
『東京怪童』とは、望月ミネタロウが2009年から2010年に講談社が発行する男性向けコミック誌『モーニング』にて連載した漫画作品。講談社モーニングKC全3巻。本作から、作者・望月峯太郎はペンネームを望月ミネタロウに改名している。
脳に疾患を抱える少年少女たちが、互いに反発したり、交わったりしながら入院生活をおくる中で成長する物語。差別や偏見の対象となるマイノリティをテーマに、人間の精神世界の神秘や芸術的創造性にも焦点を当てている。
ミネタロウへの改名に深い意味はない
2009年1月8日発売のモーニングNo.6(講談社)にて、『東京怪童』を連載中の望月峯太郎が望月ミネタロウの名義でクレジットされていた。
Chapter1が終わり次回からChapter2に入ろうとした時の突然の変更。誤植も疑われたが表紙、連載扉、巻末目次もカタカナの表記になっていた。この改名について誌面では一切触れられておらず謎となっていた。
2023年に河出書房新社より発刊された、文藝別冊KAWADEムック『総特集望月ミネタロウ 創造と破壊と確信と。』の中の2万5000字ロングインタビューにて、『東京怪童』連載中に名前の表記をカタカナに変更したことについて、想像以上に反響があって驚いたがそんなに深い意味はなく気分転換だったと語った。別のジャンルのことをする時に名前を変えるアーテストの感覚なので、また漢字に戻すかもしれないとも語っている。
望月ミネタロウが『東京怪童』で伝えたかったのは痛気持ちいい人生
望月ミネタロウは、脳の不思議な現象を分かりやすく分析し解説した脳神経学の啓蒙書『脳のなかの幽霊』(V・S・ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー著)を読み脳の面白さを感じるとともに、その頃よく見ていたアウトサイダーアートに共感し、社会的に弾かれた人を自分なりに描きたいと思っていた。
何が正常で何が異常なのか、どこからが疾患でどこまでが個性なのか、色々な価値観や概念があやふやになってくるようにあえて描いたのだという。そして、それがキャラクターが見ている世界なのか、読み手が見ている世界なのか、曖昧になってほしいと願っていたが、想像以上に読者を迷わせてしまったと反省している。
キャラクターが抱える多くの問題を描くことで、この痛気持ちいい感覚こそが人生なのだと『東京怪童』を通して伝えたかったのだそうだ。
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目次 - Contents
- 『東京怪童』の概要
- 『東京怪童』のあらすじ・ストーリー
- クリスチャニア医院の子どもたち
- 玉木の失踪とハシの決意
- ハシのマンガ
- 『東京怪童』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ハシ
- 山田花(ヤマダハナ)
- シュチュワート英雄(しゅちゅわーとひでお)
- マリ
- 健忘症(けんぼうしょう)
- 玉木健一郎(たまきけんいちろう)
- クリスチャニア医院のスタッフ
- 院長(いんちょう)
- 毛帽子(けぼうし)
- 婦長(ふちょう)
- 二本木(にほんぎ)
- その他の登場人物
- 玉木の妻
- ハシの母
- ハシの元カノ
- ショーパブ愛と神秘の美術館の従業員
- ショーパブ愛と神秘の美術館のバンドマン
- ハシのマンガ『TOKYOKAIDO』の登場人物
- ハシ
- 霊媒師の少女
- ハシのマンガ『超スピードで空を飛ぶペンギンとニワトリ』の登場人物
- スカイウォーカー
- ブラウドウッド
- 『東京怪童』の用語
- 二本木関連
- チャック・ノリス
- ハックスリー
- オーウェル
- 健忘症関連
- フィールズ賞
- アスキーアート
- その他
- アウェイク手術
- べラドンナ
- 『東京怪童』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ハシ「「嘘がつけないこと」と「正直であること」は違うらしい…」
- 玉木健一郎「降るような星を見ると 人間の脳細胞の数は今見ている無数の星より多いという事を思う 捉えどころのないような世界 ああ でもこの曖昧な世界に きっとそれさえも全て包容するような美しい世界があるんじゃないか」
- 山田花「だって彼 不安でしょ はぐれたら」
- ハシ「あんたの 性癖も愛したい…」
- 山田花「人って「自分を認めてくれる人がいるか」で違うと思う…」
- シュチュワート英雄「それまで ずっと いっつも いっつも あそびにくるよ ひとりぼっちになんてぜったいさせないから」
- 『東京怪童』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作中に登場するゴッホの作品
- 『星月夜』(ほしづきよ)
- 『糸杉』(いとすぎ)
- 『黒い鳥のいる麦畑』(くろいとりのいるむぎばたけ)
- ミネタロウへの改名に深い意味はない
- 望月ミネタロウが『東京怪童』で伝えたかったのは痛気持ちいい人生