島鉄雄／41号（AKIRA）とは【徹底解説・考察まとめ】

島鉄雄／41号の概要

島鉄雄（しま てつお）／41号とは、大友克洋による近未来SF漫画・映画『AKIRA（アキラ）』に登場する、主人公・金田と対立するもうひとりの主人公。金田の暴走族チームの一員だが、体が小さく仲間内で子ども扱いされることに鬱屈を感じていた。
ナンバーズと接触した事故をきっかけに超能力の素質に目覚め、軍の極秘科学班によって処置を受けた結果、東京を壊滅させた「アキラ」に匹敵する素質を引き出される。万能感にとらわれた鉄雄は力に溺れて暴走し、とうとう同じチームの仲間を殺してしまう。これをきっかけに、鉄雄を助けようとしていた金田と決定的に対決することになる。
オリンピック会場建設地の地下深くに封印されていたアキラを解放し、最後は他のナンバーズと共に別の宇宙へと去っていった。

島鉄雄／41号のプロフィール・人物像

誕生日：2004年7月19日
年齢：15歳
身長：160cm
体重：46kg
CV：岩田光央
CV：佐々木望
英語版CV：ジャン・ラブソン
英語DVD版CV：ジョシュア・セス

第8区職業訓練校の生徒。金田のバイクチームの一員だが、仲間内では子ども扱いされており、そのことに不満を抱いていた。小さい頃はいじめられっこで、金田の庇護下に置かれていた。その力関係はバイクチームでも続いている。
チームで走っていたある晩、ナンバーズのひとりであるタカシと接触し、事故を起こしてしまう。それがきっかけで超能力に目覚め、軍に収容されて「41号」のナンバーを与えられる。
はじめは激しい頭痛や自身の変化に戸惑っていたが、自身の力に溺れて傲慢になっていく。他のナンバーズや敷島大佐（しきしまたいさ）、ドクターになだめられるが、かえって反発心や暴力性を刺激され、誰にも制御できなくなっていく。軍から脱走して街で暴れ、薬物に手を出し、とうとうバイクチームの仲間を殺してしまった。そのために金田とは決定的に決裂することになる。

島鉄雄／41号の能力：アキラに匹敵する超能力

タカシと接触したことで超能力に覚醒する。力はどんどん膨れ上がり、やがて制御できなくなっていく。その力はかつて東京を壊滅させた「アキラ」に匹敵する。
瞬間移動、テレパシー、空を飛ぶ、物を浮かす、触れずに物を動かす、触れずに人を殺すなど、他のナンバーズと同じことは一通りできる。

島鉄雄／41号の来歴・活躍

超能力

新大型爆弾による破壊から復興を遂げつつあるネオ東京。鉄雄は兄貴分の金田の暴走族チームに所属しており、ある晩も仲間とともに夜の街を疾走していた。すると道路の真ん中に小さな子どもがおり、避けようとした鉄雄は事故を起こしてしまう。不思議なことに、子どもは幻のように消えてしまった。
鉄雄は少年を追ってきた軍隊によって収容され、ある極秘実験の被検体にされる。それは人工的に超能力者を作り出す研究で、鉄雄が遭遇した少年・タカシはその成果物のひとりだった。鉄雄はタカシと接触したことで能力に目覚め、軍のドクターによって急速に力を引き出されていく。
一度は金田たちのところに戻った鉄雄だったが、激しい頭痛に悩まされていた。自分に何が起きているのかわからないまま、金田のバイクを持ちだしてガールフレンドのカオリと共に気晴らしに行こうとするが、敵対する不良グループに捕まって暴行されてしまう。鉄雄は金田たちに助け出されるが、金田に守られてばかりの現状に不満が爆発し、金田を拒絶する。そこに軍がやってきて、苦しむ鉄雄を再び研究施設へと連れていく。

万能感

軍の研究施設に収容された鉄雄は急速に超能力が覚醒し、それと同時に意識の中に現れた「アキラ」という謎の存在に苛立っていた。鉄雄は力づくで監視を破り、タカシをはじめとする超能力者の子どもたち「ナンバーズ」が収容されているベビールームに突入する。そこに、鉄雄を助けるために反政府ゲリラと手を組んだ金田が現れる。鉄雄を連れて帰ろうとする金田を鉄雄は拒絶し、ナンバーズのキヨコの意識を読み取ってアキラの居場所を突きとめ、施設から脱走する。
アキラのもとへ向かう鉄雄だったが、能力が強くなるにつれて激しくなる頭痛に悩まされ、半狂乱になっていた。暴走族チームのたまり場になっていたバーに入った鉄雄はマスターを殺して薬物を奪う。そしてその場に現れたチームの仲間、山形をも殺害してしまった。

金田

鉄雄はネオ東京を破壊し、無数の人々を殺しながら、アキラが封印されている地下施設に辿り着いた。しかし、そこにあったのは冷凍保存された脳と神経だった。かつて、ナンバーズの中で最も強い能力を発揮した少年アキラは力を暴走させ、東京を壊滅させた。アキラは研究のために体をバラバラにされたが、その力は消えておらず、軍はアキラを地下深くに冷凍封印したのだ。
鉄雄の暴走を止めるため、軍の携行型レーザー砲を持って金田が駆けつける。決裂したふたりは激しく戦うが、人知を超えた力を手に入れた鉄雄は金田を圧倒する。そこに、軍の責任者である敷島大佐（しきしまたいさ）の指示で軍事衛星から巨大なレーザー砲が降り注いだ。鉄雄は右腕を失うが、軍事衛星を破壊する。
テレビのニュースを見たカオリがオリンピック会場建設地に駆けつけると、そこには超能力でガラクタを義手にした鉄雄がいた。鉄雄に寄り添うカオリだったが、鉄雄の力はいよいよ大きく強くなり、とうとう鉄雄自身にも制御できなくなる。鉄雄は機械と肉が混ざった巨大な怪物へと変貌していき、カオリは膨れ上がる肉塊に巻き込まれて死んでしまった。
逃げようとする金田だったが、鉄雄の助けを求める声に応えて飛び込んでいってしまう。ナンバーズの子どもたちは金田だけでも助けようと、アキラのケースに力を送り、アキラが蘇る。アキラの力で周囲一帯が巨大な光に包まれていく中、金田は鉄雄の記憶を見る。鉄雄はナンバーズとアキラと共に別の宇宙へと去っていき、金田は瓦礫の山と化したネオ東京へ帰って行く。

原作漫画版

原作漫画版の中で、アニメ映画版との大きな違いは前半にカオリが登場しない点と、鉄雄が封印を解いたアキラが生きた少年である点だ。アキラを解放した鉄雄だったが、軍との戦いで片腕を失う重傷を負い、姿をくらます。アキラは金田とケイが保護し、ケイの仲間のチヨコのもとに身を寄せる。ケイは反政府ゲリラにアキラの確保を指示していた根津にアキラを引き渡そうとするが、根津は口封じのためにケイたちを殺そうとする。ケイたちは根津からアキラを奪い返すが、アキラを追ってきた軍（作中ではアーミーと呼ばれる）と、かつてナンバーズだった超能力者・ミヤコの手先が現れ、ネオ東京の街を舞台にアキラを巡る激しい戦いとなる。
最終的には大佐が率いるアーミーがアキラを確保し、アキラはキヨコ、マサル、タカシと再会を果たす。しかし、アキラを手にできないのなら殺してしまおうと考えた根津が発砲し、タカシの頭に弾が命中してしまう。タカシが死んだショックで、アキラは能力を暴発させる。大規模な爆発で膨大な数の人が死に、ビル群は瓦礫の山と化した。こうして二度目の東京壊滅が起きたのだった。

無政府状態となった東京で、鉄雄はアキラを「大覚様」と呼んで祭り上げ、「大東京帝国」という武力勢力を築いて君臨した。瓦礫の中から見つけ出した、軍が作った超能力を引き出す薬を部下に飲ませ、その強烈な作用から生き残った者は超能力者となって帝国を支えた。暴君となった鉄雄は部下に美しい少女を集めさせては侍らせ、薬を飲ませる遊びにふけっていた。少女たちはほとんど死んでしまったが、ひとりだけ生き残った少女がいた。彼女はカオリといい、与えられた薬を飲むふりをして、身動きの取れない父親に飲ませてやろうと考えていた。鉄雄はカオリを気に入り、カオリは鉄雄とアキラの身の回りを世話する侍女となった。
鉄雄はどんどん強くなっていく超能力に酔いしれると同時に、それを恐れてもいた。能力が臨界点に達したとき、鉄雄にも想像できないことが起こる。そして、鉄雄はそこに到達しなくてはならなかった。鉄雄は部下たちの前では暴君として振舞いながら、カオリにだけは心を許し、安らぎを求めるようになっていった。
アキラと鉄雄を危険視した国連が送り込んだアメリカ軍が東京の沿岸部に現れ、鉄雄はひとりで軍艦を壊滅させ、衛星兵器を破壊する。そんな中、鉄雄を止めるため、そして超能力の真の覚醒を迎えるため、キヨコ・マサル・ミヤコの触媒となったケイが鉄雄に戦いを挑む。アーミーを率いていた敷島や、ケイを死なせまいとする金田も現れ、鉄雄を止めようとする。そんな中、鉄雄を危険視した帝国の部下たちが鉄雄を殺そうと武器を取る。カオリは彼らを止め、鉄雄に危険を知らせようとするが、背後から撃たれて死んでしまった。鉄雄はカオリを超能力で生き返らせようとするが、間に合わなかった。
心の支えを失った鉄雄の力はますます強くなり、鉄雄はグロテスクな赤ん坊のような巨大な怪物と化してしまう。ミヤコに導かれたケイが日本の軍事衛星からレーザーを発射し、鉄雄の肉体が破壊されると、とうとう覚醒が起きた。巨大な光が瓦礫の山を包み、それに呼応したアキラもまた力を覚醒させる。ふたつの巨大な光が混ざり合い、それを観測していた科学者は「リトル・ビッグバン」「宇宙の誕生」と表現した。
力の奔流に巻き込まれた金田は、鉄雄と出会ったときの記憶を見ていた。金田と鉄雄はたしかに友達だった。
キヨコにマサル、過去に死んでいったナンバーズ、アキラ、そして鉄雄は、誕生した新たな宇宙へと旅立っていった。

島鉄雄／41号の関連人物・キャラクター

金田正太郎（かねだ しょうたろう）

『AKIRA』のもうひとりの主人公であり、鉄雄の幼馴染の少年。鉄雄の所属する暴走族のチームを率いている。運動神経抜群で度胸もあり、どこにいてもリーダーシップを発揮するタイプ。
幼い頃にいじめられっこだった鉄雄と知り合い、兄貴分となる。バイクチームでもその関係性は続いていたが、鉄雄は自分が常に子ども扱いされることに不満を抱いていた。
軍に連れ去られた鉄雄を助けるために行動を起こすが、鉄雄が自身の力に溺れて暴走し、仲間を殺したことで決裂する。最後はナンバーズと共に別の宇宙へと去っていく鉄雄を見送った。