青のオーケストラ(青オケ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『青のオーケストラ』とは、無料コミック配信サイト・裏サンデーにて連載されている音楽漫画である。作者は阿久井 真。2021年8月時点の累計発行部数は300万部を突破している。2023年1月、第68回「小学館漫画賞」少年向け部門を受賞した。とある理由でヴァイオリンを辞めた主人公・青野 一が、少女とオーケストラ部に出会い、音楽を通して成長していく物語である。2023年4月よりNHK Eテレにてアニメの放送がスタートする。

通称「オケ部」。弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器で構成されている。千葉県立海幕高校では一番規模の大きい部活。部活紹介時点の部員数は、男子22人、女子142人、計164人。武田と鮎川が所属していた頃は弱小だったが、現在はコンクール全国大会で8年連続最優秀賞を受賞している超強豪校となった。

『青のオーケストラ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

青野がもう一度ヴァイオリンを弾く決意をしたシーン

秋音と訪れた川原でヴァイオリンを弾く青野。

単行本1巻第3話のシーン。プロのヴァイオリニストである父親の離婚が原因で、ヴァイオリンを辞めてしまった青野。ヴァイオリンを始めてまだ日が浅い秋音の音が、小さい頃の自分の音と似ていて心を動かされる。クラスの女子に苛められていた事を「過去の出来事」とし、やりたい事をやると前向きな秋音を青野は羨ましく思う。川原で秋音にヴァイオリンを弾いて欲しいとお願いされた青野は、ヴァイオリンを手にして美しい演奏を響かせた。長い間囚われていた父親の呪縛から解放された青野は、もう一度ヴァイオリンを弾く決意をしたのだった。

小桜が初めて自分を好きになれた瞬間

秋音のためにヴァイオリンを弾く小桜。

単行本2巻第13話のシーン。小桜は高校に入学してからクラスに馴染めず、一方で秋音は既に友達が出来ていて劣等感を覚えた。部活の帰りに、中学の時に自分を苛めていた女子を偶然見かけ、動けなくなっていた所へ秋音が駆けつける。中学時代から何も変われていない事に気付いた小桜は、学校を休むようになってしまう。心配して来てくれた秋音と本音をぶつけ合い、2人の間にあった蟠りが消える。秋音からのお願いで、中学の時に初めて小桜が秋音に弾いた曲を演奏する。誰かのためにヴァイオリンを弾くのが初めてだと気付いた小桜は、初めて自分の事を好きになれたのだった。

佐伯 直「君とヴァイオリンが弾きたい…!!」

本音を言いながら涙を流す佐伯。

単行本5巻第30話のシーン。佐伯が父親と不倫相手の子供だと知った青野は、どうにも出来ない気持ちから佐伯を拒絶してしまう。その後、青野は佐伯を呼び出して自分の本音を話す。しかし謝る事しかせず、仕舞いには自身の存在も否定する佐伯に対し、青野は「お前自身を否定しちまったら、全部が嘘になっちまう…!」と激怒する。本音を聞いても関係は変わらない、「青野 龍仁の息子」としてではなく「佐伯 直」として話せと言う青野。佐伯は涙を流しながら、「君とヴァイオリンが弾きたい…!!」と素直な気持ちを話す。自分と同じ気持ちだった事を知り、青野も涙を浮かべる。拗れていた2人の仲は元に戻り、今までと変わらない関係になれた瞬間だった。

青野が父親へのトラウマを乗り越えたシーン

父親(中央)にヴァイオリンを教わった時の事を思い出す青野(右)。

単行本5巻第34話のシーン。小さい頃の自分と父親の夢を見た青野は、早朝に目が覚めた。いつもなら気分最悪の目覚めになるはずが、この時は違った。ふと思い出し、レッスン部屋でドヴォルザーク作曲『ユーモレスク』の楽譜を出した。まだ幼い頃、父親にレッスンしてもらった時、「音色のイメージを明確にしろ」と言われた事を思い出す。自然と身体が動き、自分なりに曲の背景をイメージして演奏する。弾き終えた時には朝日が昇り、青野の目からは涙が零れ落ちていた。「俺……こんな音も出せたんだな……」今までとは違う演奏が出来た青野がそう思った時が、父親へのトラウマを乗り越えた瞬間だった。

滝本の決意

裾野(左)と滝本(右)は、最後まで全力で頑張る事を約束する。

単行本7巻第47話のシーン。3年生引退後、2ndヴァイオリンのパートリーダーになった滝本は、朝練に来ない事を問題視されて同じパートの2年生と揉める。元々家の事情で夏に部活を辞める予定でいて、勉強と部活の両立、母親との関係に苦しくなってしまう。偶然泣いている所を見られた青野と話す事で、自分がどうしたいかがはっきりする。部活は夏までと母親と約束していたが、みんなと活動しているうちに「まだ辞めたくない」と思っている自分に気づき、全てを中途半端にしないためにコンクールまでと期限を決めた。コンクールまで残り少ない期間、滝本が後悔しないためにした決意だった。

コンクールで最優秀賞を受賞したシーン

最優秀賞を受賞して喜ぶ部員達。

単行本9巻第56話のシーン。演奏曲『バッカナール』の音のイメージについて、部員達は何度も練習と話し合いを重ね、全国から実力校が集まるコンクール本番当日を迎える。不安や後悔、怒り等、それぞれの想いを乗せた演奏は聴衆を魅了し、大歓声と拍手に包まれる。期待と不安が入り混じる中行われた結果発表で、海幕高校は見事に最優秀賞を受賞する。仲間と喜び合い、嬉しさのあまり涙を流す人もいた。部員達の日々の努力が成果として現れた瞬間だった。

青野 一「高校生の小桜さんが、本当の小桜さんなんだと思うよ」

青野(右)の言葉に変わる勇気を貰う小桜(左)。

単行本9巻第58話のシーン。青野と小桜は2人で楽器屋へ行き、ヴァイオリンのメンテナンスをする。その後昼食を食べに行くのだが、青野が席を外した時、中学時代に小桜と秋音を苛めていた女子と偶然会ってしまう。苛められていた時の記憶が蘇り、怯える小桜から女子がお金を取ろうとした所へ青野が戻って来る。秋音が苛められていた事も知っている青野は「謝れ」と睨み付け、迫力に負けた女子は謝罪の言葉を残して立ち去っていった。その場で蹲って泣く小桜を連れ出して外のベンチに座り、小桜の中学の頃の話を聞く。弱くて何も出来なかったせいで母親と秋音を傷付けてしまい、「私なんか居なければ…」と自身を蔑む小桜を、青野は「それだけは絶対に違う」と否定する。周囲に気を配るのが上手で、誰もやらないような雑用も自分から進んでやる人だと、青野は高校で出会った小桜の事を話す。「高校生の小桜さんが、本当の小桜さんなんだと思うよ」と青野から言われた言葉は小桜のネガティブな感情を打ち消し、今の自分を変えなければと前向きになれたのだった。

『青のオーケストラ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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