姫ちゃんのリボン(姫リボ)のネタバレ解説・考察まとめ

『姫ちゃんのリボン』とは水沢めぐみによる少女漫画。1990年8月から1994年1月まで集英社『りぼん』で連載され、テレビアニメ・小説・ミュージカル化もされた。オテンバな中学生・野々原姫子は、魔法使いのエリカから他人に変身できる「魔法のリボン」を貸してもらい、人間界と魔法の国での様々な騒動に直面していく。物語序盤は軽率な行動も多い姫子だが、騒動を通じて成長していく姿が楽しめる学園、恋愛、魔法など、多くの要素を持った作品である。

『姫ちゃんのリボン』の概要

『姫ちゃんのリボン』とは1990年8月から1994年1月まで集英社『りぼん』で連載された、水沢めぐみによる少女漫画作品。連載当時のキャッチコピーは「めぐタンのふしぎワールド」で、めぐタンとは作者の水沢を指す。コミックスは番外編1巻を含めた全11巻で、集英社文庫版全6巻、コバルト文庫より小説版全7巻が発売されている。テレビアニメは1992年10月から1993年12月までテレビ東京で放映された。また2009年10月から集英社『りぼん』に2010年12月まで、水沢めぐみ原案、込由野しほ作画によるリメイク版である『姫ちゃんのリボン カラフル』が連載された。
男勝りな中学1年生の野々原姫子(ののはら ひめこ)は、突然現れた魔法の国の王女エリカの修行に付き合う代わりとして、他人に変身できる「魔法のリボン」を貸してもらう。変身中に本人と鉢合わせしてしまったりと様々な騒動を巻き起こすが、一方で同級生の小林大地(こばやし だいち)やお供役のぬいぐるみ・ポコ太(ぽこた)と共に事件を解決していく。
当初は自分の男勝りな性格にコンプレックスを抱き、初恋相手の先輩と付き合うおしとやかな姉に憧れていた姫子だが、リボンの力で騒動をくぐり抜けていく中で次第に自分に自信を持ち、成長していく姿は見所である。
「誰にでも変身できる赤いリボン」「ピンチの時に助けてくれるヒーロー大地の存在」といった女子が憧れる要素が『りぼん』の主な読者層である小中学生から絶大な支持を得た。また姫子たちが住む街のモデルになった国立駅や立川市の公園はファンの間で聖地となっている。

『姫ちゃんのリボン』のあらすじ・ストーリー

魔法のリボンでトラブル多発

中学1年生の野々原姫子(ののはら ひめこ)はオテンバで男勝りな女の子。ある日、同級生の小林大地(こばやし だいち)に「お前、女なんだ」と言われ、怒った姫子は大地に飛び蹴りをする。その場を片想い中の先輩・支倉浩一(はせくら こういち)に見られ落ち込む姫子の目の前に自分と全く同じ顔をした少女が現れ、魔法の国の王女エリカと名乗る。
エリカは修業の一環として、自分と同じ顔をした人間である姫子を1年間観察させてほしいと告げた。その代わりに他人に変身できる「魔法のリボン」を貸してくれるという。姫子がリボンを身につけると、いつも一緒のライオンのぬいぐるみ・ポコ太(ぽこた)が動いて喋れるようになり、行動を共にすることになった。

早速憧れのおしとやかな姉・野々原愛子(ののはら あいこ)に変身し街へと出かける姫子だが、偶然出会った支倉に愛子と勘違いされ告白される。この告白が起因となり本物の愛子と支倉は付き合い始め、姫子は失恋。学校の立ち入り禁止場所である屋上に続く階段で1人落ち込み涙しながら眠ってしまった姫子だったが、そこに大地がやってくる。大地は見回りをしていた教師の五利(ごり)から姫子を咄嗟に匿おうとする。だが目覚めた姫子は見つかり大地と逃げ出すが、途中でリボンを破いてしまい変身の力がなくなってしまった。ポコ太もぬいぐるみに戻ってしまい姫子は落ち込むが、エリカからリボンは自然に直ると伝えられ安堵する。しかし今度は大地と学校内で噂になってしまい、大地のファンクラブ会長である日々野ひかる(ひびの ひかる)に目をつけられてしまう。

知られてしまうリボンの秘密

姫子は大地に変身してひかるの誤解を解くが、本物の大地にも遭遇。大地の注意を逸らし、その場から上手く逃げ出した姫子だったが、大地は姫子が変身できるのではと疑い始める。リボンや魔法の国の事が第三者に知られた場合、観察の修業は中止となり魔法の国に関する姫子と関係者らの記憶は消され、ポコ太も元のぬいぐるみに戻ることになっていた。姫子が口封じに大地の弱みを握ろうと周辺を調べていたある日、大地の弟・小林森太郎(こばやし しんたろう)が誘拐される。大地と共に犯人の元に乗り込んだ姫子は、大地の前で森太郎に変身。森太郎が逃げ出したふりをして犯人の気を逸らし、大地に本物の森太郎を救出させる。犯人に捕まった姫子は銃を突きつけられるが、今度は犯人に変身し犯人は驚いて気絶、無事に逮捕されたのだった。魔法の国では姫子以外の人間にリボンの力を知られた事が大問題となるが、エリカの父である魔法の国の王は、大地が秘密を絶対に話さないという事を条件として修業の続行を決めるのだった。

その直後、姫子の中学校に有坂静(ありさか せい)という少年が転校してくる。静は魔法の国の名家の息子で本名をセイ・アレイといい、エリカの婚約者候補だったものの結婚を嫌がり、正体を隠して人間界にやって来ていた。セイは幼馴染のカミル・ランドと「姫子の魔法のリボンを奪えるか」という賭けをしており、姫子に近づくため好意を示して油断させる。一方、大地はセイが来てから周りで不可思議な出来事が起こり始めたため、セイが魔法の国の人間なのではないかと疑い姫子と仲違いする。しかしセイの魔法で体の動きを止められ、リボンを奪われそうになった姫子を大地が助け、姫子はリボンを守ることに成功。騒動を起こしたセイは実家から勘当され、人間界でそのまま暮らすことになる。

セイは姫子が軽率にリボンの力を使うことに注意を促すが、姫子は聞き入れず部活動勧誘のため人気芸能人である西川ミナト(にしかわ みなと)に変身して全校生徒の前に登場する。変身した姫子はミナトの大ファンであるひかるに街中まで追いかけ回され、2人でいるところを週刊誌の記者・谷口(たにぐち)に写真を撮られてしまう。写真データは大地が上手く消去したが、ひかるはミナトに変身した姫子がリボン型のペンダントをしていることに気づく。
ひかるはミナトがリボン型のペンダントをしていたこと、自分の名前を知っていたことに違和感を抱くが、ミナトが偽物のそっくりさんだったと思い込んだため姫子は難を逃れた。しかしその数日後、ひかるはポコ太が動いて喋っているところを目撃、さらに大地に変身した姫子に遭遇した際、ミナトと同じペンダントをしていることに気づく。ついにひかるは姫子が変身できるのではないかと疑い始めるのだった。

元の姿に戻れない姫子

ひかるが谷口と共謀して姫子の変身の力を公にしようとしていたため、姫子は事前に食い止めようとひかるに変身して谷口に会いに行く。だがそれはひかると谷口の罠だった。ひかるに変身した姫子が谷口との待ち合わせ場所に向かうと本物のひかるも待ち構えており、谷口が2人の写真を撮ろうとする。姫子が思わず顔を覆ったその瞬間、時が止まった。危機一髪のところでエリカがやって来て魔法で時間を止めたのだ。ほっとする姫子だったが、時間を止めたせいで変身の制限時間が短くなり、ペンダントのアラームが鳴り始めた。急いで戻ろうとする姫子はエリカに時間を動かすように頼むが、魔法は効かなくなっていた。エリカが魔法の国の掟を破って人間界にやって来てしまったためだった。そして制限時間切れになった姫子は元に戻れなくなる。エリカは父に姫子を元の姿に戻すよう懇願するが彼は「元には戻れない」と言い、エリカには罰として人間界でしばらくの間暮らすよう命じた。ひとまず姫子はエリカと一緒に大地が隠れ家として使っていた廃屋に身を寄せる。大地が今までに旅した場所を記した地図を置く秘密基地のような場所だ。駆けつけた大地は姫子を元気付け、その後ひかるに対して変身やポコ太のことを上手く誤魔化したため、ひかるは馬鹿らしくなり姫子を追うことをやめた。そして姫子が元に戻れるまで、顔がそっくりなエリカが姫子としての生活を始める。

姫子は大地とエリカの協力を得て元に戻る方法を探すが、一向に見つからない。そんな生活が続いたある日、姫子は土砂崩れによる落石から身を挺してエリカを救い、心臓が止まってしまう。すると次の瞬間、姫子は元の姿に戻り息を吹き返した。後に「死ぬ事が元の姿に戻る方法」であった事が判明し、1度死んだ姫子は幸運にも息を吹き返したことで、本来の姿で再び生きる事ができたのだ。そしてエリカは父である王に連れられ魔法の国へと戻っていった。

姫子はエリカを助けた礼として魔法の国に招待される。そこで姫子は魔法の時計・くも助により3年後の世界へ旅立ち、未来の自分や大地に会う。3年後の世界でひかるに追われた姫子は少し大人っぽくなった大地に体の大きさを変えられる「魔法のキャンディー」を使って助けられる。姫子本人も髪が伸びて見た目は少し女らしくなっていたのだった。一方ポコ太は魔法の国に住む猫のぬいぐるみ・ピンクと出会い一目惚れをする。魔法の国を堪能した姫子はお礼の品としてもらえる魔法のアイテムの中から、3年後の自分を助けるため「魔法のキャンディー」をもらい、人間界へ戻るのだった。

廃屋と開かずの扉

魔法の国に住む大地そっくりな少年カミル・ランドが発明した惚れ薬によって、ピンクが眠り込んでしまう。眠りを覚ますためには「ピンクを愛する人がキスをする」か「愛し合う2人がピンクの上で手を合わせる」しか方法がない。ピンクは人間界のポコ太の元へ届けられることになったが、途中で行方不明になってしまう。ピンクはおもちゃ屋に拾われクリスマスプレゼントとして五利の娘・重美(しげみ)の手に渡っていた。姫子は重美にピンクを譲って欲しいと直談判するも断られ五利に変身してピンクを取り返そうとする。しかし五利が子供から慕われる父としての姿を垣間見ることになり断念。その後、ピンクが目を覚ますにはポコ太のキスだけでなく愛し合う2人の協力も必要だということがわかり、姫子は協力してくれるカップルを探すが上手くいかない。そんな中、五利の家が火事になり、取り残された重美とピンクを助けるため姫子とポコ太は火の中に飛び込んでいく。姫子は重美とピンクを発見するが足が挟まり逃げられなくなる。一方、学校では五利に家が火事になったことが知らされ、頭に赤いリボンをつけた女子生徒が家の中に入っていったと騒ぎになっていた。それを聞きつけた大地は姫子を助けに向かう。炎の中で偶然にも意識を失ったポコ太とピンクがキスをし、大地が姫子の手を握った瞬間が重なると周囲は光に包まれた。そしてピンクは目を覚まし、突然の大雨で無事火事は収まった。その後、重美は火事から自分を救おうとしてくれたことのお礼として、姫子にピンクを渡すのだった。

ある時、小説家である姫子の母・野々原花子(ののはら はなこ)の作品が映画化されることになった。その小説は大地が隠れ家として使っている廃屋を元に書かれたものだった。映画のロケもその廃屋で行うという話が持ち上がるが、持ち主不明の廃屋は老朽化も進んでいたため取り壊されることになる。大地は取り壊される前に廃屋内にある「開かずの扉」の秘密を探ろうとする。姫子も協力し魔法の国でもらったアイテム「魔法のキャンディー」を使って体を小さくして扉の鍵穴から入ろうと試みるが、上手くはいかない。そしてついに廃屋が取り壊されようとする時、姫子が以前に見かけていた呪文を唱えると扉が開く。進むとその先は魔法の国へと繋がっていた。

姫子とエリカは再会を果たすが、姫子たちの後をこっそりとつけていたひかるに魔法の国の存在を知られてしまう。そしてエリカの父である王は、姫子たちの魔法の国に関する今までの記憶を全て消し去ることを決める。姫子と大地の繋がりは消え、ポコ太は動くことも喋ることもない普通のぬいぐるみに戻り、姫子はエリカと出会う前の生活に戻ってしまった。

姫子とポコ太の別れ

エリカはその様子を見て悲しむが、以前から「第三者の人間に魔法の国のことが知られた場合、記憶を消す」というしきたりに疑問を抱いていたエリカの祖父である大王が姫子と大地の記憶を呼び戻す。「開かずの扉」は大王が100年以上前に作ったもので、大王は扉を開いて魔法の国にやって来る者を待っていたのだという。褒美として姫子と大地は魔法の国に招待される。次にエリカに会う時はリボンを返す時でありポコ太も普通のぬいぐるみに戻ってしまう時だと考えた姫子は、自分とポコ太が出会った日を見たいと王に頼み、人間界に帰る前にくも助に自分の生まれた日に連れて行ってもらう。生まれた時から一緒にいてくれたポコ太との絆を再確認した姫子。そしてエリカの修業が無事に終わり、リボンを返す時がやって来た。姫子は普通のぬいぐるみに戻ってしまうポコ太を案じ、リボンがなくても魔法の国では自由に動けるからと、エリカにポコ太を託すことにした。
こうして姫子は今まで通りの生活に戻っていった。大地やひかるとの仲は深まったものの、ポコ太やエリカのいない日々には寂しさを感じていた。大地にだけはその気持ちを吐露すると、大地は「俺がそばにいる」と姫子に言い、誕生日プレゼントに魔法のリボンにそっくりな赤いリボンを姫子にプレゼントした。
その後エリカの嘆願により「開かずの扉」が再び開かれ、ポコ太は人間界に来ることができるようになった。魔法のリボンがなくとも会話する事ができ、2人は喜びの再会を果たすのだった。

『姫ちゃんのリボン』の登場人物・キャラクター

主要人物

野々原 姫子(ののはら ひめこ)

CV:大谷育江

物語の主人公で中学1年生。昼休みには男子に混ざって野球をしているようなオテンバな女の子。好奇心旺盛で何事にも一生懸命な性格、勉強は苦手だが運動は得意。エリカからもらった魔法のリボンを使い他人に変身して騒動を起こしたり、事件を解決していく。落ち込んだ時や自分を奮い立たせる時は「いけいけゴーゴー!じゃーんぷ!」と掛け声をかけ、ジャンプするのが定番。学校では演劇部に所属しており、同じ部の先輩である支倉に密かに恋心を抱いていた。ポコ太とは生まれた時からいつも一緒で悩みや愚痴を話したりと親友的な存在である。初めは好感を抱いていなかった大地に対しては、リボンの秘密を共有したりピンチの時には寄り添い助けてくれることから次第に惹かれていく。

小林大地(こばやし だいち)

CV:大輝ゆう

姫子の同級生で、校内をローラースケートで走り回るなど「風立一中の反逆児」と噂されるが優しく正義感があり、人気者で日々野ひかるが会長を務めるファンクラブも存在している。頭が良く運動神経も抜群で、様々な部活に助っ人で参加している。日本各地を自転車で旅するのが趣味で、時には学校をサボって出かけることもある。姫子を認知した当初「お前、女なんだ」とやや暴言めいた発言をし、姫子に飛び蹴りをされている。その後姫子とリボンの秘密を共有することになるが誰にも言わず、危なっかしいが一生懸命な姫子に惹かれていく。姫子が元の姿に戻れない時も、寄り添い励ましたりと優しく包容力がある。

ポコ太(ぽこた)

CV:伊倉一寿

姫子の父・野々原太郎(ののはら たろう)が姫子の誕生時に贈ったオスライオンのぬいぐるみ。姫子がエリカにもらった魔法のリボンを身につけている間は、姫子のお供役として自由に動き会話ができるようになる。姫子の悩みや愚痴をずっと聞いてきたため、姫子の事は熟知しており良き理解者でもある。魔法の国で出会った猫のぬいぐるみ・ピンクに一目惚れする。大地と初めて接した際に「オス猫」と言われる。

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