Stray(ストレイ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Stray』とは、Blue Twelve Studioによって開発されたアドベンチャーゲームだ。2022年にMicrosoft Windows、PlayStation 4、PlayStation 5のソフトとして発売された。地下深くに暮らしていたロボット達の町へ迷い込んだ1匹の猫。そこでは人間はすでに滅びており、ロボットとは別のZURKと呼ばれる危険な生き物も存在していた。サイバーパンクな世界を1匹の猫となって、かつて科学者の相棒として働いていたというAIのB-12と共に冒険していく。

『Stray』の概要

『Stray』とは、フランスのゲームメーカーBlue Twelve Studio開発、Annapurna Interactive発売によるアドベンチャーゲームである。2015年の開発当初、2名しかいなかったスタッフは2017年には5名、最終的には24名のとなり2022年に完成。なお、スタジオ内には人間よりも犬や猫の方が多く、本作エンドクレジットのスタッフ欄にも多くの犬と猫の名前が載っている。
発売日当日にはsteamでの同時接続数が6万にものぼり、同日のセールスランキングでは1位を獲得した。本作での猫の動きがリアルで可愛いとの評判もあり、ゲーム好きユーザーだけではなく猫好きユーザーからも多くの注目を集めた。

草木の生い茂る場所を仲間と散歩する1匹の猫は、謎の巨大な人工建造物の外にある朽ち果てたパイプのせいで1匹だけ仲間とはぐれてしまった。上に上がれるような場所はなく、仕方なく薄暗い地下の中を進んでいく。導かれるように進んだ建物の中で、猫はB-12と名乗るAIと出会う。デッドシティと呼ばれる円錐状の建造物の中ではロボット達が生活しており、人間のようにコミュニティを作り、食事や娯楽を楽しんでいた。しかし、町から1歩出ればZURKと呼ばれるネズミのように走り回る小さな生物がおり、奴らは生き物も金属も何でも食い尽くしてしまうのだと言う。猫はB-12と共に、仲間の猫の元へ戻るために冒険を繰り広げていく。

『Stray』のあらすじ・ストーリー

奈落の底へ

仲間と過ごす猫

雨上がりのある日、数匹の猫達は巨大な人工建造物の周りを歩いていた。木々は生い茂り、巨大な謎の建物も錆びついており、長い間人の気配がないようだった。錆びたパイプの上を歩いている途中、パイプが折れ最後尾にいた猫だけが奈落の底へ落ちてしまう。落ちた先にはデッドシティと呼ばれる空間が広がっており、配管や電灯などの人工物はあるがひどく荒れ、やはりそこにも人が住んでいる様子はなかった。仲間の元へ戻ろうと猫が進んでいくと、そこには町のようなものが広がっている。エアコンの室外機や防犯カメラのような物もあり、薄暗いが電気も通っているようだった。時たま、遠くに何かネズミのような生き物も確認できるが、猫の存在に気付くとそれはすばしっこく逃げてしまう。仕方なく猫が進んでいくと、看板に矢印が浮かび上がる。それはまるでこちらの存在を認識し、導いているようだった。猫が誘われるがまま進んでいくととあるアパートへと行きつく。部屋の中には「タスケテ、クダサイ」と書かれた画面があり、何か猫にメッセージを伝えようとしているようだった。大量のモニターがある謎の部屋でバッテリーを接続すると、B-12というカメラ程のサイズのAIが起動した。B-12は「助かりました。ありがとう。」と言う。猫語に変換し猫と会話のできるB-12は、これまで通って来た道にあったカメラを通してこちらの様子を見ていたのだという。B-12は、かつてはこの部屋にいた科学者の元で働いており、長い間ネットワークの中に閉じ込められていたせいで記憶領域が曖昧になってしまっていた。デッドシティは危険だとB-12に教わった猫は、専用のバックパックにB-12を入れ、行動を共にすることにした。

ロボット達との出会い

スラムに迷い込んだ猫と警戒するGuardian

B-12と共に路地裏を進んでいくと、青い空と海、そしてヤシの木が描かれたポストカードを元にペイントされた壁を発見した。B-12によると、その描かれている場所や猫が以前暮らしていた場所はアウトサイドと呼ばれ、謎の巨大人工建造物の外側を指すのだそうだ。更に進んでいくとスラムと呼ばれる、ロボット達が身を寄せ合って暮らしている場所へとたどり着いた。スラムに迷い込んだ瞬間、ロボットは警報を鳴らし猫を警戒。会うロボット全てが猫を見るなり恐れおののき建物内へと逃げて行った。しかし、スラムの治安を守っているというGuardianにより、誤解を解くことができた。猫はこれまでの通り道で見たネズミのような小さな生き物ZURKだと勘違いされ、警報を鳴らされたのだった。ZURKは生き物だけではなくロボットなどの無機物も全て食べ尽くしてしまうのだという。Guardianにアウトサイドが描かれたポストカードを見せた猫は、上階へ登るエレベーターは停止していることを教わる。また、猫やB-12のようにアウトサイドを夢見る者はアウトサイダーと呼ばれ、スラムにもMomoというアウトサイダーがいるらしい。スラムには他にもマーケットやバーなどもあり、日が当たらなくても育つ植物を世話しているロボットもいた。また、自販機やコインランドリーのような施設もあり、人間が生きていた面影は至る所に残っていた。Guardianに聞いていたMomoというロボットと会うことのできた猫だったが、Momoはアウトサイダーの仲間達を失った絶望から、アウトサイドを夢見る事を止めてしまっていた。Momoによると、トランシーバーが作動せず、スラムを出た仲間達と一切連絡が取れないのだという。猫がアウトサイドを目指すのならばと受け取ったノートには、アウトサイダー達のルールの他、Clementine、Zbaltazar、Doc、Momoの4名のアウトサイダーの署名がされていた。更に猫がスラムを探索していると、いくつかのノートを発見し、トランシーバー自体に何かしらの問題があった事やミッドタウンというスラムより上層に町があるということが分かった。その事をMomoに伝えると、仲間達と連絡が取れるかもしれないと希望を持ち、アウトサイドへの脱出を協力してもらえることになった。

得体のしれない敵

Momoの仲間と連絡を取るため、猫はまずトランシーバーを直そうとスラムの外にある電波塔へと向かった。1歩スラムを出ると、ルーフトップと呼ばれるZURKに侵されたエリアが広がっていた。ZURKは他の生き物と同じように巣を作って集団で生活しており、そこら中にZURKの卵や、粘液性の赤黒い蜘蛛の巣のような物が広がっていた。元々は上層の人々が捨てたゴミを解決するためにNECOコーポレーションが開発したバクテリアだったZURKは、人々が消えた後突然変異を起こして何でも食べるようになってしまっていた。ZURKの間を逃げ切りなんとか電波塔の頂上にたどり着いた猫は、トランシーバーを接続し再起動させた。そして見晴らしのいい電波塔の場所で、猫とB-12は夜空と星だと思っていたものが金属製の屋根だということを知る。人々は町を封鎖するため、ミッドタウンやスラムやルーフトップのあるこのシェルターの中に閉じこもり生活しようと試みたが、太陽が届かない場所では植物も育たず、やがて人々は滅びたのだという。猫は再起動させたトランシーバーを持ってスラムのバーにいるMomoの元へ戻ると、Momoがパソコンとトランシーバーを接続し、すぐに返事が返って来た。その相手とは、同じアウトサイダーであるZbaltazarだった。Zbaltazarによると、下水道を通った先に他のメンバーもおり全員無事だと言う。その時、同じくバーにいたSeamusが「やめたほうがいい。」と口を挟んできた。Seamusは猫とMomoに危険だと忠告するとどこかへ去ってしまったが、バーのマスターであるJacobから、SeamusはDocの息子でDocが行方不明になってから変わってしまったと聞かされる。Seamusの後を追ったMomoと猫は、Docのノートを元にアパートの隠し部屋を暴き、Docの研究をSeamusに見せた。DocはZURKを倒すディフラクサーという機械を開発しており、そのテストをするためスラムを出たのだった。更にその部屋の中でDocの壊れたトラッカーを発見。Docの足取りを掴むため、スラムでプログラマーをしているElliotに修理してもらい、猫はDocを探すため再びスラムを出ることにした。

親子の再会

ZURKの卵がある下水道を抜けていく猫

Seamusと別れ、スラムを後にした猫は、デッドエンドと呼ばれる汚水の道を進む。ルーフトップ同様、そこはZURKが大量に住んでおり、死に物狂いでなんとか逃げ切ることができた。そしてデッドエンドの奥で、灯りのついた1軒の建物を発見する。窓の隙間から猫が入るとうたた寝していたDocを発見。Seamusから預かったアウトサイダーのバッジをDocに見せると、Docは息子に会いたいと懐かしがった。ディフラクサーのテストのためにここへやってきたDocだったが、ディフラクサーが故障してしまい、スラムに戻れないでいたのだった。ディフラクサーを修理するには屋外にあるジェネレーターまで行ってヒューズを交換する必要があり、Docはここへ辿り着いた猫ならできるかもしれないと、猫に託すことにした。猫は簡単にジェネレーターまでたどり着いたものの、起動するのに巨大な音が鳴ってしまいZURKが大量に押し寄せた。ZURKに襲われ最大の危機に見舞われる猫だったが、Docが窓からディフラクサーを駆使しZURKを駆逐。更に猫のバックパックにディフラクサーを装着し、DocをサポートしながらDocと猫は無事スラムに戻ることができた。そしてスラムに数年ぶりに戻ったDocはSeamusと感動の再会を果たす。他のロボット達もDocの帰還を喜び、猫に感謝を述べた。武器を手に入れた猫は、Zbaltazarを捜すためMomoと共にスラムに別れを告げた。Momoお手製のいかだに乗り、下水道を抜ける猫達。下水道には大量のZURKの卵があり、電灯もほとんどなく、霧も発生しており視界もかなり悪かった。途中、水門を開けるためにいかだを降りたMomoと猫だったが、水門を開ける機械は古く壊れてしまっていた。手動で開けるしかないとMomoは1人下水道に残ることとなり、猫だけがZbaltazarを探しに先へと進んだ。下水道を進んでいくにつれ、ZURKの卵の量はどんどん増え、更には壁に巨大な目もあり、猫が近づくと開眼しZURK達を大量に呼び寄せた。B-12がディフラクサーを起動させるがオーバーヒートしたディフラクサーは故障しB-12も動かなくなってしまった。B-12を咥えて猛ダッシュした猫はなんとかZURKを振り切り、安全な場所まで行ってB-12の無事を確認。しかし、ディフラクサーは完全に壊れてしまっていた。猫が下水道の先にあるバリケードの小さな隙間から抜けると、そこはアントビレッジという縦に伸びている村があった。その頂上でZbaltazarは瞑想しながら猫を待っていた。

B-12に隠されていた謎

B-12と始めて出会った部屋にあったものと同じ機械をアントビレッジで発見する猫

アントビレッジに到着した猫は、B-12がいた部屋と同じ機械が村の入り口にあることに気付く。B-12も、かつて一緒に働いていた科学者が同じ機械と使っていたと言う。病気だった科学者がマシンのところまで一人で歩いて行った記憶のあるB-12は、猫に向かって話しながらとあることに気付く。科学者は一人で歩いて行ったが、B-12は科学者と一緒ではなかった。しかし、科学者が自らをコンピュータにアップロードした記憶は持っている。少しだけ沈黙が起きた後、B-12はその科学者が自分自身だったことを思い出した。困惑するB-12はしばらくロボットの翻訳ができない程パニックに陥っており、3人目のアウトサイダーZbaltazarと出会うことができてやっと自我を取り戻した。Zbaltazarと会うことのできた猫は、残る4人目のアウトサイダーClementineがミッドタウンという場所にいることを聞く。街を脱出したいと思っているClementineに助けを求めれば、アウトサイドに行けるかもしれないと、猫はZbaltazarからClementineの住所を書いた写真を受け取る。

新たな協力者

縦に伸びているアントビレッジを更に上に登って行った猫は、ネオンが光り輝くミッドタウンへと到着する。街に入ってすぐ、Peacemakerという警察のようなロボットが1体のロボットを尋問していた。更に壁には「Clementine トラブルメーカー アウトサイダー 反逆者 見かけたら通報を!」という張り紙。どうやらミッドタウンではアウトサイダーは反逆者とされており、Clementineは有名人のようだった。また、スラムやアントビレッジとは違い、住んでいるロボットの数やお店も多く、街は栄えていた。Zbaltazarから貰ったClementineの写真を住所を元に、猫は住居エリアの閉鎖された部屋で隠れているClementineを探し当てた。Clementineは、当初猫を見張り兵と間違えたがZbaltazarが送ったアウトサイダーだと気付くと快く迎え入れてくれた。ミッドタウンには地下鉄があり、Clementineはそれを上手く使えばアウトサイドへ行けると考えているようだった。地下鉄のキー自体はClementineが持っており、アトミックバッテリーという物が必要らしい。しかしそれはNECOコーポレーションの中にあり、工場内に忍び込む必要があった。工場内で怪しまれないよう街でNECOコーポレーションのヘルメットとベストをくすね、Clementineの仲間であるBlazerと共に潜入することとなった。NECOコーポレーションの従業員に扮したBlazerと共に工場内に潜入した猫は、見張り兵の合間を縫って、工場の奥へ奥へと向かう。小さな体と軽い身のこなしを生かし、猫は無事にアトミックバッテリーを入手。Clementineに渡すため部屋に戻ろうとするが、居住エリアは警備ロボットにより閉鎖されていた。NECOコーポレーション内にいた見張り兵も見張っており、Clementineも部屋から脱出していた。しかし、Clementineがいた部屋の中を調べるといくつかのヒントが隠されており、暗号を紐解くと「私はBlazerと一緒です。ナイトクラブに来てください。」というメッセージが浮かび上がった。猫が急いでナイトクラブに向かうと、なんとClementineは縄で縛られ捕まっていた。Clementineを軟禁したのはBlazerの仕業で、猫が部屋に入ると見張り兵を従え攻撃をしかけてきた。次に猫が目覚めた時は、ジェイルという牢屋がたくさんあるエリアの小さな檻の中だった。B-12やバックパックを奪われた猫は、ゴミだらけで薄暗いジェイルの中を進んでいく。ジェイル内には独房がいくつもあり、廊下は見張り兵が見張っている。独房内には縛り付けられ再起動させられている最中のロボットやすでに息絶えているロボットもいた。とある独房の前を通り過ぎた時、猫は独房の中にClementineを発見し救出。更にその奥で厳重に警備されているB-12を救出し、背の高いClementine、コンピュータにアクセスできるB-12、小回りの利く猫でそれぞれ協力し合いながら先へと進んだ。ジェイルを脱出する最後の扉を開けるレバーを下げると、警報がなり見張り兵が何台も集まって来た。Clementineの運転するトラックに飛び乗り、間一髪のところで猫達は脱出に成功した。

アウトサイドへ

動かなくなってしまったB-12に寄り添う猫

ミッドタウンの街中をClementineの運転するトラックが駆け抜け、猫がミッドタウンの入り口へと入った瞬間、Clementineはフェンスを締めた。Clementineが見張り兵の気を引いている間に、猫がアウトサイドへ行けるよう逃がしてくれたのだった。NECOコーポレーションで入手したバッテリーを使い、地下鉄を起動させると、これまでのどの街よりもきれいで明るく、Helperという掃除をするだけのロボットが数体いる場所へとたどり着いた。ひと際大きな扉の前にいるロボットによれば、外に出る扉は現在制御されており、リクエストはコントロールルームの公認エンジニアに問い合わせる必要があるという。ロビーのような整備されたその場所は、ソファや自動販売機が設置されており、大きな窓からはスラムやミッドタウンなどが見下ろせた。コントロールルームに侵入した猫は、誰もいなくなった部屋でB-12と共に扉の制御解除を試みる。かつてコントロールルームにいた人々は、下界で人が死んでいくのを黙って見ているだけで救おうとしなかった。しかし、今回はロボット達を救えるとB-12は意気込んだ。B-12によると、コントロールルームの全てのコンピュータを起動させ、町全体を封鎖しているシステムをオフにすればアウトサイドへ行けるという。しかし、セキュリティを破っていくうち、B-12の小さなボディはボロボロになっていく。後は街を封鎖しているシステムをオフにするだけの状態になった時、「お伝えしたいことがあります。」とB-12が改まる。システムをオフにするには、膨大なパワーが必要でありそれはB-12のパワーを大幅に上回る程のパワーだと言う。人類の記憶を引き継ぐために生き残ろうとしていたB-12だったが、街の住民や猫の未来を見たいと言うと猫のバックパックを外した。最後のシステムをオフにした瞬間、B-12はショートし動かなくなってしまった。それと同時にシェルターを覆っていた屋根が開き始め、デッドシティのZURKはどんどん消滅していった。B-12にひたすら寄り添い続けた猫だったが、いくら待ってもB-12は動かない。そして猫は、1人で開かれたアウトサイドへの扉を抜ける。そこにはかつて他の猫達と住んでいた、緑生い茂る世界が広がっていた。

『Stray』のゲームシステム

基本的な流れ

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