TRIGUN STAMPEDE(トライガン・スタンピード)のネタバレ解説・考察まとめ

『TRIGUN STAMPEDE』(トライガン スタンピード)とは、内藤泰弘の人気漫画『TRIGUN』及び『TRIGUN MAXIMUM』を原作とする2023年冬のアニメ作品。同作は1998年にもアニメ化されているが、その続編ではなく原作の内容を再編集した新作となっている。
砂漠と荒野が続く灼熱の星ノーマンズランド。お尋ね者のヴッシュ・ザ・スタンピードは凄腕のガンマンだが人死にを嫌う変わり者で、行く先々で事件を巻き起こす。やがて彼と仲間たちは、星と人類の未来を賭けた戦いに臨んでいく。
ナイヴズの手に落ちたヴァッシュは、彼とコンラッドの手によって記憶を書き換えられようとしていた。コンラッドによれば、通常のプラントとヴァッシュたちインディペンデンツの違いは“魂の有無”にあるらしく、プラントが物質を作り出す際にアクセスする別次元にそれは保管されていると予想されていた。彼らは「人格をいったん白紙に戻したヴァッシュを媒介にして、プラントたちに魂を定着させる」ことを目論んでいたのだった。
失われていく記憶の中、味わい続けた無数の絶望と、延々と見続けた人の愚かさを追体験させられるヴァッシュ。夢を見るような感覚の中、彼はレムと共に幼少期を過ごした移民船へと戻り、そこで「自分たち以前に生まれたインディペンデンツが研究のために解体された」こと、「ナイヴズが移民船団を墜落させようと決意した最大の理由は、“プラントとしての特殊能力を一切持たないヴァッシュを人間たちから守るため”」だったことを思い出してしまう。
“この星における全ての人間の悲劇は自分がきっかけに生まれた”ものであることを突きつけられたヴァッシュは、絶望に屈して全ての記憶と人格を失う。完全に初期化されたヴァッシュを前にナイヴズは歓喜し、コンラッドのサポートを受けつつプラントたちの魂が潜む別次元へと侵入する。
その場に駆け付けたメリルだったが、小口径のデリンジャー1丁でナイヴズたちを止めることもできず、ただヴァッシュの精神が壊されていくのを見守り、励まし続けることしかできなかった。一方、プラントとしてのヴァッシュの力が起動した影響で、ジュライにはナイヴズたちの拠点を内包する形で巨樹がそそり立つ。
#0「HIGH NOON AT JULY」
完全に自我を封じられたかに思われたヴァッシュだったが、それでもなおレムが優しくしてくれた記憶だけは忘れることができず、これとメリルの必死の呼びかけによって復活。メリルに礼と「すぐに逃げてくれ」との言葉を告げ、異次元へのゲートを開く際に使用していた莫大なエネルギーをキューブの形にして奪い取ると、これを2度とナイヴズに利用されまいとその場を脱出する。
ナイヴズの執拗な追撃を凌ぎ、爆発寸前のエネルギーキューブを処分する場を求め、ジュライの街を駆け回るヴァッシュ。これを追おうとするメリルだったが、気になって戻ってきたウルフウッドに「命がいくつあっても足らない」とむりやり退避させられる。
やがてヴァッシュはナイヴズとの接触で限定的に覚醒したインディペンデンツとしての能力でまっすぐ上空へと飛翔し、宇宙空間にエネルギーキューブを投棄しようとする。ナイヴズもこれを追い、「人間がどれほど愚かな生き物かはお前も嫌というほど味わってきたはずだ、ヤツらは決して我々を受け入れない」とヴァッシュの説得を試みる。しかしヴァッシュはなおも人間たちと一緒に歩む道を選び、いよいよ爆発を始めたエネルギーキューブを“ビームとして宇宙に向けて撃ち尽くす”という方法で処分する。この時、それでもエネルギーキューブを取り戻そうとしたナイヴズはビームによって全身を焼かれ、非殺を貫き続けたヴァッシュに向かって「俺を殺したのはお前だ」との呪いと嘲笑の言葉を残して消えていく。結局エネルギーキューブの力を完全に放出することはできず、その余波でジュライは壊滅。この地に生きる人々の9割が命を落とす大惨事となる。
2年後。ウルフウッドに町の外まで連れ出されていたお陰で惨禍を生き延びたメリルは、会社から「お前に新人の教育を任せる」との連絡を受け、自分がかつてのロベルトと同じ立場になるのだという事実に苦笑する。一方、どことも知れぬ教会では、その身と心に甚大な傷を負った“左腕の無い青年”が、物憂げにピアノを弾いていた。
『TRIGUN STAMPEDE』の登場人物・キャラクター
ヴァッシュ・ザ・スタンピード

CV:松岡禎丞/黒沢ともよ(幼少期)
主人公。600万もの高額賞金を懸けられた凄腕のガンマン。行く先々で次々騒ぎを巻き起こし、大抵その中心にいるため、「ヒューマノイドタイフーン」の異名で呼ばれている。
人死にをとことん嫌い、自分が傷つくことも覚悟の上で手の届く全ての者を救おうと足掻く。その様は、作中の人物たちによって聖者にも愚者にも例えられている。
その正体は自立型のプラント。フルパワーを発揮した際は、月をも穿つほどのすさまじい力を発揮する。移民船の不時着以前から生きており、人類殲滅を目論むナイヴズを止めるため旅を続けている。
ニコラス・D・ウルフウッド

CV:細谷佳正
「葬儀屋」を自称し、巨大な十字架を背負って旅をする謎の男。「やられる前にやれ」、「他人を切り捨ててでも自分の命を守れ」といったシビアな思想を持つが、一方で甘さを捨て切れないところがあり、ヴァッシュに憧れと苛立ちを同時に抱く。
常に傍らに置く十字架は機関銃やビーム砲を組み合わせた大型複合銃器パニッシャーであり、100メートルを超える超大型バグズをも撃破するほどの破壊力を秘める。
メリル・ストライフ

CV:あんどうさくら
ベルナルデリ通信社の新人社員。大学を卒業しており、同社の将来の幹部候補だが、現在は修行を兼ねて現場で活動している。
有名な賞金首であるヴァッシュを取材するために彼の下を訪れ、噂で聞いていたものとはまるで違う温和で朗らかな彼の人柄に驚き、次第に興味を抱いていく。
ロベルト・デニーロ

CV:松田賢二
ベルナルデリ通信社のベテラン記者。仕事中にも酒を飲むなど、働きぶりは真面目とはいいがたい。生真面目なメリルに対し、もっと肩の力を抜くようアドバイスしているが、彼女からは「先輩こそしっかり働いてくれ」と返されるのが常である。
原作及び1998年のアニメ版には登場しないキャラクター。
『TRIGUN STAMPEDE』の用語
ノーマンズランド
物語の舞台となる星。重力と大気組成こと地球とほぼ同じだが、砂漠と荒野がどこまでも続く荒涼とした土地で、水も少なければ作物もほとんど育たない不毛の土地である。
移民船
汚染され尽くした地球から脱出するために、何十万という人類が乗り込んだ宇宙船。本編開始の100年以上前、ナイヴズの工作によってノーマンズランドに不時着した。
プラント
地球の高度な技術で作られた生体ユニット。もともとは移民船の動力として利用されていたが、ノーマンズランドでは水や食料、電気といった人類の生存に必要不可欠な物資の生産に利用されている。
「巨大な電球の中に天使のような存在が封じられている」というのが基本的な形状だが、中には自立して思考して動き回ることが可能な個体も存在する。
『TRIGUN STAMPEDE』の主題歌・挿入歌
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目次 - Contents
- 『TRIGUN STAMPEDE』の概要
- 『TRIGUN STAMPEDE』のあらすじ・ストーリー
- #01「NO MAN'S LAND」
- #02「逃げる男」
- #03「光よ、闇を照らせ」
- #04「HUNGRY!」
- #05「祝福の子供」
- #06「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ホープランド」
- #07「WOLFWOOD」
- #08「Our Home.」
- #09「Millions knives」
- #10「人間」
- #11「新世界へ」
- #0「HIGH NOON AT JULY」
- 『TRIGUN STAMPEDE』の登場人物・キャラクター
- ヴァッシュ・ザ・スタンピード
- ニコラス・D・ウルフウッド
- メリル・ストライフ
- ロベルト・デニーロ
- 『TRIGUN STAMPEDE』の用語
- ノーマンズランド
- 移民船
- プラント
- 『TRIGUN STAMPEDE』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):Kvi Baba『TOMBI』
- ED(エンディング):Salyu × haruka nakamura『星のクズ α』