ダイヤのA(エース)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

『ダイヤのA』は、寺嶋裕二によるスポーツ漫画である。『週刊少年マガジン』にて2006年第24号から2015年第7号まで連載された。田舎を出て野球の名門校に入学した主人公・沢村栄純(さわむらえいじゅん)が、甲子園を目指しながら成長する姿を描く。各社の漫画賞を受賞し、累計発行部数4000万部を突破した人気作である。野球部の少年達の青春を描く作中には、人々の心に響く数多くの名言・名セリフ、名シーン、名場面が登場する。

中学時代は4番を任されていた麻生尊(あそうたける)は、野球の実力に対して強い自負を持っていた。だが、青道では自分よりもうまい選手が溢れており、入部後は2軍生活となる。そして麻生はいつしか文句ばかりを口にし、上を目指す努力を怠るようになってしまった。麻生はふと、「いつからだ…自分より頑張ってる奴に引け目みたいなモンを感じ始めたのは…」とこぼす。彼は心底やる気をなくしていたのではなく、自分よりうまい選手が自分より何倍も頑張っている姿を見ていて劣等感をもち、そのせいで前向きになれなくなっていたのである。麻生はその後1軍入りを果たしているが、自らの感情に正直に向き合えたことが、彼の成長を促すきっかけになったのかもしれない。だれしも一度は感じたことのある感情を明確に表した名言である。

結城 哲也(ゆうき てつや)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

チームの士気を高めるキャプテンの力強い呼びかけのシーン

青道には、重要な試合に臨む際、チームメンバー全員で円陣を組んで士気を高める伝統がある。キャプテンの呼びかけに選手たちが応える形で、「俺たちは誰だ?王者青道!!誰よりも汗を流したのは 青道!!誰よりも涙を流したのは 青道!!誰よりも野球を愛しているのは 青道!!」と声を掛け合い、「戦う準備はできているか!?我が校の誇りを胸に狙うはただひとつ!全国制覇!」の言葉とともに、天を指差す。全員が気迫をもって叫ぶ姿に非常に迫力があり、彼らの野球と勝利にかける熱意、強豪校としてのプライドがもっとも現れる場面である。

「俺たちにできることはただ1つ 選ばれなかったあいつらのぶんまで強くなることだ」

栄純に選手としての心構えを告げる結城(中央)

夏合宿を終え、片岡からこの夏のレギュラーメンバーが発表された。栄純、春市がレギュラー入りを果たした一方で、栄純の恩師である滝川・クリス・優(たきがわくりすゆう)をはじめとする他の3年選手達はここでレギュラー入りの夢を諦めることになる。それを知ってレギュラーの辞退を申し出ようとしていた栄純に、結城は「俺たちにできることはただ1つ。選ばれなかったあいつらのぶんまで強くなることだ」と告げる。大勢いる野球部員にはレギュラーになれない部員のほうが圧倒的に多く、選ばれた側の者は、彼らの思いをも背負っていくことになる。その事実を突きつけ、高校野球の厳しさと責任の重さを改めて意識させる名言である。

「さあ並ぼう…みんな立て…ちゃんと整列しよう…」

夏の大会の決勝戦で稲実に敗れたときの結城の言葉である。チームが一丸となって全力を尽くすも、青道は宿敵稲実に勝利することが叶わなかった。その場に倒れこむ者も多く誰もが涙にくれる中、主将である結城は周りのメンバーを支え、整列を呼びかけたのである。しかし、試合が終わってバスで高校に帰ろうとしたとき、隣の席に座った栄純が見たのは、ひとり涙を流す結城の姿であった。自らの悔しさと悲しみを抑えながらも最後まで主将らしく皆を率いようとする結城の強さが現れた言葉である。

「主将が迷うとチームが揺らぐぞ」

引退後に片岡が辞任を考えていることを知った3年生達は、後輩にできるだけ多くのものを残して少しでも力になろうと引退試合を前倒して行わせてもらうよう願いでる。その試合の中、小さな弱音を吐いた御幸に対して、結城は「苦しい時ほど顔には出すなよ。主将が迷うとチームが揺らぐぞ」と告げた。キャプテンの大役を担うことになった御幸は、表に出すことはなかったものの、かなりプレッシャーを感じていたと思われる。そして結城もまた、チームでキャプテンかつ4番という重役をこなしてきた。実際にそれをやり遂げた人物から言われるからこそ、御幸の心には深く響いていたのであろう。

伊佐敷 純(いさしき じゅん)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「フン、甲子園に何があるか? 知りたきゃテメェの目で確かめてこい バカヤロォ」

夏の大会で敗退した後、栄純はその悔しさを乗り越えられずにいた。自分に力が足りなかったことを認めてようやく前に進もうとしていた栄純は、偶然部室を訪れた3年・伊佐敷純(いさしきじゅん)に、甲子園とはいったいなんなのかと問う。それを聞いた伊佐敷は、「難しいから挑戦する。簡単に達成できねえから夢なんじゃねーか」「フン 甲子園に何があるか?知りたきゃテメェの目で確かめてこい バカヤロォ」と告げた。一見するとぶっきらぼうでそっけない答えであるが、その中には、心から後輩にエールを送る伊佐敷の思いが込められているのである。

小湊 亮介(こみなと りょうすけ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「つらかったら休んでてもいいんだぞ。おまえと替わってもらいたい奴はたくさんいるからさ」

夏合宿が始まり、一軍入りした栄純、降谷、春市はあまりのキツさに疲れ果てていた。一方の2年、3年選手達は平気な様子で練習に取り組んでおり、その差は歴然としている。体力を使い果たして守備の最中に倒れ込んでしまった春市を横目で見ながら、亮介は「つらかったら休んでてもいいんだぞ。おまえと替わってもらいたい奴はたくさんいるからさ」と言った。何事においても代わりはいくらでもいるというのはシビアな事実であるが、それに挫けて後ろ向きになってしまうとそれまでの努力が無駄になる。厳しい現実をつきつけ、たとえ辛くても頑張らなければならない場面で背中を押してくれる名言である。

「いつまでも俺のコピーじゃ オリジナルは絶対に超えられない」

春市(右)に声をかける亮介(左)

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@mamu036

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『ダイヤのA(エース)』は、高校野球を題材にした、寺嶋裕二によるスポーツ漫画である。『週刊少年マガジン』にて2006年第24号から2015年第7号まで第1部が連載され、同年第38号から第2部『ダイヤのA actII』(ダイヤのエース アクトツー)が連載されている。投手としての才能を見出されて野球の名門校に入学した主人公・沢村栄純が、チームメイトとともに甲子園を目指しながら成長する姿を描く。各社の漫画賞を受賞し、累計発行部数4000万部を突破した人気作である。

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