アオラレ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『アオラレ』(Unhinged)とは2020年にアメリカで公開されたサイコスリラー映画。あおり運転をされた母子が巻き込まれる恐怖が描かれている作品。監督はデリック・ボルテ。オスカー俳優ラッセル・クロウがあおり運転をする男トムを演じる。狂気の男にあおられるのは『移動都市/モータル・エンジン』のカレン・ピストリアが演じる母レイチェル。日本でも社会問題にもなり、時折ニュースにもなるあおり運転が引き起こす事件が想像を上回る恐怖として描かれた作品。

レイチェルの家に駆け付けた警察官。トムに火を点けられたフレディを救出。その後、実家に逃げていたレイチェルとカイルを保護し、フレディの無事を告げる正義感にあふれた任務に忠実な男性。

ホーマーを演じたマイケル・パパジョンは1964年生。アメリカアラバマ州出身。1996年『イレイザー』・1998年『スポーン』・2002年『スパイダーマン』に出演。

ロージー(演:ルーシー・ファウスト)

レイチェルの隣人。

ロージーを演じたルーシー・ファウストはアメリカルイジアナ州出身。TVドラマ『NCIS:ニューオーリンズ』にゲスト出演。2008年『プテロドン 零式戦闘機 vs 翼竜軍団』・2014年『神は死んだのか』・2017年『68キル』・2020年『マヤの秘密』『悪魔はいつもそこに』などに出演。

『アオラレ』の用語

あおり運転

あおり運転の定義は、前の車との車間距離を極端に詰めたり、行く手を遮るように割り込んだり、蛇行運転等による危険運転を指す。日本でもあおり運転が問題視され、ドライブレコーダーの普及によりその様子がニュースで報道されることも多い。日本では、あおり運転を行った場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される(道路交通法第117条)。また、行為によっては免許取消し処分などの処分が下される場合もある。
レイチェルが青信号になっても車を発進しなかったトムに何度もクラクションを鳴らした行為も、あおり運転だったとも言える。

ガソリンスタンド

アメリカではガスステーション(Gas Station)と呼ぶ。セルフサービスのガソリンスタンドがアメリカでは主流であり、日本のように給油等のサービスはない。売店が併設されている所が多く、コンビニエンスストアのように菓子や日用品などが販売されている。
映画ではレイチェルがアンディと会う前に給油のためにガゾリンスタンドに立ち寄っている。このガソリンスタンドにも売店があり、日用品や菓子がたくさん並んでいる。レジ前で外にトムの車を見つけ、不安を隠せず動揺しているレイチェルに対し、心配をして声をかけてくれるレオを売店の店員。あおり運転の被害にあっていることを告げると、トムがあおり運転の常習犯だと教えてもらう。レオがレイチェルを車まで送ってくれたるがトムの怒りを買い、車で轢かれてしまいレイチェルの恐怖が一気に高まる。

レストラン

レイチェルが弁護士のアンディに離婚相談をするためにランチの約束をしたレストラン。レイチェルの携帯電話の通話履歴から、アンディとの約束を知ったトムが、レイチェルの浮気相手だと勘違いしたことから約束のレストランに向かうことを決める。アンディがレイチェルを待つ間に、トムが現れるが。浮気相手ではなく、離婚相談を受けている弁護士であることを告げるとトムの態度が豹変。これまでトム自身が受けて来た社会からの仕打ちを思い出し、八つ当たりからアンディに怒りをぶつける。テーブルに頭を叩きつけられるなど暴行を受け、殺されてしまう。人目のある公共の場で、残虐な行為をトムの異常さが際立つシーンだ。

『アオラレ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

トム「運転マナーがなっていない」

レイチェルに声を荒げるトム

ラッセル・クロウ演じるトムがレイチェルに問いかけるセリフ。
渋滞する道路で青信号になっても発進をしなかったトムの車に苛立ちクラクションを鳴らしたレイチェル。追い越していったレイチェルを追従してトムは「運転マナーがなってない」と問い詰める。クラクションを短く鳴らさず、不快感をあらわにするように長く鳴らしたことに「礼儀ある鳴らし方を?」と聞かれたレイチェルが「わざとよ」と答えるとトムの表情が一変する。
あおり運転が異常なまでの執着をみせるトムの姿は行き過ぎであるとしか言いようがない。とは言え、レイチェルの行動も軽率ではなかったのかと思われる。映画はまたクラクションを鳴らしかけるも、踏みとどまるレイチェルの姿でしめられている。

激しいカーアクションシーン

険しい表情でレイチェルを追い詰めるトム

車社会のアメリカ。朝の渋滞に巻き込まれたことが事件の発端となる。乱暴な運転をするドライバーがいるのは、日本でもかわりない。あおり運転被害で、相手の車にクラクションを鳴らされたり、交通の妨げになるような蛇行運転をされたり、進路を妨害されたりすることはよく知られている。しかしこの映画では、トムの車がスピードを落とすことなく執拗に追いかけてくるシーンに加え、車が横転するシーンやパトカーがスピンするシーンなどもあり単なるあおり運転とは思えない、事故現場が繰り広げられる。横転した車を背に、トムが歩いてくる姿は鬼気迫るものがある。

『アオラレ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

脚本を読んだら止まらなくなった

映画について語るラッセル・クロウ

初めてこの台本を読んだラッセル・クロウは、「この映画には絶対に出ない」と言っていた。しかし、「演じられる気がしない大変な役を求めている」これまでの自身の俳優としての姿勢と、読み始めたら止まらない脚本に最終的に出演を決めるに至る。
極限まで追い込まれた不運な状況だったトムという男を演じるにあたり、ユーモアもなくただ自分を追い込む演技に挑戦。映画では、ガッチリとした体で追いかけてくる男を演じ切り演技力のすごさを見せた。

子を守る強い母親

様々な問題を抱えながらも息子を愛する母親レイチェル役を演じたカレン・ピストリアス。彼女のことをトムを演じた主演のラッセル・クロウは、「ニコール・キッドマンやメリル・ストリープのように脆さと強さが同居しているようなところがあった」とインタビューで答えている。さらに、オーディションが終わった後でカレン・ピストリアスが部屋を出ると監督のデリック・ボルテが「彼女に決まりだろう?」とラッセル・クロウに語った。監督の読み通り、子を守る強い母の姿を演じきった。

セルフパロディ動画で映画紹介

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