終始、高所と展開にハラハラドキドキする
主人公ベッキーの夫ダンが、フリークライミング中に落下し、ベッキーの目の前で亡くなってしまう。その事故が原因でベッキーは憔悴してしまうが、親友のハンターに半ば無理やり連れられる形で、今は使われていない地上600メートルのテレビ塔の頂上まで登らされる。
設定には無理があるかもしれないが、ストーリーがさくさく進むので観ていて違和感を感じなかった。
いざテレビ塔を登るときに2人は塔を見上げるのだが、高所恐怖症の人だったら、「これ登るの…」と絶望感を感じるかもしれない。
ベッキーとハンターが塔を登りだすと、老朽化がすすんでいる鉄塔はきしんだ音をたてる。きぃ…きぃ…と不穏な音は、登り進んでいく2人が無事にてっぺんにたどり着けるのか、観る者を不安にさせる。さらに鉄塔の連結部分のクギが、2人が登り進めるときの揺れではずれてしまうのだ。
そんな不安をかきたてられるところに、ベッキーとハンターはエッフェル塔の高さくらいまで登っていく。見下ろせば随分と建物などが小さく見えて、こちらの足元もすくむような気分になる。2人はさらにこの脆い鉄塔を登っていき、ついにてっぺんまでたどり着くのだが、その映像が高所すぎてゾクゾクしてしまう。
ベッキーとハンターはそこでダンとの決別をし、帰ろうとするのだが、なんと鉄塔のはしごが壊れて帰れなくなってしまう。2人はそこで救出を待つのだが、ドローンを飛ばすも充電がなくなったり、非常用の簡易花火を打ち上げるも無視されたりと非情な事態が2人を襲う。
終始シンプルなストーリーながらも、だからこそ地上600メートルから取り残された恐怖がリアルに迫ってきて、あっという間に終わってしまった作品だった。