深東京(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『深東京』(しんとうきょう)とは、集英社のWebアプリ『少年ジャンプ+』に掲載されているサスペンス・ホラー漫画。作者は榊健滋である。2022年5月から連載が開始された。
神田ヨミとヤミは、都立台場高等学校の2年A組に通う双子の兄弟。課外授業の帰りのバスで、生徒から陰湿な嫌がらせを受けていた担任の薮内が、自分の惨めな人生は生徒達のせいだとして、生徒全員に呪詛をかけて自殺した。ヨミとヤミを含むA組の面々は恐ろしい化け物刑吏が罪人を裁く、「深東京」に堕とされてしまうのだった。

『深東京』の概要

『深東京』(しんとうきょう)とは、集英社のWebアプリ『少年ジャンプ+』に掲載されているサスペンス・ホラー漫画。作者は、『ǝnígmǝ【エニグマ】』や『ラブデスター』で有名な榊健滋である。2022年5月から連載が開始された。榊健滋は女性であり、夫は『セクシーコマンドー外伝!!マサルさん』、『ピューと吹く!ジャガー』で有名なうすた京介。その関係からか、『深東京』の番外編をうすた京介が描くなどのコラボが実施されている。

神田ヨミ(かんだ ヨミ)と神田ヤミ(かんだ ヤミ)は、都立台場高等学校の2年A組に通う双子の兄弟。課外授業の帰りのバスで、生徒から陰湿な嫌がらせを受けていた担任の薮内が、自分の惨めな人生は生徒達のせいだとして、生徒全員に「お前達は全員…『深東京』に堕ちる」と呪詛をかけて自殺した。その呪詛により、ヨミとヤミを含む2年A組の面々は、「深東京」に堕とされてしまう。「深東京」は有名な都市伝説で、人を死に追いやった人間が堕ちると言われているもう1つの東京のことを指す。堕とされた人間は罪人として町の番人である刑吏に裁かれるという。そこから脱出する方法はただ1つ、東京タワーに辿り着き、「くもの糸」を手に入れるしかない。ヨミとヤミは「深東京」の経験者である賽河はいね(さいかわ はいね)の助言を得ながら、クラスのみんなで「深東京」からの脱出を目指すのだった。

『深東京』のあらすじ・ストーリー

「深東京」へ

神田ヨミ(かんだ ヨミ)と神田ヤミ(かんだ ヤミ)は、体の状態をお互いに共有する「シンクロニシティ」という特殊な体質を持つ双子の兄弟。都立台場高等学校2年A組に通っている。担任の薮内(やぶうち)は、生徒の柏木マコト(かしわぎ マコト)を始めとする複数の生徒から陰湿な嫌がらせを受けていた。その現場を目撃する度にヨミは先生を助けようと割って入ってきた。それでも一向に柏木達の薮内イジメは終わらなかった。

ある日、2年A組は課外授業で東京タワーへと行く。そこでヨミは最近転校してきた少女・賽河はいね(さいかわ はいね)に話しかけた。賽河は東京タワーが嫌いだと言い、急に「深東京(しんとうきょう)」という都市伝説の話を始める。人を死に追いやった人間が堕ちると言われているもう1つの東京、それが「深東京」だ。堕とされた罪人は、「深東京」で番人に裁かれるというものだ。そこで話は終わった。

課外授業が終わり、2年A組の面々は、バスに乗って学校へと戻る。その道すがら薮内は立ち上がり、生徒達に向かって、「お前達は全員…『深東京』に堕ちる」と言い放った。そして致死量の農薬入りのコーヒーを煽る。これで2年A組の面々は薮内を自殺に追いやった罪人だ。薮内は自分に直接嫌がらせをしてきた生徒も、それを見て見ぬふりしていた生徒も、止められなかった生徒も、全てを等しく憎んでいた。薮内は大量の血を吐き、絶命。その瞬間バスは深い闇へと落ちていった。

賽河に呼ばれて目を覚ましたヨミは、ヤミと共に他の生徒を起こしてバスを降りた。そこは何故かレインボーブリッジの真っ只中。明かり1つない、車1台も走っていない異様な光景が広がっていた。「大っ嫌いっ…東京タワーなんて…!!」とつぶやく賽河の言葉につられてヨミ達は東京タワーのほうを見上げた。すると東京タワーにある不気味な大きな目がヨミ達を見つめていた。

VS べんけい(吊り橋地獄)

にわかには信じがたいが、ヨミやヤミ達2年A組の総勢40名は、薮内の呪詛により「深東京」に堕ちてしまったのだ。そしてタワー大統領と名乗る人物から、罪人に処刑の説明がされる。ヨミ達が裁かれるのは台場刑場「吊り橋地獄」。番人――刑吏はべんけいである。「深東京」のことを未だ信じられず、ドッキリか何かだろうと思っていた生徒もいたが、生徒の1人・尾形アツシ(おがた アツシ)がべんけいに殺されたことにより、誰もが現実だと受け止めた。べんけいは何も言うわけでもなく、淡々と生徒達を殺していく。ヨミ達も次第に追い詰められていった。

そこを救ったのは賽河だった。賽河は刑場であるレインボーブリッジの手すりにくくりつけられている武器を見つけ、その武器を使ってヨミ達を助けたのだ。そして賽河は自身が前にも「深東京」に堕とされたことがあると告白。東京タワーに辿り着き、「くもの糸」で現実に戻った過去を告げた。「深東京」に堕ちたことがあるということは罪人だろうと、生徒の中には賽河と距離を置こうとするものも出たが、ヨミは賽河を信じてひとまずべんけいに立ち向かうことを決めた。

刑吏を倒すにはその刑吏がなりきっている歴史上の人物・英雄の最期を模倣するしかない。賽河から与えられた情報で、かの武蔵坊弁慶が死に際に受けた本数と同じだけの矢を浴びせることが必要だとわかった。そして最後の2本は同時に刺さなければならないこともわかった。初めて経験する命を賭けた戦いの中で苦戦を強いられたが、ヨミとヤミはなんとか同時に矢をべんけいに穿つことに成功、べんけいを倒し、レインボーブリッジからの脱出に成功した。しかし40人いた2年A組の生徒数は、9人にまで減っていた。

VS ころんぶす(豊洲罪人市場)

レインボーブリッジを無事に脱出できたヨミ達だったが、町中で下級・刑吏クルーに捕まり、「豊洲罪人市場」へ向かうトラックに乗せられた。そこにはヨミ達以外にも大人の罪人が数名乗っていた。

「豊洲罪人市場」は、捕らえられた罪人を競りにかける場所だった。市場の支配者はころんぶす。ころんぶすは罪人の罪を測る檻に1人1人罪人を入れていき、罪人達の罪重(ギルグラム)を測る。罪重(ギルグラム)が重ければ重いほど罪人等級が高くなり、高額で取引される。罪重(ギルグラム)を測られ、みんながバラバラの刑場に買われていく中、ヨミはなんと歴代最罪重(ギルグラム)を叩き出し、特等罪人になってしまった。ヨミは3億怨(えん)で落札され、別室へと連れて行かれてしまう。

残されたヤミ達は途方に暮れた。すると一緒にトラックに乗せられて「豊洲罪人市場」にやってきた大人の内の1人・比良坂 アキト(ひらさか アキト)が脱獄の提案をしてきた。ヤミ達はそれに乗り、ヨミを助け出して脱出を試みる。ヨミを助け出すところまでなんとか進むことができたが、脱出には至らず、ヨミやヤミ達は再び捕まってしまった。脱獄したヨミ達の罪は重くなってしまい、買い付けた刑吏のいる刑場へではなく、処分場「銀座罪人百貨店」へと送られることになってしまうのだった。そこに賽河と比良坂の姿はなかった。

VS あんとわねっと(銀座罪人百貨店)

処分場「銀座罪人百貨店」を治めるのは、中級刑吏・あんとわねっとだ。「銀座罪人百貨店」では、処刑された罪人の遺体の一部を使ってバッグやコスメなどを作り、それを他の刑吏に売買する場所だった。そこで行われたのは、新商品の作成を兼ねた処刑である。罪人5人からそれぞれ首、舌、耳、腕、足を奪い、それで作った首飾りを作るというものである。1時間以内にあんとわねっとが素材を集めればあんとわねっとの勝ち。1時間逃げ切ればヨミ達の勝ち。そういうルールで地獄の1時間がスタートした。

タワー大統領の要望で、首の素材はヨミのものにすると決めたあんとわねっとは、ヨミを捕まえて自室へと連れ込んだ。しかしあんとわねっとはヨミの首を取るのは他の素材を全て集めてからだと言い、部屋を出ていった。ヨミはそこでエンラという同じ年くらいの少年に出会う。その少年は他に捕らえられている少年達と違っていた。エンラはヨミとヤミのシンクロニシティのことを知っており、ヨミの腕に部屋のパスワードを刻む。そしてそのパスワードはヤミの腕にも現れた。

ヨミが捕まっている間、ヤミ達は逃げながらヨミを助ける算段をつける。そしてあんとわねっとをやり過ごし、その間に柏木がヨミを助けに向かった。ヨミはあんとわねっとと戦っているヤミ達の元へと向かう。その途中、賽河と比良坂と出会った。比良坂はとある人物の命令で一度は賽河を連れて逃げたが、賽河にヨミ達を助けに行くように言われてしぶしぶ戻ってきたのだ。ヨミや賽河は力を合わせてあんとわねっとを追い詰める。エンラの助力もあり、この勝負はヨミ達罪人チームの勝利となった。しかしあんとわねっととの勝負の中で涼風セスが、ヤミをかばって死んでしまった。涼風の遺体を持ってヤミ達は脱出する。

その中でエンラと賽河の関係、過去が明かされる。エンラの本名は霙木エンラ(みぞれぎ エンラ)といい、賽河の叔父だった。現実の東京で命の聞きに瀕し、2人共々死ぬところだったのを、呪詛を利用して2人で「深東京」へ逃れてきたのだ。まだ幼い賽河は罪人として堕ち、エンラは刑吏・のぶながとし生まれ変わる。しかしエンラは賽河を助けるという強い意志のもと、罪人を裁くという使命を抑え込み、人としての理性を保っていた。賽河は1度、エンラの力で東京タワーに辿り着き、そして現実の東京へと戻ることができたのだった。

VS そうそう・じゃんぬ・れおにだす(浅草刑場)

「銀座罪人百貨店」から逃れたヨミ達は、エンラの刑場である浅草・浅草寺へと逃れる。そこにやってきたのは中級刑吏・そうそうとその部下である中級刑吏・れおにだすとじゃんぬだった。タワー大統領が示した次の処刑は、刑吏軍と罪人軍による戦い「浅草刑場」での「本能寺地獄」。刑吏軍はそうそうが大将、れおにだすが副将、罪人軍はヨミが大将、エンラが副将を務める。ヨミ達が勝てば、刑吏側は浅草寺を不可侵区域としてタワー大統領も手を出せない安全地帯にしてくれるという。ヨミ達は地獄のような「深東京」に安寧の場所を作るために戦った。

エンラがいない間に浅草寺に逃げてきた他の罪人達も協力し、ヨミ達はじゃんぬを瀕しに追い込み、れおにだすを倒した。そしてそうそうをついに倒すことに成功した。ヨミ達は浅草寺という絶対安全地帯を獲得したのだ。しかし、その戦いの中でA組の1人・黒玉いろは(くろたま いろは)が既に死亡していたことがわかった。浅草寺に来る前に賽河がそうそうの部下である刑吏・みつひでに殺されそうになったところを黒玉が命懸けで救っていたのだ。その後一緒にいた黒玉は実はみつひでが化けていたものだったのだ。黒玉の死を悼み、ヨミ達は勝利の喜びを分かち合うのだった。

宮廷祭事(祭)

そうそう達との戦いに勝利したヨミ達は、浅草寺を拠点に生活を整えていった。しかしある時ヨミが何者かに攫われてしまう。ヨミを攫ったのは、以前戦ったそうそうに仕えていた中級刑吏じゃんぬと、中級刑吏ごえもんだった。2人は元タワー大統領の上級刑吏・ねろの部下であり、ねろの命令でヨミを攫ってきたのだった。ヨミはねろによって無理やり占有契約を結ばされる。占有契約とは、上級刑吏が持つ特権制度の1つで、体に刻印を刻むことで対象がその上級刑吏の財産になるというものだった。特級罪人であるヨミを手に入れたねろは、ヨミに自分に協力すれば、地上へ戻る手伝いをすると申し出る。ヨミは考えた末、ねろの申し出を受けて協力をすることにする。そして宮廷祭事、通称・祭と呼ばれる戦いに身を投じることとなるのだった。

『深東京』の登場人物・キャラクター

主要人物

神田ヨミ(かんだ ヨミ)

『深東京』の主人公の1人。神田ヤミとは双子の兄弟で、「シンクロニシティ」という特異体質で繋がっている。都立台場高等学校の2年A組所属。常に人を気遣うことができる心優しい少年。しかし「豊洲罪人市場」で計測された罪重(ギルグラム)は歴代最高の数値であった。そのことについて心当たりがなく、自分が一体いつ誰に何をしてしまったのか思い悩んでいる。

神田ヤミ(かんだ ヤミ)

『深東京』の主人公の1人。神田ヨミとは双子の兄弟で、「シンクロニシティ」という特異体質で繋がっている。都立台場高等学校の2年A組所属。兄であるヨミがお人好しすぎるため、いつも気を揉んでいる。喧嘩っ早く、周りに対しても粗暴な態度を取るが、ヨミのことは大事にしている。

賽河はいね(さいかわ はいね)

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