平和の国の島崎へ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『平和の国の島崎へ』とは原作濱田轟天、作画瀬下猛により、2022年より『モーニング』に連載されているバトル・アクション漫画作品である。原作の濱田轟天は本作が、デビュー作である。主人公の島崎慎吾は9歳のとき国際テロ組織LELに拉致され、洗脳と訓練により戦闘工作員になる。30年後、脱出を図り日本にたどり着いた島崎はLELから命を狙われ、公安からは重要人物として監視される日々を送ることとなる。島崎が起こすバトルシーン、アクションシーンが見どころである。

『平和の国の島崎へ』の概要

『平和の国の島崎へ』とは原作濱田轟天(はまだごうてん)、作画瀬下猛(せしもたけし)による作品で、2022年より『モーニング』に連載されているバトル・アクション漫画である。原作の濱田轟天のデビュー作であり、作画は『モーニング』でラグビー漫画『インビンシブル』を連載していた瀬下猛が担当する。「全国書店員が選んだおすすめコミック」出版社コミック担当が選んだおすすめコミック5位、「マンガ大賞」4位、「次にくるマンガ大賞」コミックス部門18位、「このマンガがすごい!」オトコ編5位、「ebookjapanマンガ大賞」ノミネートなど、数々の賞を受賞をしている作品である。
主人公の島崎慎吾は(しまざきしんご)9歳のとき、海外へ駐在した父を訪ねてパリ行の飛行機に搭乗していた。この飛行機が国際テロ組織LEL(経済解放同盟)にハイジャックされる。乗客は皆殺しにされたが、唯一生き残った島崎は、国際テロ組織LELに拉致されてしまう。島崎は、LELによって洗脳と訓練を施され、戦闘工作員にされてしまう。戦場で島崎が現れたら、半径100メートル以内の生存率は2%といわれた凄腕の戦闘員になる。戦場では島崎を「霧(ネブロー)」と呼び、恐れられていた。各地の戦場で任務を果たし、拉致から30年後に国際テロ組織LELからの脱出に成功。平和に暮らすことを夢見て、故郷の日本へ帰ってくる。日本ではLELから脱出した島崎と同じ境遇の仲間と、コロニーで集団生活を送っている。島崎は漫画家のアシスタントや、喫茶店の手伝いなどをしながら、平和に暮らそうとしている。しかし、脱出を許さないLELと日本の公安に島崎は日々追われ続ける。そんな島崎にさまざまなアクシデントが降りかかってくる。島崎は体に染みついた戦闘能力で、次々と降りかかってくるアクシデントに対処していく。迫力ある戦闘シーンだけではなく、島崎がとる常識はずれなコミカルなシーンも見どころである。果たして島崎は戦闘員の過去と決別し、平和の国日本で新たな自分として平和に暮らすことができるのだろうか。

『平和の国の島崎へ』のあらすじ・ストーリー

平和の国日本へ帰還

岡村(右上)が持ってきたクッキーから火薬とガンオイルの匂いを察知した島崎(左下)。

主人公の島崎慎吾(しまざきしんご)は9歳のとき、海外へ駐在した父を訪ねてパリ行の飛行機に搭乗していた。この飛行機が国際テロ組織LEL(経済解放同盟)にハイジャックされる。乗客は皆殺しにされたが、唯一生き残った島崎は、国際テロ組織LELに拉致されてしまう。島崎は、LELによって洗脳と訓練を施され、戦闘工作員にされてしまう。拉致から30年後LELから脱走し、平和に暮らすことを夢見て、故郷の日本へ帰ってくる。同じようにLELから脱走してきた元戦闘工作員たちと共同でコロニーに暮らしている。島崎の絵が上手なことを見込まれコロニー仲間の緒方(おがた)から紹介された漫画家のアシスタントになり、少しずつ日本の暮らしになじもうとしていた。しかし、島崎を要注意人物として日本の公安警察が常に監視をしている。ある日、アシスタントをしていた漫画家の川本マッハ(かわもとまっは)が、引ったくりにあい原稿を奪われてしまう。島崎はヤクザに奪われた川本の携帯電話の位置情報から場所を突き止め、ヤクザのアジトに乗り込み持ち前の戦闘能力で原稿を取り返す。その頃、漫画アシスタント仲間の鳥海カオリ(とりうみかおり)に紹介され、喫茶ルパソの仮店員になる。失敗しながらも島崎が入れた塩コーヒーでマスターに人柄を認められ、正式な店員に。しかし、喫茶店で島崎の身のこなしを見たヤクザからも監視を受けることなってしまう。島崎が「ルパソ」で働いていたとき、障害児施設「すみれの里」を経営している岡村しず子(おかむらしずこ)がやって来た。施設でつくったクッキーの試作品から、島崎は異変を感じ取る。それは火薬とガンオイルの臭いだった。岡村は、政策の選択と集中という口実で「すみれの里」をつぶそうとしている市長の菅野を狙撃することを決意する。岡村は50年前に過激派に所属していた人物で、その時に菅野の裏切りにあっていたことでも恨んでいた。岡村が菅野を狙撃しようとした瞬間、島崎は機転をきかせて狙撃を阻止してしまう。静かに暮らしたいと願う島崎だったが、ヤクザと公安から常に監視を受けていた。そんなとき、ついにLELが動き出す。島崎は同様にLELから脱出してきたマサオを訪ねたが、彼は無残にもLELに拷問を受け殺されてしまっていた。口の堅かったマサオは、島崎たちの情報を漏らさなかった。しかし、マサオを訪ねたことで島崎の居場所がLELに判明してしまう。LELは対人地雷(たいじんじらい)による島崎抹殺を試みる。対人地雷は日本で普通の暮らしをしているが、LELが送り込んだ戦闘工作員であった。しかし、島崎は持ち前の戦闘能力で対人地雷を撃破する。島崎はLELからは命を狙われ、公安からは監視され、ヤクザからも追跡を受ける。そんな島崎だが、平和の国日本の居場所を少しずつ増やそうとしているのであった。

ベビードーナッツの記憶

島崎はバイト先の喫茶「ルパソ」のオーナーと買い出しに出かける。「オーナーが「どれくらい日本を離れていたのか」と問いかけると、島崎は「人生の半分」と答える。「ルパソ」のオーナーは、島崎の答えに戸惑いを覚えた。「ルパソ」のオーナーは、島崎の子どもの頃の記憶がよみがえるだろうと考え、駄菓子屋に連れて行く。しかし、島崎は駄菓子屋の棚にあったベビードーナッツを見て、母の死の記憶がよみがえってしまった。それは、島崎にとって思い出したくない記憶でもあった。島崎は暗い記憶を抱えながら現在を懸命に生きている。そんな折、「ルパソ」の金を持ち逃げし行方不明になった長男の鳥海高志(とりうみたかし)が現れた。高志は金を持ち逃げしたことを詫び、持ち逃げした金を返した。しかしそれは、詐欺犯の南部(なんぶ)に操られた行動だった。詐欺を見破られた南部は高志を拉致したが、島崎がアジトに忍び込み拉致された高志を救出する。平和に暮らそうとする島崎だったが、高い身体能力がそうさせてはくれなかった。そんな島崎を抹殺しようと、LELの対人地雷が夫婦で執拗に島崎を狙い続ける。

たまきちとのコロニーでの生活

島崎のもとにフレンチブルのたまきちがやって来た。たまきちは、コロニーのみんながLELでの悪夢を振り払う癒しの存在である。たまきちとの生活で、島崎はしばしのやすらぎを得るのであった。たまきちのお世話を通じて知り合った犬オババ(いぬおばば)が公園に現れなくなった。心配した犬仲間と島崎は犬オババの家を探し出し、倒れていた犬オババを救助する。そんな折、島崎が服を買ったことがないことを知った漫画家の川本と鳥海カオリと一緒に服を買いに出かける。島崎は身だしなみを整えるために髪を切りに出かけるが、戦闘員の修正で刃物を持った人間が後ろに立つことが怖い島崎は、髪を切ることをやめる。平和に暮らしていた島崎は「ルパソ」のマスターの口利きで、商店街のイベントでマスコットキャラクターの「ニャーボ」くんの着ぐるみを着ることになる。かわいいマスコットキャラクターの着ぐるみを着た島崎は戦闘で身についた殺気を消せず、軽やかな身のこなしを見せるも、子どもたちが怖がって近寄ってこない。そんな状況を見ていたキャラクターショーの社長から、島崎は急きょ代役を頼まれることになる。島崎はキャラクターショーの練習で身につけた迫力のあるリアクションで、子どもたちをますます怖がらせてしまう。キャラクターショーに出演した島崎は、周囲の人々とのかかわりを深めていく。「ルパソ」で新メニューを頼まれた島崎は、そら豆のコロッケ「タアメイヤ」を提案し、それが採用される。島崎がつくった「タアメイヤ」はSNSに投稿されるほど評判を呼んだことで、LELに島崎の居場所がばれてしまう。大人気になった「タアメイヤ」の材料乾燥そら豆を買いに一人で出かけた島崎。LELは島崎を襲撃しようと、店や周辺に戦闘工作員を配置する。異変を感じ取った島崎は、店には入らず一旦「ルパソ」に戻ることに。そこにいつもは入らない、注文が「ルパソ」に届く。その内容はLELから、島崎へあてたメッセージであった。

ルビコン川を渡る決断

LELからのメッセージは島崎にあてたもので、島崎を呼び出す内容の暗号文であった。島崎はこの場から逃げ去ることもできたが、かかわりのある人たちがLELの標的になることを避けるため、危険を冒してLELの罠に飛び込んでいく。島崎は、LELから送り込まれた戦闘工作員を次々に撃破していくのであった。島崎はこの戦闘でLELをせん滅しようとしていた。一方、7割以上の工作員を島崎1人に殺害されたLELは攻撃を中止する。しかしただ1人、対人地雷だけは島崎への襲撃をやめなかった。対人地雷は上司からの命令を無視して島崎に近づいていった。対人地雷は「島崎を抹殺することをあきらめ平和に暮らす」と嘘を言って島崎のそばに座るが、手には自爆装置が握られていた。対人地雷は島崎に嘘を見破られ、攻撃されてしまう。対人地雷は今際の際に、「島崎は日本で平和に暮らすことなど出来ない」「お前は変われないだろう」と言って息絶える。1晩で30人以上を殺傷した島崎に公安は、ペナルティとして発信器をつけさせる。翌日、いつもの日常に戻り「ルパソ」で働いていた島崎に、マスターが野球に誘う。島崎は、野球の試合で大人たちが必死になっている姿を不思議に思う。島崎は持ち前の身体能力で活躍するが、野球のルールを知らずチームは負けてしまう。相手チームの大山(おおやま)とも仲良くなり、野球をする大人たちを不思議に思っていた島崎だが、何となくその理由がわかった気がした。そんな島崎が一転して闇バイトをすることになる。指示訳はヤカラ、実行犯はバール、ビニール、バッグ、島崎はガムテと名を付けられる。島崎は鳥海高志の一言から、鳥海高志の後輩ビニールこと、楠本けんしろう(くすもとけんしろう)が犯罪に手を染めないよう、闇バイトの一員として参加したのであった。島崎は楠本が犯罪に手を染めずに普通の暮らしができるようにと、闇バイトの実行を阻止したのであった。

小さなころの記憶

島崎は漫画家の川本から、子ども時代のことを尋ねられる。島崎の母親が料理上手だったこと、海外に駐在している父親が珍しいお菓子を海外から送ってくれること、外国語を習っていたことなど幸せだったときのことを話した。川本から「だれか復しゅうしたい人いるか」と問われた島崎は、戦場で幼い島崎を守ってくれた、1人の少年を思い出すのであった。そんな島崎に周囲も温かく接していく。「ルパソ」のマスターが、スタッフの一員として島崎をお祭りに誘う。お祭りのスタッフとして周囲に溶け込もうとする島崎の前にSATA(サタ)が現れる。SATAはLELが運営している戦闘員養成組織「ピースフル・カレッジ」の一員であった。LELの命令により地域に溶け込もうとお祭り参加を申し出るが、「ピースフル・カレッジ」を警戒している大人たちから参加を断られる。SATAは「ピースフル・カレッジ」から必要でなければ捨てられると、教え込まれる。SATAは地域に溶け込もうと、清掃ボランティアを行うが「ピースフル・カレッジ」を警戒する大人たちから、ボランティアを断られてしまう。断られたSATAたちは、落書きを消すボランティアを始める。島崎は、落書きはSATAたちが書いたものを消していると思った大人たちに、SATAたちが書いた落書きではないことを教える。こうして、島崎とSATAが出会った。島崎は、落書きを消す材料を購入するため、SATAたちをホームセンターへ案内する。初めてのホームセンターではしゃぐSATAだが、小さなときの嫌な思い出を思い出してしまう。そんなSATAに島崎は自分の子どもの頃に似ているのに気づき、やさしく接していく。そんな中、SATAたちはLELの命令で暴力団の詰め所を襲撃してしまう。SATAは実践訓練の前に島崎に挨拶するため「ルパソ」を訪れるが、偶然にもそこにSATAたちが襲撃した暴力団が「ルパソ」に来ていた。SATAの「子どもにやられるようなヤクザなんて」の一言で、ヤクザがSATAを怪しいとにらむのである。SATAはいつものように落書きを消す作業をしているところをヤクザに拉致されてしまい、自白剤を打たれ暴力団の詰め所を襲撃したことを自白してしまう。ヤクザたちは「ピースフル・カレッジ」に乗り込むが、おじさんに返り討ちにされる。自白してしまったSATAはおじさんから廃棄だ、と言われ連れて行かれてしまうのであった。おじさんに返り討ちにあったヤクザたちは、仲間を引き連れ再び「ピースフル・カレッジ」に乗り込む。SATAは要らない子として仲間に殺されそうになるところに、島崎が現れる。SATAを助けようとした島崎は突如現れた緒方の妨害を受け、SATA救出の理由を問われる。島崎は自分でもなぜSATAを助けようとするのか分からない。しかし自分の子どもの頃に似ているSATAを戦場から遠ざけられれば自分が変われる予感がすると、SATAの救出を決意する。SATAはおじさんに連れ去られようとするが、島崎と緒方の活躍で無事SATAを助け出すことに成功する。

『平和の国の島崎へ』の登場人物・キャラクター

主人公

島崎慎吾(しまざきしんご)

本作の主人公、島崎慎吾。元国際テロ組織LEL(経済解放同盟)の戦闘工作員。年齢は39歳。9歳のときLELに拉致され、戦闘工作員にされる。黒ぶちメガネをかけ、顔には左頬と鼻に、全身にも無数の傷がある。LELでの通り名は「霧(ネブロー)」。戦場で島崎に出会った場合、半径100メートル以内の生存率が2%と言われたことから付けられ、恐れられていた。拉致されてから30年後の39歳のとき、LELを脱出し日本へ帰国。島崎と同じようにLELから脱出した戦闘工作員の仲間たちと共同でコロニーと呼ばれる寮で共同生活をしている。日本国内では平穏な暮らしを望みながら、生活を常に公安に監視されながら日常をおくる。組織からの脱出を許さないLELからも、常に狙われ続ける日常生活を送っている。日本での生活は、絵が上手だったことから漫画家川本マッハのアシスタントや、アシスタントで知り合った鳥海カオリの実家の喫茶店、「ルパソ」の手伝いもしている。9歳でLELに拉致されているので漢字をあまり知らないことから、漫画の中のセリフもひらがなまじりである。

喫茶「ルパソ」

鳥海カオリ(とりうみかおり)

鳥海カオリは、「喫茶ルパソ」オーナーの娘であり、島崎慎吾と漫画家川本のアシスタント仲間である。鳥海カオリはアシスタントの仕事がない時、自分の両親が経営している喫茶「ルパソ」を手伝っている。漫画のアシスタント以外に仕事を探していた島崎を「ルパソ」で、手伝わせる。勝気な性格で、何でもズバズバと言ってしまうが、面倒見がいい。

「喫茶ルパソ」マスター

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