木島日記(漫画・小説)のネタバレ解説・考察まとめ

『木島日記』とは大塚英志原作、森美夏画による漫画及び大塚による小説である。漫画は1998年5月号から2003年まで連載され、単行本は4巻まで刊行された。漫画では未完であったが、2017年に小説『もどき開口 木島日記完結編』が刊行され、小説の形で物語は完結した。同原作者及び漫画家による三部作の第二部にあたり、第一部として『北神伝綺』、第三部として『八雲百怪』がある。仮面の男の書店店主・木島平八郎が主人公のオカルト伝奇ミステリーで、昭和初頭の複雑怪奇な世相がその魅力である。

実在する同名の民俗学者をモデルにした、物語の語り部的存在。國學院大學教授。顔の鼻筋に青痣がある。同性愛者で、女性に嫌悪感を抱いている。自分の母は産みの親ではなく、どこかに本当の母親がいるという妄想に憑かれている。折口を語り部に選んだ理由として著者の大塚は、本作をバディものの探偵小説と捉えると探偵小説のファンであった折口が適任だと考えたとしている。

美蘭(メイファン)

満州のサーカスで発見された少女。シャーマンの家系に生まれ、実験材料としてアーヴィング博士によって日本に連れてこられた。日本で陸軍中尉の一ツ橋と偽装結婚するが、一ツ橋が建国大学に赴任することになったため、折口の家に居候することとなった。他人の心理に感応し易いあまり、自分の存在価値を他人の中にしか見出すことができない。当初、木島と誤り折口の元へ届けられたが、折口を「おとうさま」と慕うようになる。折口が心を開くことのできる数少ない女性の一人である。口癖は「あなたのお役に立ちます」。

瀬条機関(せじょうきかん)

土玉(どたま)

瀬条機関の研究員。「どたま」の通称で呼ばれているが、本名は土玉理(つちたま さとし)。木島が瀬条機関にいた時代の同僚で、その関係は現在も続いている。木島と組織のパイプ役をし、時には仕分けの現場に共に出向くこともある。性格が悪く、死体を見ても全く動じないどころネクロフィリアの素質もあり、不味い握り飯を頬張っていても死体を見れば唾が出てくるほど。著者の大塚は描いていく中で物語の中を生きる彼への愛着が強くなり、作品がコメディ化しかけるきっかけになったとしている。

根津(ねづ)

木島の助手の青年。殺人鬼であり、食人鬼である。食人の風習がある村で保護された子どもであり、瀬条機関に保護管理のもと瀬条教授の「人類三大タブー」の研究対象となった。普段は機関の命により木島の目付け役と八坂堂の留守番をしているが、常に刀を持ち歩いておりボディーガードとしての側面もある。

瀬条 景鏡(せじょうかげあきら)

東京帝国大学教授。瞳の色が黒とは異なり、露の混血だと噂されている。信条は「人倫よりも知的好奇心を優先する」こと。自身を天才と称す。下の名前は漫画版では登場せず小説版にて登場する。

陸軍

一ツ橋 光治(ひとつばしみつはる)

陸軍中尉。美蘭と結婚し、夫となった。ただし、瀬条機関による偽装結婚である。「陸軍一の世渡り上手」と称されており、陸軍の様々な派閥にコネクションを持っている。石原莞爾(いしはらかんじ)にも可愛がられており、石原からの軍部への伝達役を担うこともある。下の名前は漫画版では登場せず小説版にて登場する。

清水 義秋(しみずよしあき)

陸軍少尉で二・二六事件の生き残りである。事件後に処刑される事となっており、本人もそれを望んでいたのだが、同僚の一ツ橋の勝手な尽力で不本意ながら生き続けることとなった。代償として、軍の汚れ仕事である瀬条機関とのパイプ役をやらされている。下の名前は漫画版では登場せず小説版にて登場する。

安江 仙弘(やすえのりひろ)

陸軍の大佐でユダヤ問題の専門家である。ユダヤ人を満洲国に迎え入れ、満州にユダヤの資本を投下させるという「河豚計画」を進めていた。目的のためなら手段を選ばない性格で、信仰物理学者の日下四郎博士を騙し、彼の発明した人間転送装置を大量の兵隊を戦火へ送るための軍事兵器として使用しようとしていた。原作者の大塚は物語の中での安江の存在をトリックスターと称していた。

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