口が裂けても君には(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『口が裂けても君には』(くちがさけてもきみには)とは、日本の漫画家・梶本あかりによる漫画作品。2020年11月から2023年12月まで集英社のWeb漫画アプリ『少年ジャンプ+』で連載をしていた。日本の怪談を題材にしていながら、ホラー感は薄く、男子高校生と口裂け女のラブストーリーが主軸である。
口裂け女のみろくは、ひょんなことから茶乃紅一という男子高校生に嫁ぐことになった。紅一は何故か結婚に乗り気。だがみろくのほうはそうでもない。それからみろくが紅一に振り回される日々が始まった。

『口が裂けても君には』の概要

『口が裂けても君には』(くちがさけてもきみには)とは、日本の漫画家・梶本あかりによる漫画作品。2020年11月10日から2023年12月19日まで集英社のWeb漫画アプリ『少年ジャンプ+』で連載をしていた。スクウェア・エニックスの『ヤングガンガン』に掲載された同名の読切漫画がプロトタイプとなっている。単行本2巻が発売された時は、それを記念してボミック(ボイスコミック)化された。日本の都市伝説・怪談を題材にしていながら、ホラー感は薄く、男子高校生と口裂け女の異色ラブストーリーが主軸。

人々に語られ世に広がることで誕生する「逸話モノ(いつわもの)」。”「逸話モノ」の女王”と言われる「口裂け女」のみろくは、時代が経つに連れて人々に語られなくなり、消滅の危機に瀕していた。そこでみろくは、強い言霊の力を持つお家・茶乃家(さのけ)の六代目当主である茶乃紅一(さの こういち)という男子高校生に嫁ぐことになる。みろくと紅一は初対面のはずなのに紅一は何故か結婚に乗り気。しかし自分自身の力で再び人々に語られるようになりたいと思うみろくは、この結婚に納得がいかなかった。それからみろくと紅一の互いに振り回したり振り回されたりする日々が始まるのだった。

『口が裂けても君には』のあらすじ・ストーリー

みろくと紅一の不毛な戦い

人々に語られ世に広がることで誕生する「逸話モノ(いつわもの)」。一時は社会現象にもなった「口裂け女」のみろくは、時代が経つに連れて人々に語られなくなり、消滅の危機に瀕していた。強い言霊の力を持つお家・茶乃家(さのけ)は「逸話モノ」の管理もしており、力が弱まった「逸話モノ」は茶乃家に嫁ぐことで消滅を脱することが可能。そこでみろくは茶乃家の六代目当主である茶乃紅一(さの こういち)という男子高校生に嫁ぐことになった。みろくと紅一は初対面のはずなのに紅一は何故か結婚に乗り気。自分自身の力で再び人々に語られるようになりたいと思うみろくはこの結婚に納得がいかなかった。そこで1年間許嫁としてお試しで同棲をし、その間にみろくが紅一を怖がらせることができれば、紅一のほうから婚約を破棄するという勝負をみろくは持ちかける。紅一はそれを了承し、その代わりにこの1年、自分はみろくに好きになってもらえるように口説きにかかると条件を出した。みろくが紅一を怖がらせるのが先か、それとも紅一がみろくを恋に落とすのが先か。ここからみろくと紅一の互いに振り回したり振り回されたりする日々が始まる。

茶乃の屋敷には紅一の用心棒兼お世話係であるウダや女中のサヤも同居していた。2人はみろくと紅一の不毛な戦いをあたたかい目で見守る。茶乃の屋敷には、みろくと紅一の結婚を認めないというみろくの弟である「逸話モノ」・「地獄耳の生ける屍」のミコトが紅一に勝負を仕掛けにやってきたり、人間が嫌いな「逸話モノ」・「ドッペルゲンガー」の覚(サトル)が人間に嫁ぐみろくが気に入らないと襲撃を仕掛けてきたりと賑やかだ。そんな賑やかな日々の中で、みろくは(自分では全く認めようとしないが)着実に紅一へと堕ちていくのだった。

結婚しましょう

ある晩のこと、紅一が寝付けずに夜中に目を覚ますと、屋敷の庭にある池にみろくが浮かんでいた。そのみろくは自分が消滅しかかっているのに、どうしてもっと早く助けてくれなかったのと紅一を責める。それは人に幻を見せる「蜃気楼(しんきろう)」の蜃(しん)という「逸話モノ」の仕業だった。紅一は頭ではそのみろくが偽物だと理解していたが、責められている内容に心当たりがあったため、目の前の偽物のみろくを激しく拒絶。”消えてくれ”と口にしてしまった。すると偽物のみろくは姿を消す。次の瞬間、紅一は自室へと戻っており、今見たことは幻だったのかと眠りにつく。

次の朝、屋敷にみろくの姿がなかった。紅一は女中のサヤにみろくがどこにいるのか尋ねる。するとサヤは「みろくとは誰か?」と言った。サヤはみろくのことを全く覚えていなかったのだ。紅一は背筋が凍る思いがした。昨晩自分が発した”消えてくれ”という言葉が現実になってしまったのか。茶乃家の当主などは口にした言葉が全て現実になってしまうほど言霊の力が強かったというが、紅一自身はそれほど強い力を持っていない。紅一はひとまずみろくを知る学校のクラスメイトに電話で連絡する。しかし皆一様にみろくのことを覚えていなかった。

そんな中、覚だけはみろくのことを覚えていた。覚は紅一を「逸話モノ」が住む空間へと連れて行ってくれた。するとそこにはみろくがいた。紅一はみろくが消滅していなかったことに安堵する。そしてこの一件がみろくが計画した逆プロポーズ作戦だったことを聞かされた。紅一が好きだと自覚したみろくは、紅一に「結婚しましょう」とプロポーズする。こうしてみろくと紅一は互いが認める恋人同士へとなるのだった。

茶乃家の歴史

紅一が屋敷に1人でいると、みろくの友達の「逸話モノ」・「七丁目の八尺様」のビヲラが尋ねてきた。ビヲラは紅一に結婚祝いを渡す。すると中から出てきたのは、先日紅一の前に現れた蜃だった。蜃は紅一に精気を吸い取る仮面をつけ、深い眠りに落とす。屋敷に帰ってきたみろくやウダ達は、蜃が入っていた贈り物を持ってきたビヲラを問いただす。ビヲラは蜃はただ遊んでいるだけだと言う。紅一がつけられている仮面と対になる仮面が屋敷の中に隠されているので、それを見つければいいと言った。紅一は危機的状況にあり、このまま精気を吸い続けられれば、明日には死んでしまうという。みろく達は仮面を探すために屋敷に散った。

蜃を見つけたみろくは、仮面を渡すように蜃にすごむ。しかし仮面は”彼女”に預けてしまい、自分は仮面の場所はわからないという。蜃はみろくに自分の原点でもある”彼女”に会い、自分を知り、仮面を見つければいいと言った。そして蜃はみろくの原点となる”彼女”――茶乃家初代当主・茶乃魅緑(さの みろく)の幻を見せる。魅緑の過去を見て、みろくは茶乃家の歴史を知った。その末に紅一を無事に目覚めさせることに成功するのだった。

結ばれたみろくと紅一

ある日、みろくは紅一とケンカをした。その後すぐに紅一は修学旅行に行ってしまう。モヤモヤしたみろくは仲直りをしようと紅一を修学旅行先まで追いかけていった。狗川達とも合流して一頻り旅行を楽しんだ後、バスに乗って旅館へと向かう。しかしみろくと紅一は寝過ごしてしまい、気づくとバスは海辺の町まで来ていた。狗川達が先生を誤魔化してもらい、紅一とみろくは次のバスで旅館のある町まで戻ることにする。バスが来るまでの間、みろくと紅一は浜辺でデートをし、そしてその場で2人だけの結婚式をあげるのだった。

やがてみろくと紅一は正式に結婚。10年の時を経て、3人の子供を授かっていた。今までもこれからも、2人は大好きな人達に囲まれて幸せに暮らすのだった。

『口が裂けても君には』の登場人物・キャラクター

主要人物

みろく(口裂け女)

CV:丸山美紀(ボミック)

『口が裂けても君には』の主人公。都市伝説の「口裂け女」から生まれた「逸話モノ」。かつて社会現象を巻き起こした都市伝説であり、”「逸話モノ」の女王”とまで言われた存在だったが、時が流れ、その存在が弱くなっていた。「自身の力を復活させるために強い言霊の力を持つ家系・茶乃家の当主である茶乃紅一の元に嫁ぐことになる。紅一と結婚することに納得がいかず、婚約を破棄させるために最初は奮闘していたが、次第に紅一に惹かれていくようになる。

茶乃紅一(さの こういち)

CV:比上孝浩(ボミック)

『口が裂けても君には』のもう一人の主人公。強い言霊の力を持ち、「逸話モノ」を管理してきたお家の当主。17歳とは思えない大人っぽさがある青年で、みろくのことが大好き。みろくは覚えていなかったが、紅一は幼い頃にみろくに会ったことがあり、その時にみろくに一目惚れ。以来ずっと恋い焦がれてきた。「口裂け女」という都市伝説が語られなくなり、みろくの力が弱まってきたため、みろくが茶乃家に嫁ぐことになる。結婚に乗り気ではないみろくに、1年の内に自分を怖がらせることができたら婚約を破棄するという約束をし、反対に自分はみろくを恋に落とすように口説くと宣言した。

茶乃家とその関係者

ウダ

茶乃家に仕える男性。実は「烏蛇(からすへび)」という「逸話モノ」で何十年も茶乃家にいる。当主である紅一の用心棒兼お世話係で、料理がとても上手。茶乃家の女中・サヤと結婚しており、サヤが年老いておばあちゃんになってもメロメロ。

「烏蛇」は、西洋の逸話「メドゥーサ」から生まれた「逸話モノ」で、メドゥーサと同じく、目を合わせて睨まれると相手は石化してしまう。昔は黒い髪先に無数の蛇の頭を持っていた。

冴夜(サヤ)

茶乃家の女中。ちんまりとしたかわいらしいおばあちゃん。茶乃家三代目当主・語の養女として引き取られ、当主が紅太朗に変わってからも女中として茶乃家に仕えていた。

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