STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)の回収済み・未回収の伏線・謎まとめ

“過去に情報を送れるタイムマシン”を偶然開発してしまった大学生たちが、巨大な敵に追われながら世界の破滅を防ぐために命懸けの頭脳戦に臨む『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)の作中には、様々な伏線と謎が描かれた。
“情報タイムマシン”たる電話レンジと、それを巡って繰り広げられる第3次世界大戦。本来の世界線では命を落としたはずの牧瀬紅莉栖の救出方法。時の彼方に吹き飛ばされた椎名まゆりと阿万音鈴羽の運命。ここでは、『STEINS;GATE』で描かれたいくつもの伏線と謎について紹介する。

『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)の概要

『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)とは、“過去に情報を送れるタイムマシン”を偶然開発してしまった大学生たちが、巨大な敵に追われながら世界の破滅を防ぐために命懸けの頭脳戦を繰り広げる、5pb.とニトロプラスのコラボ企画「科学アドベンチャーシリーズ」の第2弾。
2009年にXbox360用のアドベンチャーゲームとして発売され、その秀逸な物語から好評を得てアニメや映画へのメディアミックスを展開。いずれも高い評価を受け、傑作SF作品として国内外に広く名を知られている。

大学生の岡部倫太郎(おかべりんたろう)は、幼馴染の椎名まゆり(しいな まゆり)やダルこと友人の橋田至(はしだ いたる)らと共に「未来ガジェット研究所」という同好会を立ち上げ、そこでその場で思いついたものを適当に組み合わせた珍発明を繰り返しては「また大発明をしてしまった」と盛り上がる、楽しくも生産性には疑問符の付く日々を送っていた。
ある日、岡部はアメリカからやってきた天才少女牧瀬紅莉栖(まきせ くりす)の公演に顔を出し、そこで彼女が何者かに刺されて死んでいるのを目撃する。呆然とした次の瞬間、どういうわけか岡部は建物の外に移動しており、死んでいたはずの紅莉栖も平然と公演を行っていた。

やがて岡部は自分たちの作った「電話レンジ(仮)」という発明品に“過去に情報を送る”能力があることに気付き、これによる未来改変が起きた結果紅莉栖は死の運命を免れたことを知る。同時にそれは、電話レンジを巡る各国諜報部の暗躍と、その行き着く果てに発生する第3次世界大戦を回避するための、岡部たちの壮大な戦いの始まりでもあった。

回収済みの伏線・謎について

現在から未来へと至る壮大な物語が繰り広げられる『STEINS;GATE』には、様々な伏線と謎が描かれている。
“未来からタイムトラベルしてきた人間”を名乗るジョン・タイターの正体。
岡部たちと電話レンジ(仮)を狙うアメリカの秘密組織SERNの目的。
そのジョン・タイターやIBN5100に隠された秘密。
歴史改変の結果発生するとされる第3次世界大戦。
本来の世界線では命を落としたはずの牧瀬紅莉栖をどのようにして救うのか。

ここでは、個々の伏線や謎について細かく紹介していく。

未回収の伏線・謎について

極めて完成度の高いシナリオで知られる『STEINS;GATE』だが、作中で明確にされていない、あるいは放置されている伏線や謎もまた存在する。
共に壮絶な苦難を乗り越えたヒロインたちの内、岡部が選んだのは誰なのか。
時の彼方に吹き飛ばされた椎名まゆりと阿万音鈴羽の運命。

ここでは、『STEINS;GATE』で未回収のままとなった伏線や謎についても紹介する。

『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)の回収済みの伏線・謎

電話レンジ(仮)の機能とDメールの制限

電話レンジ(仮)とは、岡部たちが「未来ガジェット8号」として開発した携帯電話と電子レンジを組み合わせたものである。「電話一本で遠隔作動する電子レンジ」を目指したものだが、温めた物体がゲル状に劣化する事態が相次いだため、当初は失敗作と見なされていた。
ところが、やがてこの電話レンジ(仮)に「現在の情報をメールにして過去に送る」機能が備わっていることが判明。岡部たちはこの“過去へのメール”にDメールという名前をつけ、小遣い稼ぎなどに電話レンジ(仮)を利用し始めるも、彼らが歴史改編を繰り返していることをつかんだ大国の秘密組織に狙われるようになっていく。

作中で明かされたDメールの仕様は以下の通りである。

1.一度に送れる文字数は全角18文字、半角36文字まで。それ以上の文字は送信できない。
2.メールは1通6文字、最大で3通に分けられて送られる(全て全角文字の場合)。
3.Dメールは1時間単位で送る時間を指定できる。
4.送る際には一定範囲内で放電現象が起きなくてはならない。
5.Dメールを送る際、電話レンジ(仮)の扉が開け放たれている必要がある(扉を壊してしまっても問題ない)。

「運命探知の魔眼」の能力

作中でDメールによる歴史改変が行われた際、岡部だけがそれを認識することができる。岡部は自分のこの能力に運命探知の魔眼(リーディング・シュタイナー)という仰々しい名前をつけ自慢げにしていたが、「歴史の改変を自分しか認識できない」からこそSERNとの戦いでは自身が矢面に立つしかなく、徐々に精神を擦り減らして追い詰められていくこととなった。

公式の解説によれば、リーディング・シュタイナーは岡部固有の能力ではなく、全ての人間が潜在的に持っている能力だとされている。実際劇場版アニメでは紅莉栖もリーディング・シュタイナー能力を獲得している。
本編で岡部がこの能力に目覚めたのは、彼がDメールによる歴史改変の中心的な人物だったことで、急激な適応進化を起こしたのではないかと推測されている。

未来人ジョン・タイターの正体

Dメールの存在を知った岡部たちが最初に頼ろうとしたのは、“未来人”を自称して活動していた「ジョン・タイター」というネット上の有名人だった。
ジョン・タイターは2000年から2001年頃にかけて実際にネットで話題となった人物で、本作ではそれを物語上の重要キャラクターとして取り込み、物語序盤の岡部たちにとってはDメールの存在を信じてくれるありがたい存在として活躍した。

果たしてその正体は、未来ガジェット研究所の真下にあるブラウン管工房でアルバイトをしているフリーターの阿万音鈴羽(あまね すずは)だった。鈴羽は実際に2036年からやってきた未来人で、ダルの実の娘である。
未来世界で岡部やダルが完成させたタイムマシンに乗って現代にやってきた鈴羽は、第3次世界大戦の阻止を目的に暗躍。岡部たちを狙うSERNを警戒し、いざという時に彼らの力となるべく様々な準備を進めていた。

IBN5100に隠された秘密

物語序盤、岡部はIBN5100という今では製造されていない古いパソコンを探してあちこちを探し回ることとなる。ようやくこれを見付けたのも束の間、先んじて何者かに盗まれる事態まで発生し、「IBN5100にはどんな秘密が隠されているのか、いったい誰が自分たちの動きを読んで先回りしているのか」と岡部たちの恐怖を煽った。
実はIBN5100は今ではもうコードそのものが破棄された古いプログラミング言語で作られており、SERNにはこれを使うことでしか解読できないパスワードが存在していた。電話レンジ(仮)の機能を安定させるためにどうしてもIBN5100を欲した岡部だったが、彼のこの動き自体が未来ガジェット研究所がSERNに目をつけられる一因となってしまった。

桐生萌郁の正体

物語序盤で岡部と知り合う謎の美女、桐生萌郁(きりゅう もえか)。ほとんどしゃべらず、メールを使って意志表示する変わり者のお姉さんといった雰囲気の彼女だが、その正体はSERNの関連組織「ラウンダー」のエージェントである。
IBN5100の回収任務のために活動していたが、その中で岡部が過去に情報を送る装置を完成させたことを知り、本部の指示で彼らを襲撃する。並外れた格闘技術を持ち、命令とあれば親しく会話をした相手を殺すことも辞さない危険な女性だが、岡部に対して好感を抱いていたのも事実らしく、任務以外の場面で顔を合わせた時は彼女なりにフレンドリィな姿を見せている。

SERNの目的

SERNとは、ジュネーブに本部を擁する欧州素粒子原子核研究機構の略称。表向きは素粒子物理学の研究を主に行っているとされ、世界的な設備をいくつも持っている。
しかしその真の目的は「タイムマシンを作り出すこと」にあり、効果は限定的ながら岡部がタイムマシンの発明に成功したと気付くや即座にこれを奪うことを画策。未来ガジェット研究所の武力制圧を試みた。

いくつかの世界線においては世界を征服してディストピアを完成させ、別の世界線においてははタイムマシンの研究開発を巡って第3次世界大戦を巻き起こすなど、本作における岡部たちの最大の敵として物語に君臨する。

天王寺裕吾の裏の顔

天王寺裕吾(てんのうじ ゆうご)は、未来ガジェット研究所が間借りしている物件の家主である。筋骨隆々の大男で、娘の天王寺綯(てんのうじ なえ)を溺愛している。見た目からは信じられないほどのインテリで、複数の言語を使いこなし、岡部の厨二病的なノリにもそれなりに付き合ってくれる。
しかし実は彼はこの地区で活動するラウンダーのリーダーであり、立場上は萌郁の上司である。岡部たちが電話レンジ(仮)を完成させ、それが限定的ながら時間を逆行する機能を持つことが明らかとなってからは、家主であることを利用して彼らについて探っていた。

一方、娘に向けた愛情や岡部に対して見せていた親切な気質は生来のもので、「できれば娘や岡部には自分の正体を知られたくない」とも考えていた。
とあるルートでは岡部に正体を突き止められて運命の皮肉に自嘲しながら自害し、これを知った綯が「父の仇」として岡部を付け狙う。天王寺の娘への愛情が本物だったことを、これ以上なく残酷に証明した形となった。

牧瀬紅莉栖の救済方法

幾多の世界線を潜り抜けた末、岡部は「紅莉栖が刺されて死んだ」世界線に戻れば未来の破滅もディストピアも回避できると結論する。しかしそれは無数のトライ&エラーを繰り返す絶望的な旅をいつも一番近くで支えてくれた紅莉栖を見殺しにするも同然であり、岡部は当初断固としてこれを拒否している。
しかし自身の最高の相棒と世界全てを天秤に懸けた末、紅莉栖本人から「苦しんでいる岡部を見ている方がつらい」と説得されたこともあり、岡部は一度は“紅莉栖を見殺しにして世界を救う”ことを選択。しかしその直後、未来の岡部自身からDメールが届き、紅莉栖を救う方法について教えられる。

それは「岡部は医学の知識があるわけではなく、刺されて倒れている紅莉栖を見て“死んでいる”と思い込んだだけで、実際に彼女が絶命したかどうか確かめたわけではない」という盲点を利用して、「鈴羽の乗ってきたタイムマシンで紅莉栖が死んだ時間に移動し、彼女をスタンガンで気絶させ、オモチャのナイフと血糊で“刺されて倒れている”状況だけを作り出し、それをこの時代の岡部に目撃させて“紅莉栖が死んだ”と思い込ませる」というものだった。
まゆりの叱咤と、未来の自分から告げられた「世界を騙せ」という言葉に勇気づけられた岡部は、本来の時間軸では娘の才能への嫉妬から紅莉栖を刺し殺すはずだった彼女の父に襲われて負傷するも、自身の血を血糊の代わりにしてこれを完遂。世界の“観測者”としてDメール開発に取り組むはずだった過去の自分自身を完璧に欺き、ついに仲間たち全員を守り抜くと同時に破滅の未来をも回避した。

『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)の未回収の伏線・謎

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