ゆるくて、重くて、愛おしい『宇宙家族カールビンソン』
SF映画のタイトルをもじった題名に、「昭和」を感じさせるパロディ。笑えるのに重さもある漫画、『宇宙家族カールビンソン』という物語について語ります。基本ギャグなんですけどね。『キャプテン版』『アフタヌーン版』とで微妙に違います。
ゆるゆるしているのに、ブラック。ブラックなのに、どこかゆるい。そして「いらん知識」から「感心するような知識」まで得ることができる。概ねそんな印象です。
本当は切ない話だった『宇宙家族カールビンソン』
一見ほのぼのブラックシュール系SFコメディですが、最初の案では「暗いメルヘン」(作者談)だったようです。宇宙船のことなど何も知らない、巨大なネズミの老婆が、異星人の赤ん坊(コロナ)を見つけ、娘として育てるところから開始。それなりに幸福な生活の中すくすく成長した娘は、ある日仲間の宇宙船で、母に別れを告げる間もなく旅立ってしまいます。ネズミの老婆は住民から「あの子は空へ行った」という話を聞き、櫓を立て、次第に高くなっていく櫓から、いつしか降りて来なくなった、というお話。これは『プチアップル版』の柱で語られていた物語ですが、その中に成人となったコロナのイラストが描かれています。
総括
何だかんだで皆どこか愛おしいんですよね。異形の宇宙人、凄まじい設定を持つ宇宙人も多くいます。なのに、「地球の文化」をあっさり受け入れる度量か、コロナちゃんに対する責任が愛情へと変わっていくそのさまのせいか。万人受けするかはともかく、一読どころか保存の価値アリです。
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