こむぎびよりのコッペパン(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『こむぎびよりのコッペパン』とは、漫画家・魚田 南によって2020年5月12日より『マンガJam』にて連載された女性漫画である。不器用な青年と一匹の犬が出会って始まる日常生活が描かれている。主人公・甲斐田 一虎はバイト帰りに、河川敷に捨てられている犬・コッペ・パンを見つける。コッペ・パンはパンが大好きで、好き嫌いが激しいことで前の飼い主に捨てられてしまった。複雑な家庭環境によって愛情を知らない一虎と、人間に心を開かないコッペ・パンの2人が共に過ごし、信頼関係を築いていくストーリーである。

周りを羨み恨むような言動を見せる一虎に、伯母は「他人はあんたが羨むほど幸福でなければ不幸でもない」と言って聞かせた。
一虎は中学の頃、伯母に引き取られ京都に引越しした。しかし転校先の学校で馴染めず、喧嘩が絶えない毎日を送っていた。一虎の喧嘩により学校に呼び出された伯母は、2人での帰り道に一虎に友人がいないのかと心配する。一虎は、転校して自分は周りから腫れ物扱いされていること、周りは両親がいない自分と違って恵まれていること、自分と周りは違うことなど悪態をつく。すると伯母は一虎を抱きしめて「他人はあんたが羨むほど幸福でなければ不幸でもない」と言い聞かせる。
一虎に周りと線引きしないよう諭す、名台詞である。

一虎はコッペに連れられ、京都で新しい発見をする

一虎はコッペと共にパン屋を巡り、美味しいパンを見つける

一虎はコッペにせがまれ、京都のパン屋を巡り美味しいパンを見つける。
一虎は今まで自宅・大学・バイト先を往復する毎日を送っていた。しかし一虎はコッペと暮らし始め、コッペのために京都のパン情報を仕入れ探すようになった。また2人で美味しいパン屋を見つけるために京都を散策することも増えた。
一虎はコッペに連れられるままパン屋を巡る中で、自分は住んでいる京都のことを何も知らなかったのだなと気づく。コッペのおかげで周りを見る余裕が増え、新しいパンを発見し、美味しいと感じるものが増えた。一虎がコッペに対し、自分の世界を広げてくれたことを感謝する名シーンである。

櫻井「あなたの出会いを大切に」

櫻井(中央)は、一虎の夢を応援する

櫻井はこうめの墓参りに来てくれた一虎に「あなたの出会いを大切に」と伝える。
櫻井は亡き妻から残してくれた愛犬・こうめのことを本当に大切にしていた。しかし彼女はもう高齢で、別れが近いことも理解し、こうめが亡くなった際もその事実を受け入れた。
こうめの墓参りに来た一虎から、櫻井は一虎の夢を教えてもらう。櫻井は一虎が将来の夢を追う中で、たくさんの人と出会って自分を変え、そして周りをも変えていってほしいと考えた。そして自分がこうめと出会って幸せな日々を送れたように、変えていくことで幸せに繋がり、一虎に変わることを恐るなと言いたかった。
櫻井は「あなたの人生をコッペくんが変えたように、あなた自身も周りを変えていっている。あなたの心がしたいように学びを失敗、反省と同じ位やってきますから、大切にしてください。あなたの出会いを大切に」と一虎にエールを送った、名台詞である。

『こむぎびよりのコッペパン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作中に京都有名パン屋が勢揃い

ともやす(左)は一虎(右)に、京都パンについて熱く語る

『こむぎびよりのコッペパン』では、京都の有名パン屋がたくさん登場する。
本作では「パンが大好きなコッペという犬」が登場するため、主人公たちが京都のパン屋を巡ったり、登場人物たちがおすすめのパンを紹介してくれる描写がある。登場するパン屋の中には実在する有名パン屋もあり、京都のパン文化を知ることができる。
本作は人間と犬の心温まるヒューマンドラマ要素ほっこり日常ストーリーだけではなく、パンのグルメ漫画としても秀逸な漫画である。

美味しそうなパン描写に食欲がそそられる

作者の繊細な表現によって描かれた美味しそうなパンたち

『こむぎびよりのコッペパン』の作者・魚田は、本作の他にもグルメ漫画を連載していたことがあり、食品の描写に長けている。
本作ではキャラクターたちが様々なパンを食べるシーンがあるが、どのパンも美味しそうに描かれている。作者は実際に京都に住んでいるため、京都の食に詳しく、情報量の詰まった繊細な描写がパンをより一層美味しく見せている。
思わず食欲をそそり、食べたくなってしまう美味しそうな描写が多い魅力が詰まった漫画である。

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