フルドラム(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『フルドラム』とは2017年4月24日より箱石達(はこいしとおる)が『週刊ヤングジャンプ』にて連載を開始したラグビーをテーマにしたスポーツ漫画。主人公は極度の運動音痴が原因でいくつもの部活をクビになった日野晴成(ひのはるなり)という高校1年生。ひょんなきっかけでラグビー部マネージャーの登戸綾子と知り合い、ラグビー部に入部することになる。足が遅く、スポーツのセンスのかけらもない日野であったが、タックルにおいては唯一才能があった。タックルという武器を磨き、チームの主力になる日野の成長過程を描く。
『フルドラム』の概要
『フルドラム』とは2017年4月24日より箱石達(はこいしとおる)が『週刊ヤングジャンプ』にて連載を開始したラグビーをテーマにしたスポーツ漫画。主人公は極度の運動音痴が原因で入学してすぐにサッカー、野球、陸上、バレー、テニス部をクビになった日野晴成(ひのはるなり)という高校1年生。部活をやっている男はモテるという理由でなんとかして部活に入りたい日野。次の部活は何にしようかと悩みながら廊下を歩いていると、ラグビー部マネージャーの登戸綾子とぶつかってしまう。登戸に一目惚れした日野は、ラグビー部に入部することを決めた。足が遅く、スポーツのセンスのかけらもない日野であったが、タックルにおいては唯一才能があることがラグビーを行うことで判明する。タックルという武器を磨き、チームの主力になる日野の成長過程を描く。すべてにおいて秀でた能力がなくても、1つの武器があれば補い合えるというラグビーの魅了を感じられる作品。
『フルドラム』のあらすじ・ストーリー
部活をクビになる男
黒髪短髪で熱血キャラな日野晴成(ひのはるなり)は高校入学早々、サッカー、野球、陸上、バレー、テニス部をクビになっていた。その理由は日野が超がつくほどの運動音痴だからだ。それでも日野は運動部はモテるからという理由で、なんとか運動部に所属しようとする。日野の1番の友達でおかっぱ頭の堀ノ内(ほりのうち)は日野が部活を探すことを諦めさせようと、「お前は超絶運動音痴でさらに性格もねじ曲がったクズ以下のゲロ虫野郎だ」と罵った。それに対し日野は堀ノ内を殴り飛ばし、次の運動部を探しに廊下を歩き出す。廊下を歩いていると、1人の女子学生とぶつかってしまう。細いシルエットにサラサラなロングヘアーの彼女は登戸綾子(のぼりとあやこ)という。登戸を見た瞬間、一目惚れした日野は登戸に何の部活に所属しているかを尋ね、登戸は「ラグビー部のマネージャーやってます」と答えた。そこで日野は次に入る部活は、ラグビーにしようと決意した。決意をきいた堀ノ内は、小学校の時に70km離れた学校に転校した日野が大好きだったショートカットの女の子、高橋みほ(たかはしみほ)を追いかけ失踪した事件を思い出し、不安になった。
学校からの帰り道にラグビーを学ぶため、日野は近所の書店を訪れた。そこで登戸が1人の男性と楽しそうに話している姿を目撃する。登戸と一緒にいたソフトモヒカンでがっちりした体型の男は、門脇清二(かどわきせいじ)といい、ラグビー部のキャプテンであった。2人のそばにたむろしていた不良が、登戸と門脇に絡み始めた。門脇は絡んでくる不良たちにまったくビビらず、タックルで不良たちを蹴散らしていく。しかし不良の1人で仲間内から「てっちゃん」と呼ばれている金髪の男がバイクで門脇に向かって突進し、門脇は跳ね飛ばされ気を失ってしまった。一部始終を側から見ていた日野が登戸のところにあわてて駆けつけると、登戸は日野に助けを求めた。そんな日野の元に先ほどのバイクが突進してくる。日野はバイクを止めようとするものの、重傷を負い病院へ搬送されてしまった。
病院の中で日野が目を覚ますと、そばに登戸がいて日野が病院に運ばれるまでの経緯を説明し始めた。日野はバイクに轢かれたかと思いきや、バイクに向かってタックルし、バイクを投げ飛ばしていたのだ。バイクを投げ飛ばした後にやりきった表情を見せ、そのまま気絶し病院へと運ばれていたのであった。果敢なタックルを見た登戸は、日野にラグビーの才能を感じ「退院したら絶対ラグビー部にきてね」と告げた。
体験入部
バイクに轢かれた怪我もすっかり治った日野は、改めて登戸と会いラグビー部を紹介された。ラグビー部の部室前に着くと丸刈りで巨漢の2年生、麻倉史延(あさくらふみのぶ)と出会う。登戸からバイクの騒動を聞いていた麻倉は日野に期待を抱いており、出会ってすぐに日野をラグビーウェアに着替えさせ、グラウンドに連れ出した。
ルールを一切把握していない日野に対して麻倉は「ボールを持っている奴を止めろ」とだけ伝え、いきなり練習に参加させた。練習では体験にきた1年生が2、3年生を止めるまで終わらないという地獄の練習が行われた。部内一の怪力をもつ麻倉は1年をどんどん薙ぎ倒し前に突進していき、そのまま日野の方に向かっていく。日野はなんとかして麻倉を止めようとするものの、麻倉のタックルで吹き飛ばされてしまった。一度麻倉のタックルを受けた日野の体は恐怖を感じ、麻倉から逃げようと意識してしまう。恐怖を感じている日野をグラウンドのそばで見ていた登戸が応援する。登戸の応援が届いた日野は、あらかじめ登戸から聞いていたタックルのコツを思い出し、姿勢を低くして麻倉の足に向かってタックルをする。麻倉が吹き飛ばされると、昨日の騒動で気を失っていた門脇が日野のタックルの強さに驚愕した。
翌日、日野が部活に顔を出すと、いきなり竹刀で頭を叩かれる。日野が振り返ると、日野よりさらに小柄な小山(こやま)と名乗る2年の先輩がいた。日野は基礎を身につけるために、小山の指導を受けていく。まずはパス練習から学んでいくが、まともにパスができず、運動音痴が露呈してしまう。基礎練習を諦めた小山は日野の身体能力を測定していくことにした。しかし身体能力においても秀でたところがなく、小山は愕然とする。小山は1日の成果を見て、日野にクビを宣告した。その理由は、日野のタックル以外の運動能力が中学生の平均よりも下回っていたからだ。宣告を飲み込めない日野は「試合で判断をしてほしい」と告げ、その上で活躍できなかった場合は部活をやめることを誓った。小山はそれを受け、1年生同士の紅白戦を行うことにした。
1つの取り柄
1年生同士の紅白戦が始まった。この試合で何かしらの結果を残さなければ、日野のクビが確定する。試合が始まり、早速日野の元にボールが渡った。日野は向かってくるボールをキャッチしようとするものの、地面に叩きつけてしまう。この試合では特別ルールとしてボールを落とすことがあれば、チーム全員でダッシュ1本をすることが追加された。日野のせいで何本もダッシュが行われ、日野は仲間の1人で批判的な態度をとる畠中(はたなか)に愚痴を言われてしまう。それでもめげない日野のために、元陸上部でチームを取りまとめるリーダー的存在の川崎(かわさき)が、日野が武器であるタックルを活かせるポジションに守らせることにした。ポジションを変えることで、日野はタックルに専念することができ、日野は相手のオールバックヘアーの1年、成海(なるみ)をタックルで吹き飛ばし、こぼれ球を拾った川崎がトライに成功する。
相手チームは日野のタックルに驚き、作戦タイムに入る。その中でチームと協力しようとせず、己の力だけで何とかしようとする協調性のない緑悠介(みどりゆうすけ)という1年が「勝つためにボールを俺によこせ」と怒鳴る。相手チームはしぶしぶ緑にボールを預けていく作戦に変更した。作戦を変更してすぐに日野と緑が1対1の状況になるとタックルを決め、ノリに乗っている日野が緑にタックルを仕掛ける。しかしそのタックルは緑にいとも簡単にかわされてしまい、そのままトライを決められ前半が終了する。小山は日野に対して「ミドリにタックルを決めたら、クビは回避してやる」と伝えた。
後半が始まっても緑を中心とした攻撃を止めることができず、点差はみるみる開いていく。クビを回避するために日野は、ない頭を絞り出し緑を観察する。観察していくうちに緑が相手の動きを見てから動き出していること、そして相手をかわした後スピードが落ちていることに気づき、日野はわざと自分から動いてみる戦略をとった。すると緑に隙が生まれ、初めて緑にかわされずシャツをつかむことに成功したのであった。緑は日野の手を振り解こうとするも、日野は必死に抵抗した。痺れを切らした緑は日野をパンチしてしまう。緑のパンチが日野の鼻にクリーンヒットし、試合が一時中断された。日野がピッチの外で登戸の応急処置を受けている間に試合は進み、緑にタックルを決めることができないまま試合が終了した。タックルは決められなかったものの、執念や粘り強さを認められ、日野は正式にラグビー部に入部することが決定したのであった。
地獄の基礎練習
紅白戦の翌日、日野は朝練に向かっていた。グラウンドに顔を出すと、小山と緑が集まっていた。小山は日野と緑を鍛えることで大会の戦力として2人を使おうと計画していたのだ。1ヶ月後の大会に向けて力をつけるために、練習の負荷はかなり高く設定され、ポジションにあった特別メニューを小山が考案した。相手を抜くことに長けている緑には、攻めの中心となるバックスのメニューを、タックルに長けている日野には、フォワードのメニューを言い渡された。日野と緑は違うメニューをやりながらも、あいつには負けたくないという気持ちで自分のメニューの負荷をどんどん上げていく。そんな練習が1週間続き、2人の疲労はピークに達していた。さらに1週間が経過すると2人は過労で倒れ、保健室に運ばれた。目が覚めると、その場に登戸がおり心配した表情を見せるものの、日野はケロッとした表情でその場を後にした。
後日、日野と登戸は部活の用具を買いに、街に出かける。一通りの道具を買い揃えて学校に戻ろうとすると、1人の男が登戸の手を掴んだ。その男は黒髪短髪でがっしりとした体型、登戸の中学の同級生だった釜田(かまた)だ。釜田は中学校時代に25回登戸に告白し、しつこさに呆れた登戸が告白を受け入れた。しかし翌日に登戸は告白を取り消す。1日も付き合っていない2人だったが、釜田は自分が登戸の元カレであると日野に自慢した。その報告を受け、日野は釜田のことを敵対視する。釜田は大会でぶつかる可能性のある強豪校で、ラフプレーが多く気性の荒い岸沢工業(きしざわこうぎょう)のレギュラーだった。
日野の教育係
釜田が強豪校のレギュラーだと知り、試合にいち早く出場したいという思いばかりが先行していた。ラグビー部マネージャーの2年で金髪ロングヘアーの佐原(さはら)は、日野がユニフォームをもらっていないことを指摘し、落ち着かせた。紅白戦以降、個人練習に励んでいた日野と緑は小山の許可を得て、全体練習に参加し始めることになった。全体練習では日野に適正のあるフォワードのポジションを任されている、イカつい見た目の2年の塩谷奨(しおやしょう)が抜擢された。塩谷は嫌な顔をしながら、具体的な指導はせず「勝手に見て盗め」と日野に伝えて指導を投げ出した。
全体練習では試合形式の練習が行われた。日野は塩谷の対面に立ち、塩谷の動きを見て盗もうとする。仲間の小山からボールを受け取った日野はボールに気を取られ、対面にいたはずの塩谷の姿を見失った。塩谷が日野の目の前に急に現れ、日野はラリアットのような反則スレスレなタックルをくらってしまう。日野が任されるポジションでは、相手選手に嫌われるような執拗なタックルが必要になってくる。日野は塩谷のプレーを見て、フォワードの過酷さを身をもって知った。
人生初の公式戦
予選の組み合わせが決まり、大会のスケジュール表が門脇の元に届く。日野たち櫻野高校(さくらのこうこう)ラグビー部の初戦は、ラフプレーが多く気性が荒いことで有名な岸沢工業(きしざわこうぎょう)だった。日野はスタメンではなく、ベンチでスタートすることになった。試合が始まると岸沢工業は噂通り気性の荒いプレーでガンガン攻めてくる。そして試合中のワンプレーで櫻野高校の1人が怪我をしてしまい、日野は作戦よりかなり早めにピッチに立つことになった。今まで公式戦に出たことのない日野は、ピッチの異様な雰囲気に飲まれミスを連発してしまう。日野が仕事をできないことで、櫻野高校は徐々に劣勢に追い込まれる。
ピンチを脱するために門脇は日野に続いて緑を投入した。緑は日野がびびっていることを感じ取り、日野を煽り立てる。そこでようやく日野の目が覚め、武器であるタックルに意識を向けられるようになった。目が覚めた日野は134kgの巨漢、肉鮪豊(にくまぐろゆたか)と対峙することになり、肉鮪をタックルで吹き飛ばす。日野のタックルから勢いがついた櫻野高校は、門脇を中心に果敢に攻め立てる。前半終了間際、こぼれ球を拾った日野がトライを決め、点差を5点に縮めた。
ラグビーの本質
後半戦が始まると、岸沢工業のラフプレーがさらにエスカレートしていく。対する櫻野高校は逆転をすべく、作戦を変更していった。緻密なサインプレーを駆使して攻めようとするものの、緑が作戦を無視して特攻してしまう。1人浮いている緑に目をつけた金髪ウルフヘアーの3年、虎徹大介(こてつだいすけ)が緑の攻撃をことごとく止めていく。かつてバスケ部だった緑は自分に実力があるものの、仲間から頼りにされないことでチームを信用することが苦手になっていた。チームを頼ることを拒んで孤立していった緑だったがラグビー部に入り、タックル以外何も取り柄のない日野が仲間を頼っている姿を見て、徐々にチームに頼ることを覚えていく。
ボールをもらった緑は再度、虎徹と対峙する。細かいステップで虎徹を抜くものの、バランスを崩し虎徹にボールを狙われた。しかし緑は味方にパスをして、そのワンプレーがトライに繋がる。このトライによって、点差がなくなり12対12の同点になった。しかし岸沢工業も負けじと攻め立て、またも点差が開く。なんとかして岸沢工業の攻撃を止めようと、日野は頭を働かせ登戸の言葉を思い出す。登戸は「タックルのコツはとにかく姿勢を低くすること」だと言っていた。言葉通り、日野は地面スレスレの低い姿勢でタックルを試みる。何度も失敗し、転んでしまっても日野は諦めず低い姿勢のタックルを続け、ついに日野オリジナルのタックルを完成させた。タックルを完成させた日野はそのまま攻撃でも活躍し、二度目のトライを決めまたも同点に追いついたのであった。さらに櫻野高校は点を決め、逆転に成功する。逆転され焦りを感じた釜田は日野との接触の際、鎖骨に膝蹴りを入れてしまった。鎖骨の骨が折れ、日野は肩に力を入れられなくなってしまう。タックルができなくなったことにより、日野のところから陣形が崩れ始め何度もピンチが訪れた。しかし日野もなんとか痛みに耐え、最終的に全力で攻めてきた岸沢工業の攻撃をタックルで止め、試合に勝利した。
『フルドラム』の登場人物・キャラクター
主人公
日野晴成(ひの はるなり)
『フルドラム』の主人公。やる気はあるものの、超がつくほどの運動音痴で部内のメンバーに迷惑をかけてきた。その結果サッカー、野球、陸上、バレー、テニス部に入部してすぐクビになる。登戸と出会うことでラグビー部に入り、取り柄がないと思っていた自分に天性のバランス感覚、体幹があることを知り、それを活かしたタックルでどんなに大柄な選手も吹き飛ばしていく。
櫻野高校ラグビー部
登戸綾子(のぼりと あやこ)
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目次 - Contents
- 『フルドラム』の概要
- 『フルドラム』のあらすじ・ストーリー
- 部活をクビになる男
- 体験入部
- 1つの取り柄
- 地獄の基礎練習
- 日野の教育係
- 人生初の公式戦
- ラグビーの本質
- 『フルドラム』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 日野晴成(ひの はるなり)
- 櫻野高校ラグビー部
- 登戸綾子(のぼりと あやこ)
- 麻倉史延(あさくら ふみのぶ)
- 門脇清二(かどわき せいじ)
- 緑悠介(みどり ゆうすけ)
- 小山(こやま)
- 川崎(かわさき)
- 畠中(はたなか)
- 成海(なるみ)
- 佐原(さはら)
- 塩谷奨(しおや しょう)
- 岸沢工業(きしざわこうぎょう)
- 釜田(かまだ)
- 肉鮪豊(にくまぐろ ゆたか)
- 虎徹大介(こてつ だいすけ)
- その他
- 堀ノ内(ほりのうち)
- 高橋みほ(たかはし みほ)
- てっちゃん
- 『フルドラム』の用語
- ノックオン
- スクラム
- バックス
- フォワード
- 『フルドラム』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 日野「死んでも離さねぇぞ」
- 日野「今簡単に諦めて五年とか十年とか経ってから後悔したくない、ただそれだけだ」
- 緑「おまえにゃ元々なにもないだろうが、つまんねぇことでビビってんじゃねぇよ」
- 『フルドラム』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 箱石は原泰久が連載している『キングダム』の元アシスタント
- 『フルドラム』に登場する学校や病院は岩手県奥州市水沢区が舞台
- フランスのプロリーグ「TOP14」とのコラボビジュアル完成