税金で買った本(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『税金で買った本』とは図書館勤務経験のあるずいのが原作を、作画を系山冏(けいやまけい)が担当する、図書館を舞台としたお仕事コメディ漫画である。講談社の青年向け漫画雑誌『ヤングマガジン』で2022年から連載されている。ヤンキー高校生の石平紀一が図書館でアルバイトを始め、さまざまな職員や利用者と触れ合っていく姿が描かれている。読むと図書館の日常について楽しく学べるのが魅力の一つ。日本出版販売が運営する「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」で第8位に選出された。
おはなし会に参加することになった石平は、読み聞かせの本に『三びきのやぎのがらがらどん』を選んだ。
三匹目の大きいやぎのがらがらどんがトロルを吹き飛ばすシーンを、石平は迫力満点に読み上げる。
泣き出す子もいたが、おおむね好評であったため、いつの間にか石平は次のおはなし会にも参加することになっていた。
自分の幼い頃にも読んできた本を笑顔で読み聞かせる、石平の楽しさが伝わる名シーンである。
石平紀一「どこに行っても自由なんてねェから、どこでも自由にやれるくらい気持ちが強くねェとダメなんだろうな。」
決まりがある学校をサボって自由に遊ぼうとしていた石平だが、ヤンキーの世界も先輩との暗黙のルールがあった。そのルールを破ると殴られる世界に石平は息苦しさを感じてしまっていた。
偶然が重なり図書館でバイトをするようになった石平は、ヤンキーの世界に引き戻しに来た灰坂に「どこに行っても自由なんてねェから、どこでも自由にやれるくらい気持ちが強くねェとダメなんだろうな。」と語る。
再び図書館に帰ってきたことで、灰坂より一足先に大人になった石平の成長がよく分かる名セリフであった。
早瀬丸小夜香「正しければなにを言ってもいいワケじゃないんだよ!!」
市の正規職員である茉莉野は目立つ仕事ばかりやりたがることが理由で、市役所の部署をたらい回しにされていた。最終的に図書館勤務を命じられた茉莉野は、ここでも地味な仕事を非正規職員に押し付けて、スタッフから嫌われていた。
茉莉野と口論になった白井は「ご自分が図書館に島流しされてきた立場だってわかって意見してます?」と皆が言いたくても言えなかった真実で言いかえす。正論で畳み掛ける白井に早瀬丸は「正しければなにを言ってもいいワケじゃないんだよ!!」と制する。茉莉野にとどめを刺してしまうコミカルな早瀬丸の名セリフであった。
『税金で買った本』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
原作者の「ずいの」は元図書館職員
漫画原作を担当している「ずいの」のプロフィールはあまり公開されていない。
1990年生まれで静岡県出身ということぐらいしかわかっていないが、漫画家デビュー前は図書館の非正規職員として働いていたという経歴を持つ人物であった。
コミックスには「ずいの」が実際体験した図書館でのエピソードや、解説などが書かれている「図書館だより」のページが記載されている。
作中には実在の本が複数登場
『税金で買った本』の中では様々な本が登場するが、架空の本ばかりではなく実在する本も登場する。
以下で作中に登場する本を紹介する。
菊池寛『恩讐の彼方に』
人を殺してしまった主人公が贖罪のため何十年もかけて洞窟を掘っていく物語。
膨大な本の中から破片を見つけようとした石平に重ね、早瀬丸が勧めた本であった。
江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』
引っ越した下宿先で偶然屋根裏への入口を発見した主人公が、屋根裏から他の部屋を覗き見するようになり、その後隣人の殺人計画を立てる物語。
図書館の棚の上に登った山田に石平が勧めた本である。
マーシャ・ブラウン『三びきのやぎのがらがらどん』
3びきのやぎの兄弟が谷を渡ろうとすると、谷の下にいたトロル(鬼)に襲われそうになる。小さいやぎと中くらいのやぎのがらがらどんは「この後にもっと大きいやぎが来る」とトロルに言い、無事に谷を渡ることに成功する。手ぐすね引いて待っていたトロルを最後にやってきた大きいやぎがぶっ飛ばす物語。
その爽快さゆえに幼い頃の石平の愛読書であり、おはなし会で読み聞かせを行った。
シェイクスピア『マクベス』
イギリスの劇作家シェイクスピアによる戯曲。『ハムレット』『オセロー』『リア王』と並ぶ4大悲劇として知られる。
些細な汚れを気にして弁償を繰り返す利用者の鈴木に、石平は手を洗い続けるマクベス夫人の話をした。
公式ファンブックも発売
『税金で買った本』本編とは別に『税金で買った本 公式ファンブック 図書館ともっと仲良くなれる本』が2023年5月8日に発売されている。
内容はほぼ全員を網羅したキャラクターガイド、7巻までの全話あらすじ、原作者ずいのと作画担当系山冏によるスペシャル対談などが収められた。
『税金で買った本』をより深く知ることができる内容となっている。
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目次 - Contents
- 『税金で買った本』の概要
- 『税金で買った本』のあらすじ・ストーリー
- 図書館に足を踏み入れた石平くん
- 読み聞かせをする石平くん
- 正規職員に怒る石平くん
- 移動図書館に乗る石平くん
- 蔵書点検をする石平くん
- 本を捨てる石平くん
- 読書感想文を書く石平くん
- 『税金で買った本』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 石平紀一(いしだいらきいち)
- 主な図書館職員
- 早瀬丸小夜香(はやせまるさやか)
- 白井里雪(しらいさとゆき)
- その他の図書館職員
- 吉沼寛一(よしぬまかんいち)
- 茉莉野美波(まりのみなみ)
- 梨原規香(なしはらのりか)
- 島本実央(しまもとみお)
- 松浦(まつうら)
- 角野光(かどのひかり)(チーフ)
- 今村まひろ(いまむらまひろ)
- 宮辺ゆき(みやべゆき)
- 小池芹菜(こいけせりな)
- 朝野亜沙子(あさのあさこ)
- 図書館長
- 椎名真司(しいなしんじ)
- 繁松恭次(しげまつきょうじ)
- 佐藤優多佳(さとうゆたか)
- 図書館の利用者
- カホちゃん
- 鈴木(すずき)
- 三浦(みうら)
- 竹中(たけなか)
- 石平くんの関係者
- 灰坂坑太(はいさかこうた)
- 山田栄介(やまだえいすけ)
- 柴はるか(しばはるか)
- 芦川(あしかわ)
- 灰坂の姉
- 桜木香月(さくらぎかづき)
- マチノ書店
- 酒口(さかぐち)
- 明井(あけい)
- 『税金で買った本』の用語
- 登場する本
- 『わくわく☆しりたい どうぶつのなぞ』
- 『放浪する青』十六夜かなき著
- 『シュリンクスの笛』十六夜かなき著
- 図書館の部署
- 一般図書係
- 資料係
- 児童図書係
- 図書館に関する用語
- 貸出至上主義
- 良書至上主義
- ほーんちゃん
- その他の用語
- ぱーんちゃん
- 全国読書感想文コンクール課題図書のマーク
- 『税金で買った本』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 白井里雪「なにか知りたいことがあったからまた図書館に来たのでは?」
- 石平の父「自分で調べてごらん、そのほうが勉強になるから」
- 朝野亜沙子「う〜ん、まだ石平少年には早かったカナ♡」
- 石平が読み聞かせをするシーン
- 石平紀一「どこに行っても自由なんてねェから、どこでも自由にやれるくらい気持ちが強くねェとダメなんだろうな。」
- 早瀬丸小夜香「正しければなにを言ってもいいワケじゃないんだよ!!」
- 『税金で買った本』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 原作者の「ずいの」は元図書館職員
- 作中には実在の本が複数登場
- 菊池寛『恩讐の彼方に』
- 江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』
- マーシャ・ブラウン『三びきのやぎのがらがらどん』
- シェイクスピア『マクベス』
- 公式ファンブックも発売