未来から怨霊!? SFホラー映画「ディアボリカル」が新しい!
ホラー映画といえば過去に起こった何かしらの因果が現在に影響を及ぼすという設定が定番であると思います。幽霊とはそういった類のものですからね。しかしこの「ディアボリカル」に出てくる霊は、なんと未来からやってくるのです。SFとホラーが巧みに混ざり合った映画「ディアボリカル」をご紹介致します。
あらすじ・ストーリー
郊外の住宅地で幼い子供たちと一緒に暮らすマディソン(アリ・ラーター)は、毎晩起こる超常現象に困り果てていた。家の中で謎の発光や震動が起こり、顔面が溶けた血まみれの怪人が現れるといった話を、警察は聞く耳持たず、さらに超常現象の専門家もおびえて逃げてしまう始末。そんな中、マディソンはインターネットで妙な研究所のことを知り……。
良点:暗い雰囲気とこれまでにない珍しい設定
ホラー作品において、あるいは本筋よりも大事なのが雰囲気。演出や脚本が良くても雰囲気がちぐはぐだったら魅力が半減してしまう。それがホラー作品というものです。その点においてこの作品は終始暗い雰囲気を醸し出していて、空気が弛緩する瞬間があまりありません。日常のシーンにおいてその辺りのバランスが取られると思いきや、不動産業者に立ち退きを迫られたり、息子が学校で問題を起こしたりと、決して軽くない雰囲気が続きます。
加えて、この作品で注目すべきはその設定。SFホラーということもあって、家を襲う怪現象は単純に過去からの因縁によるものではなく、まさかの未来から送り込まれたものが引き起こしています。ありそうでなかったようなこの設定。送り込まれるモンスターのような人間も気味が悪く、怖いというよりかは気持ちが悪いという造形になっているのが特徴となっています。
悪点:意味不明な行動原理と、SF設定の空回り
まずこの作品における舞台は主人公の住む家。この家で様々な怪現象が起こるのですが、正直に言ってしまえば家さえ手放してしまえばその現象は収まります。ある特定の人間を狙っているわけではないようですから。しかし、登場人物は頑なに家を出ようとせず、あろうことか原因の排除に乗り出します。専門家に任せても完璧に匙を投げられたにも関わらずです。解決する道があるのにあえてそれを選ばない。これはちょっと都合が良すぎます。普通の人ならば絶対にすぐその家を出ていくはずでしょう。
加えて、未来からやってくる恐怖という設定は良かったのですが、その必然性がほとんど感じられませんでした。設定だけ目新しいのを持ってきて、内容は王道ホラーを行くような展開の仕方ですので、かなりの肩透かしを受けます。ラストは感動的な展開にしたいという思惑が感じられましたがむちゃくちゃ寒かったですね。普通のホラーじゃ見向きもされないから無理やり別要素を突っ込んでみました、という残念な作品でした。
まとめ
総じてあまりオススメできない作品です。色々なものが足りないし、ホラー作品としても全く怖くありません。複数の要素を雑な加工処理で無理やりくっつけたような作品で、SFの要素も弱ければ、ホラーも中途半端。これならいっそのことどっちかに振りきればまだましだったのでは、と思います。とはいえアイデアには惹かれました。ホラーの新たな可能性は少し見させてもらったかなという感じでしたね。