東京怪童(望月ミネタロウ)のネタバレ解説・考察まとめ

『東京怪童』とは、望月ミネタロウが​​2009年から2010年に講談社が発行する男性向けコミック誌『モーニング』にて連載した漫画作品。​​講談社モーニングKC全3巻。本作から、作者・望月峯太郎はペンネームを望月ミネタロウに改名している。
脳に疾患を抱える少年少女たちが、互いに反発したり、交わったりしながら入院生活をおくる中で成長する物語。差別や偏見の対象となるマイノリティをテーマに、人間の精神世界の神秘や芸術的創造性にも焦点を当てている。

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『東京怪童』の用語

二本木関連

チャック・ノリス

チャック・ノリスは、アメリカの映画俳優。友人だったブルース・リーに招かれ『最後のブルース・リードラゴンへの道』で敵役を演じ有名になる。
代表作は映画『地獄のヒーロー』TVシリーズ『炎のテキサス・レンジャー』。
作中では、二本木がハシに小学生のように口喧嘩をけしかけた時に、ハシが二本木に対して「あんたそれでも25? ダサい口ヒゲ 家に帰って崇拝するチャック・ノリスの映画でも観てろ」と応戦した時に出てくる。

ハックスリー

作家オルダス・ハクスリーのことを指している。
機械文明の発達による繁栄を享受する一方で、個人主義や自由が抑圧された社会を描いたディストピア小説『すばらしい新世界』が代表作である。
作中では、失踪した玉木の消息を知ったハシが、嘘の外出届を出してでも会いに行こうとしてると思い込みくどくどと指図する二本木に対して、ハシがそんなに管理したいのかと文句を言う時に例えとしてハックスリーやオーウェルの世界じゃあるまいしと言う。

オーウェル

作家ジョージ・オーウェルは、全体主義国家の恐怖を描いたディストピア小説『1984年』や、ソビエト連邦を風刺した寓話『動物農場』が代表作。
行き過ぎた管理社会や全体主義的な状況を指す形容詞として、オーウェル的と使われる事がある。
作中では、ハシが口うるさい二本木に対して全体主義な考えを押し付けられていると感じ、オーウェルじゃあるまいしと口走る。

健忘症関連

フィールズ賞

カナダ人数学者のジョン・チャールズ・フィールズの提唱によって1936年に作られた、若い数学者の優れた業績を讃え、その後の研究を励ますための賞。
作中では、健忘症が自分の書いたメモの意味がわからないと、ハシに意味不明な文字や数字が綴られたメモを見てもらう。それを見たハシがフィールズ賞が獲れるような大発見だと思っているのかと文句を言う時に出てくる。

アスキーアート

文字や記号による視覚的表現技法のこと。文字の形を線とみなしそれを連結させたもので顔文字もアスキーアートのひとつ。
文字の違いを濃淡の差とするタイプのアスキーアートもある。

その他

アウェイク手術

開頭手術の方法の一つ。
全身麻酔で手術を開始し、腫瘍摘出の段階で患者を部分的に覚醒させ言語機能や運動機能などを確認しながら腫瘍を摘出する方法。重要な脳機能を温存しつつ、腫瘍をより安全に摘出することができる。

べラドンナ

玉木が失踪する時に医局から持ち出した植木鉢の花の名がベラドンナ。失踪後にショーパブ愛と神秘の美術館で働き始めた時の源氏名でもある。
ベラドンナは、ナス科の植物で花は釣鐘形。実は丸く1センチ程で初めは緑色で、熟すと真っ黒になり毒があるため食べれない。ブルーベリーと間違えて食べた人が死に至ってしまった事例がある。花言葉は、美しい見た目とは裏腹に毒草であり静かに作用する毒として恐れられたのが由来で、沈黙と、人を騙す人の魅力である。

『東京怪童』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ハシ「「嘘がつけないこと」と「正直であること」は違うらしい…」

2巻に登場したハシのセリフ。
記憶ができない健忘症は、自分自身のことを何の特徴もないつまらない人間なのかとハシにたずねる。
ハシは気にするなと言いながら、すぐに物事を忘れてしまう健忘症が羨ましいとも言う。そして、自分の思ったことを何でも口にしてしまう自身の症状が辛いハシは、「「嘘がつけないこと」と「正直であること」は違うらしい…」と悲しげに言う。

玉木健一郎「降るような星を見ると 人間の脳細胞の数は今見ている無数の星より多いという事を思う 捉えどころのないような世界 ああ でもこの曖昧な世界に きっとそれさえも全て包容するような美しい世界があるんじゃないか」

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@nancyrose7

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