路傍のフジイ〜偉大なる凡人からの便り〜のネタバレ解説・考察まとめ

『路傍のフジイ〜偉大なる凡人からの便り〜』とは、2023年5月より『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載を開始した鍋倉夫による漫画作品である。一見冴えない中年男性の藤井守は40代独身で非正規雇用。周囲からはつまらない人間だと思われているが、周囲の価値観にとらわれずマイペースに暮らす彼の生き方は、周囲の人々の価値観にも影響を与えていく。『週刊ビッグコミックスピリッツ』のほか、ビッコミなどの電子漫画サイトでも配信され「マンガ大賞」なども受賞している。

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藤井の特徴的な目元は母譲り。さっぱりとした性格。

藤井の母。父と比べると動じない飄々とした性格で、芯の強さを見せる。目力が強くきりっとした顔立ち。息子が友達と遊ぶより一人遊びを楽しんでいても特に心配はしていなかった。教育番組の黒ひげさんを真似て敬語を使うようになった藤井のことも面白がっていた様子。
入院している夫の見舞いに来た息子を気にかけるが、藤井が人生を楽しんでいる様子を感じると嬉しそうな笑顔を見せる。夫の死の際にも冷静に葬儀の手配などをしており、涙も見せず気丈に振る舞っていたが、藤井が父の棺桶のふたを閉める前にしばらく父をみつめていた様子には目を潤ませていた。

職場以外の知人

多田(ただ)

他人からどう思われてるかを常に気にする青年。陶芸教室で藤井と知り合う。

藤井が通う陶芸教室にやってきた青年。常に自分が人からどう思われているかを気にして生きてきた。水分調整に必要なスポンジを忘れてしまい、藤井に借りたことがきっかけでそのお礼に藤井をお茶に誘う。藤井と同じく多趣味で、いつもひとりでいる藤井に親近感を覚えるが、仲良くなると距離感がつかめないタイプ。友達が欲しいと思っており、その気持ちの表れか藤井にやたらと物を渡したりするようになり、藤井からも気を遣わないでと言われる。他人からどう思われるかを気にして生きてきた自分と藤井が真逆の価値観だということに気付き、そのことで逆に藤井に気を遣わせた。その時には藤井と分かり合えないと感じて陶芸教室もやめると話していたが、藤井が裏表もなく、相手に損得も求めていないことに気付いて陶芸教室に戻り、藤井と一緒に絵付けをした。

相馬(そうま)

藤井が通う整体院のスタッフ。実は腕にタトゥ―が入っている。

ひまわり整骨院で働く女性。愛想はあまり良くなく、客と世間話をするのも好きではないが、接客業のためそんな様子を院長から注意されていた。学生の頃に友人からは「冷たい」と言われたこともある。客として整骨院を訪れた藤井とセキセイインコを探しているというチラシを見たという話がきっかけで話が弾み、後日一緒に迷いインコを保護するに成功した。51話で再登場し、夏祭りに来ていた藤井と再会して挨拶をかわして去って行った。左腕にタトゥーを入れている。

木村(きむら)

絵の才能もあり彼女もいてゲーム配信もする男子高校生。藤井に自分が描いた絵をあげた。

藤井が通う絵画教室に来ていた男子高校生。「ラキム」という名前でゲーム実況の生配信をしている。友達も多く彼女もおり、整った外見のもち主。絵画教室には小学生の頃から通っており、絵のうまさは他の生徒達からも驚かれるほど。彼女も木村が絵を描いていることは知っている。ある時からひと月ぐらい教室に来なくなったかと思えば、その後教室を辞めることに。美大予備校に通うための基礎力を付けているはずだったが、美大受験をやめて普通の大学へ行くことを決意していた。講師からは引き留められたるも、絵を辞めてまでやりたいことは「ゲーム実況」で、木村の才能を高く評価していた講師を唖然とさせた。教室を辞める際に、藤井には自分の描いた絵をあげた。
彼女からももう絵をかかないのかと問われた際に、駅の反対側のホームで自分の絵を見つめる藤井をみつけ、「気が向いたらまた描く」と話しており、絵のことは嫌いになったわけでもない様子。木村の絵は藤井にも「無性に自分でも絵をかきたくなった」と思わせるほど、人を惹きつける力があった。

辻(つじ)

藤井の新入社員時の同期。今の仕事はSE。

藤井がかつて就職した会社の同期。同期時代、営業が向いてないことに悩んでいたが藤井とは仲良くしていた。新入社員の頃は気弱な雰囲気だったが、現在はシステムエンジニアとして働いている。結婚する予定だった彼女とは自分といると「気が滅入る」という理由で別れたため、独身。藤井が席を外した時に藤井のスマホを勝手に見て、藤井なりの充実したカメラロールを見る。藤井のカメラロールが案外充実しているものだったことへの仕返しとして、藤井の分も会計を済ませた。その理由は「意味なくおごられると気持ち悪い」という藤井にストレスを与えるためとしている。その後、急に走り出して追いかける藤井を振り切るように走って行った先はゲームセンター。少し疲れたという様子を藤井に見せていたが、自分の弱い部分を藤井に出せている様子。なんだかんだで藤井のことを好いている。

漫画家の青年

漫画家を描く青年。作中で名前は明かされないが、カフェで藤井とよく出会う。

藤井が良く行くカフェにいる若い漫画家。ネームを描くためにカフェに来るものの、周囲を観察したりとあまり進まない。席が隣になった時に、藤井からケーキをわけてもらったことがある。
第50話で再会した際には漫画を嫌いにならないように「お休み」をしていると話していた。将棋バーでアルバイトもしており、藤井にも声をかけた。第51話では女流アマチュア棋士の小川(おがわ)とともに夏祭りに来ており、藤井と挨拶を交わしていた。

小川(おがわ)きらら

将棋バーにいた女性。職業は水道の品質管理。

藤井が漫画家の青年から誘われて行ってみた将棋バーにいた女性。将棋好きの間では有名な女流アマチュア棋士。将棋一本でもいけるほど強いが、本人はアマチュアでいる方が将棋を好きでい続けられるという理由から、就職してアマチュアとして活躍している。女流棋士はいるが女性棋士はいない将棋界で、最も女性棋士に近いと界隈で有名な女流棋士の水戸初音(みとはつね)とも対局したことがあるが全敗している。だが、悔しさはなく水戸を心から応援している。仕事は水道水の品質管理をしており、藤井や漫画家の青年からは「かっこいい」と言われ喜んでいた。

奥山(おくやま)

彼女と別れたばかりで傷心中。藤井とは読書会で出会う。

藤井が初めて参加した読書会で出会った若い青年。やや斜に構えた雰囲気。彼女と別れたばかりで失意の中。小説家「新保景(しんぼけい)」の大ファンだが、年に何作も書く作家の新作が7年も発表されていないことを気にかけている。出版社の知人から、その理由が小学生の息子の死と妻との離婚と聞かされ、その苦しみは想像つかないとしながらもずっと小説を読み続けている。
後に藤井が新保景作品を読んだと聞き、藤井におすすめの作品も教える。その後、藤井から新保景が新作長編小説を発表するというニュースを知らされ涙をこぼした。大事な人との別れを乗り越えた作家と自分を重ねたのか、藤井の新保景作品に対する書評の「何もないところからもう一度希望を見つける話だったんですね」という言葉を受けてか、この時の奥山の目には光が戻っていた。

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