天は赤い河のほとり(篠原千絵)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『天は赤い河のほとり』は、1995年から2002年まで『少女コミック』にて連載された篠原千絵による漫画である。時空を超えて紀元前14世紀の古代ヒッタイト帝国へとやってきた主人公ユーリが、後の皇帝となるカイルと出会い、自らの運命を切り開いていく歴史ロマンス漫画。王道の少女漫画でありながら、ロマンに溢れ史実とオリジナルのバランスが非情に優れた作品。第46回小学館漫画賞少女部門受賞作品。

トルコのカッパドキアを流れる大河「クズル・ウルマック」のこと。クズルは赤。ウルマックは川の意味。大雨などが降ると、川底の土が混ざりその土の影響により川が赤く見えることがあるという。

『天は赤い河のほとり』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ユーリ「身分ってのは上の者が下の者を守るためにあるんじゃないの!?権力があるならこんな時使わないでいつ使うのよ!!」

『天は赤い河のほとり』フラワーコミックスより引用

捕らえられたティトが処刑されそうになる直前にユーリがカイルに放った言葉が「身分ってのは上の者が下の者を守るためにあるんじゃないの!?権力があるならこんな時使わないでいつ使うのよ!!」である。その言葉にハッとさせられたカイルは、その後ティトを自身の宮へ連れて帰ることに。勇気あるユーリの行動とその言葉で、一人の少年の命が救われた。

ユーリ「わたしの生きる天はここにあった この天の下にわたしは生きて いつかこの赤い土に還ろう わたしの生きる天は この赤い河のほとり そしてこの赤い台地」

『天は赤い河のほとり』フラワーコミックスより引用

ユーリが故郷を捨て、ヒッタイトに残って愛する人の傍にいることを決意したときの彼女の心の叫びが「わたしの生きる天はここにあった この天の下にわたしは生きて いつかこの赤い土に還ろう わたしの生きる天は この赤い河のほとり そしてこの赤い台地」である。漫画のタイトルにもある赤い河のほとりで、主人公が大きな決断をするシーンは強く印象に残る場面である。

ウルスラ「あたしたちは 同じ夢を見ているんだわ 一緒に暮らさなくとも 同じ夢をずっと一緒に見てゆけるわ」

『天は赤い河のほとり』フラワーコミックスより引用

「あたしたちは 同じ夢を見ているんだわ 一緒に暮らさなくとも 同じ夢をずっと一緒に見てゆけるわ」。ユーリを守るため、自分が犯人であると名乗り出たウルスラが、極刑になる直前、恋人カッシュに伝える最後の言葉。大好きな恋人と共に暮らす夢を見たけれど、それよりも大きな夢、カイルが皇帝に、そしてその隣に皇妃として立つユーリ。2人が並んで立つ日を夢見て死んでいったウルスラの気持ちが痛いほど伝わってくるシーン。

カイル「どうか、わたしの妻になってほしい」

『天は赤い河のほとり』フラワーコミックスより引用

多くの困難と試練を乗り越えて、ユーリがタワナアンナに立后する日がやってきた。周りからの祝福と共に喜びを噛みしめるユーリに、カイルが改めてプロポーズをする。「どうか、わたしの妻になってほしい」。一人の男として愛する女性にプロポーズをするカイルの姿に涙ぐむユーリ。国中が歓喜に包まれ、さらに彼女のお腹には小さな命が宿っていた。ストーリーの最終章を締めくくるに相応しい一場面である。

『天は赤い河のほとり』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

大ヒットにより外伝が出版

作品の大ヒットにより、後に外伝が出版されることになる。外伝は漫画ではなく小説として出版。主人公ユーリとカイルが出会うより以前の物語となっている。作中に出てくる三隊長との出会いやカイルの母親の死にナキアの暗躍が見え隠れし、真相を明らかにしようと奮闘するカイルの姿、また若き日の彼の恋などが描かれている。

宝塚歌劇でミュージカル化

2018年3月から6月にかけて、宝塚歌劇宙組にて舞台化された。カイル役は真風涼帆、ユーリ役は星風まどかが務めた。作者である篠原千絵は幼い頃より宝塚歌劇を見に行っていた経験があり、今作品の舞台化についてインタビューで喜びを語っている。

舞台となったトルコに魅了された篠原千絵

作者は歴史好きであり、今作品の舞台となったトルコへは20回近くも訪れているという。一番最初に訪れたときには、大地に広がる遺跡やその空気感に魅せられ、「いつかこの場所を舞台とした物語を作りたい」と思っていたことをインタビューで答えている。

『天は赤い河のほとり』の主題歌・挿入歌

ドラマCD主題歌:佐山陽規「運命の果て」(ファーストシーズン)

佐山陽規「運命の果て」

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