GARAGE ガラージュ(Bad Dream Adventure)のネタバレ解説・考察まとめ

『GARAGE ガラージュ(Bad Dream Adventure)』とは1999年にキノトロープが開発して、東芝EMIから販売されたPC用ゲームのことである。初版数が3000枚と少なかったことから入手困難なゲームとして扱われていたが、2021年12月にスマホアプリ版がリリースされたことで話題となった。物語は精神治療装置「ガラージュ」にかけられた男性・ヤンが自身の精神世界からの脱出を目指すというものである。機械と汚水に塗れた世界、個性の強い住民たち、精神治療という独特なテーマが魅力となっている。

精神治療装置ガラージュを使用した男性。オープニングに登場して以降名前のみの登場となっていた。女性に優しい性格であったようで、ヒロインたちとの過去に出るヤンの姿は不器用ながらも優しく接している。

幼い頃に道代と出会い、一緒に遊んでいた。しかし、異性と遊んでいることを他の子どもにからかわれたことで喧嘩に発展。喧嘩に負けてしまい、ドブ川に突き落とされてしまう。この時、大事にしていた運動靴がドブ川に沈んでしまったことを引きずっていた。ガラージュ内での原想体が運動靴であったことから、相当大事にしていた模様。その後、学生時代にレイコに出会い、レイコを庇ったことをきっかけに壮絶ないじめを受けるようになる。さらに進むと、シャンと出会い、交際するようになるが心に抱えたトラウマが原因となり関係はうまく行かず破綻してしまった。
時期は定かではないが、ルウとの出会いは人生に大きな影響を与え、彼女との交流、彼女の死は大きなトラウマとなってしまっている。少なくともシャンとの関係はルウの後だと推測される。精神治療に踏み切った理由は明かされていないが、ルウとのことが大きかったのが作中の描写から伺える。

ガラージュ内では、自身最大のトラウマであるルウと同一の存在であるジュースを恐れていた。恐れが強すぎるあまり、ヤンの暴力的な面が強くなってしまう。新世界での「シャドーマーダーショウ」や立ち入り禁止区域に設置したプレスマシンなどは、ヤンの暴力性の現れである。しかし、どこかで暴力を嫌っていたのか、トラウマによるものなのか、ヤンは主人公と分裂してしまう。分裂したあとは記憶を無くして、シェンと名乗っていた。

主人公に敗れてからは、主人公としてルウに向き合うことでトラウマを乗り越えて、ガラージュでの治療を終えた。

ヒロイン

レイコ

白瓦斯屋に居る雌機械。気の強い女性でよく喋る。ギムノンから好意を寄せられており度々蟹缶を送られているが、しつこい男は嫌いという理由でギムノンに興味が無い。また、貰った蟹缶は溜め込んでいて、ジュースがいなくなったときに、ちょっとずつ出して食べていた。蛙の好みは他のヒロインたちに比べて王道のものを好む。特に好きなのは白子キュウスイの雌。

主人公が来る前は、ヤンによって行われていた「シャドウマーダーショウ」に自身のカゲと共に出演していた。演目のひとつである「ファイヤーショウ」のポスターにレイコらしき雌機械が描かれているため、おそらくこのショウに参加していたと思われる。見世物としてショウに参加していたころの記憶はアインによって消去されている。

現実世界のレイコはヤンと学生に頃に知り合った。勝ち気な性格が影響しているのか、クラスに馴染むことができずにいじめを受けて精神的に疲弊していた。レイコを虐げるクラスメイトたちを止めたのがヤンであったが、標的がヤンに移ってしまい彼が虐げられるようになってしまう。レイコには止める勇気がなく、傍観してしまうがヤンが大怪我を負ってしまい後悔と自責の念に駆られて見舞いに行ったが、ヤン「がっかりだよ」と言われてしまう。そして、自身にも世界にも「がっかり」してしまった。

レイコルートでは主人公を見て新しいことをやってみようと思い、主人公の家にやってきて同棲を始めるなど心境の変化が起きる。ジュースがいなくなり、雄機械たちの暴動によってシャンと道代が解体されてしまった際には大きな怒りを見せた。そして、怒りを抑えきれず雄機械たちを破壊して回った。最後はシャンたちと過ごした白瓦斯屋に戻り、主人公と2人きりの少ない時間を過ごしてから解体してしまった。主人公が現実世界に戻るときに再度現れて、「起きてしまったことをすべて受け入れる」「苦しくても難しくてもすべて受け入れると決めた」「そうしなければ、いじめっこと同じになってしまう」「いじめっことおなじになってしまっては、それこそがっかり」だと過去を乗り越える様子を見せた。

ちよのような面倒見のいい女性が好きなようで、彼女をカッコいいと評するなど憧れのようなもの抱いている。好感度を上げるとシロガネの抜け殻をくれる。

ガラージュ内で雄機械たちに行った行為は、本来いじめてきたクラスメイトにしたかったことだったが、やる勇気も力もなかった。また、暴力という行為自体が間違っていることも心のどこかでわかっていたようだ。

シャン

白瓦斯屋にいる雌機械。落ち着いた性格で、丁寧な喋りをする。口数が少ないように見えるが、実はお喋りな一面も持つ。味の濃い蛙が好きで、身の少なそうなものや外見が硬そうであっても食べる。

主人公が来る前は、ヤンによって行われていた「シャドウマーダーショウ」に自身のカゲと共に出演していた。見世物としてショウに参加していたころの記憶はアインによって消去されている。見世物時代に身体のパーツを換骨手術によって組み替えられているため、順応堂で順応度を回復しようとした際に身体の規格が合わず、順応器に入れなかったことを恥ずかしがっていた。代わりに乗った木馬は気に入ったようで楽しそうにしていた。

現実世界でヤンと出会ったのは大人になってからであるため、道代やレイコと違い、大人びた印象が強い。かなりの優等生であったらしく、シャン曰く「誰からも褒められて」、「いろんな期待をされていた」らしい。しかし、内心では、失敗をして嫌われたり、期待応えられないことに怯えていた。本が好きで、そのなかでも特に気に入っている1冊は、何度も読み返しては本の自分とはまるで性格の違う主人公になったような感覚で自分を癒やしていた。ヤンを見たときの印象はお気に入りの本の中の住人であるかのような、自由な人と感じていた。そして、自分とは全く違うヤンに惹かれ、ヤンも彼女を受け入れた。
ヤンの影響を受けて変わったシャンから人が離れていったが、ヤンの方が大事であった。しかし、そのうちヤンに心の内を疑われるようになり、ヤンの心の不安を取り除こうと努力した。ヤンの心についた深いキズを癒やすことができなかった。さらにヤンからの当たりが強くなり関係は破綻してしまった。

エヌサンと仲が良く、本田の話をよく聞いている。好感度を上げると給水塔の近くで拾ったという透明なガラス玉をくれる。

シャンルートでは不変であった白瓦斯屋での日々が主人公によって変わるかもしれないと「変化」に対して前向きな姿勢を見せた。ジュースがいなくなったあとは、雌機械たちが解体してしまい、最後の雌機械となってしまう。そして、雄機械たちの暴動から身を守るために集めていた丈夫な板を使い、主人公の部屋で2人きりで立てこもることを決意した。やがて順応度が減っていき、解体してしまった。主人公が現実世界に戻るときに再度現れて、現実世界でのヤンが言った「信じるというのはわからない」「信じてもらうということがわからない」という気持ちは、実はシャンも感じていたものだったと語った。そして、ガラージュ内でヤンと正面を向いて気持ちを通じ会えたことを喜んだ。

道代(みちよ)

白瓦斯屋の雌機械。おどおどしたような言動が多い気弱な性格。レイコやシャンに比べるとどこか幼さを感じるが、年齢的には変わらないとのこと。蛙は内臓系の味が濃いものを好むため、ウリブールから「変わっている」と評されている。

主人公が来る前は、ヤンによって行われていた「シャドウマーダーショウ」に自身のカゲと共に出演していた。見世物としてショウに参加していたころの記憶はアインによって消去されている。

現実世界ではヤンと、幼少期にタイルを拾って遊んでいるときに出会った。そして、一緒にタイル拾いをしたことをきっかけに友人となる。道代は家になにかの問題を抱えていたようで、家に居場所がなかったと語っている。ヤンと遊んでいる最中にやってきた男子とヤンが喧嘩してしまい、ヤンだけがドブに落ちてしまったので道代が助けた。しかし、ヤンが大事にしていた運動靴がドブに沈んでしまったことをきっかけにヤンが意気消沈してしまい、道代はヤンという居場所を失ったことに絶望した。

道代ルートでは、ジュースがいなくなってしまったことで雄機械が押し寄せてパニックに陥っている白瓦斯屋を見てショックを受けてしまう。その後、襲われないようにと宮のところの釣り場に身を隠した。しかし、順応度を回復することができず、解体してしまう。主人公が現実世界に戻るときに再度現れて、酷い世界で悲惨な目にもあったが、自分で行動して、少しだけ笑い、主人公と一緒に暮らして楽しかったと語った。ガラージュ内で臆病な自分から成長したことを感じた。

ジュース

白瓦斯生成機として改造を施された雌機械。白瓦斯不足を補うためにヤンの提案のもとに施された改造のせいで異様な姿形になっている。世界を作ったヤンをも凌駕するほどの順応度を誇っており、それ故にヤンから恐れられていた。その順応度の高さは周囲を巻き込むほど強く、リズが近づいた際には失明してしまった。今は世界の大半を賄えるほどの白瓦斯を生成することで、順応度を抑え込んでいる。

巨大な腹に大量の白瓦斯を溜め込んでおり、配管を通してハジメや各店長たちに給油されている。白瓦斯生成のための食事はシガーによって賄われており、蛙や蟹をミキサーで砕いてから流し込まれる。改造される前は普通の雌機械と同様の姿であったようだが、今は見る影もない。

ジュースルートでは、他ヒロインルートとは違い下がっていた順応度が回復する。しかし、それ故にジュースは苦しみ、ヤンへの恨み言とも取れる発言を多くするようになる。改造されて固定されているためどこにも行けないことにも苦しみ、苦しみから逃げるために順応度が下がるノイズの楽譜を好むようになる。そして、最終的にノイズの楽譜で主人公を道連れにしたあと、壊れた世界の先を作ってそこで主人公と終わりを目指す。

実はルウとは元々一つの存在であったが、プシケによって割かれたことでジュースという個体になった。現実世界でのジュースは家族から虐待されており、それが原因で自分を暴力や暴言のはけ口という意味でゴミ箱だと思うようになってしまった。長らくそのような環境下で生きていたため、空想の中に逃げ込む癖が出来ていた。そして、家族に捨てられ絶望してたところを保護されて施設に入ることなった。そんなときにヤンと出会い、彼と打ち解けて好意を伝えられるようになった。しかし、自分をゴミ箱だという歪んだ認識は治らず、またゴミ箱としてしか居場所を確保するすべを知らなかったために、ヤンにも「私にゴミを捨てますか」と聞いてしまい、ヤンを怒らせてしまった。そして、ヤンの中にあるトラウマ、過去を自分に吐き出させようとして、お互いに傷つけ合う形になってしまった。現実世界では亡くなってしまっていることがヤンの夢日記に書かれている。

順応堂

ギムノン

順応堂の店主をしている雄機械。フランクな性格で主人公にも気さくに話しかけてくれる。順応器の昇降機や木馬の操作から、冷却室や病室の管理など様々な業務をこなしている。レイコに片思いをしており、レイコのために蟹味噌をプレゼントしているが、当のレイコ本人からは嫌われている。また、レイコが主人公と同棲した際には、嫉妬するような姿を見せたあとヤケクソ気味にシャンの乗り換えるというような発言をしている。

釣りが好きで、そのために身体改造をステージ3まで終わらせている。しかし、肝心の釣りの腕はあまりよろしくないらしい。また、船乗りに憧れていたようで、順応堂にある木馬を船に見立てて船乗り気分を味わうというお茶目な一面をもつ。

ジュースがいなくなるルートでは、白瓦斯を給油できずに解体してしまうかもしれないという恐怖からヤケを起こして、他の雌機械を襲うような行為に走ってしまっている。

ブルカニロ玩具店

ブルカニロ

玩具を制作している雄機械。「音」に魅せられたことがきっかけでオルゴールを作った。主人公の持っているオルゴールもブルカニロ製である。性格は温厚で主人公にも優しく接してくれる。
ガラージュ内での玩具の需要が無くなってしまったこと、玩具のアイデアが出ないことを嘆いている。

本田走行装置製作所

本田(ほんだ)

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@yabuki_nekor8

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