ONE OUTS(ワンナウツ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ONE OUTS』とは、甲斐谷忍による漫画作品。集英社『ビジネスジャンプ』に1998年~2006年まで連載されていた。完結してもなお、根強い人気を誇っている作品である。弱小球団であるリカオンズの救世主として渡久地東亜がチームに入り、リーグ優勝に導くために様々な策や戦略を練って対戦相手やオーナーに立ち向かっていくストーリーとなっている。「野球」という王道のスポーツゲームの中で、緻密で狡猾な「騙しあい」や「メンタルゲーム」の側面が描かれていることが、作品の魅力の1つである。

『ONE OUTS』の概要

『ONE OUTS』とは『ビジネスジャンプ』で1998年から2006年まで掲載されていたマンガで、単行本もヤングジャンプコミックから20巻出ている作品となっている。また日本テレビで、2008年10月から2009年3月テレビアニメが放送された。

「野球」という王道のスポーツゲームの中で、緻密で狡猾な「騙しあい」や「メンタルゲーム」の側面が描かれていることが、『ONE OUTS』の魅力の1つである。主人公の渡久地東亜(とくちとうあ)を中心として、様々な策略と想いが交錯するのが非常に面白いポイントである。

アニメ版では主人公の渡久地東亜の声は萩原聖人が担当しており、彼の声の演技からは有名な麻雀マンガ『アカギ』の赤木しげるのような、非常にマイペースかつ飄々とした雰囲気を感じる事ができる。

この作品は「弱小球団であるリカオンズの救世主として渡久地がチームに入り、リーグ優勝に導くために様々な策や戦略を練って対戦相手やオーナーに立ち向かっていく」という、王道のストーリーである。

野球好きの人だけでなく勝負事にロマンを感じる人や、はたまたギャンブルが好きなような人まで幅広く楽しむ事ができる作品となっている。

『ONE OUTS』のあらすじ・ストーリー

沖縄・ワンナウト編

不運の天才打者、児島弘道(こじまひろみち)は、来シーズンへの強い意気込みを胸に秘め、沖縄で自主トレをしていた。彼は数々のタイトルを取得し、43歳のベテランでありながらいまだなおチームの大黒柱と君臨していたが、唯一「優勝」だけは経験したことが無かった。「優勝をするためにはどうすればよいのか?」という謎を胸に秘め、後輩2人を連れ自主トレに励んでいた。

そんな中、ひょんなことから同行していた後輩の中野(なかの)というピッチャーが負傷してしまい、児島の想いを知っているもう1人の後輩である木野崎(きのさき)は何としても代わりのピッチャーを見つけなければならないと奮起する。その時に、沖縄で賭け野球として「ワンナウト」というゲームが行われている事、そしてそこでワンナウツで1度も負けた事のないという、渡久地東亜(とくちとうあ)という存在を知る。そこで賭け野球で額を勘違いし騙されてしまった後輩は渡久地と勝負するも破れてしまい金を巻き上げられ、それを知った児島は敵を取るべく渡久地との勝負をする事になる。

「そもそも渡久地は120km程度のボールしか放る事ができない事」を知っており、かつプロ野球選手としての意地とプライドがある児島は自信満々で勝負に臨むものの、そのプライドからくる驕りによって負けてしまう。さらにはプライドをズタズタにされた児島は渡久地から「勝負をナメてる」と言われてしまったのである。渡久地東亜という人物は「人の心を読み操る」力と「勝負師としての精神」の2つにおいて、彼らよりもはるか上をいっていたのであった。

そこから児島も己自身、そして勝負というものに向き合いはじめ鍛錬を積み、選手生命を賭けてまでもう1度渡久地に勝負を挑む。しかし、児島は鍛錬の途中で右手首をケガしてしまい、まともにバットを振る事すら難しい状況になってしまう。それでも「渡久地に勝つ事ができなければ、そもそも優勝はできるわけがない」と強く想っていた児島は渡久地とのワンナウトに臨む。右手首のケガはとっくに渡久地にバレ、打つ事はできないと悟られてしまったもののどうしても勝たなければいけない児島は自身の身体にボールを当て、デッドボールをもぎ取る事で、渡久地から勝利をする。

もともと渡久地は負けたら腕をもらうと児島に言われていたため、腕を折られると思い児島に手を出した。しかし、児島はその腕を取り、自身の所属するプロ野球チームの「リカオンズ」に来るように懇願。さらに渡久地の力でチームを優勝に導いてほしいと、児島から頼まれた。

かくして渡久地はワンナウトで999戦無敗という記録を持ちながらワンナウツから去り、プロ野球選手になるのであった。

ワンナウツ契約編

契約・VSオーナー開幕編

渡久地が入団する事になった「リカオンズ」は万年Bクラスのチームで、そのうえオーナーである彩川恒雄(さいかわつねお)は、金勘定でしか物事を考えず、チームの勝利ではなく、己の利益になるものしか受け入れないという考えを持つ人物だった。

渡久地は児島の話もあって何とか入団できる算段になったものの、ドラフト外のテスト生としての入団である事、そして直接の原因ではないものの児島のケガの原因を作った人物とチームのメンバーから認知された状態で、正式な契約を行うため、彩川と会う事になる。

彩川と年俸の話を行う事になった際に、「1アウト取るごとに500万円自分に支払われ、逆に1失点するごとにオーナーに5000万円を支払う」というワンナウツ契約を持ち掛ける。一見狂気じみた契約だと誰しもが思う中、彩川は昨年の最優秀防御率を取った選手ですらプラスの金額で終わらせる事ができない点から、この契約は都合が良いと捉え、ワンナウツ契約を承認してしまう。

「どうせすぐに2~3点を取られて泣きついてくるだろう」と考えていた彩川だったが、契約を結んだ日の夜に開催されたオープン戦の結果を秘書から聞き驚愕する。渡久地は3回からの途中登板ではあったものの打者21人をすべて打ち取り、1億500万を稼いでしまう。また、次のオープン戦で前代未聞の完全試合を達成してしまい、開幕から一軍で使い、早く負債を減らし、渡久地から金を巻き上げなければならないと彩川は考える。

彩川はリカオンズにおいてオーナーとしての活動だけでなく、監督や選手にまでも指示を出せる存在になっていたため、選手に賄賂を渡し、渡久地に失点させるために罠を仕掛ける事もするが、それも全て見破られてしまい、彩川の負債はますます増えてしまうのであった。そしてここから渡久地と彩川の長い戦いが幕を開けるのであった。

VSマリナーズ

マリナーズはリカオンズとは異なり、万年常勝チームとして君臨してきたチームである。彼らの強みは圧倒的な攻撃力にある。高見樹(たかみいつき)という天才打者に加え、トマスやブルックリンといった打撃に定評のある外国人が並び、打力では全くもって他のチームは敵わない。その結果、リカオンズのメンバーの中にも「勝てるわけがない」と考える者も出てきていた。

そんな状態でこれからマリナーズとの3連戦を迎えようとしていた試合前日、突如オーナーの彩川がマスコミに向けて驚愕の内容を発信する。なんとマリナーズとの三連戦全てで渡久地を先発させるという無茶な内容を公言するのであった。当然これは彩川が渡久地をつぶすために仕組んだ罠である。また、ワンナウツ契約で結んだ内容の中に、「ベンチの指示に従わなかった際は違約金5億を払う」という約束があったため、渡久地も従わざるを得ないのであった。

そして三連戦の初日となった試合当日、マリナーズのメンバーは試合前のバッティング練習からリカオンズの事を見下しており、リカオンズのメンバーも圧倒的な力の差を見せつけられ愕然としてしまう。そんな中、渡久地はただ1人、チームのメンバーに勝負をする上での心向きを説いたうえで、無謀ともいえる三連投の最初のマウンドに立つのであった。

VSバガブーズ

マリナーズとの3連戦を終えた後には、バガブーズというチームとの3連戦を控えていた。バガブーズは昨年まではリカオンズと同様に下位争いをしていたチームであったが、前年から智将と言われ、過去に弱小チームを就任2年で優勝チームにまで導いた経歴のある、城丘克郎(しろおかかつろう)が監督を務めてから一気に成績が上がってきていた。加えて渡久地はマリナーズとの3連戦の影響からか、マスコミを通してバガブーズとの3連戦では先発しない事を明言される。

そんな中始まったバガブーズとの初戦で予想だにしない事件が2つ起こる。1つは、渡久地が試合の中盤から突如登板になった事である。これは彩川の策略で、最初から渡久地を投げさせアウトの数を稼がせるのではなく、あえてピンチの状況になってから登板させた方が、失点のリスクが高まるからという理由で練られた策であった。そして、渡久地はピンチを抑えると守ったことのないファーストの守備につかせ、再度ピンチになった際にピッチャーとして登板するという仕組みを作る事で、守備でのミスにより自滅の可能性を増やし、失点になりやすい状況を多く作る作戦に出たのだった。

そしてもう1つの誤算が、急遽代走に出てきた謎の外国人「ジョンソン」であった。3塁ランナーの代走として登場し、渡久地がバッターに初球を投げた際、ジョンソンが圧倒的なスピードで走りだし、なんとホームスチールを決めてしまう。これにより渡久地が初の失点を喫してしまうとともにチームも負けてしまうのであった。

試合後、失意のリカオンズベンチに、バガブーズの城丘監督のインタビューが放送される。そこで城丘は、ジョンソンが元陸上選手で脅威の脚力を持っている事、そして「渡久地にジョンソンをぶつけた場合、理論上ホームスチールは100%成功する」という驚異の内容を口にするのであった。

スピードスターのジョンソンを相手に、渡久地は第2戦以降、反撃の機会をうかがいながら戦っていく事になった。

VSブルーマーズ

バガブーズとの3連戦の後は、ブルーマーズというチームと3連戦を行う事になった。ブルーマーズは観客動員数が多いチームであったと同時に、3年前からチーム内で大改革が行われていた。チームの球場を一新し、長打の打てる「ロドリゴ」とナックルボールを武器にした「ウイリアムス」という2人の外国人を獲得したことで、2年前から2年連続で2位になっていた。さらに特徴的なのがホームゲームの勝率が.772という非常に高い勝率を誇っている点であった。

そのような事前情報を聞いたうえで臨んだ第1戦、リカオンズは序盤に7点差をつけ完全に油断をしていた中、ロドリゴのホームランなどで逆転され、最終的には守護神のウイリアムスのナックルに手も足も出ずに敗北を喫してしまう。

渡久地の登板はなかったものの、勝ち試合を落としたと意気消沈していたリカオンズメンバーに渡久地はウイリアムスのナックルの謎を説明すると言い出し、そこでブルーマーズというチームの本性を話す事になる。

なんと、ウイリアムスのナックルはボール内に重りをつける事によるイカサマによって生まれたものである事、そしてウイリアムスだけでなく、ブルーマーズというチームそのものがイカサマによって勝ち星を稼いでいたことを告げたのである。その事実にチームメンバーは怒りに震えるが、渡久地はブルーマーズというチームやウイリアムスがイカサマを平気で行う事ができるのは相手にナメられているからで、それに勝つには相手と同じ騙し合いの舞台で勝つしかない事をチームに述べる。

リカオンズのメンバーは彼らと騙し合いで完全に勝つ事を目指し、次戦からの試合に臨むのであった。

新・ワンナウツ契約編

ブルーマーズ戦の後からオーナーの彩川は渡久地に対し、今まで以上に手段を選ばずに金を巻き上げようと動く。それは渡久地に支払っている額があまりにも高額であったがゆえに、野球チームの運営以外の面でも大きな影響が出てしまう可能性があったからだ。加えて、ワンナウツ契約を結んだ際の約束の1つで、「いかなる理由であれベンチの意図に反し試合に出場できない場合は1試合につき5億円を支払わなければならない」という文言があり、これを強制的に実行させようとしたのだ。

そこで、彩川は当たり屋を使って渡久地が交通事故を起こすように仕向け、それが渡久地の方に落ち度があったとして長期間の出場停止処分を言い渡されるように画策する。しかし、その策は渡久地の手によってあっさりと失敗してしまう。彩川は当たり屋を雇う際に金を相手に渡していたのだが、渡久地がその相手にさらに大きな額の金を渡したことで、事故に関する発言内容を変えるようにしたのであった。これにより思ったような結果が残せず、依然として彩川は頭を悩ませてしまう。

そんな中1本の電話が届く。それは球界で1番の人気を誇る「ガラリアンズ」からのトレードの打診で、何と渡久地を含めた複数名の選手と、ガラリオンズの若手の有望株である選手数名による大規模なトレードの提案であった。リカオンズ側は渡久地以外は有望な選手でなくても良いという条件もあり、渡久地を放出し契約を破談にすると同時に、チームに不要と感じる選手をそこで放出しようと画策し、彩川はそのトレードを飲もうとしていた。

一方、渡久地は交通事故の影響で2軍を見に来ていたが、そこで渡久地のガラリオンズへのトレード話が新聞を通して渡久地やリカオンズのメンバーに伝わる。不服に思うメンバーもいる一方、ガラリオンズへトレードされるだけで年俸が上がる可能性がある事を知っている2軍選手はトレードに出してもらおうと奮起するが、そこで選ばれたのが、まともに早いボールを放る事ができずチームメンバーからも見下されている倉井一(くらいはじめ)、ケガの影響もあって全くバットにかすりもしなくなってしまった外国人のムルワカ、ベテランに差し掛かり1軍に上がれないストレスからギャンブル依存になってしまった菅平源三(すがひらげんぞう)という3人だった。その3選手は最初はトレードをしてもらえるという事で喜んだものの、後に彩川が渡久地以外の3人を不良品呼ばわりしていた事を聞いてしまい大きなショックを受ける。

そこで渡久地は最初に児島と交わした「チームを優勝させる」という目的を何としても果たすために、彩川に「新・ワンナウツ契約」というものを持ち出す。これは渡久地だけでなく、倉井・ムルワカ・菅平の3人も関係した契約で、「倉井・ムルワカ・菅平の3人を1軍にあげる」「渡久地含めた4人のうち最低2人は毎試合必ず先発出場かつ最低5回まで出場させる」「渡久地と倉井が1アウト取るごとにオーナーが渡久地に500万円を支払い、逆に1失点するごとに渡久地がオーナーに5000万円を支払う」「ムルワカと菅平が1打点をあげるごとにオーナーが渡久地に5000万円支払い、逆に3つアウトを計上するごとに渡久地がオーナーに5000万円を支払う」というものであった。これを彩川は好機ととらえ、この新・ワンナウツ契約が締結される。

案の定、渡久地以外の3人は1軍に上がったものの最初は鳴かず飛ばずで、全く結果を残せないでいた。しかし、フィンガーズとの戦いの中でその3人は渡久地の目論見通り、彼らの心の部分にある潜在的な能力を開花させ、選手としての進化を遂げていくのであった。

球団再建~優勝編

渡久地とのワンナウツ契約、そして新・ワンナウツ契約の影響で、彩川には莫大の負債が残ってしまい、球団を手放さざるを得ない状況になってしまう。案の定、彩川率いる彩川組は企業再生ファンドの「ロンウッドキャピタル」という会社に再建処理に入る事になり、彩川を含め彩川組の主要役人は全員退陣する事になってしまう。そしてそのタイミングで「リカオンズ消滅」という言葉がメディアに出てしまうのである。

球団消滅の話を受けてリカオンズのメンバーは疑心暗鬼になる中、唯一、トロンポスという企業の社長である三田村要(みたむらかなめ)が球団買収に名乗りを上げる。一同が安堵したのもつかの間、なんと三田村はリカオンズの球団名の変更、そして選手・コーチ・監督の総入れ替えを述べるのであった。さらに、このまま三田村がオーナーになれば全員がクビになるという恐怖に怯える中、彩川から「球団売却に至ったのは渡久地とのワンナウツ契約の影響である」という旨のファックスが届き、渡久地とワンナウツ契約の関係をメディアに暴露する旨の連絡が届く。彩川も渡久地との争いとの背景に三田村がいた事に腹を立て、「もともとイメージが悪かったのは、事業の負債が大きかったわけではなく、あくまでも渡久地との契約が問題で、渡久地さえいなければ経営状態がまともであった」という事を公表し、競合が現れるのを待ち、三田村に球団を買わせないように仕向けたのであった。

一方、そのファックスが届いたリカオンズのメンバー内では「渡久地追放」を求めるメンバーが相次ぐ。メンバーにとっては渡久地がいなくなり他の人に球団を買ってもらえば、自分たちがクビにならなくて済むからである。しかし、ここで児島が「渡久地が球団を去る事になったら自分も去る」という言葉を残したことで、リカオンズのメンバーも暴露をしない旨で話が決まり、彩川の最後の目論見も不発に終わる。

リカオンズのメンバーが動いている間に渡久地もひそかに動いていた。球団はトロンポスが買収するかと思いきや、トロンポスの獲得希望額の3倍を提示した渡久地東亜に売却される事となったのである。

選手兼オーナーという異例の出来事が発生し、メンバーもクビになることを避けられ、一件落着かと思いきや、その背後では球界の盟主と呼ばれるガラリアンズのオーナーである田辺常行(たなべつねゆき)を中心に各オーナーが渡久地に猛反発し、オーナーになることを防ごうとしていた。その後のオーナー会議で渡久地オーナー就任の是非について話があがるが、事態は平行線のままだった。

そこで渡久地が田辺に1週間単位でのオーナー査定を提案する。これは「1週間でチームの収支が赤字にならない」、「首位と10ゲーム以上離されない」、「リカオンズがペナントレースで優勝する」という3つの条件がクリアできなかった場合に渡久地がオーナー権を放棄するという内容であった。この条件を田辺が飲み、渡久地のオーナー生活は幕を開けた。

オーナーとしての渡久地の行動、チームの強化、そして田辺の手によって行われたマリナーズの強化など、様々な壁を乗り越え、渡久地率いるリカオンズは新生マリナーズや田辺との戦いを行い、そしてペナントレース優勝を目指していくのであった。

オールスター編

ワンナウツの物語が進む途中で起きたプロ野球の恒例行事の1つ「オールスター」、しかしこの年はリカオンズの球団買収問題だけでなくプロ野球界全体で数多くの問題が起こっており、ファンからの不満もかなり溜まっていた。

その中でインターネット上の掲示板を中心に、ファンの一部が抗議の意もかねて、オールスター戦で何かアクションを行う事ができないか画策する。最初はファン同士の他愛もないやり取り程度でしかなかったが、その中にフィンガーズに在籍し、過去にセ・リーグのスパローズからフィンガーズへ2年4億のFAで移籍したものの、自身のケガの影響で2年間をほぼ棒にふるっていた仁科祐一(にしなゆういち)というキャッチャーに注目が集まった。仁科にオールスターのファン投票を行い、オールスターの目的の1つである「スター選手たちによるリーグをまたいだ夢の球宴」という部分を壊そうと画策したのであった。

これも最初は悪ふざけ程度にとどまるかと思いきや、何とファン投票の中間発表で仁科は1位を獲得してしまい、メディアなどを中心に活動がより白熱してしまったのである。加えて仁科は2年前、まだスパローズにいたころにオープン戦でフィンガーズと戦い、そこで捕手として出ていた高輪(たかなわ)という選手にデッドボールを当ててしまった過去を持っていた。そのデッドボールの影響で戦線を離れた上に、FAでぶつけてしまった調本人である仁科が来た事、そしてその影響で球団をクビになってしまった事を高輪はずっと根に持っており、加えて仁科も罪悪感を強く持っていた事で、それをネタに仁科は高輪に数々の脅しをかけていたのであった。

その一方で各球団のオーナーはこの運動の結果を見て不安を感じていた。しかし、田辺はこれ以上の話題を作ればよいと考え、「渡久地が9者連続三振の記録を超える」という記事をマスコミを通して発表してしまう。

最終的に渡久地は当然のことながらオールスターに選ばれ、9者連続三振の期待がかけられる中、仁科も選出されてしまう。この情報を見た高輪は仁科に対して「渡久地の連続三振記録を阻止しろ」と脅されてしまう。

様々な思惑がうごめく中、波乱のオールスター戦が幕を開ける。

『ONE OUTS』の登場人物・キャラクター

リカオンズの選手

渡久地 東亜(とくち とうあ)

0128kn0329p8
0128kn0329p8
@0128kn0329p8

目次 - Contents