夜のクラゲは泳げない(ヨルクラ)のネタバレ解説・考察まとめ

『夜のクラゲは泳げない』とは2024年に放送された動画工房が制作したオリジナルアニメである。通称「ヨルクラ」。渋谷を舞台に4人の女子高校生がそれぞれの特技を活かしながら、匿名アーティスト「JELEE(ジェリー)」としてSNSフォロワー10万人を増やすために活動する。楽曲の制作を通して友情やそれぞれの夢、進路と向き合う青春群像劇。藤居にこによるコミカライズ化もされ、漫画アプリ『マガジンポケット』で連載した他、脚本を担当した屋久ユウキによる小説もガガガ文庫(小学館)より全3巻が発売されている。

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出典: img.anitubu.com

第1話で初対面のまひるに花音が話した言葉。アイドルとして活動していたが炎上して脱退した花音だが、歌うことは諦めずに個人で匿名アーティスト「JELEE」と名乗り、Ytubeに歌唱動画をアップしていた。再生回数はあまり振るわないが、それでも歌を続けている。「私はさ、私をバカにした人もみーんな、歌で見返すんだ。それが私って分からないまんま私を嫌った人もみーんな…感動させて、この歌に救われたって泣かせてやりたいの。」と歌う理由を説明する。続けて「私は何があっても自分を貫くって決めたんだ。それが私なりの仕返し」と堂々と話した。自分を何者でもないと思っているまひるにとってはこの時の花音がとても眩しく映っており、花音といたら輝けるかもしれない、と思わせた言葉でもある。
第1話では炎上事件を経て、自分のアンチになった人や自分のことを見放した母のことも見返したいと思っている様子が見られたが最終回では少しニュアンスが変化している。だが第1話と比べると「みんなが前を向く理由になりたい」「みんなの毎日をキラキラ輝かせたいんだ」とポジティブなニュアンスになっている。だが花音の歌う理由は「何があっても自分を貫く」と話していた通り、「人を感動させたい」ということで終始一貫していることがわかる。

光月まひる「JELEEのための絵を邪魔だなんて思いたくない 自分の絵を好きだって思いたい」

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JELEEが徐々に人気になりつつある中、人気絵師がSNSにアップしたファンアートに絶賛が集まる。だが、それと同時にまひるのイラストには中傷とまではいかずとも、あまり上手ではないという趣旨のコメントも入ってくるようになった。まひる以外の3人は人気絵師が自分達の存在を知っていることに大喜びだが、自分の絵に自信が持てていないまひるはメンバー達のそんな様子に内心傷ついていた。
自分の絵の評価が高くないことに悩んでいたことは周囲に隠していたまひるだが、花音はそんなまひるの様子に気付いて気にかけていた。人気絵師に対して「私よりうまい人が描かないでよ、邪魔だよ」と思っていたことは流石に吐き出すことはできなかったまひるだが「JELEEのための絵を邪魔だなんて思いたくない 自分の絵を好きだって思いたい」と自分のイラストへ否定的なコメントへの悔しさを糧にすることにし、で指摘された部分を徹底的に練習することにした。過去のトラウマから自分が海月ヨルだということも隠し「好きなものがない」と言い続けてきたまひるが心の底にずっと秘めていた「自分の絵を好きだと思いたい」という気持ちにやっと素直になれた瞬間でもある。
この出来事がきっかけになり、まひるは自分の絵を好きになるためにデッサン教室にも通い始め、本格的に絵の道を志す決意を固めた。

高梨・キム・アヌーク・めい「誰かを好きであることがおかしいなんて…絶対にありません!」

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アイドルの母を推す

母が地下アイドルをしているという理由で、同級生の男子達からからかわれることがある亜璃恵瑠。自分の母のことが大好きな自分は変なのかと悩む亜璃恵瑠に対し、推しへのブレない愛を持ち続けるめいは自信たっぷりに「誰かを好きであることがおかしいなんて…絶対にありません!」と励ます。
この言葉に背中を押された亜璃恵瑠は、これまで人前では着ないでいた母の手作りの服を着て初詣にでかけた。結局同級生からはからかわれてしまうが、ライブを抜け出して自分のために駆けつけてくれた母のことをますます大好きになり、胸を張って推し活を続けることを決めた。以後、めいも一緒にみー子のライブに参戦している。

渡瀬キウイ「画面越しでも人は繋がれる。少なくとも私はそうやってきた」

暴力事件を危惧するライブハウスのスタッフに無観客ライブを提案するキウイ(左)

ハロウィンにJELEEを結成して1年が経とうとしているタイミングで、仮装ライブを開催しようと計画していた4人。着々と準備を進めていたが、JELEEの正体は橘ののかであるというネットニュースが広まり、花音の元には批判的な声が集まる。ついにはライブを開催するつもりだったライブハウスにも中止を求める声が届き、スタッフからもライブ開催を断られてしまう。
そんな中、キウイは無観客ライブを提案する。ファンと直接繋がれる機会に強くこだわる花音は不安気にするがキウイは「画面越しでも人は繋がれる。少なくとも私はそうやってきた。だからここは、私を信じてくれないか」とハッキリと訴えた。暴力事件を防げることを加味したこともあり、キウイのこの言葉でスタッフを説得することができた。
結果、ライブハウスでは「無観客・生配信」という形での「仮装ライブ」ならぬ「仮想ライブ」が実現した。JELEEへの批判が相次ぐ中でも、純粋に応援するファン達はライブを盛り上げるためにクラゲのイラストを描いてハッシュタグを付けてSNSに発信。ライブ中にはファン達のイラストが壁に写し出され、アンチコメントを遥かに超えるコメントやいいねの数が付き、減っていたフォロワー数も戻ってきた。なお、このイラストを映し出すという案もキウイが合宿先のホテルのライトから着想を得たものであり、幻想的な空間でのライブは大成功を収めた。

自分の絵を肯定してくれた花音との出会い

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まひる(右)が描いた壁画を「好きな絵」と言ってくれたのは通りすがりの花音(左)だった

子供の頃は絵を描くことが大好きで、自分の描いたクラゲの絵が渋谷の高架下の壁画に使われたこともあるまひる。かつては「海月ヨル」という名前でSNSにもイラストをアップしていたほど絵を描くことが大好きだったが、完成した壁画を見た同級生からは、自分の絵だと明かす前に「変な絵」「ラクガキ?」と笑われてしまった。
そんな経験から、絵を描くことも絵を好きだという気持ちにも封印してしまい、徐々に高校生になったまひるは「好きなものがない何者でもない自分」にどこか劣等感のようなものも感じていた。
ハロウィンの買い出し帰りに自分の壁画の前でライブをしている地下アイドルを見つける。自分の描いた絵の上からポスターが張られている様に対して文句を言ってやりたい気持ちが芽生えるが、周囲を気にして自分の想いを言えない。
だが、隣から「私の好きな絵を汚してんじゃねえ!」とライブ中に茶々を入れる少女が現れた。そのままその場を去った彼女を追うまひるは、途中で花音に追いかけていることがバレてストーカーと間違われてしまうが、勇気を出して自分が壁画の作者だということを明かす。海月ヨル名義のアカウントも見せ、本人だと証明しようとすると、花音は目を輝かせて「大ファンです!」とそれまでの警戒心を解いて笑顔になった。
匿名アーティストJELEEとして自分の歌をたくさんの人に届けたいという花音は、自分の大好きな「海月ヨル」の絵を自分の動画に使いたいと依頼する。一度は断ったまひるだったが、自分の絵を認めてくれる存在に出会えたことは大きく、花音と再会したハロウィンの日に、花音の依頼を受けて一緒にJELEEとして活躍することを決めた。

JELEE初めてのライブ

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背景にはファン達が描いたクラゲのイラストが並べられている。

JELEEの結成1周年を記念して、ファン達と直接繋がれる機会を作りたいという花音は、JELEEの結成がハロウィンの日だったことと自分達が顔出しをしない匿名アーティストであることをかけて「仮装ライブ」を企画する。
初めてのライブに向けて泊まりの合宿をし、ライブハウスの設営も順調に進んでいたが、JELEEの正体がかつてサンフラワードールズで炎上事件を起こした橘ののかであるというネットニュースが広まってしまう。
実際同一人物ではあるが、ネット上では「JELEEのコピーバンド」として急遽出演したライブ時の写真と橘ののか時代の衣装写真でホクロの位置を比べた特定画像も出回り、JELEEのアカウントの元にも批判的なコメントが殺到してしまった。事件を機にフォロワーも減り、ついには暴力事件の発生を不安視したライブハウス側からも中止を求められてしまう事態になった。
だが、キウイが無観客ライブを提案したことで仮装ライブならぬ「仮想ライブ」が実現。生配信されたライブではファン達がライブのために描いたクラゲのイラストがリアルタイムで届き、それまで流れてきていたアンチコメントはファン達のコメントに埋もれていった。無事に仮想ライブを終えた4人は心地よい疲労感と共に楽屋に倒れ込むのだった。

解散に納得していない「木村ちゃん」の歌

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JELEE初のライブを終え、年末に大作を出そうという約束をしていた花音とまひるだったが、ライブの配信を見た花音の母・雪音からまひるへ仕事のオファーが入る。そのオファーは、かつて花音が橘ののかとして在籍しており、炎上事件で脱退することになったサンフラワードールズに関係するもの。更には年末のバーチャルライブで発表されるMV用のイラストを描くというものだった。
話を聞いて反対していた花音だったが、自分を試すまたとないチャンスととらえたまひるは雪音からの依頼を受ける決意をする。だが、この仕事をまひるが受けることは、約束していた年末の大作発表には間に合わないことも意味していた。
裏切られた気持ちや母との確執を抱えていた花音は、まひるに対して感情的になってしまい、花音を泣かせてしまう。これまでの複雑な想いに加えて大切な親友を傷つけてしまったことで、花音は自分が何のために歌っていたのかわからなくなってしまい、自室に閉じこもってしまう。花音が歌えなくなってしまったことで、JELEEには解散危機が訪れる。冷静に現状を受け入れようとするキウイと納得していないめいの2人は、動画でコラボしていた静江の自宅で解散を発表する配信を行う。年末に発表する曲も、タイトルが決まらないままファンに届けることになってしまった。だが曲が始まるなり、めいは花音への想いを涙ながらに伝えながら、ほとんど叫ぶような状態で新曲を歌い始めた。あまりの音痴ぶりに「放送事故」というコメントも見られたが、静江に促されたキウイは静江にめいを託し、花音の自宅へ大急ぎで向かった。
キウイが花音に配信を聞かせ、めいの想いを汲み取った花音も涙をこぼす。キウイはめいとファンにもそれを伝えるため、配信にスパチャを送り「歌、ちゃんと届いたぞ!」とメッセージを送った。歌うことはまだ不安としながらも、もう一度歌うことを決意することがで、解散を免れることができた。
多くの感動を集めたこの配信は300万回以上再生され、雪音のもとで仕事をしていたまひるはこの動画を見せてJELEEも年末のバーチャルライブに出してもらうよう直談判し、年末のバーチャルライブでのコラボレーションが実現することになった。

渋谷が大きな水族館になったバーチャルライブ

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渋谷が大きな水族館になった夜。JELEEファン達によって花音が見たかった青い傘とサイリウムの景色が実現した。

最終回で実現したサンフラワードールズとJELEEのコラボレーションバーチャルライブ。渋谷で開催され、司会はフォロワー120万人のインフルエンサー「ゆこち」が務める。花音がJELEEとして初めてファンの前で歌えるステージでもあったが、一度歌えなくなってしまった花音はいつになく緊張していた。サンフラワードールズとのコラボということは、橘ののか炎上事件を知る人や自分が失望させてしまったファン、事件以降自分を嫌いになったファンも少なからずいる。その事実が花音をより不安にさせていた。
サンフラワードールズはいつも通りのパフォーマンスでファン達を魅了。盛り上がる中で花音の出番が訪れるが、ファン達の姿が見えてくると花音は硬直してしまう。ファンの歓声が誹謗中傷に聞こえてくるような感覚に陥り、歌が始まっても声が出ない。ここで声をかけたのは意外にも確執があったメロ。この声で我に返り、顔を上げた花音の目の前に見えたのはまひるが描いた大きな海の生き物たちのイラストのプロジェクションマッピングだった。
まひるとの「渋谷に大きな水族館を作る」という約束が果たされ、花音は再び歌い始めた。声が聞こえてきたことでファン達も喜び、曲のサビ部分では客席は青いサイリウムと青い傘で埋め尽くされる。8話で叶わなかった「仮想の水槽」がここで実現。幻想的な空間の中でライブは無事幕を下ろし、ライブの後久しぶりに再会した花音とまひるもようやく仲直りできた。

『夜のクラゲは泳げない』(ヨルクラ)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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