おみおくりの作法(Still Life)のネタバレ解説・考察まとめ

『おみおくりの作法』とは、2013年に公開された映画。イギリス、イタリア合作のヒューマンドラマ作品で、第70回ヴェネツィア国際映画祭のオリゾンティ部門で初上映されて高い評価を獲得し、同映画祭では監督賞を含む4賞を受賞した。「孤独死した人物の葬儀を行う仕事」に焦点を当て、実際にその仕事に就いている人に同行しての取材を行って制作されている。勤続22年目にして解雇を申し渡された民生係の中年男性が、最後の「依頼人」が残した写真を手掛かりにして、故人の人生を辿る旅に出る姿を描く。

ビリー・ストークの元交際相手で、彼の娘を出産していた。浮気をして帰ってこなくなったビリーには何の情もないとして葬儀への参列を拒否した。ビリーと破局後は優しい夫と結婚し、幸せな家庭を築いている。

ジャンボ(演:キアラン・マッキンタイア)

ビリーがパラシュート部隊に在籍していた頃の同胞。命の恩人であるビリーを慕い、戦後に心を病んだ彼の身を案じていた。

シャクティ(演:ニール・ディスーザ)

ビリーが工場で働いていた当時の同僚。

ホームレスの男(演:ポール・アンダーソン/ティム・ポッター)

ビリーの知人だったというホームレスの男たち。彼のことを調べているジョンを快く受け入れ、酒を酌み交わす。

その他

プラチェット氏(演:アンドリュー・バカン)

ジョンの上司。彼に解雇を通知した。少々傲慢なきらいがあり、故人に対する敬意も皆無。誠実に仕事に取り組んでいるジョンに対して「なんの意味もない仕事をしている」と暴言を吐いている。

『おみおくりの作法』(Still Life)の用語

民生係

葬儀や墓地の手配もジョンの仕事のひとつ。

ジョンの仕事。いわゆる市役所の社会福祉係で、ジョンはその中でも特に孤独死した人物の遺族探しや遺品整理、生前入っていた宗教に応じた葬儀の手配までを行う係として在籍している。

『おみおくりの作法』(Still Life)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

今まで「おみおくり」してきた人たちの写真を眺めるジョン

故人たちの写真を眺めるジョン

民生係として働き、孤独死した人たちをたった一人で見送ってきたジョン。彼は故人が信仰していた宗派の教会でお気に入りだった音楽を流し、自身で弔辞を書いて葬儀を挙げ、丁寧な「おみおくり」をしてきた。そんなジョンは葬儀を終えて家に帰ると、青リンゴとトーストだけの質素な夕食を終え、自分が担当した故人の写真をアルバムに貼りつけていく。仕事とはいえ、ビリーが「依頼人」たちに真摯に向き合い、自分の家族であるかのように大切にしてきたことがうかがえるワンシーンだ。
こうして彼が行ってきたことは、決して「自己満足」には留まっていなかったということが、ラストシーンで示唆されている。

『おみおくりの作法』(Still Life)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

本作の原題は『Still Life』(まだ生きている)

本作の原題は『Still Life』という。直訳すれば「まだ生きている」といったニュアンスになるが、込められた意味を説明するのにそれでは些か言葉不足だ。主人公のジョン・メイは一貫して「依頼人」たちを、まだ生命を持っているものとして扱っていた。
葬儀を行って初めて、亡くなった人々は死者となり得る。そのため「ジョンは死者ときちんとした形で向き合っており、決して事務的に終わらせようとしていない」と考えられる場面が、作中の要所に散りばめられている。それを観ている視聴者には、「死者」を「死者」とするために、きちんと「おみおくり」するべきだという、ジョンの想いを感じて胸を打たれるのだ。
ジョンは実直で、些か潔癖な部分も描写されている。しかし、そんな真面目な彼だが決して完璧な人間ではない。嫌いな上司の車に立ち小便をすることくらいはやってのけている。「真面目一辺倒に描かれない点に、決して聖人ではない人間味を見出せる」という声も、視聴者の間では上がっている。
本作には派手なアクションはなく、物語を引っ張るミステリーも存在しない。しかしそこには一人の孤独な男のドラマがある。「死」という圧倒的な重量を持つテーマを扱う作品でありながら、不思議と閉塞感がないのも本作の魅力だ。

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