私たちはどうかしている(わたどう)のネタバレ解説・考察まとめ

『わたしたちはどうかしている』は2016年から2021年まで『BE・LOVE』にて連載された、安藤なつみによる作品。累計発行部数は500万部を突破しており、2020年に日本テレビでドラマ化もされている。本作は金沢を舞台に、400年間代々受け継がれる老舗和菓子屋で起きた殺人事件をきっかけに動き出す。殺人事件により、運命を狂わされた七桜と椿。その2人を取り巻く人間の愛憎劇と殺人事件の謎がやがてひとつに繋がった時、真実は予想もつかない展開へと繰り広げられていく。

不妄語戒(ふもうごかい)

茶室にかけられた掛け軸に書かれた言葉。「不妄語戒」とは、うそを言ってはならないという仏語。この掛け軸を前に、椿は七桜に「あんたに惹かれている」と言い、そのうえで椿は「七桜はさくらなのか?」と訊ね、七桜の正体について真実を聞き出そうとしていた。

しまや

城島の両親が能登で営んでいた和菓子屋。経営はぎりぎりだったが、百貨店で和菓子を出す催事に声をかけられ、これを再起にと参加した。だが、人気商品のわらび餅を光月庵の女将によってだめにされてしまい、催事では結果を残すことができなかった。その後城島の父は倒れて亡くなり、母も病院で入院生活を送り、しまやは潰れた。

花がすみ

七桜が多喜川に頼み、多喜川の資産を投じて開店させたお店。光月庵の近くで開店させており、こじんまりとしている。

武六会(ぶろくかい)

武六会とは数ある名店の中でも、名を連ねる事が出来るのは6店舗のみであり、追加の加入は一切認められない特別なお店の事である。由緒あるお店である事は勿論、加賀の文化や伝統を守り、その発展と繁栄に寄与する事を第一と考えている。武六会として相応しいかを毎年審査し合い、品位、功績、貢献など、少しでも劣るところがあればすぐにでも外されてしまう。光月庵の当主として七桜もこの会に参加する。他にも長谷屋、多喜川家も武六会の一員であり、武六会の集まりで七桜は由香莉、多喜川とも顔を合わせている。なお、もしそのお店が審査から外れてしまった場合、そのお店は終わりを意味する。

奉納の儀

武六会では毎年2月末日にお店の繁栄と継続を祈る行事として、お店の命である道具を神社で清める。この儀式のことを奉納の儀と言う。七桜はこの行事に供えるお菓子を代々光月庵に伝わる道具で作ることにより、武六会に相応しい人物かどうか試されていた。

『わたしたちはどうかしている』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

七桜「緑色のお菓子 菓名 “葉桜”です」

椿と結婚式の引き出物対決で桜をテーマにお菓子を作ることに。先手で椿が出したお菓子は、淡いピンクを使用したお題に沿った桜のお菓子だったのに対し、七桜が出したお菓子は、そこに居た人たちがどよめく物だった。七桜が「緑色のお菓子 菓名“葉桜”です」と伝え、さらに続けて「桜が華やかなのは一面ピンクに染まる時。しかし春の嵐が吹き荒れ、美しい花はすぐに散り、やがて新緑の季節が巡り月日を重ねても、いつまでも仲睦まじくいられますように」と口上を述べると、周囲の反応は一転し「本当の幸せは日常にある」と、七桜のお菓子を好意的な目で見るようになる。それを隣で聞いていた椿も、そのお菓子に込められた想いは自分には無い発想だと七桜に驚き、興味を持つようになる。このことがきっかけとなり、椿は七桜にプロポーズするという、2人の運命を大きく変える出来事に繋がっていく、とても印象深いシーン。

椿「くだらない 血のつながりに何の意味があるんだ」

大旦那は椿と七桜に、椿は本当の孫ではないからこの光月庵を継げないと言われ、七桜がどういう事かと聞いた際、大旦那は女将の不貞で出来た子だと思っていると七桜に告げる。椿は光月庵が一度大きく傾いた理由に、愛弟子の職人が光月庵の饅頭の菓子帳を盗んで饅頭を出せなくなってしまって以来、当主は高月家の血を引く人間でなくてはならないという光月庵の掟があることを七桜に話した。その上で「くだらない 血のつながりになんの意味があるんだ」と言い、また「大切なのは和菓子の対する情熱だ 意志だ」と言う。その揺るぎない椿の光月庵への想いがひしひし伝わってくるシーンだ。

椿「たぶん俺はあんたに惹かれてる 自分の我を通すための結婚相手としてじゃなく 一人の女として」

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