満州アヘンスクワッド(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『満州アヘンスクワッド』とは、原作門馬司、作画鹿子により2020年4月から2021年9月まで『コミックDAYS』にて連載し、その後、『週刊ヤングマガジン』にて連載している漫画。第二次世界大戦前の満洲国を舞台に、主人公の日方勇が、ヒロインの麗華らと共に、日本軍や中国マフィアと対立をしながらも、それぞれの目的を果たすため阿片の密造・密売を行っていくクライム作品である。派手なアクションや知能戦だけでなく、仲間内の絆による団結力なども魅了的な作品である。

マルク・ベッカー「僕は屈しない!! 記者として…紅幇と戦ってみせる!!」

恩人が殺された悲しみと紅幇への恐怖、そしてそれに立ち向かう勇気と覚悟を決め、戦うことを誓うシーン

マルク・ベッカーが勤める新聞社の編集長が紅幇によって殺されたあとの「僕は屈しない!! 記者として…紅幇と戦ってみせる!!」というセリフ。ただのユダヤ人の少年だったマルクが、ナチスに迫害された過去や紅幇から逃げようとせず、戦う覚悟を決めた胸アツなシーン。

關志玲「私は医者だ 怪我人に敵も味方もあるか」

關志玲が敵である紅幇の構成員を治療するシーン

關志玲が負傷した紅幇の構成員を治療し、周りのユダヤ人や当人から批判を受けた際に言った「私は医者だ 怪我人に敵も味方もあるか」というセリフ。關志玲の怪我人は差別なく助かるという信条が表れている。治療された構成員たちはその後關志玲を手助けしている。

『満州アヘンスクワッド』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『満州アヘンスクワッド』は作者の前作がはじまり

「【担当とわたし】『満州アヘンスクワッド』門馬司×鹿子×担当編集対談」は 2020年8月11日、『コミックDAYS』にて掲載されている。
『満州アヘンスクワッド』の原作を担当する門馬司と作画担当の鹿子、そして担当編集によって行われる第1巻発売記念の対談。物語の誕生秘話やどこが一番作るのに苦労したかなど作者と編集者の視点で、『満州アヘンスクワッド』の裏側が知れる。門馬司が原作を担当する『首を斬らねば分かるまい』という漫画で取り扱った阿片の話が人気だったことから、担当編集に薦められ、阿片を題材にした漫画を新しく作り始めたこと。それが『満州アヘンスクワッド』の始まりであった。

権力者の娘として登場する「戦う女性」

「『地図と拳』小川哲×『満州アヘンスクワッド』門馬司 特別対談 いま満州を舞台にフィクションを描く意味」 は2022年10月8日、Real SoundというWebサイトにて掲載されている。
『満州アヘンスクワッド』の原作者門馬司と『地図と拳』という満州における波乱万丈の歴史を語った長編小説の作者小川哲による対談である。お互い満州を舞台に物語を作っていることから、共通点などがある。例えば、ボスの娘が親であるボスに反抗するという共通点があるが、これには戦う女性を登場させたいが、戦争を描くとなかなか女性の登場機会が少ない。そのため、権力者の娘という立場で女性を登場させ、戦う女性を描いているそうだ。また、あえて負けた戦争を描くことによってそこから教訓などを得ることを期待しているようだ。『満州アヘンスクワッド』以外で満州を見ることによってより作品を楽しむことができるだろう。

日常生活や過去で増すキャラクター達の人間味

「ヤンマガ虎の巻~大ヒット作家に直接インタビュー!漫画の描き方講座~ 門馬司先生編」 は2023年10月23日から12月4日にかけて、ヤンマガWebにて4つの記事に分けて掲載されている。
『満州アヘンスクワッド』の原作を担当する門馬司によって漫画の描き方が詳しく語られている。サブキャラの活かし方や面白いピンチの作り方など漫画作成には欠かせない情報がたくさんインタビューの中で紹介されている。インタビューの中では、「キャラクターたちの日常生活を描くことで、人間味が出る。さらにキャラクターたちの過去を描くことで、発言の説得力が増すし、言動に一貫性が生まれる。」という様な記述がされていてる。例えば、関東軍憲兵隊所属の凡(ぼん)に妹がいたという過去を垣間見せることによって、リンをを殺すことができなかったし、人間的な弱みを演出することもできている。このように、『満州アヘンスクワッド』を作り手の視点から見ることができる。そうすることで解像度も上がってくること間違いなし。

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