町田くんの世界(漫画・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『町田くんの世界』とは、勉強も運動も苦手だが人が好きな高校生・町田一の優しさ溢れる日常を描いた、安藤ゆきによる少女漫画。主人公は天然の人たらしであり、周りからも愛されているが恋に関しては鈍感。自分と正反対な、人間嫌いのクラスメイト・猪原奈々と言葉を交わすうちに生まれた恋という感情を育んでいく。別冊マーガレットにて連載された。単行本は全7巻。
「このマンガがすごい!2016」オンナ編3位にランクインし、石井裕也監督による映画化は1000人以上の中から選ばれた2人によるダブル主演も話題となった。

他人

他人という存在を認識した一

全ての人を家族だと思って生きてきた一だったが、猪原は他人だということに気づく。家族ではないと思うと接し方がわからなくなってしまった。家族と他人という違いは一にとって大きな意味をもっている。

『町田くんの世界』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

町田一「君がいてくれてほんとに良かった」

学校の保健室で会った猪原(左)と一(右)

怪我をしたため保健室に来た一だったが、先生は不在。授業をさぼっていた猪原に手当をしてもらった。猪原は人がいない場所で過ごしたいため「あんたがいるなら場所変えてさぼる」と言って立ち去ろうとするが、一は「ありがとう。君がいてくれてほんとに良かった」と告げた。「人が嫌い」と強い拒絶を受けても、自分の感謝の気持ちはきちんと伝えたいという、一の律義さが出ているセリフ。人のことを放っておけず、まっすぐぶつかっていく性格が表れている。同時に、自分のハンカチを差し出してくれるほど優しい猪原がなぜ人を嫌うのかがわからないことから、猪原に関心をもつきっかけとなった。

猪原奈々「もっと!かまってよ」

一に自分の気持ちをぶつける猪原

猪原は自分に好意をもつ西野とのデートの帰り道、同行した一に対して「もっと!かまってよ」と思わず言ってしまう。一が西野の存在に焦ったりもしないことから、自分は恋愛対象として見られていないと思った猪原の、「ちゃんと自分を見てほしい」という気持ちが表れているセリフである。一には言葉の意味がうまく伝わらないことが原因で、逆にそっけない態度をとってしまう猪原だが、自分の気持ちに素直になり始めていることが伝わってくる。

町田一「ゆっくりいこうよ」

自分の気持ちがわからず混乱する猪原への言葉

「誰にも求められていないから、自分も誰にも何も期待しない」と決めて自分を保ってきたが、一と過ごすうちに欲が出てきたと話す猪原。自分でも自分がわからず、バランスが取れないことに戸惑っていた。そんな彼女に一は「ゆっくりいこうよ」と語りかけた。一緒に悩んだり考えたりするから、いろんなことを話してほしいという気持ちが表れているセリフ。そっけなくされても、相手をわかりたいという一のまっすぐな思いが伝わり、距離ができかけた2人の心が再び通じたことがよくわかる。

町田一「友達を作るのに資格なんていらないよ」

友達の作り方がわからない桐谷くんを励ます一

一の小学生の弟・ミツオがクラスメイトの桐谷育(きりたにいく)を家に連れてきた数日後、一は公園で彼と再会する。ミツオのことを見下すような態度をとっていた育だったが、「バカだけどすごいやつだ」と認めていた。「自分が性格が悪いから友達を作る資格なんてない」と言う育に、一は「友達を作るのに資格なんていらないよ」と伝える。強がっていた気持ちを認めてくれた一のおかげで、育はミツオに対して素直になることができた。隠された気持ちまで見抜き、良い方向へ導くために背中を押したセリフであり、一の思いやりが溢れている。

町田一「気持ちを大事にして初めて愛せるんだ」

氷室に自分を大切にしてほしいと願う一の言葉

「人の気持ちがわからない」と言い、好意を寄せてくれている相手に冷たい態度をとる同級生の氷室に、一は「気持ちを大事にして初めて愛せるんだ」と言う。もっと自分も相手も大事にしてほしいという思いが込められたセリフだ。常に人に優しく接している一の信条のようなものがわかる言葉で、真剣に氷室のことを思っているからこそ苦言を呈しており、一の優しさだけでなく強さも感じられる言葉である。氷室にもしっかりと伝わり、これ以降一を慕うようになった。

町田一「じゃあ俺はたくさんの子どもを養えるようにいっぱい働くね」

理想の家族像を話す一(上)と猪原(下)

猪原が初めて町田家を訪れ、一の部屋で話している時のセリフ。家庭環境に恵まれていない猪原は家族というものがどういうものかよくわからずにいたが、一の家族を見ているうちに「町田くんのお母さんみたいになりたい」と言い、それに対して一は「じゃあ俺はたくさんの子どもを養えるようにいっぱい働くね」と答えたのだった。まるでプロポーズのような言葉だが、2人の未来がこれからも共に続いていくことが感じられる。意識せずに自然と出た言葉であり、無意識に人を虜にする一らしさが出ている。

『町田くんの世界』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

町田家の一員となることを意味する名前「奈々」

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