド=ウォーム

大きな目、口と手足がついたウニのような生物。持っているアイロンをあらゆる場所に押し当て、余熱を楽しむよく分からない生き物。その際のセリフは「あたたかい」のみ。時折群体となり行進します。

げしょ

鳴き声は「げしょげしょ」。何とも言い難い、独特のラインを持った現住生物。これまた、群体となります。

出典: twitter.com

右がげしょ。単体だとどっちも手のひらサイズです。

カルチャーギャップの妙

宇宙船にあった「母星(恐らく地球)の文化データ」を元に、なるべくコロナの母星に近い風習を教えて育てよう、となるんですが…何せよく知らない星のこと。手探り脚探りで行われるその行為が逆におかしみを呼ぶ上、考えさせられる部分もあります。特に、「学校」について。「無能が無知に無用を詰め込むところ」という表現が成されていました。ちなみにこれも恐らくは「誰かの言葉」としての引用。

昭和テイスト

作者あさりよしとお氏はよく「昭和っぽい」テイストを作品に入れてきます。現代が舞台であっても七輪で魚を焼いたり、「おばあちゃんの知恵袋」的な豆知識を教えてくれたり。この作品は「アニカ」という惑星が舞台なんですが、そこの「原住民」の発想がただ事じゃありません。元ネタが「昭和の特撮(ウルトラマンなど)」で知られる映像作家からとられているんです。

一応OVAにもなってるんですよ。

夕日が好きな「ジュンくん」は、夕焼けの光景で知られる大木淳氏。顔の前に物を置く「ジッソーくん」は、「実相寺アングル」と呼ばれる特殊なアングルからの撮影技法にこだわった実相寺昭雄氏がモデルというか元ネタなのです。今の人には何のこっちゃですが、「分かる人には分かる」マニアックな笑いもあさり氏ならではのご様子。

分かる人には分かるネタ。

パロディと特撮裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話、そして皮肉

パロディも多々見られます。これまたマニアックなものが多いんですが。「特撮好き」なあさり氏の趣味全開、とまではいかずとも氏の作品作りに対する信念のようなものが描かれていました。

別作品より。

特撮映像作家をモデルにした原住民が映画を作るエピソードがあるのですが、予算は「早い者勝ち」で「いいものを作ろう」としていた原住民は低予算しか与えられず、高い予算を得た原住民の映画は素人でも分かるほどの「駄作」(設定からして下らないの一言)。これは乱立する「駄作映画」に対する皮肉でしょうね。「何がどうダメか」を「素人」の他キャラクターに語らせてますし。

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