虹色とうがらし(あだち充)のネタバレ解説・考察まとめ

『虹色とうがらし』とは、あだち充による日本の漫画で、『週刊少年サンデー』に1990年から1992年まで連載された。ジャンルはSFを交えた時代劇である。物語は、将軍奥川秋光と各地で出会った女性との間に生まれた7人兄弟が主人公だ。兄弟は母親の墓参りの旅で命を狙われるが、その背後には将軍の秘密と浪人・浮論の暗躍が関係していた。兄弟たちは父親の過去に迫りながら友情と絆を深めていく。全11巻の単行本が出版され、2021年8月には舞台化が決定した。

奥川貴光が放った刺客が得意とする技だ。術をかけられたものは「おはよう」などのキーワードを聞くと、暗示にかけられた通りの行動を取るのだ。この術をかけられた菜種は七人兄弟を無意識のまま殺そうとする。

埴輪念流 (はにわねんりゅう)

『虹色とうがらし』の剣術の流派である。麻次郎は名古山城下の立浪道場で最年少で免許皆伝を受けている。

三段鳶口 (さんだんとびぐち)

七味が常に携帯する火消し道具だ。陳皮が三段に伸びるように改造した。

『虹色とうがらし』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

浮論「平和がいいなんてのは、力や才能をもたねえやつだからいえるセリフだ」

物語の序盤で、浮論が発する「平和がいいなんてのは、力や才能をもたねえやつだからいえるセリフだ」は、これからの波乱を予感させるセリフだ。

麻二郎「本当にそう思うなら戦わないほうが利口だぞ。人間どうしても自分には甘い点をつけたがる」

浮論との対決で「剣の腕は五分か」と問われた麻二郎は、「本当にそう思うなら戦わないほうが利口だぞ。人間どうしても自分には甘い点をつけたがる」と発した。まだ余力があることを思わせる。

陳皮「今、必死に生きて無為に死んでいく命を確実に救うのか」「今、犠牲を出しても未来に安心を残すのか」

バン艦長が持ち込んだ技術の危険性に誰よりも早く気付いた陳皮は、その技術で食糧増産が可能となり、飢饉を劇的に抑えられる現実に直面する。この時、彼は「今、必死に生きて無為に死んでいく命を確実に救うのか」「今、犠牲を出しても未来に安心を残すのか」と発言した。このセリフは、現在の命を救うべきか、未来のために犠牲を出すべきかという深いジレンマを示しており、彼の苦悩と責任感が表現されている。倫理と未来への選択を象徴する名言だ。

『虹色とうがらし』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

7人兄弟の名前の秘密

それぞれの名前の胡麻、麻、芥子、菜種、陳皮、山椒は七味唐辛子の材料である。また江戸では七味唐辛子を「なないろとうがらし」と呼ぶのだ。

七味の本当の強さ

七味は強いものの、普段は優しさが邪魔をして、本体の実力を出し切っていない。しかし優しさによるリミッターが外れると、麻次郎も手加減をする余裕がなくなるほどの強さを見せる。

『虹色とうがらし』はあだち充画業20周年記念作品

『虹色とうがらし』は、あだち充の画業20周年を記念して描かれた作品である。あだち充が漫画家として最も描きたかった作品であり、『みゆき』『タッチ』『ラフ』などで培われた作劇ノウハウが全て注ぎ込まれている。落語、時代劇、人情噺、そしてSFと、あだち充が好きな要素が詰め込まれており、80年代の集大成と呼べる作品だ。サンデー編集部からも「かなり好き勝手にやらせてもらえた」とのことで、当時の少年サンデーは藤田和日郎や椎名高志といった次世代の作家が育ち、あだち充が雑誌を牽引する必然性が弱くなっていたため、自由な創作が可能であった。

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