戦翼のシグルドリーヴァ(シグルリ)のネタバレ解説・考察まとめ
『戦翼のシグルドリーヴァ(シグルリ)』とは2020年に放送されたA-1 Picturesによるアニメ作品。2019年、地球に現れたあらゆる生命を脅かす「ピラー」に苦戦する人類に対して、「オーディン」を名乗る神が対抗する術として戦乙女「ワルキューレ」と英霊機を授ける。欧州から派遣されたワルキューレ「クラウディア・ブラフォード」は日本の館山基地に着任する。そこで、「六車・宮古」、「駒込・アズズ」、「渡来・園香」の3人のワルキューレと共に戦うことになる。
『戦翼のシグルドリーヴァ』の概要
『戦翼のシグルドリーヴァ(シグルリ)』とは2020年に放送されたA-1 Picturesによるオリジナルアニメ作品。シリーズ構成・脚本は長月達平(代表作『Re:ゼロから始める異世界生活』)が担当。関連する作品に小説『戦翼のシグルドリーヴァ Rusalka』、『戦翼のシグルドリーヴァ Sakura』や漫画『戦翼のシグルドリーヴァ ノンスクランブル』、『戦翼のシグルドリーヴァ 狂撃の英雄』がある。北欧神話と空戦といった異色の組み合わせを実現した作品である。魅力的なキャラクターがいて、コミカルな展開がある一方で、シリアスな展開も多く存在する。また、千葉県の館山市を舞台としているため、放送当時はラッピングバスが運行されるなど、多くのコラボイベントが行われた。
2019年、地球に現れたあらゆる生命を脅かす「ピラー」に苦戦する人類に対して、「オーディン」を名乗る神が対抗する術として戦乙女「ワルキューレ」と英霊機を授ける。2025年、欧州から派遣されたワルキューレ「クラウディア・ブラフォード」は日本の館山基地に着任する。そこで、「六車・宮古」、「駒込・アズズ」、「渡来・園香」の3人のワルキューレと共に戦うことになる。そして、日本を舞台として壮絶なピラーとの戦いが始まる。
『戦翼のシグルドリーヴァ』のあらすじ・ストーリー
クラウディアの館山基地着任と海ほたる海上突撃戦
2019年、突如現れた存在「ピラー」により人類は追い詰められていた。そこに「オーディン」を名乗る神が現れ、ピラーに対抗する手段として戦乙女「ワルキューレ」と、彼女達が戦うための航空機「英霊機」を人類に授けた。
2025年、クラウディア・ブラフォードは欧州から日本に派遣された。出撃すると味方が全滅してしまうため「死神」と呼ばれているクラウディアは日本でも腫れもの扱いを受けると思っていた。しかし、赴任先の館山基地では歓迎会が行われるなど想像していなかった扱いを受ける。そこで、六車・宮古、駒込・アズズ、渡来・園香の3人の個性的なワルキューレと出会いチームを組むことになる。館山基地からの最初の出撃時に一緒に戦うことに抵抗を感じるクラウディアであったが、「死神」と呼ばれていることを知っても態度を変えない仲間たちを見て一緒に戦うことを決意する。仲間たちを死なせることなく勝利することができたクラウディアは笑顔で着任することができた。
新チームの初陣を終えた翌日に、今度は木更津の海ほたるにピラーが出現する。海ほたるに取り残された民間人や攻撃に巻き込まれた偵察隊を早く助けねばならない状況であったが、ピラーは固定砲台型の上に、水の障壁を張っているため、空から近づくことは難しかった。そこで、アクアラインのトンネルから侵入し、風の塔(アクアラインにあるトンネルの空気を入れ替えるための施設)から抜けることでピラーを強襲する「チンアナゴ作戦」を決行する。ピラーの思わぬ反撃を受けるが、アズズの機転が功を奏し、撃退に成功する。クラウディアはこの勝利でこのチームでやっていくことに自信を持つのであった。その様子をオーディンは満足気に見ていた。翌日にはオーディンは自身がいる場所にクラウディアを呼び出す。クラウディアを娘と呼ぶオーディンはラグナロクに備えるように注意をする。
オーディンのもとから戻ったクラウディアは食堂で食事を用意する。そこで、館山基地の司令官里見・一郎に、クラウディア、宮古、園香は海ほたるにピラーの影響を確かめるため回復調査に向かうように命じられる。海ほたるではすっかり通常の状態に戻っており、笑顔があふれていた。そこに、アズズからの連絡を受けて病院に向かう。そこには味方をかばって死の淵にある偵察隊の隊員がいた。ワルキューレに見送られる人は英雄となり大切な人に会えるという迷信を信じて、クラウディアと宮古は隊員を看取った。クラウディアはその際に、自身の家に伝わっている子守唄を歌うのであった。
天塚・弥生の合流
強力なピラーに苦戦する館山基地の面々。ピラーの活動限界のおかげで一時戦闘が終了することができたが、ピラーが館山城の近くに出現してしまう。館山基地の英霊機と分断されてしまったクラウディアたちは、ピラーの索敵範囲を避けて海と洞窟を抜けて館山基地に到着する。ピラーに気づかれてしまいピンチを迎えるが、そこに援軍のワルキューレが到着して救われる。無事に英霊機に乗り込み、ピラーの撃破に成功する。戦闘が終わり、合流してきた援軍機から降りてきたのは天塚・弥生であった。宮古は「姉御」と慕い、アズズと園香は複雑な顔で出迎えた。
天塚が館山基地に着任したのは、富士山に出現している巨大な「プライマリー・ピラー」である「富士ピラー」の攻略作戦のためであった。無謀な作戦であるとアズズは非難し、クラウディアとともに作戦のきっかけを作ったオーディンへの抗議に向かう。そして、オーディンからピラーの休眠期を割り出したため、それを利用して行う作戦であると知らされる。また、そのために各地からワルキューレを集め、クラウディアが館山基地に配属されたのもそれが理由とのことであった。
天塚とクラウディアたち4人は食事をとりながら今回の作戦について話し合う。天塚とアズズはオーディンを不審に思い、今回の作戦について疑問があるという。一方で、その話し合いの中で園香は天塚に対して、硬い態度を取り続けて、食事もそこそこに席を立ってしまう。園香は司令官室で、園香と天塚と里見が映る古い写真を見つめるのであった。
その後、予想されていた時間に富士ピラーは休眠に入る。それを見たオーディンはラグナロクが近いと、1人声を上げるのであった。
富士ピラー戦
富士ピラー攻略戦のために国内外からワルキューレが集められた。その中にはクラウディアのかつての同僚であるルサルカ・エヴァレスカ、リズベット・クラウンの姿もあった。作戦会議では今回の作戦の司令官である沖田・歳三が作戦のために集まったメンバーを鼓舞した。そこに、オーディンが現れ、会場はオーディンをたたえる声で満たされるが、天塚はその様子を舌打ちしながら見ていた。天塚は里見に園香を作戦から外すように依頼するが、その様子を園香に見られてしまう。そのうえ、以前の富士ピラー攻略戦のときに園香の機体に細工をして出撃できないようにしていたことも知られてしまう。その戦いで天塚は撃墜され、仲間であった神宮寺・晃は戦死してしまっていた。事実を知った園香は泣き崩れてしまう。
富士ピラー攻略戦が始まっても、プライマリー・ピラーは休眠したままであった。その隙をついて、プライマリー・ピラーに穴を開けて内部に侵入する。中には異空間が広がっており、そこに巨大な姿をした「トール」と、かつて戦死したワルキューレの英霊機、「スヴァルト・ワルキューレ」が現れた。その中には園香と天塚の仲間であった神宮寺や、日本のエースであった沖田・桜の英霊機の姿もあった。一方で、プライマリー・ピラーの外では大量のピラーが発生し、富士に集まろうとしていた。司令官である沖田はすぐさま撤退を決定する。撤退しようとする中で、園香は迷い込んだ訓練生たちを助けようとして撃墜されてしまう。一方で、プライマリー・ピラーをトールと呼ぶオーディンに対して、沖田はそれが何であるかを問いただそうとする。その時、それまで動きを見せていなかったトールが雷撃を放つ。雷撃に巻き込まれて司令部が吹き飛び、沖田は戦死する。また、クラウディアの友人であったレイリーも巻き込まれて戦死した。司令部にいたはずのオーディンも行方知れずとなった。
クラウディアたちは撤退に成功するが、天塚はプライマリー・ピラー内部に取り残された仲間の救出作戦に志願する。泣いて止めようとする園香に対して、お守りを渡し、園香からはペンダントを預かり作戦に向かう。お守りはどうしても不安で仕方なくなって土壇場で限界だと思ったら開けるようにと天塚は園香に伝えた。合流予定地点で天塚の帰りを待つ園香たちであったが、そこに現れたのはボロボロとなったリズベットの機体一機のみであった。リズベットから園香のペンダントを受け取り、天塚が戦死したことを知るのであった。
館山奪還戦
富士ピラー戦に敗退したクラウディア達は館山基地を失っていた。館山基地を取り返すために里見は鋸山(のこぎりやま)に隠してある非常施設に向かうことに決める。里見はアズズに沖田が最期に残したオーディンとのやり取りの録音を聞かせる。その中には、「ヴァルハラ」や「アスガルド」といった、アズズたちが知らない単語が含まれていた(このことから、この世界には北欧神話が存在していないことが明らかになる)。アズズはオーディンに気に入られていたクラウディアであれば何か知っているのではないかとこれらの単語が聞かせると、クラウディアの口から「ヴァルハラの門戸は開かれている」という言葉が漏れる。その言葉に応じて、ヴァルハラにつながる光の門が突然開かれる。そこで、ヴァルハラにはクラウディアとアズズと護衛、館山基地奪還には宮古とその護衛部隊のシールド隊が向かうことになった。そして、園香は天塚の死のショックから立ち直れず、どちらの作戦にも参加せずその場に残ることになった。せめて自分にできることと、炊き出しの手伝いをしているところに、富士ピラー戦で助けた訓練生、鈴原・くるみ、石動・萌がお礼を言いに来る。しかし、現状何もできない自分を責めてしまうのであった。
ヴァルハラに向かったクラウディアとアズズはそこで壁画を見つける。そこにはトールと同じハンマーを持つものの姿が描かれていた。一方で、クラウディアは謎の浮いている文字に触れると家に伝わる歌が浮かんでくると言う。そこに謎の巨人が現れて襲い掛かってくる。護衛がその身を犠牲に時間を稼ぎ辛くも逃げ出す。
宮古は館山基地を奪回するべく向かっていたが、急に合体したピラーの内部に閉じ込められてしまう。内部のコアを壊しても何度も再生してしまい苦戦する。一方で、園香のいる場所にもピラーが迫ってくる。園香は出撃をしようとするが英霊機に乗ることに恐怖を感じてしまう。代わりに男たちが戦闘機に乗り出撃する。避難を手伝う中で子供が生まれそうな妊婦を何とか助けようとする人たちを見ても何もできない自分に気持ちが追いつめられる。そこで、天塚に不安になったら開けるように言われたお守りを思い出し、開けてみる。そこには、天塚からの「甘えんなバカ」という言葉が書かれていた。その言葉に奮起した園香はピラーと戦う宮古に合流し、ピラーを撃破し、館山を奪還する。
アズズはヴァルハラから持ち帰った情報から導き出される結論を報告する。その内容は、富士ピラーのトールはオーディンの仲間であり、オーディンがこれから起きると言っていたラグナロクはすでに起きており、北欧神話の神々は滅んでいるというものであった。
オーディンは自身がトールの仲間であることを明かし、宣戦布告をしてきた。人類はこれに対して体勢を立て直し、富士ピラーへの再攻撃を決める。それぞれが戦いに備える中で、宮古は館山の祭の準備を進める。それを知ったアズズは不謹慎であると怒りをあらわにする。その後、実はプレッシャーに押しつぶされそうになっていることを明かしたアズズを宮古が慰め和解し、祭りを楽しむ。クラウディアは死者を弔う灯篭流しを見ながら、館山が自分の戦う理由であると決意を固めた。
富士ピラー再攻略戦
全戦力を投入する富士ピラー再攻略戦は負ければ人類の敗北となる重要な戦いになる。出撃前にクラウディアは突然オーディンのいる空間に呼び出される。オーディンはクラウディアに自分のもとに来るように言うが、それをクラウディアは帰る場所は決まっているとはねのける。オーディンは富士で待つと伝え去る。
一行はクラウディア達をぎりぎりまで温存して、訓練生の二人と男たちが身を挺して道を開き、トールのもとに到着する。前回同様に各地でピラーが発生し富士に向かおうとするが、各地の戦力がそれを阻む。しかし、そこにスヴァルト・ワルキューレが現れ、さらにトールが雷撃を放ってくる。さらにオーディンまでもが参加してくる。しかし、圧倒的な戦力差の前でもクラウディア達は諦めずに挑む。クラウディアはオーディンを押さえるために戦うが、その中でオーディンはクラウディアが自分と血のつながった存在であることを伝えてくる。そのことで、クラウディアはオーディンが孤独に抗おうとしていた一人きりの神であると気づく。しかし、クラウディアは共に生きることはできないと突き放し、それにオーディンは怒り狂う。クラウディアはオーディンとの一騎打ちの末に打ち破ることに成功する。トールとの戦いに苦戦する宮古は近づく軌道を見つけられずにいたが、シールド隊のメンバーがまっすぐに向かうように言う。宮古に向かうトールの雷撃やハンマーをシールド隊はその身を犠牲にして防ぎ、道を切り開く。トールへの接近に成功した宮古は止めの一撃を入れることに成功する。園香はスヴァルト・ワルキューレにかつての仲間の影を感じながら、巧みなテクニックで打ち倒すことを成功させる。富士ピラーの中枢にたどり着いたアズズであったがそこに再びオーディンが現れる。もう打つ手がなくなったところで、宮古が飛び込み富士ピラーの弱点を破壊する。英霊機の銃口をオーディンに向けるアズズに、自分とアズズたちで何が違ったのかと問う。それに対して、宮古は「一人で背負い込まないで相談してくれたらよかったのに」と伝える。その言葉を聞いたオーディンは笑顔で最期を受け入れる。富士ピラー再攻略戦は人類の勝利で幕を閉じた。
『戦翼のシグルドリーヴァ』の登場人物・キャラクター
館山基地
クラウディア・ブラフォード
CV:山村響
「シュヴェルトライテ」の名を持つネームドワルキューレ。欧州では戦闘でクラウディア以外は全滅してしまうことから「死神」とも呼ばれる。欧州の最前線で戦っていたが、日本の人員不足の解消のために館山基地に派遣される。性格は冷静で責任感が強い。オーディンに気に入られている。
六車・宮古(むぐるま・みやこ)
CV:稗田寧々
部隊のムードメーカーであり、ポジティブシンカー。どのようなピンチの状況でも決してあきらめない。戦闘では大口径の主砲「勇者砲」を放つ戦法を取る。武家の出身で基地の道場で朝の鍛錬を欠かさない。
駒込・アズズ(こまごめ・アズズ)
CV:M・A・O
英霊機の改造や作戦の立案を行う頭脳派のワルキューレ。ただし、戦闘能力は他のメンバーよりも劣る。性格は皮肉屋で意地っ張りであるが、英霊機の改造に着手する理由は皆の生存率を上げるためという心優しい側面も持っている。
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目次 - Contents
- 『戦翼のシグルドリーヴァ』の概要
- 『戦翼のシグルドリーヴァ』のあらすじ・ストーリー
- クラウディアの館山基地着任と海ほたる海上突撃戦
- 天塚・弥生の合流
- 富士ピラー戦
- 館山奪還戦
- 富士ピラー再攻略戦
- 『戦翼のシグルドリーヴァ』の登場人物・キャラクター
- 館山基地
- クラウディア・ブラフォード
- 六車・宮古(むぐるま・みやこ)
- 駒込・アズズ(こまごめ・アズズ)
- 渡来・園香(わたらい・そのか)
- 里見・一郎(さとみ・いちろう)
- 整備班長
- シールド隊
- 本庄・美智(ほんじょう・みさと)
- 和浦・野乃(かずうら・のの)
- 御厨・小町(みくり・こまち)
- 欧州基地
- リズベット・クラウン
- レイリー・ハルティア
- ルサルカ・エヴァレスカ
- 訓練生
- 鈴原・くるみ(すずはら・くるみ)
- 石動・萌(いするぎ・もえ)
- その他
- オーディン
- 天塚・弥生(あまつか・やよい)
- 沖田・歳三(おきた・としぞう)
- アルマ・コントーロ
- ニーナ・コルマコフ
- ラサ・ルリザーレ
- 『戦翼のシグルドリーヴァ』の用語
- 戦乙女(ワルキューレ)
- 英霊機
- ピラー
- ギャラルホルン
- ラグナロク
- 『戦翼のシグルドリーヴァ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 園香「神様がいる世の中だもん。おとぎ話だって本当に起こるかもしれないでしょ」
- クラウディア「失われる命がある。だが、戦場で生まれる命もある。それなら、私の翼にも戦う意味がある」
- 宮古「一人で背負い込まないで相談してくれたらよかったのに」
- 『戦翼のシグルドリーヴァ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 北欧神話の無い世界の表現
- 館山市をアピールするアイキャッチ
- 房総の名産「アブラボウズ」
- 『戦翼のシグルドリーヴァ』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):ナナヲアカリ『Higher's High』
- ED(エンディング):スピラ・スピカ『サヨナラナミダ』
- ED(エンディング):六車・宮古(稗田寧々)『Fly high』(第4話)
- 挿入歌:クラウディア・ブラフォード(山村響)『クラウディアの子守唄』(第3話、第10話、第12話)
- 挿入歌:スピラ・スピカ『ほしのかけら』(第11話)