サイコろまんちか(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サイコろまんちか』とは、小出もと貴(こいで もとき)による心理学と高校生の日常を掛け合わせた日本のギャグ漫画。『月刊少年ライバル』で2014年から連載された。
主人公の伊東は幼馴染の阿部に片思いをする女子高校生。心理学に魅せられ、「心理学研究部」を立ち上げようと決意する。部活として認められるには、部員を5人集めなければならない。そこで伊東は心理学を用いて、落ちこぼれから不良まで、様々な生徒と出会い勧誘していく。高校生たちのドタバタ日常と、明日から使える心理学が詰まった物語。

奇蟲シリーズ第7弾のヒラムシのカード

珍しい昆虫をテーマにしたカードゲーム。奇蟲デュエリストは世界人口500人とかなりマイナーだが、伊東と多胡もハマっている。
これがきっかけで伊東と多胡は友人となった。

『サイコろまんちか』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

江崎 「私は己斐ちゃんとお弁当食べるよ」

「私は己斐ちゃんとお弁当食べるよ」とはっきり言う江崎

中学時代から腐女子だった江崎は、「高校には入ったらおしゃれな女子高生になって青春しよう」と友人の己斐と約束していた。
高校に入学後、おしゃれな女子たちとつるみながらも影では己斐と腐女子ライフを謳歌していた。このままどちらもうまく行くと思っていた矢先、同じクラスでオタクの三島に「己斐が腐女子であること」をみんなの前でバラされてしまう。
当然、己斐はおしゃれ女子グループから仲間外れにされ、江崎は「なんとか己斐をグループに戻すことは出来ないか」と伊東に相談するが「人は友達が自分の嫌いな奴と仲がいいと嫌な気持ちになる生き物なのだ」と言われ、おしゃれグループを取るか己斐を取るかを迫られる。
悩む江崎だったが、己斐との楽しい腐女子ライフが頭に蘇り、江崎は決断する。
その後、おしゃれグループから「江崎さん、一緒にお昼食べようよ」と誘われるも江崎は「私は己斐ちゃんとお弁当食べるよ」と断る。そして作る予定の同人誌のネームを見せて「今度、己斐ちゃんとこういう漫画出すんだ。だからその打ち合わせ。ごめんね」と己斐の元に駆け寄った。

自分の理想でありカーストの上位になれていたおしゃれグループを蹴って、カースト下位になっても親友との友情をとった。江崎の熱い思いに心打たれる名セリフ。

伊東「ライオンに生まれなかったからって絶望してんじゃねーぞ、ハイエナに生まれたならハイエナとして戦え!」

「ライオンに生まれなかったからって絶望してんじゃねーぞ、ハイエナに生まれたならハイエナとして戦え!」と加野に言う伊東

加野はクラスで人気のグループに属しているも、グループ内ではモブキャラと化し存在感がないことに悩んでいた。加野は自分が陽キャだと勘違いしているタイプで、クラスで人気者の八神がしているように女子を揶揄ったりするが、周囲からは「八神くんみたいにイケてるわけでもないのに、ずけずけと失礼なことを言うやつ」と思われているためにウザキャラに位置付けられていた。
加野はそんな自分を変えたいと思っており、心理学研究部に相談しに行くが伊東から「自分が陽キャではないことを認めろ」と言われ抵抗する。そんな加野に、さらに伊東は「お前は人気者の八神と一緒にいるからイケてると思い込んでいるだけで、加野自身はイケていない」と現実を突きつける。それでも加野は「八神になれなくても、日々野くらいには…」と言った。
日々野とは八神の一番の親友で、イケてるグループに属している男子高校生だ。加野は八神のようになれないなら、八神に近い存在くらいにはなれるのではないかと感じていた。しかし伊東は「日々野は本当に人が嫌がることをしないし言わない、決して尊厳を傷つけないから人気なのだ。それに比べてお前はさほど親しくない間柄にも関わらず、悪態をつくから周囲に嫌われるのだ」と本質を突く。そして伊東は「ライオンに生まれなかったからって絶望してんじゃねーぞ、ハイエナに生まれたならハイエナとして戦え!」と加野を説得した。
無理やり陽キャになるのではなく、陰キャのままでもありのままに戦えと伊東は加野を鼓舞した。
自分を必死に偽るのではなく、そのままの自分で懸命に生きていけと勇気をもらえる名セリフ。

宇堂「惨めで悔しかったんだよ、それで素直にパスを出せなかった。ごめんな」

「惨めで悔しかったんだよ、それで素直にパスを出せなかった。ごめんな」と千条に謝る宇堂

宇堂は千条と小さい頃からの幼馴染だったが、なんでも出来る千条に嫉妬して宇堂は千条を避けるようになった。
しかし、「阿部のことが好きで、好きになってもらうためなら何でもする」という伊東の姿を見る度に、ダサくても好きなものに一生懸命立ち向かっている伊東の方が、千条から逃げている自分よりかっこいいと感じるようになっていた。

そんな中、心理学研究部は部員の人数が足りていないことと、部員が碌でもないメンバーであることから廃部になる予定だと教師から告げられる。
心理学研究部がクリーンな部活だと思わせるために、5人目の部員としてミスパーフェクトの異名を持つ千条を入れようと画策する。才色兼備な千条は「自分を負かすことの出来た部活に入る」と言っており、伊東は千条に「バスケの試合に勝ったら心理学研究部に入れ」と話を持ちかける。負けるはずがない千条はこの提案に了承し、バスケの試合の日を迎えた。
クラス合同の体育の時間のバスケだったため、宇堂は千条と同じチームとなる。敵チームには伊東と阿部だ。宇堂は伊東から「さりげなくミスをして、自分たちのチームを勝たせろ」と言ってくる。しかし宇堂は、バスケをしながら過去のことを思い出していた。

それは小さい頃、千条と同じチームでバスケをした時の記憶だ。バスケがうまい千条にパスを出せば試合には勝てるが、勝利の栄光が全て千条に向くと考えた宇堂は千条にパスを回さなかった。その結果、チームは負けた。そんな自分も嫌で、宇堂は徐々に千条からもバスケからも遠ざかっていった。
そのことを思い出した宇堂は「結局今も自分の小さなプライドを守ってるだけで、素直に悔しがることも出来ない自分は馬鹿だ」と己を反省し、千条にパスを出す。千条は驚きながらシュートを決め、着々と点を増やし千条チームの勝ちとなった。

試合後、宇堂は小さい頃にパスを出せなかったことを謝罪し、そして千条への憧れや嫉妬も告白した。「惨めで悔しかったんだよ、それで素直にパスを出せなかった。ごめんな」と宇堂が謝ると、千条は「そんな昔のこと…相手にされてないだけだと思ってた」と言った。千条もまた、周囲に影響を与える宇堂に憧れていたのである。
これをきっかけに二人は和解。千条も自らの意思で心理学研究部に入った。不良で尖っていた宇堂が自分の気持ちと向き合い、正直になったという成長を感じさせる名セリフ。

伊東「たった一人『この人!』と思える人間にだけそっと『可愛いね』って言ってもらえりゃ、今世は愚か来世まで生き抜けるパワーなくして語れないんじゃ!」

「たった一人『この人!』と思える人間にだけそっと『可愛いね』って言ってもらえりゃ、今世は愚か来世まで生き抜けるパワーなくして語れないんじゃ!」と力説する伊東

地味な女子高生・介山はクラスの男子・日々野から「へぇ介山さんって彼氏いないんだ、全然可愛いのに」と言われたことから日々野のことが好きになる。そして日々野に告白するも振られてしまい、介山は心理学研究部を訪れ「モテる女になりたい」と相談する。
しかし、伊東は「お前のモテたいはただチヤホヤされたいだけ」と介山の本質を見抜く。そして「 たった一人『この人!』と思える人間にだけそっと『可愛いね』って言ってもらえりゃ、今世は愚か来世まで生き抜けるパワーなくして語れないんじゃ!」と恋愛の真髄を語る。
周囲の人間から感情のない薄っぺらい可愛いを貰うよりも、たった一人の好きな人から「可愛い」と貰えることが大切だと感じさせられる名セリフ。

伊東「もしかしたら今なら何か状況が変わってるかもしれないと今一度足掻きさえすれば…そん時は行き詰まった状況を脱却できた筈なんだ!」

「もしかしたら今なら何か状況が変わってるかもしれないと今一度足掻きさえすれば…そん時は行き詰まった状況を脱却できた筈なんだ!」と幾島を説得する伊東

クラスのカースト下位に属している冴えない男子学生・幾島は「今まで自分を馬鹿にしてきた奴らを見返したい」と思うようになる。心理学研究部にその相談をしにいくと、千条と1日だけ付き合えることとなる。
1日だけ千条の彼氏となった幾島は、今までの鬱憤を晴らすように周囲の人間にマウントを取り始める。千条に対しても「お前が飯奢れよ」「お前はいっつも俺ばっかり頼ってくるよな〜」と見下した態度を取り、クラス中に千条に頼られている自分を見せつけていた。そんな中、幾島の友人でもあるクラスメイトが「どうしたんだよ幾島くん…」と、幾島を心配して話しかけてくる。千条はその友人に「実は1日だけ付き合っているだけ、とネタバラシしようよ」と幾島に提案するが、周囲からすごい奴だと思われたい幾島は友人にも「俺は千条と付き合えている。お前とは違う人間なんだよ」と冷たい態度をとってしまう。
千条はそんな幾島に呆れ、「さようなら」と言って去った。

幾島は酷く反省し、伊東の元へ行って「なんとかもう1日だけ千条と付き合えないか」と頼み込む。そこで伊東は「泣いて詫びて、ひたすら土下座すれば千条も許してくれるかもしれない」と提案するが、幾島は「そんなダサいこと出来るか!」と反抗する。
そんな幾島に対し伊東は「ダサいと言って逃げるな! 」と怒る。そして「もしかしたら今なら何か状況が変わってるかもしれないと今一度足掻きさえすれば…そん時は行き詰まった状況を脱却できた筈なんだ!」と幾島を説得した。
この言葉を受けた幾島は自分の行いを後悔し、千条ではなく友人の方へ謝りに行く。幾島は「お前みたいな友達こそ大事にしなきゃいけないのに、ごめん…」と謝罪し、千条には1日彼女になってもらっただけだったことも告白する。友人は笑うことなく、幾島を許した。そんな幾島を見直した千条は、幾島と友人と3人で昼ご飯を共にした。

ダサいと思えるようなことでも、時にはこの状況を打開できるならなんでもやるという覚悟が必要なのだと感じさせられる名セリフ。

阿部「…オレは…心理学研究部を解散するのは嫌だな」

「…オレは…心理学研究部を解散するのは嫌だな」と呟く阿部

阿部と千条が付き合っていると勘違いした伊東は、「阿部と千条が付き合っている中で部活はもう出来ない」と心理学研究部を解散すると宣言した。
伊東は「心理学を学んでいるのは、何よりも阿部の心を得たいから」と説明し、廃部を進めようとすると阿部は「…オレは…心理学研究部を解散するのは嫌だな」と呟いた。
当初、阿部は心理学研究部の部員になることには反対だった。単純に「心理学なんて面白くない。変な部活に関わりたくない」という思いからだったが、心理学を学ぶうちに「人間みんな同じ感情を経験しあってるんだな」と感じるようになり心理学について学ぶことが楽しく感じていた。
伊東は「自分が好きな心理学を好きになってもらえた」という喜びを感じ、廃部宣言を取り下げる。心理学に興味がなかった阿部が心理学を好きになり、もっと学びたいと思うようになった結果部活の存続が決定した名セリフ。

『サイコろまんちか』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

LASTというタイトルをつけなかった最終話

今まで各話のタイトルは「CASE001:ハロー効果」「CASE002:プライミング効果」というようにつけていた。作者は「またいつか続編を描けたら」という思いから、最終話のタイトルも「LASTCASE030:単純接触効果」とつけるのではなく、通常の「CASE030:単純接触効果」と表記した。

5lhiro
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