
『FALL/フォール』とは2022年に公開されたアメリカのサバイバル・スリラー映画である。監督を務めるのはスコット・マン。本作は彼が監督を務める5作目の映画にあたる。地上600メートルの超高層テレビ塔の頂上に取り残されたベッキーとハンター。辺りに人の気配は無く、電波も繋がらない。絶望的な状況から彼女たちは無事に生還することができるのか。老朽化した塔から降りる手段を失った2人のサバイバルが描かれている。
テレビ塔
電波塔の中で、特にテレビの電波を送信する電波塔。テレビ塔の高さは高いほど電波を遠くに届けられる為、より多くの地域に電波が届けられる利点がある。634mの東京スカイツリーの場合は関東全域に電波が届けられている。
ハゲタカ
主に腐肉を食べるコンドル類やハゲワシ類を指す俗称。その為、特定の鳥を表す名称ではない。弱った対象を獲物にする習性から、そのように窮困している人を食い物にする人物や組織を指す表現としても使われている。
『FALL/フォール』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
ダン「アルファベットの数で1、4、3。」
ベッキーがダンに言葉での愛を確認したかった時、ダンから返ってきた返事は「愛してる。」ではなく「アルファベットの数で、1、4、3。」というものであった。ベッキーはすぐに数字がアルファベットの数を表し「I love you」であることに気付く。しかしこのダンの発言は、ハンターとの関係ができていたことを示唆していた。ハンターの足に「1、4、3」のタトゥーが彫られていたのである。ハンターとダンの友人以上の関係が、このこと以外からも色々な場面で窺える。
ハンター「休むのは死んだとき。」

出典: otocoto.jp
ダンの死から立ち直れず塞ぎ込んでいたベッキーの元を、ハンターは旅を切り上げて訪れた。ベッキーとジェームズが喧嘩をした後のことである。その際、ベッキーは何故ハンターが帰ってきたのかを尋ねた。ベッキーはハンターが休みを必要としていたのだと考える。しかしハンターの返事は「休むのは死んだとき。」というベッキーの予想とは異なるものであった。ベッキーはダンを失ってから1年もの間、精神的に塞ぎ込んでいたとはいえ立ち直る為の休息の時間をとっている。一方のハンターもダンを愛しており悲しみに暮れていただろうが配信活動を中断するわけにはいかず、彼女にはやるべきことがあった。肉体や精神的な休息は動き続ける為にも必要なものではあるが、ハンターのような考えややるべきことを持っていると、その人の生き方は変わってくるのだろう。
ベッキー「人生ははかない。人生はあまりにも短い。だから一瞬一瞬を大切に。人生を噛みしめて生きるべきだ。その姿勢が人生の尊さを伝えることになるから。」
若くして夫と親友を失ったベッキー。人が命を失う時は一瞬である。最後には1人残され自分も死ぬかもしれないという恐怖に襲われながらも、それに勝ち無事に生還したベッキー。彼女は喧嘩別れしていたジェームズとの再会後に独白する。「人生ははかない。人生はあまりにも短い。だから一瞬一瞬を大切に。人生を噛みしめて生きるべきだ。その姿勢が人生の尊さを伝えることになるから。」と。忙しなく過ぎる日々の中をどれだけ大切に生きれているのか、自分に問いかけたくなるセリフである。
『FALL/フォール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワーをモデルに作られたB67テレビ塔
映画に登場する高さ600メートルのB67テレビ塔は実在するものではないが、1986年に建設されたカリフォルニア州にある高さ625メートルの支線式鉄塔サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワーをモデルにして作られた。カリフォルニアでもっとも高い建造物であり、アメリカでは4番目に高い建築物とされている。また東京スカイツリーが高さ634メートルの為、それに近いものといえる。
山頂にセットを用意しリアリティの追求に拘って行われたセット撮影
リアルな映像を追求する為、自然の環境を活かした山の上で20メートルの高さのセットとクローズアップ用の1.5メートルのセットを組み立てるセット撮影が行われた。CGや撮影方法も効果的に使われている。CGは遠景や天気などを描写する際に駆使され、撮影では上空からの俯瞰にしたり、クレーンを使用することで、鑑賞者の抱くスリルを増幅させている。また撮影が自然の中で行われた為、雷や豪雨による悪天候や、イナゴ、蜜蜂の発生もあったという『FALL/フォール』の撮影現場であった。
代役の無いキャスト本人によるアクション
本作はリアリティの追求に拘って作られている。代わりのスタンドマンが落下シーンを担当することはなく、キャスト本人がアクションシーンでも演技をしていた。その為、主演のグレイスとヴァージニアは特別なトレーニングを受けて撮影に臨んだ。その内容は高所恐怖症を克服するメンタルトレーニングなどが含まれていた。
『FALL/フォール』の主題歌・挿入歌
主題歌:Madison Beer「I Have Never Felt More Alive'」
ユダヤ人とアシュケナジムの血を引くマディソン・ビアーが歌う楽曲。妖艶な声と共に女性の内に秘めた強さが歌われている。愛するダンを亡くしたベッキーとハンターをバックに歌われるこの動画から、2人のどちらかに焦点を当てて聴くと異なる解釈が生まれていく。
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目次 - Contents
- 『FALL/フォール』の概要
- 『FALL/フォール』のあらすじ・ストーリー
- ベッキーを元気づけるため高さ600メートルのクライミング計画を思いついたハンター
- 頂上に取り残された状況で明らかになったハンターとダンの関係
- ハンターが死亡し1人取り残されたベッキーのとった最後の手段
- 『FALL/フォール』の登場人物・キャラクター
- ベッキー(演:グレイス・キャロライン・カリー)
- ハンター(演:ヴァージニア・ガードナー)
- ダン(演:メイソン・グッディング)
- ジェームズ(演:ジェフリー・ディーン・モーガン)
- 『FALL/フォール』の用語
- フリークライミング
- テレビ塔
- ハゲタカ
- 『FALL/フォール』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ダン「アルファベットの数で1、4、3。」
- ハンター「休むのは死んだとき。」
- ベッキー「人生ははかない。人生はあまりにも短い。だから一瞬一瞬を大切に。人生を噛みしめて生きるべきだ。その姿勢が人生の尊さを伝えることになるから。」
- 『FALL/フォール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワーをモデルに作られたB67テレビ塔
- 山頂にセットを用意しリアリティの追求に拘って行われたセット撮影
- 代役の無いキャスト本人によるアクション
- 『FALL/フォール』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:Madison Beer「I Have Never Felt More Alive'」