夏目アラタの結婚(漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『夏目アラタの結婚』とは乃木坂太郎によって『ビッグコミックスペリオール』(小学館)上に2019年14号から2024年4号にかけて連載されたサスペンス漫画、およびそれを原作とした実写映画作品。実写映画の主演は柳楽優弥、黒島結菜が務めた。連続殺人犯である品川ピエロと児童相談所職員である夏目アラタの結婚が描かれる。サスペンス的おもしろさに加え、緻密な心理描写も魅力。

『夏目アラタの結婚』の用語

品川ピエロ

連続遺体バラバラ殺人事件の犯人。本名品川真珠。ピエロの扮装をしていたことからこの名がついた。

田中ビネー検査

知能検査の一種。真珠が8歳で施設に保護された時と21歳の逮捕時で結果が大幅に異なるのは、真珠が実年齢は約6歳であったにもかかわらず8歳児用の検査を受けていたため。

赤とんぼ

真珠が母環に教えてもらい一緒に歌った歌。真珠は小さいときも周りに誰もいないときこっそり歌っていた。真珠は車でアラタが歌うのを聞き、自分が周防にこの歌を歌ってあげたかったのだときづく。真珠が大切な人にしてあげられる唯一の愛情表現だった。

『夏目アラタの結婚』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

宮前光一「会いに行けばよかった…!!会いに、行けば…!」

第79話。宮前が高校生の時、環がこっそり自分の姿を見に来ていたことを知って、宮前は「会いに行けばよかった…!!会いに、行けば…!」と思いをもらす。
アラタに「自分みたいな女はあんたの人生に足手まといだってわかってたんだろうぜ」といわれて環に会いに行かなかったことへの後悔の叫び。
真珠の弁護も責任感から引き受け、終始義務感から行動していた宮前が初めてもらす人間的なセリフ。

周防英介「あの時、やっと消えてなくなれると思ったのにな…やっと…って思ったのに、おまえのせいだろ。」

84話。真珠に人生に絶望しているのになんで死なないのかきかれて周防が言ったセリフ。「おまえのせい」というのは、周防が熱中症で死にそうになっていたときに真珠が助けたことをいっている。
真珠は本当は「君がいるから生きていたい」といってほしかったのではないかと周防紗菜は口にしかけるが、真珠が愛する人を自分の手で殺したことに気づくことを恐れたアラタが止めに入る。
「周防も愛していた真珠に自殺願望をあおり立てられなければ生きようと思ったかもしれない」と検事の桜井はのちに真珠にいっている。

周防を生かしてしまったことが余計なことだったと真珠が痛感し、その責任を取って自分が周防を殺そうと真珠が決意することになった。怪物品川ピエロが誕生することになった実質的な契機。

品川真珠「歌を一緒に歌いたかった。好きだから、歌うの。」

91話。アラタに塀の外に出たらやりたかったことというのは何だったのかきかれ、真珠は「歌を一緒に歌いたかった。好きだから、歌うの。」という。
真珠にとって歌は母環との唯一の幸せな記憶である。

品川環「お母さんね、真珠の歌声大好き。」

91話。環が小さかった真珠と一緒に歌いながら「お母さんね、真珠の歌声大好き。」と真珠に言葉をかける。
環は弱い人間で、真珠を自分の都合で虐待していた毒親だが、たしかに真珠のことを愛してもいた。真珠にこの経験がなかったら、真珠が周防やアラタを愛することはできなかったかもしれない。

夏目アラタ「俺の結婚は悪くなかったっす。」

95話。神波に真珠との結婚に命をかける価値があったかと問われてアラタは「俺の結婚は悪くなかった」という。
アラタは「真珠には感謝してる。こんなに誰かを好きになれて。自分は今まで人を本当に好きななったことはなかった。」とも言っており、真珠に一緒に死ぬことを拒まれ離婚することとなったアラタは、それでも「夏目アラタの結婚」は自分にとって命をかける価値があったと考えている。真珠との交流がアラタにもたらしたのは決して不幸だけではなかったことが伝わる。

これに対する神波の返答は「いいやつだな…」。神波も妻との間にある種のわだかまりを抱えている。

品川真珠「つらいことを我慢してきたんじゃなく、つらいことじゃないってごまかしてきたんだね。」

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