私たちはどうかしている(わたどう)のネタバレ解説・考察まとめ

『私たちはどうかしている』とは2016年から2021年まで『BE・LOVE』にて連載された、安藤なつみによる作品。累計発行部数は500万部を突破しており、2020年に日本テレビでドラマ化もされている。本作は金沢を舞台に、400年間代々受け継がれる老舗和菓子屋で起きた殺人事件をきっかけに動き出す。殺人事件により、運命を狂わされた七桜と椿。その2人を取り巻く人間の愛憎劇と殺人事件の謎がやがてひとつに繋がった時、真実は予想もつかない展開へと繰り広げられていく。

嘘をついてはならない掛け軸の前で、椿は七桜に「たぶん俺はあんたに惹かれてる 自分の我を通すための結婚相手としてじゃなく 一人の女として」と、素直な気持ちをぶつける。はじまりは愛の無い椿の打算に満ちたプロポーズだったが、椿の気持ちがいつしか本当の愛情に変化したことを示唆するシーン。

椿「やりたいなら 信じて叶えればいい」

光月庵で依頼を受けた音羽百貨店の七夕イベントを七桜と椿が下見に来た際、そこのイベントとして2人は短冊に願いを書く事になる。前に「小さくても夫婦二人でお店をやりたい」と七桜が言ったことに椿は「くだらない」と言われ、七桜は傷ついていた。しかし椿は「やりたいなら 信じて叶えればいい」と言い、そうして「美味しいと思ったら どんなあんこも焚き上げる 俺や大旦那にも向かっていける 俺の助けや許しなんていらないだろ いっしょじゃなくたって自分の力でやりとげる そういう女だ 俺が惚れる女は」と告げた。七桜は欲しかった言葉を椿から貰って動揺してしまい、好きになってはいけない人だが、本心では椿に惹かれているとはじめて七桜が自覚したシーン。

夕子「私がもしほんとうの母親だったら 絶対そう言うよ 幸せにおなり」

七桜が妊娠に気づいた後、七桜はそのことを伏せたまま日々を過ごしていた。七桜と椿が結婚するにあたり、椿が礼儀として七桜の母親役の夕子に挨拶をしたいと言い、2人は夕子のお店に行く事になった。椿は挨拶を済ませて先に帰り、七桜と夕子はお店で2人きりに。その時七桜がつわりで具合が悪くなり、夕子も七桜が妊娠している事に気づく。七桜は夕子に「椿には言わないでください」とお願いし、涙をこぼす。七桜は本当の母、百合子が椿と結ばれる事を望んでおらず、この妊娠を祝ってくれないと感じていたのだ。しかしそれを見た夕子は「その人は あんたのこと大事に思っているんだよね」と言い、弱々しく「はい…」と返事をする七桜に「だったら絶対あんたの幸せを望んでいるよ」と七桜に力強く言う。さらに「私がもしほんとうの母親だったら 絶対そう言うよ 幸せにおなり」と七桜を励まし、その姿はもはや本当の母親のようにさえ感じさせる。夕子の優しさと母性がにじみ出ている、心が温まるシーン。

大旦那「おまえの作った つばき餅…魂を…ふるわされた… 本当に うまかった…」

七桜と、光月庵の次期当主をかけたお菓子対決で負けた椿。その後、倒れた大旦那は病床で椿だけを呼び「おまえの作った つばき餅…魂を…ふるわされた… 本当に うまかった…」と伝える。長らく2人の確執により椿は大旦那にお菓子を食べてもらえなかったが、その大旦那が最後の最後に椿のお菓子をうまかったと評価する。しかし椿が作ったお菓子は光月庵に代々伝わるもので、呪いのように縛り付けられていた味でもあった。大旦那は「わしだけに…向けられたお菓子を…選ぶわけにはいかなかった…」と言い「これからは もっと…自由に… なんにも…しばられず…好きに…お菓子を作れ…」と伝えて息を引き取った。この瞬間、椿は光月庵という呪縛から解放され、物語はひとつの区切りを見せるシーンとなった。

七桜「私が椿を絶対幸せにするから」

樹の死の真相が明らかになり、七桜と椿はようやく真実にたどり着けた。その後椿は光月庵を去り、新しい場所でお菓子を作ると七桜に告げる。だが七桜は椿の元に現れ「ねぇ椿 私と結婚しない?」と、逆プロポーズする。七桜は偽りの夫婦をしていた時、椿の優しさに心が揺れ、愛してはいけないと思いつつこのまま傍に居たいと思っていた胸の内を伝える。一緒にいればどうしても事件を思い出し、椿を傷つけると言う七桜に椿は、傷つけてしまうのは自分の方だと言い、許してくれとは言えないと苦しい想いを吐露した。しかし七桜は「一緒に人生の喜びを分かち合いたいと思える人がいるって 当たり前のことじゃない 初めて会った日から 私は 椿のことが好きなの 悲しみも喜びも 椿のすべてを 私にください」と、そして「私が椿を絶対に幸せにするから」と伝える。椿も「俺のすべてをかけておまえを幸せにする ずっとそばにいてくれ」と答え、ようやく2人が本当の想いを伝え合い、幸せに向かっていくことを示唆するシーン。

『私たちはどうかしている』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

七桜のセリフから着想を得たタイトル

原作者の安藤なつみは『私たちはどうかしている』のネームは描きためてはいたが、タイトルはずっと後まわしにしていた。3話目に椿のプロポーズを受けた七桜が「どうかしている」と呟いたときに、これをタイトルにしたら良いと閃き、そのままこれが作品名となった。

七桜の名前の初期案は七愛

七桜の名前の初期案は、七愛(ななえ)だったそうだ。しかし椿の名前と共通点を作るために、名前に桜を入れたんだそう。ちなみに椿は最初から椿の名前で確定していた。

作者が語る没エピソード

光月庵が火事になった後、椿は栞に負わせた傷の責任を感じて栞と結婚するという流れを考えていたそうなのだが、編集者に「椿はずっと七桜に一途であって欲しい」と言われ、このエピソードは没案になったそうだ。

京都弁を避けるため舞台地となった金沢

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