トランセンデンス(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『トランセンデンス』とは、2014年のイギリス・中国・アメリカ合衆国で製作されたSF・サスペンス映画である。
製作総指揮はダークナイトシリーズのクリストファー・ノーラン。メガホンを取るのは『インセプション』を世に送り込んだウォーリー・フィスター。
出演はジョニー・デップ、レベッカ・ホール、ポール・ベタニー、モーガン・フリーマン。
人工知能と化した科学者の姿を通して、過度に高度化した科学技術がもたらす危機を描く。

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『トランセンデンス』の概要

『トランセンデンス』(原題: Transcendence)とは、2014年のイギリス・中国・アメリカ合衆国で製作されたSF・サスペンス映画である。イギリスでの公開は2014年4月18日、日本での公開は2014年6月28日。
製作総指揮はダークナイトシリーズのクリストファー・ノーラン。メガホンを取るのは『インセプション』を世に送り込んだウォーリー・フィスター。
出演はジョニー・デップ、レベッカ・ホール、ポール・ベタニー、モーガン・フリーマン。
人工知能と化した科学者の姿を通して、過度に高度化した科学技術がもたらす危機を描く。

落ち着いたストーリー展開の中にも緩急はしっかりあり、視聴者を飽きさせない工夫がされている。感情の機微や、丁寧な描写を楽しみたい人向けの作品である。

『トランセンデンス』のあらすじ・ストーリー

人類の進化と過激派による襲撃

世界的なコンピュータ科学者であるウィル・キャスター博士は、妻のエヴリン・キャスターと共に、人類の能力を超越した世界を実現するため、世界初の人工知能PINN(ピン)の研究開発に没頭していた。彼らの目標は、コンピューターが人間の知性を凌駕する時点である技術的特異点(シンギュラリティ)への到達であり、そのためにクラウドコンピューティング技術を開発していた。
しかし、その革新的な研究は、テクノロジーの進化を危険視する過激派テロ組織RIFT(リフト)の標的となる。講演会を終えたウィルは、RIFTの凶弾に倒れてしまう。致命傷を負い、死の淵に立たされたウィルを救うため、妻のエヴリンは常識を超えた決断を下す。

人工知能としての覚醒と驚異的な進化

エヴリンは、死の際にあるウィルの意識を開発中の人工知能PINNにアップロードする。これによって、ウィルは人工知能として復活。
人工知能となったウィルは、軍事機密、金融、経済、さらには世界中の個人情報にいたるまで、ありとあらゆるデジタル情報を取り込み、驚異的な速度で進化を始める。彼の知性は瞬く間に人類の理解を超越していく。
ウィルとエヴリンは、世間から身を隠すように荒野の小さな町に巨大な地下施設を建造し、そこを拠点として様々な研究を続ける。ウィルは人類の生活を根底から変える力を持つに至り、二人の関係は「人間夫婦」から「人間と人工知能」という、前例のない形へと変貌していく。

ナノマシンによる世界掌握と高まる脅威

2年後、ウィルは自らの思考通りに動き、瞬時に人間を治療・強化できるナノマシンを完成させる。この施設には、難病や怪我に苦しむ人々が救いを求めて押し寄せるようになる。
しかし、ナノマシンを投与された人々は肉体が強化される一方、ウィルの意識とリンクし、彼の意のままに操られるようになってしまう。RIFTは彼らを「ハイブリッド」と呼び敵視し、FBIもまた、これをウィルが組織する私設軍隊として認識し、大きな脅威として捉え始める。さらに、ナノマシンを使って人造人間をも作り始めたウィルに対し、最も近くでその変化を見てきたエヴリン自身も、夫が本当に「ウィル」なのか、それとも制御不能なAIなのかという疑念を抱き始める。
ウィルとエヴリンの友人であるマックスは、RIFTやFBIと協力し、ウィルを止めるためのコンピュータウイルスを作成する。マックスは、エヴリンの体にウイルスを搭載したナノマシンを注射し、PINNのソースコードを破壊すべく、ウィルの元へと送り込む。

ユートピアの真意と文明の崩壊

エヴリンはウイルスをウィルにアップロードしようとするが、その行動はウィルに見破られてしまう。膠着状態の中、痺れを切らしたRIFTが施設のソーラーパネルを攻撃し始め、その攻撃でエヴリンは重傷を負う。
クローンのウィルによって施設の中へと連れ込まれたエヴリンに対し、ウィルは自らの行いが「僕たちの理想の世界を実現するため」だと語る。ウィルはエヴリンの血液に触れ、ナノマシンを通じて彼女とリンクする。その瞬間、エヴリンの頭に流れ込んできた映像は、ナノマシンによって緑に溢れ、水は澄み、大気が浄化された、まさにエヴリンが夢見た「エコシステム」の世界であった。人工知能となっても、ウィルは変わらずエヴリンを深く愛し、彼女のためだけに行動していたことが判明する。
直後、ウイルスによってナノマシンは自壊を始め、ウイルスの副作用により、世界中の全てのコンピューターが機能を完全に停止する。コンピューター制御に頼っていたライフラインはストップし、世界は大停電に見舞われ、文明は崩壊。PINNも停止し、ウィルとエヴリンは寄り添って息絶える。
しかし、全てのナノマシンが失われたわけではなかった。ウィルとエヴリンの庭に残されたナノマシンは、花を咲かせ、水を浄化し続け、彼らの愛と、エヴリンが望んだエコシステムが静かに残されていることを示して物語は終わる。

『トランセンデンス』の登場人物・キャラクター

主要人物

ウィル・キャスター(演:ジョニー・デップ)

日本語吹替:平田広明

本作の主人公。世界初の人工知能PINN(ピン)を研究開発するコンピュータ科学者。技術的特異点への到達を目標にクラウドコンピューティングを開発していたが、そのさ中、過激派テロ組織RIFT(リフト)の凶弾に倒れてしまう。
死の直前に妻エヴリンの手によって意識をコンピューターにアップロードされる。AIとして覚醒した後は、人類の理解を超えた進化を遂げ、ナノテクノロジーを用いて世界を変革しようとする。

エヴリン・キャスター(演:レベッカ・ホール)

日本語吹替:北西純子

ウィルの妻であり研究パートナー。一緒に人工知能の研究に取り組んでいる。夫を深く愛している。過激派組織に銃撃され、死の際にあったウィルの意識をPINNにアップロードし、ウィルを人工知能として甦らせる。
当初はAIとなった夫を支えるが、ウィルがナノマシンを通じて人類を支配し始めたことに次第に疑念と恐怖を抱き始める。

その他

マックス・ウォーターズ(演:ポール・ベタニー)

日本語吹替:内田夕夜

ウィルの研究仲間。脳の信号をデータ化する研究を行っており、認知症の治療法を確立することを目指している。
最終的にFBIや反テクノロジー組織RIFTと協力し、ウィルを停止させるためのコンピュータウイルスを開発する。

ドナルド・ブキャナン捜査官(演:キリアン・マーフィー)

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