Hades(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『Hades』は、海外のインディーゲームスタジオであるSupergiant Gamesが開発・販売を手掛けるローグライク・アクションゲーム。2021年に正式版がリリース、同年に日本語ローカライズ版が発売されている。
ギリシャ神話を舞台に、冥界神ハデスの息子である王子ザグレウスが冥界から地上へと脱出する旅の過程が描かれる。
スタイリッシュなアクション、ランダムに変化する飽きのこない戦闘要素に加えて、個性的なオリュンポスの神々との間で織りなされるストーリーも魅力の1つだ。
『Hades』の概要
『Hades』は、海外のインディーゲームスタジオであるSupergiant Gamesが開発・販売を手掛けるローグライク・アクションゲーム。2018年12月にアーリーアクセスが開始された後、2020年9月に正式版がリリース、その後2021年に日本語ローカライズ版が発売されている。対応プラットフォームは、PCの他、PS5、PS4、Xbox Series X/S、Xbox One、Nintendo Switchとあらゆる環境で遊ぶことができる。
本作はインディーゲームでありながら、世界的に権威があるとされる海外レビューサイト「Metacritic」で93点のスコアを獲得、同じく権威的な「Game Developers Choice Awards(2021)」 では、GAME OF THE YEAR、BEST AUDIO、BEST DESIGNの3部門を受賞し、その他にも数々の賞にノミネートされている。ゲームのシステム面においても、ナラティブ面においても、高い評価を得ているといえる。
舞台となるのは、ギリシャ神話における冥界。主人公である冥界神ハデスの息子ザグレウスは、陰鬱とした冥界での生活に不満を持っており、冥界から家出(脱出)し、地上を目指そうとしていた。父ハデスは、強情で頑固であり、それゆえザクレウスが地上を目指すことを許さず、ザクレウスに対して様々な冥界の刺客を送り込み、家出を阻止してくる。その家出の過程で、ゼウスやアテナといったオリュンポスの神々、その他のギリシャ神話の登場人物たちに出会い、それぞれとの関係性を深めていくことで、次第になぜ父ハデスが地上を目指すことを許さなかったのか、地上には何が隠されているのかが明らかとなっていく、というのが本作の大まかなストーリーである。
本作の特徴としては、まずローグライク・アクションゲームであることがあげられる。本作は、その中でも、とりわけアクション性が高く、他のものとは一線を画する内容となっている。また、使用できる武器も豊富さと、ランダムに強化されていくプレイヤーの能力とそれによって変化する戦闘スタイルによって、繰り返し遊んでも飽きがこないような工夫がされていることも本作の評価を高めた理由の一つとなっている。さらに、ストーリーやNPCとの会話は、同じような会話やセリフが全く出てこないといっていいほどに膨大なテキストにより構成されており、繰り返し遊ぶことに対する単調さを感じさせない。
ローグライク・アクションゲームでプレイヤーを最後まで楽しませるための工夫をとことん追求した良作といえる。
『Hades』のあらすじ・ストーリー
プロローグ
本作の主人公である冥界神ハデスの息子ザグレウスは、冥界での陰鬱とした生活に不満を持っていた。
こんな冥界からは抜け出そう。そう思い地上へと脱出することを試みるのだが、冥界神である父ハデスは、ザグレウスが地上に出ることを決して許さなかった。ハデスは、ザグレウスに対して様々な冥界の刺客を送り込み、息子の脱出を阻止せんとする。冥界の刺客は強力で、ザグレウスは倒され死んでしまうものの、神の一人であるザグレウスはその力により「冥界の館」(実家)で復活する。
冥界神である父ハデスは、ザグレウスが地上に出ることを決して許さなかった。ハデスは、ザグレウスに対して様々な冥界の刺客を送り込み、息子の脱出を阻止せんとする。冥界の刺客は強力で、ザグレウスは倒され死んでしまうものの、神の一人であるザグレウスはその力により「冥界の館」(実家)で復活する。
冥界は死者の世界であり、そこからは何人も脱出できないというのがその秩序であり規律である。冥界神としてその秩序を保たなくてはならない父ゼウスは、その職責を全うせんとし、ザグレウスに対して冥界からの脱出など試みることのないよう諫める。そもそも、冥界の死者の管理で忙しく、机の上は書類が山積みとなっており、息子の我儘には付き合ってられないようである。
冥界の事情など気にも留めないザグレウスは、何度でも冥界を脱出するつもりだと父に宣言する。冥界での生活に非常にうんざりしている様子が伺える。
脱出の道中では、オリュンポスの神々がザグレウスの脱出の手助けをしてくれた。
最初に接触するのは、知恵の女神アテナである。オリュンポスの神々は、ザグレウスと元々親交があったり、ゼウスとの確執があったりと様々な事情を抱えており、それぞれの事情からザグレウスに力を貸してくれる。
タルタロス脱出~ステュクス神殿到達まで
冥界は、冥界の最下層であり死者の魂が行きつく先であるタルタロス、冥界の大部分を占める溶岩と灼熱の世界アスポデロス、生前の英雄の楽園であるエリュシオン、地上に最も近いステュクス神殿の4つの世界に区分されている。
ザグレウスが地上へ出るためにこの4つの世界を通らなくてはならないのだが、そのためには父ハデスが送り込んでくる様々な刺客や英霊を倒さなくてはならなかった。
タルタロスの最後に待ち受けていたのは、復讐の三女神の一人であるメガイラであった。
ザグレウスはメガイラの圧倒的な力の前に成す術もなく敗れてしまう。
オリュンポスの神々の助力を得ながら、死と生を繰り返したザグレウスはやがてメガイラを倒す程の力をつける。
その後も生と死を繰り返しながら、アスポデロス、エリュシオンを踏破するも、最後のエリュシオン神殿で待ち受けていたのは冥界神ハデス本人であった。冥界神の名は伊達ではなく、またもやザグレウスは成す術なく敗れてしまう。
真実への接近
地上に出るためには自身の父である冥界神ハデスを倒さなくてはならない。それはザグレウスにとっては至難の業のように思えた。
あるとき、ザグレウスは冥界の館で父の書斎を探ることを思いつく。なぜそこまでして地上への脱出を妨げるのか、不自然にも思えた。あるいは、父を打倒するためのヒントを得るためなのか、それとも単なる好奇心なのか。明確な理由があったわけではないが、気付いたときには体が動いていた。
冥界の館の住人が寝静まったころ、ザグレウスは父の書斎に向かう。そこで、見覚えのない筆跡と調子で綴られたある手紙を発見する。
「ハデス、私はもう、ここでの暮らしに耐えられません。ここを出てゆけば、私は死を迎えるのかもしれない。そうだとしてもかまわない。オリュンポスには戻りません。この世に私の居場所があるのなら、それはきっと、天界と冥界の狭間のどこかでしょう。―ペルセポネ」
ザグレウスは、このペルセポネが自分の本当の母親なのではないかと勘付く。しかし、ザグレウスの母は、夜の女神ニュクスであり、本人からもそう伝えられていた。もし自分の本当の母親がペルセポネであるならば、ゼウスとニュクスはザグレウスに真実を隠していたことになる。
地上にいる本当の母に会わなければならない。ザグレウスは、父を倒し、何が何でも地上に出るのだと決意するのだった。
ハデス打破~ペルセポネとの会遭まで
生と死を繰り返すことで、ついに父ハデスを倒すための力を手に入れたザグレウス。その圧倒的な力に屈することなく、父を退け、地上への脱出を果たすのであった。
地上への脱出を果たし、悲願であったペルセポネに会遇することになる。
しかしながら、ペルセポネはザグレウスが誰だかわからない様子であり、実の息子が生きていることも知らなかった。
母との会遇も束の間、ザグレウスが地上に滞在できる時間の終わりが近づく。ザグレウスは冥界で生を受けたために、冥界の規律により地上では生きていけないのであった。再び母に会い、何としてでも真実を突き止める。そう決意しながらも意識を失い、ザグレウスは冥界の館に帰されることになる。
自分の本当の母親が健在していたことを突き止めたザグレウスは、再度母に会いに行くことをハデスに懇願する。しかし、ハデスが地上に行くことは許さないという態度を変えることはなかった。そうであれば、何度でも父を倒し、母に会いに行けばよい。ザグレウスの地上へと脱出する旅は、もう一度繰り返すことになるのであった。
最後の脱出
母との再会を繰り返すことで、ザグレウスは、ペルセポネはかつてゼウスのことを愛していたこと、ペルセポネが息子を死産したと思っており、その失意から冥界を去ったこと、そして、ペルセポネが冥界へ下ったことがオリュンポスの神々に知れるとその怒りを買ってしまうため冥界に戻ることはできないことを知る。
さらには、父ゼウスが頑なに地上への脱出を許さなかったのは、オリュンポスの神々からその存在を隠匿し、ペルセポネを守るために、ペルセポネを愛していたがためにであると、その真意に気付くのであった。
そして、父と母の想いを知ったザグレウスは、二人の望む生活を取り戻すため、最後の脱出を決意する。
ペルセポネを守ろうとする父ハデスを倒し、地上に出ると、そこで待っていたのは今まさに冥界に戻ろうとしていたペルセポネの姿だった。何度も会いに来てくれた息子の想いに応え、スティクス河を下り、冥界へ戻るのだという。
冥界に戻ったぺルセポネを見た後もなお、ハデスは、これでは問題は解決しないと息子に対する厳格な態度を変えようとしない。そんなハデスにペルセポネが一喝し、ハデスはザグレウスに対して嘘をついていたことを謝罪する。緊張していた父子関係も少しは和らいだようだった。
しかし、ペルセポネが冥界に下ったことがオリュンス12神に知れわたるわけにはいかない。ハデスはザグレウスに対して、また定期的に地上への脱出を試み、冥界が何も変わっていないと偽装することを提案する。ザグレウスはこれを承諾し、また終わることのない脱出を繰り返すことになるのだった。
こうして、ハデスとペルセポネは、王子ザグレウスとともに、良好な協力関係のもと、未来永劫冥界を治めることになる。
『Hades』のゲームシステム
ローグライク・アクション
ローグライク・アクションゲームとは、『ローグ』の特徴を踏襲した、『風来のシレン』シリーズや『トルネコの大冒険』シリーズに代表される、ランダムに生成されるダンジョンを、繰り返し何度も探索するというスタイルのゲームだ。
『Hades』の場合、見下ろし型視点の2Dアクションとして、ランダムに生成されるダンジョンを攻略していくことになる。
一度死んでしまうと、それまでにダンジョンで獲得してきたアイテムは一部を除いて全て失われ、また最初からダンジョンに挑戦することになる。プレイする度に変化するダンジョンで、新しい発見を繰り返しながら、次第にゲームが上達していくという仕組みが採用されていることも伝統的なローグライクを踏襲している。
基本アクション
プレイヤーは主に、初動が早く連撃となる通常攻撃、大振りだが威力の高い特殊攻撃、そして遠距離攻撃である「魔弾」の3種類のアクションを駆使しながらダンジョンを攻略することになる。
アニメーションはハイスピードであり、またそれぞれのモーションは比較的早いタイミングでキャンセルが可能であることから、それぞれのモーションをキャンセルしながらスピード感のあるコンボを繋げていくといったような、ハイスピード・アクションが楽しめる。
功徳
「功徳」とは、オリュンポス12神によって与えられる力であり、ザグレウスの能力強化要素の一つである。功徳は、ダンジョン中でランダムに獲得でき、武器に状態異常効果を付与したり、攻撃速度を上昇させたりと、様々な効果を持つ。
功徳は、ザグレウスが行えるアクションである通常攻撃、特殊攻撃、魔弾、ダッシュ等につき、1つずつ装備することができる。複数の功徳を組み合わせにより、より自分好みの戦闘スタイルを追究したり、偶発的に生まれる功徳のシナジーによる爽快感を得るという楽しみ方が可能である。
また、取得できる功徳には、コモン < レア < エピック < ヒロイックの順にレアリティが存在し、レアリティが高い功徳は取得条件が厳しい代わりに、効果は強力なものとなっている。
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『Hades』の概要
- 『Hades』のあらすじ・ストーリー
- プロローグ
- タルタロス脱出~ステュクス神殿到達まで
- 真実への接近
- ハデス打破~ペルセポネとの会遭まで
- 最後の脱出
- 『Hades』のゲームシステム
- ローグライク・アクション
- 基本アクション
- 功徳
- 冥夜の鏡
- 宮大工
- 好感度
- 『Hades』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ザグレウス
- ハデス
- ペルセポネ
- ニュクス
- オリュンポス12神
- ゼウス
- アテナ
- ポセイドン
- アルテミス
- ディオニュソス
- アフロディナ
- アレス
- ヘルメス
- デルメル
- カオス
- 冥界の館の住人
- ヒュプノス
- ケルベロス
- スケリー
- アキレウス
- デューサ
- ダンジョン内に登場するキャラクター
- メガイラ
- タナトス
- カロン
- 『Hades』のアイテム
- 冥府の武具(武器種)
- 剣:スティギウス
- 弓:コロナハト
- 盾:アイギス
- 長槍:ヴァサラ
- 双拳:マルフォン
- 電磁砲:エクサグリフ
- 宝物
- 闇の結晶
- 冥府の鍵
- 宝珠
- ネクタル
- カロンの金貨
- ケンタウロスの心臓
- 力の石榴
- ダイタロスの槌
- 運命の金床
- ボス討伐報酬
- ティタンの血
- 金剛石
- アンブロシア
- 『Hades』の用語
- オリュンポス12神
- 冥界の館
- 世界設定
- タルタロス
- アスポデロス
- エリュシオン
- ステュクス神殿
- 『Hades』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- グレッグ・カサヴィンが語る開発の経緯
- ロマンス対象となるキャラクターとロマンスの発生条件
- ギリシャ神話の世界観がうまく落とし込まれた本作