憂鬱な朝(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『憂鬱な朝』とは日高ショーコによるボーイズラブ漫画作品。全46話、8巻。明治時代を舞台としており、主人公は10歳にして子爵家を継ぐことになる久世暁人(くぜあきひと)。暁人と、久世家の家令で暁人の教育係でもある桂木智之(かつらぎともゆき)との恋愛を描く。中心人物二人の恋愛だけではなく、明治時代の華族世界などに触れられる歴史大河ロマンでもあり、登場人物の複雑な人間模様も魅力のひとつである。

西園寺侯爵の嫡男。自身の結婚前は、桂木智之の情事の相手だった。西園寺家は名門だが家計は厳しく、桂木に頼って借財を整理してもらった経緯がある。

佐条俔子(さじょうちかこ)

佐条公爵家六女。暁人と婚約者候補となる。

『憂鬱な朝』の用語

華族(かぞく)

明治2年から昭和22年まで存在した日本の貴族階級。公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵という序列がある。公家や江戸時代の大名家に由来する華族と、国家への勲功により華族に加えられた新華族があった。『憂鬱な朝』の作中では、久世家や、森山家が華族で、佐条公爵家は公家出身の華族。

公卿(くぎょう)

明治維新前の上流貴族で、公家の中でも国政を担う最高幹部の職位。

叙爵(じょしゃく)

爵位を授けられること。

陞爵(しょうしゃく)

貴族の爵位制度での昇進のこと。日本に華族という、西欧でいう貴族にあたる制度があったときの言葉。公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵という序列の爵位が上がることを陞爵という。

『憂鬱な朝』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

暁人への献身を誓う智之

上のコマ:久世暁人、下のコマ:桂木智之

必ず陞爵(しょうしゃく)してほしい、久世家のために生きてほしいと言う智之に対して、暁人は爵位などどうでもいい、ただいっしょにいただけだと答える。それに対して智之は、自分は生涯、暁人に仕えると言う。智之が暁人への献身をはっきりと発言した初めての場面。

智之に激情をぶつける暁人

久世家のために智之が決めた婚約者候補(佐条公爵家の俔子)に会いに行くようになった暁人が、相変わらずつれない態度の智之に対して、思わず本音をぶつける場面。
暁人は、この場面の少し前に、石崎総右衛門から暁人へ助力するかわりに、石崎家に智之を渡すように要求されている。智之本人からは、婚約者の佐条俔子との関係で当てこすりを言われ、挙げ句の果てには、暁人の結婚は自分(智之)には関係ないと突き放される。それに対して、暁人は、「いいか!! 何をしても、どんなことをしても、僕はお前を手放さないからな!! 森山家にも石崎家にもどこにも渡さない!!」と、感情を爆発させる。

智之から暁人への告白

この場面の少し前に、暁人は、森山侯爵を華族令の不正のことで脅迫して久世家の伯爵位への陞爵を約束させ、自分が隠居して智之を久世家の当主にするという計画を立てる。自分の気持ちには蓋をして消すつもりでいた暁人に、智之は暁人の父親である暁直の異母弟を久世家当主とする案を告げる。そして、暁人が、夢でもいいから欲しいと思っていた「好きです」という言葉を初めて智之の口から聞く場面。
智之は、「他に……もっとわかり易い言い様があるのかもしれません。ですが私にはこれ以上の言葉がみつかりません。……好きです。どうか私をあなたのお側に」と、暁人に言う。

懐中時計を交換し、互いのいない二年間を耐える約束をする

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