ばっかつ!〜麦酒喝采〜(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ばっかつ!〜麦酒喝采〜』とは葉賀ユイによるクラフトビールを題材にした漫画。お酒は大好きだけれど、ビールは「1杯目しか美味しくない」と思っていた女子大生の花小路ほっぷは、大学で「ビール愛好会」サークルを運営する二条こむぎと出会う。こむぎが家族経営しているビアパブを手伝い始めたほっぷは、クラフトビールの魅力にどんどんのめり込んでいくのだった。
自身を「ビール星人」だという作者が描く、クラフトビール初心者も楽しみながら学べる、ビールの知識がふんだんに盛り込まれたビール漫画である。

『ばっかつ!〜麦酒喝采〜』の概要

『ばっかつ!〜麦酒喝采〜』とは葉賀ユイによって2019年よりKADOKAWA『Comic Walker』で連載された、クラフトビールが題材の日本の漫画である。単行本は全3巻、話数の数え方は「⚪︎杯目」と表記されている。
大学2年の花小路ほっぷは、サークルのオリエンテーションで「ビール愛好会(仮)」を立ち上げようとしている二条こむぎと出会う。こむぎの熱意に押され、彼女が家族と営むビアダイニング「麦」で初めてクラフトビールを口にしたほっぷは、ビールの多様な味わい、醸造方法や歴史などに魅了されていく。一方のこむぎはビールの豊富な知識を持っているもののビールに対してのこだわりがなく、ビアダイニング併設の醸造所は未稼働のままだった。
話が進むにれクラフトビールのルーツや醸造方法など、より踏み込んだ内容になっていくところが見どころだ。クラフトビールを主なテーマとしているが、海外の伝統的なビールにも触れており、読み込めばビール知識をかなり深めることができる。

『ばっかつ!〜麦酒喝采〜』のあらすじ・ストーリー

「ほっぷ」と「こむぎ」の出会い

左がほっぷ、右がこむぎ。

主人公の女子大生・花小路ほっぷ(はなこうじ ほっぷ)は2年生の春を迎えた。ある晩、大好きな日本酒で晩酌をしていると、翌日が大学のサークルオリエンテーションということに気づく。去年は多忙でサークル活動に参加していなかったが、せっかくだから今年からでも何かサークルに入ろうかと考えた。

オリエンテーションにやってきたほっぷが「ビール愛好会」の文字に目を留め「飲みサーってことかな?」と考えていると、サークル創設者の二条こむぎ(にじょう こむぎ)から声をかけられる。

体験入部ということでほっぷが連れて行かれた先は、こむぎが家族経営する「ビアダイニング・麦」だった。「ビールが美味しいのは1杯目だけ」と思っていたほっぷだったが、世界のさまざまなクラフトビールや楽しみ方をこむぎから教わり、すっかりその魅力に取りつかれる。そしてサークル活動なのか、ビアダイニングの労働力確保なのかわからないまま「麦」で働くことになった。

それまでほっぷを「花小路さん」と呼んでいたこむぎは、彼女の名前が「ほっぷ」だと知ると「麦とホップが揃えばビールが出来ちゃいます!これはもう運命です!」と大興奮するのだった。

ワイン屋のお嬢様・ユリア

ほっぷとこむぎがサークル勧誘をしていると、3年生の樽屋敷ユリア(たるやしき ゆりあ)という、やや高飛車で、お嬢様気質の女性がやってきた。彼女は父がワイン輸入販売の店を経営しているため、ワインを好んでおり、以前飲んだクラフトビールのIPAが苦すぎたことにより「クラフトビールなんて苦くて飲めたもんじゃない」とビールを敬遠していた。

そんなユリアにこむぎは「『お酒は飲むけどビールはダメ』という人のほとんどは、そもそも苦味がダメなんです。ご安心下さい!そんな人でも楽しめるのがビールの世界!」と言い、ほっぷと一緒にユリアを「麦」へ連れて行き、苦味の少ないフルーツを使ったビールを振る舞う。ユリアは苦味が苦手でも楽しめるビールがたくさんあることを知り、今度はワインでお返しするとお礼を言って帰ろうとした。するとこむぎが彼女に「もう一度お時間いただけますか?ご案内します。もっとディープなビールの世界に!」と言う。

翌日、3人はベルギービールバー「エルキュール」を訪れた。こむぎはユリアに「麦」には無かった麦とホップだけで作られたビールを飲ませたかったのだ。
チーズに合うビールや甘酸っぱくフルーティーでラム肉に合うビール、柑橘類を丸かじりしたような強烈な酸っぱさのビールなど、その美味しさや伝統的な製法の魅力にすっかりやられてしまったユリア。「エルキュール」からの帰り道、彼女は大学卒業後、父の経営する店でビール部門を担当する決意をする。そして翌日からビールの勉強という名目で「麦」で働くことになるのだった。

お酒は楽しい気分で飲むもの

ある日、深酒をして寝入っていたほっぷのところへ「あゆむ」という可愛らしい女の子がやって来る。彼女に「お姉ちゃん!これじゃ実家にいたときよりだらしないじゃない!」と叩き起こされたほっぷは、先週母親からあゆむの一人暮らしは心配なので一緒に暮らすようにと連絡が来ていたことを思い出す。

ほっぷはあゆむを連れて「麦」へと向かった。あゆむが二十歳になったらお酒を教えると約束していたのだ。仲沢がおすすめのビールをあゆむやほっぷ、出勤前のこむぎ、ユリアに振る舞う。桃のような甘みのあるビールやナッツチョコレートのようなビールを、製菓学校に通うあゆむが作ったチーズケーキと合わせて楽しむあゆむたち。

初心者向けではないビールを振る舞う仲沢に浮かない顔のこむぎだが、彼から「あゆむさんは今日初めてお酒を飲んだ子だよ。まずは楽しんでもらわなくちゃ」と言われ、最近ビールを楽しめていなかったことを自覚する。楽しんでいるあゆむを見て、こむぎが週末開栓予定だったとっておきのビールを開栓し、更に楽しむ4人であった。

その場をお開きにして開店準備に入ると、あゆむがこむぎに「麦」の制服を着てみたいとお願いしてきた。「あわよくば労働力ッ」と期待するこむぎだが、あゆむは制服を持って男子更衣室に入ってしまう。止めようとするこむぎにほっぷが「あ、いーのいーの。あゆは私の『弟』なんで」と言い、あゆむが女の子だと思っていた一同は驚愕するのだった。

ビールを作りたい気持ち

ほっぷ、こむぎとユリアの3人は「麦」に来店した、ユリアの知人女性シトラ・ミッケルボルグや大学教授の大山(おおやま)の好みに合うビールを飲ませるべく、こむぎの知人が経営する店を訪れるなど、ビール漬けの日々を送っていた。

そんなある日、大滝京一郎(おおたききょういちろう)という酒店の息子が「麦」に営業にやってきた。クラフトビールに対抗すべく、彼の店で取り扱う海外の伝統ビールを売り込みに来たのだ。そんな大滝に対し、ユリアはデンマークの小規模醸造所で作られたクラフトビールで対抗する。こだわりをぶつけ合う2人を見ていたこむぎは翌日、母に「みんなこだわりがあってすごいなって思って。私はどうしようかな……」と呟く。母はこむぎに対し「醸造の件?いいのよ。ムリにお父さんの意思を継ごうなんて考えないで」と答えた。
こむぎは未稼働のままになっていた「麦」の併設醸造所をどうするか考えていたのだ。ほっぷはこむぎなら美味しいビールが作れると言うが、こむぎはビールへのこだわりがないことを気にしており、自分が作らなくとも素敵なビールはたくさんあるので、それを紹介できればいいと言うのだった。

ほっぷはこのことを仲沢に相談した。彼は「こむぎちゃんは甘えるのが下手な子だからね。これはむしろ君の問題かもしれないよ」とアドバイスした。覚悟を決めたほっぷは、体験醸造でこっそりと仕込んでいたビールを持ってこむぎの元を訪れた。
自作のビールをこむぎに飲ませたほっぷは「私にここでビールを作らせて!」と彼女に言う。驚くこむぎにほっぷはマンガ家だった過去について話し始める。「自分が描きたいから描いていたマンガ、ビールだって作りたいから作る、こだわりなんて後から生まれた」と言うほっぷ。ユリアや仲沢も協力を申し出て、こむぎはほっぷと共にビールを作ることを決めるのだった。

麦酒喝采

左が髪を切ったほっぷ、右がこむぎ。乾杯前に挨拶をする2人。

ほっぷとこむぎが2人でビール醸造を始めた翌春のある日「麦」にユリアや仲沢、シエラ、大山、こむぎの知人であるビアバーの経営者らが集まってきていた。ついに2人のブルワリー「二花(にはな)ブルーイング」の初号醸造のお披露目レセプションの日を迎えたのだ。

2人は3つのビールを紹介する。ほっぷが初めて造ったビールをベースにした「ポップンホップ・ペールエール」、こむぎの父が遺したレシピの「シリアルヘイズIPA」、2人で造り上げた小麦ビールの「こむぎとほっぷ」。

紹介が済むと参加者たちはそれぞれビールを手にし、ほっぷの挨拶と共に乾杯をするのだった。

『ばっかつ!〜麦酒喝采〜』の登場人物・キャラクター

主人公

花小路 ほっぷ(はなこうじ ほっぷ)

お酒好きの大学2年の女の子。名前の「ほっぷ」は「初めの一歩」という意味で名付けられた。ひとり暮らしで、食事はほぼ外食かコンビニ頼りだが、物語途中から弟のあゆむと2人暮らしになる。
中学生の時に「MARIKA(まりか)」というペンネームで漫画家デビューしている。しかし作品がアニメ化した時に、無理なスケジュールを押し付けられ大学受験の勉強をする余裕がなくなり一浪。しかしアニメが終わると、作品はオワコン扱いされてしまったため漫画家を引退した。

二条 こむぎ(にじょう こむぎ)

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