ありふれた職業で世界最強(あり職)のネタバレ解説・考察まとめ

『ありふれた職業で世界最強』とは白米良によるライトノベルだ。小説投稿サイト『小説家になろう』で連載されている異世界転生モノの作品である。略称は「あり職」。クラスメイトとともに異世界に召喚された主人公。裏切りにあって奈落へ落とされるが、生きるために必死に這い上がるのだ。数々の仲間との出会いを経て、主人公が成長していく物語である。アニメ化や漫画化もされ、多くのファンに支持されている作品。

『ありふれた職業で世界最強』の概要

『ありふれた職業で世界最強(あり職)』とは、異世界転生モノの人気作品である。日本のなろう系ライトノベルの小説投稿サイト「小説家になろう」にて、2013年11月7日から連載されている。主人公の南雲ハジメ(ナグモハジメ)が、クラス全員とともに異世界に召喚される異世界ファンタジー物語である。最初は非力ながらも絶望的な状況から成長し、ヒーローではなくヒールの方向で強くなるハジメの壮絶な冒険が描かれる。クラスメイトの裏切りにより、奈落の底へ落とされることから始まり、必死に生きる姿に惹かれていく。そして、様々な出会いを繰り返し成長していくのだ。また、メインヒロインたちの個性や成長、7大迷宮の攻略をめぐる戦いなど、物語の魅力は多岐にわたる。文庫版のイラストはたかやKiが担当している。2017年からは、本編の前史として書き下ろされた外伝『ありふれた職業で世界最強 零』(ありふれたしょくぎょうでせかいさいきょう ぜろ)も並行して刊行されている。公式略称は「ありふれた」だが、「あり職」や「ありふれ」とも呼称される。

『ありふれた職業で世界最強』のあらすじ・ストーリー

異世界への召喚

異世界に召喚される前のハジメ。

主人公である南雲ハジメ(ナグモハジメ)は、俗に言ういじめられっ子という存在である。ある日ハジメは、クラスメイトとともに異世界へ召喚されてしまうのだ。クラスメイトは次々と戦闘向きのチート職業を与えられるが、ハジメの職業は非戦闘職の錬成師という地味なものだった。
現実でも異世界でも最弱のレッテルを貼られてしまうハジメだが、優しい心でクラスメイトを助けようと奮闘する。その時、檜山大介(ひやま だいすけ)の悪意により、迷宮の奈落に突き落とされてしまうのだ。脱出方法も見つけることが出来ない絶望の淵で、必死に前だけを見つめ、最強へと至る道を見つけ出すのである。ベヒモス級のモンスターが徘徊する深部。その中のモンスターに片腕を食べられてしまうのだ。死にたくない一心で錬成で壁を作り逃げ延びる。隠れながら自問自答を繰り返し、元の世界に帰りたいと願う。それを邪魔するものは敵とし、敵は殺すと決意するのだ。逃げ延びるために作った穴を広げると、傷や魔力を回復する水を生み出す石が見つかった。食料と水を確保し、狩った魔物の肉を食べた瞬間、激痛と共に身体が崩壊し始めた。その崩壊を食い止めるべく回復の水を飲んで耐えた結果、髪は白くなり、ステータス値は上昇し、魔物が使っていたスキルを手に入れたのだ。回復の水でいくらでも魔力を回復できるハジメは錬成の技能を鍛え、迷宮内で採取できた鉱石を基に銃の開発に成功する。そして片腕を食べたモンスターをも凌駕する強さを手に入れたハジメは50階で人工的な扉を見つける。そこで、吸血鬼のユエと運命の出会いを果たすのだ。ハジメは自分と同じように裏切られ孤独になった吸血鬼の少女、ユエを助けるため、封印を解き放つのだ。彼女の協力で、迫り来るサソリモドキという巨大な魔物を撃破する。ユエはハジメの身の上話を聞き、彼の傍にいることを決意する。2人は迷宮を進み、最強のヒュドラと戦うのだ。ハジメはユエの魔法と新たな兵器でヒュドラを打倒する。その後、オスカー・オルクスの残した映像から真実を知り、生成魔法を手に入れる。ハジメは戦いの傷を癒し、新たな兵器や装備を作り上げ、ユエにもアクセサリーを贈る。準備が整ったハジメは地球に帰る旅に出る覚悟を決め、ユエと共に困難に立ち向かう決意を胸に物語が始まるのだ。ハジメとユエはオスカーの隠れ家にあった転移魔法陣でオルクス大迷宮から地上へと脱出し、ライセン大峡谷に降り立った。ハジメはオスカーの隠れ家で、ライセン大峡谷にも七大迷宮があることを知り、町がありそうな樹海方面に進みながら大迷宮の場所を調査することにした。魔力駆動バイク・シュタイフで大峡谷を駆け抜けていくハジメとユエは、成り行きで双頭ティラノサウルスに襲われていた兎人族のシア・ハウリアを助ける。シアは自分のせいで故郷のフェアベルゲンを追い出され、魔物や帝国軍に追われている他のハウリア一族を助けてほしいと依頼する。ハジメは七大迷宮があると思われるハルツィナ樹海での道案内を条件に、渋々シアの頼みを聞くことにしたのだ。ハジメ達は大峡谷を通り、ハウリア族と共にハルツィナ樹海に着いた。そこでフェアベルゲンの警備隊と衝突しかけるが、長老の指示で案内される。フェアベルゲン長老衆の一人で、亜人族の中でも地位の高い森人族(エルフ)の長老である、アルフレリック・ハイピストはハジメを大迷宮の攻略者と認め、一行はフェアベルゲンへ案内される。長老会議ではハウリア族の処刑が議題になるが、ハジメの訴えで放免されることになった。その代わりに彼らはフェアベルゲンを出禁にされ、ハジメは彼らに戦闘訓練を行うことにした。しかし、大樹の元へ辿り着いたハジメは入口近くにあった石板から、4つ以上の七大迷宮の攻略の証と再生に関する神代魔法を所持していないと試練に挑めないことを知り、大樹の七大迷宮の攻略を保留してライセン大迷宮を目指すことにした。ブルックの町でハジメは冒険者ギルドで魔物の素材を売り、資金を調達して準備を整える。ある日、シアが大迷宮の入り口を発見し、一行は挑戦するのだ。ゴーレムと対峙し、ハジメ・ユエ・シアの連携で試練を乗り越える。ミレディから重力魔法や七大迷宮の情報、証の指輪を得て、シアを仲間に迎えて次の冒険に備えるのである。

新たな仲間達との冒険

ハジメ達はライセン大迷宮を攻略し、次の目的地であるグリューエン大火山へ向かうことに決めるのだ。ブルックを発ち、モットー・ユンケル商人の護衛をしながら中立商業都市フューレンへ向かう。フューレン支部長のイルワは、ハジメ達に北の山脈地帯で行方不明になったウィル・クデタの捜索を依頼する。ハジメは、貴族が関わっているため内密に処理する代わりにこの仕事を受けるのだ。ウルへ到着したハジメは、元の世界で学校の社会科教師であり、生徒達からは「愛ちゃん」「愛ちゃん先生」と慕われている、畑山愛子(ハタヤマアイコ)と再会し、愛子に自分の過去と真実を語る。ハジメは香織が生きていることを知り、クラスメイトの誰かが自分を殺そうとしたことを愛子に伝えたのだ。ハジメ達はウィルの捜索のために北の山脈地帯に向かい、清水 幸利(シミズユキトシ)を探していた愛子達も同行する。ウィルを見つけた直後、同行していた冒険者パーティが黒竜に襲われる。その正体は竜人族のティオ・クラルスであり、清水に操られていたことを告げる。ティオはウルの襲撃計画を止めるために力を貸すようハジメに頼むのだ。ハジメはウルに戻ると、愛子に魔物の大群と戦ってほしいと頼まれる。ハジメが絶望のどん底にいる時に何もできなかった自分の言葉は軽いかもしれないと前置きしつつも、故郷に帰ることを最優先にして自分と大切な人以外の一切合切を切り捨てる今のハジメの生き方はとても寂しくきっと誰も幸せになれないと忠告し、以前持っていた生来の優しさを捨てないでほしいと願う。どこまでも生徒を大切に想う愛子の言葉に心を動かされたハジメは、魔物の大群との戦いの準備を始める。ハジメはユエたちと共に、ウルに集結する魔物の大群を迎撃する中、清水が魔物の大群を指揮していたことに気づき、愛子の頼みを受けて彼を連れて帰る。しかし、清水は愛子を人質に取り、レイスによる水魔法を放つのだ。シアの未来視により危機を回避するも、愛子は毒針を受け、シアと清水も負傷する。ハジメは神水で愛子とシアを生き返らせるが、清水が自分の敵になると判断し、止めを刺す。清水を殺した理由を尋ねる愛子に対し、ハジメは「奈落の底で心に刻み付けられた、自分の敵に一切容赦しない、という今の自分の価値観はもう変えられそうにない」と話し、愛子の無事を祈りながらユエ・シア・ティオ・ウィルを連れてフューレンへと帰るのだ。ウィルを無事に連れ戻したハジメは、イルワからの依頼で金ランク冒険者の称号を手に入れる。ハジメは愛子を命懸けで守ってくれた礼として、シアと観光区で一日デートをするのだが、その最中で違法組織・フリートホーフから逃げ出した海人族の少女・ミュウを保護するのだ。ハジメはミュウを保安署に預けるが、そこが襲撃され、ミュウは再びフリートホーフに拐われる。フリートホーフはミュウを人質にしてシアの身柄を要求し、ハジメたちはそれに応じず彼らを壊滅させた。そして、再び保護されたミュウはシアの頼みもあり、ハジメ達がエリセンまで送り届けることになるのである。

ハジメとクラスメイト

ハジメが着々と経験を積んでいく一方、彼のクラスメイトで完璧な男・天之河光輝(アマノガワコウキ)たちも、冒険に勤しんでいた。オルクス大迷宮の90層に到着した光輝達は迷宮のいたるところが魔物の血で染まっているという異様な光景を目にするのだ。それを怪しむ光輝達の前に、待ち伏せしていた魔人族のカトレアが姿を現す。光輝がカトレアの魔人族側への勧誘を拒否したことで戦闘となるが、カトレアと彼女が率いる大量の凶悪な魔物の力に光輝達は圧倒され、パーティーの一部が重傷を負ったために命からがら撤退し、迷宮の一角に身を潜める。このままでは全滅は免れないと判断した一行は、パーティー随一の隠密性を持つ遠藤浩介(エンドウコウスケ)に70層にある30層への転移門を守っているメルドら王国騎士の元へこの情報を届け、応援を呼んでもらうことにしたのだ。一方、ハジメはイルワの手紙を支部長に届けるためにホルアドに立ち寄っていた。真のオルクス大迷宮に突き落とされる前のクラスメイト達との日々を微かに思い出しつつも、仕事を果たしてさっさと次の大迷宮へ向かうためにホルアドの冒険者ギルドへ向かうのだ。そして、そこで光輝達の救援のための人員をギルドで探し回っていた浩介と遭遇する。外見も内面を大きく様変わりしたハジメの姿に驚愕するも、自分の影の薄さに関するエピソードを知っていたことから本人だと理解し、ハジメが生き延びていたことに浩介は安堵する。浩介は光輝達が窮地に陥っていることをハジメに伝え、救援のために一緒にオルクス大迷宮に来てほしいと頼み込むのだ。だが、ハジメは既に光輝達への情を失っており、助けに行くことへのデメリットも想定されるため返答に思い悩むのである。しかし、愛子の言葉とかつて自分を守ると約束してくれた香織との会話を思い出し、香織を助けるために大迷宮へ向かうことを決意するのだ。迷宮の一角に隠れていた光輝達は、カトレアに見つかり、戦闘に突入する。メルドは最後の意地で自爆用の魔道具を用いてカトレアに一矢報いようとするも魔力を吸収する能力を持つ魔物に魔道具を無力化され、直後に致命傷を負う。倒れたメルドの姿を見た光輝は激昂し、限界突破を怒りで進化させて先程まで劣勢だった魔物を一掃しカトレアに襲い掛かる。しかし、彼女の恋人に祈りを捧げる姿に躊躇してしまい、重傷を負ってしまう。なす術をなくした香織は己の死を悟り、ハジメの名を口にするのだ。その時、駆け付けたハジメがパイルバンカーで魔物にとどめを刺すのである。香織はハジメが以前の面影がほとんど無いにも関わらず一目で彼だと見抜いた。当初はカトレアを躊躇なく殺せるほど変わり果てたハジメに困惑するが、ユエ達の様子を見て本質的な優しさは変わっていないことに気付き、ハジメの傍らにいたい思いから彼に告白し、そのまま強引に彼に付いて行くのだ。光輝は駆け付けたハジメ達に助けられるが、ハジメの強力な魔物を一蹴する実力に嫉妬するのだ。カトレアを躊躇わず殺せたことに自身が人の死を見たくなかった気持ちを論点をずらし、筋違いな非難をしたため、ハジメ達に呆れられる。生還後、香織がハジメに付いて行こうとしたことに愕然とし、香織のハジメへの好意を知るとそれを認められずご都合解釈が暴走してハジメに決闘を挑もうとしたが、まともに相手にされないまま落とし穴で一蹴されるのである。パーティーに香織を迎え、ミュウの故郷である海上の町エリセンを目指し、グリューエン大砂漠を横断していた。途中で、サンドワームに襲われていたアンカジ公国のビィズを救出する。彼らが悩んでいた水質汚染の問題を解決するため、静因石という鉱石が必要で、グリューエン大火山にあるというのだ。グリューエン大火山で魔人族のフリード・バグアーから「 空間魔法」による奇襲で極光のブレスを受けることになるが、クロスビットの自爆攻撃とティオの竜巻で難を逃れるのだ。グリューエン大火山で入手したペンダントと月が、メルジーネ海底遺跡の位置を示す鍵となる。メルジーネ海底遺跡を攻略し、ハルツィナ樹海を目指す一行は、街道でハイリヒ王国の王女リリアーナと再会する。愛子が誘拐されたことから、ハジメたちは聖教教会の総本山である神山に向かい、神の使徒と対峙するのである。激しい戦いの後、ハジメ一行はリリアーナたちを伴い、飛空艇フェルニルで帝都を目指すのだ。

『ありふれた職業で世界最強』の登場人物・キャラクター

主人公

南雲ハジメ(なぐも はじめ)

CV:深町寿成

異世界に召喚された17歳の高校生で、本作品の主人公だ。天職は非戦闘職の「錬成師」。オタク趣味を持ち、ゲームクリエイターの父親の会社や少女漫画家の母親の作業現場でバイトをしている。現実でも異世界でも最弱として見なされ、奈落の底へ突き落とされてしまう。左腕を失いながらも生き延び、自らを追い詰めた現実に立ち向かうべく成長していく。彼の家族構成は父親と母親だ。

ヒロイン

ユエ

CV:桑原由気

本作のメインヒロインであり、看板キャラクターでもある。彼女は吸血鬼族の生き残りであり、吸血鬼族の元女王である。金髪と紅い瞳を持つ12歳くらいの少女の姿をしているが、実際は323歳。クールな性格で口数は少ないが、年上の貫禄もある。ハジメとの出会いで心を通わせ、相思相愛の仲になる。神「エヒト」に憑依される運命にある彼女は、300年前からエヒトにとって最適な憑依の対象であった。この危機を防ぐため、ユエの叔父であるディンリードは彼女を封印するのだ。

シア・ハウリア

CV:髙橋ミナミ

シアは亜人・兎人族の一部族であるハウリアの族長の一人娘で、本作のヒロインの1人。天職は「占術師」だ。16歳の彼女は容姿もスタイルも抜群であり、良くも悪くも周囲から注目される存在だ。彼女は生まれつき亜人が持つべきではない魔力を持ち、そのため一族によって隠されていた。ハジメに救われた後、彼と共に旅に出る。元気いっぱいで明るい性格だが、調子に乗りやすく図々しい一面もある。ハジメに対する好意は恩義以上のものに成長し、彼女の一途な想いは次第にハジメの心を掴んでいく。彼女は魔力操作と未来視の固有魔法を持ち、身体強化による卓越した戦闘能力を発揮する。その後、ハジメから特別な存在と認められ、彼の仲間として大切にされるようになる。

ティオ・クラルス

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