路傍のフジイ〜偉大なる凡人からの便り〜のネタバレ解説・考察まとめ

『路傍のフジイ〜偉大なる凡人からの便り〜』とは、2023年5月より『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載を開始した鍋倉夫による漫画作品である。一見冴えない中年男性の藤井守は40代独身で非正規雇用。周囲からはつまらない人間だと思われているが、周囲の価値観にとらわれずマイペースに暮らす彼の生き方は、周囲の人々の価値観にも影響を与えていく。『週刊ビッグコミックスピリッツ』のほか、ビッコミなどの電子漫画サイトでも配信され「マンガ大賞」なども受賞している。

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藤井が通う高校に転校してきた長身の転校生。出席番号が藤井のひとつ前だったため、進路指導の順番待ちがきっかけで藤井と話すようになる。駅前でモデル事務所にスカウトされたが、なりたいものややりたいことも特になく、進路に迷っていた。自分で何かを決めるのは苦手で、流れに身を任せたいと思っていたが、藤井から真剣な顔でモデル事務所の名刺を見ていたことを指摘されたことがきっかけでモデルを志した。スカウトされたことが広まり、徐々に周囲の目も変わって友人も増えた。進路指導の日以降は藤井とも話すようになっていたが、突然藤井が引っ越してしまいその後は会っていない。現在は俳優やモデルとして芸能界で活躍している。

真木(まき)

藤井にとって初めての恋人。「別れ」によって藤井に新たな感情を芽生えさせた人物でもある

藤井の大学時代の友人であり、元彼女。ゼミ長を務めており、ショートカットでサバサバした雰囲気。男前と言えば響きは良いが、男子生徒からは男勝り・押しが強すぎる・酒癖悪いということで恋愛対象には見られていなかった。「男の趣味が変わってる」と友人からも指摘されていた。なんとなく藤井のことを意識していたが、同じゼミ生で女子人気が高い長瀬(ながせ)に、藤井が筆記用具を貸す姿を見てから藤井への好意が確信にかわり、その日のうちに藤井を食事に誘い告白。藤井の返事を聞く前に好きか嫌いかの2択で自分への評価を言わせ、半ば強引に藤井と付き合うことになる。だが、デートに出かけても手もつながず特に距離を詰めることもない藤井に対し、徐々に苛立ちを募らせるようになった。藤井の自分に対する「好き」は、長瀬や他のゼミ生を好きなのと変わらず「その人だけが特別ということがわからない」という藤井と別れを決意する。
現在は結婚して夫と二人で幸せに暮らしている。藤井にとっては「いろいろな感情を教えてくれた人」として記憶に残っている。

成田 亮(なりたりょう)

藤井の幼馴染。雰囲気は真逆だが藤井のことを「マモルちゃん」と呼び、親しくしていた。

藤井の幼なじみで家族ぐるみの仲。中学にあがってからも「マモルちゃん」「亮ちゃん」と呼び合う。端正な顔立ちで背も高く、女子からも人気があり他の中学に彼女もいる。藤井が自身の小学校に転校してきたばかりの頃は、同級生からいじられたり無視される藤井を遠巻きに見ていた。徐々にそれがエスカレートしていく中で、図書室で藤井が心理学の本を読んでクラスメイト達が自分をいじめる理由を調べていたのを見て、藤井のことを面白いと感じて仲良くなった。時々家の鍵を忘れて学校へ行ってしまい、藤井の家で待たせてもらうなど家族ぐるみでの付き合いがあった。周囲から少し変わっていると思われていた藤井には誰よりも好意的に接しており、中学ではクラスが離れた藤井に友達ができたか密かに見守っていたり、当時の彼女と一緒にバスに乗っていても藤井の姿を見ると嬉しそうにしていた。後にその彼女とは別れており、理由について「ちゃんと好きではなかった」と友人に明かした際には友人達から「何考えてるかわからない」「けっこう冷たい」などと言われていた。高校卒業後は単身で東京へ出た。
第25話で故人となっており、成人してからはバーテンダーとして新宿2丁目で働いていた。葬儀に来ていた恋人の会話から同性愛者だったことが明らかになっている。なお、藤井は葬儀に来ておらず、亡くなったことも知らなかった。成田と同じく中学の同級生だった馬場が友人を辿って藤井を探し出し、成田の訃報を知らせた。この後に藤井と馬場の2人で、成田の誕生日に墓参りをする場面が作中でも描かれた。

山根(やまね)

中学で藤井と仲良くしていた同級生。ふっくらした体形で大らかに見えるが、実は怒ると怖い。

藤井の中学時代の同級生。ぽっちゃりした地味な外見で、藤井のことを「フジくん」と呼び親しくしていた。体育の授業でグループを組んだことを期に澤部とも仲良くしていたが、彼からは自分達が下に見られていることは薄々感じていた。そのため夏祭りで澤部が別の友人たちの方へ向かった際には腹を立てていた。その後、チョコバナナを買いに行くが元の場所に戻った際に藤井がいなかったことにも腹を立て、その後は徐々に疎遠になる。だが、藤井の転校が決まった際は帰りに荷物を持つのを手伝うなどしており、藤井のことを決して嫌いになったわけではなかった様子。同級生の成田の葬儀にも出席していた。藤井とは現在は連絡を取っていないものの、大学の頃まで年賀状のやり取りをしていたため、成田の訃報を伝えようとしていた馬場が藤井を見つけ出すきっかけを作った。

澤部(さわべ)

藤井の中学の同級生。自分はイケてると思っているが1人でいるのも嫌で、目立たない藤井や山根と過ごしている状況にモヤモヤしていた。

藤井の中学時代の同級生。進級してすぐに食中毒のために学校を休んでおり、戻ってきたときには既にグループができていたため友達の輪に入れない状態に焦りを感じていた。別のクラスになった1年時の友人のところへ遊びにいくものの、目立つタイプの彼らは既にそちらも新しい友人関係ができていたため輪に入れなかった。体育の授業でグループを組む時に藤井と山根と関わることになるが、この時の感想は「クラスの余り者」。藤井と山根のことは下に見ていたが、友達がいないと思われるのが嫌だったためにその後も藤井と山根と3人組で行動するが、そのことで自分もサエない奴だと思われたくないと感じていた。たまたま藤井がいない時に成田と遭遇し、自分の状況を成田に話すが、藤井のことを対等に見ていない発言をしたことで成田からも「なんかウザいねキミ」と言われやんわり遠ざけられた。
その後も夏祭りの日に藤井と山根と行動していたが、内心面白くないと思っていた。そんな時に前のクラスの友人に遭遇し、仲間に入れてもらえることになったことから藤井達と別行動を取る。だが、この時仲間に入れてもらった理由はお金を持っていたから。その後も前のクラスの友人グループに属していたが、そこでは対等に接してもらえておらず、馴染めないままの様子が描かれている。

馬場アキラ(ばばアキラ)

中学時代の同級生。不登校気味だったが藤井との出会いを経て、また学校へ行くようになった。

藤井の中学時代の同級生。特に理由はないが登校拒否で1ヶ月以上学校に来ておらず、担任から頼まれた藤井が家に来るようになったことで友達になる。はじめは遠巻きにしていたが、同じ漫画が好きという共通点があり、自分が一番泣けるシーンで藤井が目を潤ませていたのを見て会話が弾み、漫画の続きを貸すことになる。その後は徐々にゲームも一緒にプレイするようになり、母親も藤井がくると喜んでいた。学校に行かない理由を「大した理由はない」としながらも、若くて美人な自分の母が水商売だということが同級生の間で噂されていたことに密かに傷ついていた。
藤井と関わるうちに、そろそろ学校に行こうかと思えるようになったが、そのタイミングで藤井が転校することを知る。引っ越しの際は見送りに来ており、2人が好きだった漫画「月下の剣士」の読み途中の続きを餞別として藤井に渡した。藤井の転校後は学校へ行くようになり、友人達とも仲良く過ごしていた。
なお、藤井が引っ越す際に見送りにきていた成田とは後に友人になり、高校の最寄り駅が同じだったことから時々会うと話す仲になっていた。成田の葬儀に藤井が来ていないことに気付き、山根や周囲と連絡を取り合い藤井に成田の訃報を伝え、成田の誕生日に一緒に墓参りへ行った。現在は結婚しており、妻と息子と3人で暮らしている。

青木(あおき)

藤井の中学時代の同級生。藤井への初恋がきっかけで少女漫画家になった。

藤井の中学時代の同級生。現在は少女漫画家「碧木緑(あおきみどり)」というペンネームで活動しており、自身の描いた「マシュマロデイズ」が大ヒット中。中学の頃から漫画を描いていたが、自分が描いた漫画ノートを紛失して探していた際に男子達が見つけて読み、笑われているのを見てしまう。そんな時に唯一、藤井だけが自分の漫画ノートの中をみて「すごい」と言い、ノートをそのまま引き取って自分に返してくれたことから気になる存在になる。自分を認めてくれているような藤井を見ているうちに恋愛感情が芽生え、恋愛漫画を読むようになり、自分でも描くようになる。バレンタインデーには名前を書かずに藤井のロッカーにチョコレートを入れておいたが、全く気付いてもらえず次の日も放置されていたため、藤井が気付くようにさりげなく声をかけた。自分が渡したことは黙っていたが、ホワイトデーにお返しをきちんと用意してくれ、その時に藤井からもらったお返しがマシュマロだった。なお、藤井がチョコレートの送り主を青木だと理解したのは母親からの助言によるもの。その後は卒業となり、告白などもなく自然に青木の恋は終わりを迎えたが、藤井との出会いがきっかけで売れっ子漫画家となった。藤井自身が知らないところで大きな影響を与えていた人物のひとり。

藤井の家族

藤井 敦史(ふじいあつし)

若い頃の父を見ると、藤井の輪郭や口元が父譲りだとよくわかる。

藤井の父親。目が細く物静かだが、その表情に優しさがにじみ出ている。藤井の輪郭は父親似。穏やかだが少し心配症で、口数が少ない息子がいつも1人でふらふらとどこかへ行ってしまったり、子供たちの輪から離れた場所でぼんやりとしていたりする様子を心配していた。だが、ある日公園で自分より小さい子供と一緒に四葉のクローバーを探し、後にその少年に自分が見つけた四葉を渡している姿を見て、息子は大丈夫だと確信する。藤井が大人になってからは体調を崩して入院しており、後に亡くなる。

藤井 優子(ふじいゆうこ)

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